【感想・ネタバレ】魔者のレビュー

あらすじ

誰も知らないあなたの過去が、もし、小説で暴かれていたらーー。
言葉で私たちを攻撃する魔者は誰だ?
SNSの炎上、加熱する週刊誌報道……人の不幸を喜ぶ人間がいる。
──お前たちを守るため、人間を喰おう。そうしよう。
衝撃のデビュー作『ジャッジメント』の著者、書き下ろし長篇ミステリ

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Posted by ブクログ

読書備忘録917号。
★★★★★。

さすがっす。由香さん。最新刊も苦しすぎる。
由香さんを読んで苦しむシリーズ健在!

主人公、今井柊志。東誠出版で週間ウォッシュ編集部の社会班に所属。
同業の海雲堂から「ゴールドフィッシュ」という小説が出版された。
著者は雨宮世夜。
内容は・・・。自分が幼いころ起きた事件が描かれていた。
そして出版日は27年前に死んだ姉の命日。
雨宮世夜?誰だ?なんで知ってる!

時は1995年。柊志が姉の小代子と過ごした最後の夏。
柊志は3人きょうだいの末っ子。長男舜士19歳。長女小代子17歳。そして柊志6歳。
全員異父きょうだい。母親は育児放棄。家庭崩壊と飢える姉弟。
弟を飢えから健気に守る小代子。

美麗村少年リンチ殺人事件発生!
被害者天池晃太郎くん15歳。少年4人による暴行の末死亡。
主犯は舜士。天池堂製菓勤務!社員が経営者家族の息子を!

小代子は加害者の妹ということで壮絶ないじめに・・・。
そして小代子は車に轢かれて死んだ・・。事故?自殺?他殺?

当時6歳だった柊志は、実は何も知らない。
真実を調べる為に動き出す柊志。

そして作中小説「罪と献花」で明らかになる壮絶な事実!
由香さんしか描けない壮絶なストーリー!
息が出来ない!苦しい!

加害者の妹。
被害者の姉。
加害者の・・・。
加害者の・・・。
親友エスポワール!悲しい!

本作由香さんのメッセージはこんな感じ。
「多かれ少なかれ誰の中にも魔物が住む。」
「自分だけは絶対に罪を犯さない!なんてことはない。」
「世界中の人間が他人を傷つけ、他人の命を奪う危険性を常に持っている。そうじゃなきゃ戦争なんて起きない。」

柊志の同僚達には救われたわ。

あとは「チグリジアの雨」を読まなきゃ!

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

加害者の妹と、被害者の姉。
そんな立場にならなければ、永遠に続いていたであろう2人の友情に亀裂が入ってしまい、加害者の妹が自殺した(ように見える)結末を迎えてからの、その未来の話。

被害者の姉が書いた小説は、親友を悪者にしたかったわけでも、魔者に魅せられた愚か者にしたかったわけでもなくて、あの時無力だった自分に対する憤りと、親友に対する謝罪、そして、「自分が、魔物くらいに強かったら、こういう結末を迎えられたかもしれないのに」という幻想なんだろうなと、最後のエピローグを読んで思った。

「ふたりは、エスポワール」と言った魔物の言葉。あれは作者が魔物に自分を投影したからこその言葉だったんだろうなと。

当事者に限りなく近い、弟にすら分からない、あまりにも分かりにくい、贖罪のような、謝罪のような、後悔の塊のような、そんな話だったんだろうと思う。

事件さえ怒らなかったら、と何度も思ってしまうような、悲しい話。でも読後感は悪くなかった。

0
2025年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小林由香作品、不条理の世界。週刊誌の記者・柊志の兄が20年以上前に起こした未成年リンチ殺人事件がきっかけとなる。柊志たち兄姉弟は全員父親が違い、母親はネグレクト状態。食事もままならない。そんな中兄が殺人事件を起こし加害者家族となる。姉・小代子とその親友・梨七の関係が一気に崩れる。何故ならば、柊志の兄が殺したのは梨七の弟だったからだ。さらに、姉・小代子が自殺する。この真相を加害者家族である柊志が迫っていく。狭い世界の中で、被害者遺族と加害者家族がお互いの立場を認識して生きていくことは苦痛しか見えなかった。⑤

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

週刊誌記者の柊二には、幼い頃に兄が殺人を犯し、姉が事故死したという過去があった。そして限られた人間しか知らないであろう姉と自分との思い出が、とある小説の題材にされていることに気づく。その小説の作者は何者なのか、そして何を伝えようとしているのか。真相を探り自らの過去とも向き合う覚悟をした柊二に、不穏な魔の手が迫る。スリリングで痛々しく、しかし穏やかな優しさと切なさも感じられるミステリです。
常々思うことだけれど、事件の加害者家族はなぜこれほどまでに苦しめられないといけないのでしょうか。親はまだしも、兄弟姉妹なんてとばっちりでしかないのにね。そしてその偏見や排除によって新たな悲劇が起こってしまうこともやりきれません。
なので今回のこの物語も、読み進めるのは非常につらいお話です。苦難に晒される加害者家族、事件によって引き裂かれてしまった友情、そして残された人たちの深い悔恨。一方では無関係な人たちによる批判や流言に腹が立ち、だけれど世間的にはそうなってしまうのが大多数なんだよなあ、と暗澹たる気分になります。どちらが「悪」なのかわからない。そういう意味では、「魔物」は間違いなく誰の心にも存在するものだと実感させられます。
真相もまたあまりに切なくて、だけれど救いはあります。そして柊二の置かれた環境の温かさもまた素敵。とはいえ、それは柊二自身が自ら築き上げたものなのだということを忘れてはいけませんね。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

終盤で思わず泣いちゃった…
児童虐待や少年犯罪、リンチ殺人事件の加害者家族に対するいじめなど重いテーマを扱った作品です。
中盤は主人公の姉があまりにも気の毒すぎて読むのがとてもしんどかったです。
未成年の不安定な正義感と排他主義によるいじめはとてもリアルで想像しやすかったです。
社会に問いかける問題も多く、その中でミステリー要素もあったので読みやすく面白い作品でした。
でも面白いという表現は不謹慎かな…
ラストは希望を感じさせられるもので良かったです。
いい話を読んだな~~~という感想で締めくくりました。

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誰も知らないあなたの過去が、もし、小説で暴かれていたらーー。
言葉で私たちを攻撃する魔者は誰だ?
SNSの炎上、加熱する週刊誌報道……人の不幸を喜ぶ人間がいる。
──お前たちを守るため、人間を喰おう。そうしよう。
衝撃のデビュー作『ジャッジメント』の著者、書き下ろし長篇ミステリ

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

悲しい、悲しい事件の話。

ある日週刊誌の記者が本を読んでいると
自分の過去と酷似した内容の本と出会う。
と、同時に
職場に自分を告発するメッセージや、
過去を探るなという警告が届く。

本の作者の意図とは?作者は誰なのか。
告発や警告の犯人は誰か。



少年集団リンチによる死亡事故って
世の中には本当に沢山ある。
それ自体、すごく悲しいことなのに
加害者の家族と、被害者の家族が親友であったり、事件の後に出会って助け合ったり、恋に落ちたり。

なんとも人間関係がごちゃごちゃしていて、切ない。
加害者家族に非がないパターンなんて
きっとほとんどなんだろうけど
自分の家族が"加害者"になった瞬間から
周囲の目は変わるんだろうな。

自分は悪くないし、自分は自分!って思っていても
同じ血が流れているんだから、、いつ何が起こるかわからない。と、不安になることもあるだろう。

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんて悲しい物語なんだ。最後の編集長らの連携プレーはちょっと笑えるけど…。りなとさよこの物語は悲しすぎる。少年事件ってニュースでは見るけど、やっぱり周りへの影響ってすごいあるんだろうな。。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

週刊誌記者になった柊二が、昔の蓋をしていた過去の真実を調べ始める。
一筋ではいかない真実が絡み合って最後はドキドキした。
事件は決して加害者と被害者だけの問題ではなく、それぞれの家族をも巻き込んで180度人生を変えてしまうものなんだ。
何気なく放った言葉や行動が、加害者を産んでしまう世の中。自分の行動に責任を持たなくてはと改めて感じた。

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2025年02月14日

Posted by ブクログ

なかなか重い話しだったので、ゆっくり読み進めました。
犯罪の被害者、加害者の家族であることから人生が一変して、ある事件の真相に迫る。

人は魔が差す時がある。
生きていると楽しい事ばかりじゃないし、負の過去を持っていたりもする。

そんな汚れてしまった大人になった今、どう生きていくのか。
自分が人を傷つける存在にも、人に手を差し伸べる存在にもなれる。
また、懸命に生きることで良い縁を得ることもできる。

苦しみや悲しみの先にも、光がある事を信じたくなるような物語でした。

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2025年02月09日

Posted by ブクログ

 もし、自分の家族が犯罪に巻き込まれたとして、被害者と加害者になるとしたらどっちがいいだろう。それが殺人事件ともなったら簡単に答えは出せそうもない。

 以前『望み』を読んだ時、散々考えたけれど、なかなか答えが出せなかったことを思い出した。

 さて、この『魔者』は、ある週刊誌の記者、柊二が自分の幼少期の記憶に酷似する小説を読み、疑問を持つ。その記憶とは、自分と亡くなった姉しか知らないはずの記憶だった。

 その謎を解くべく、作家を探すことにした柊二。その頃から柊二の職場に『おまえの兄は人殺しだ』という嫌がらせの電話がかかるようになる。柊二の兄は『美麗村少年リンチ殺人事件』の犯人だった・・・。

 作家を探すことになってからはミステリ全開の展開に。謎が謎を呼んで一気にクライマックスまで連れて行かれる。

 なんとも悲しい物語だった。家族が殺人事件に巻き込まれるとして、被害者と加害者、どちらがいいか。未だに答えが見つからない。

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2025年01月23日

Posted by ブクログ

幼い頃のある事件の真相を大人になって追い求めていく話。
いろんなことが巡り巡っていることを感じた。
冒頭と最後の文の印象は読んだら変わる。

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2024年11月23日

Posted by ブクログ

 週刊誌記者の今井柊志が主人公。柊志が幼いころ、当時19歳の兄がリンチ殺人を犯したことで、姉の小夜子とともに過酷な生活を送らなければならなくなった…。被害者は小夜子の親友、梨七の弟であった。父母は立て続けに家を出ていき、小夜子は親友だった梨七とうまくいかなくなり、さらにいじめを受けた末に交通事故死…一人になった柊志を伯母夫婦が引き取り育ててくれた過去がある…。そんな過去を題材にした小説を手にした柊志…また時期を同じくして勤務先に、「今井柊志の兄は殺人者だ」というような怪文書が届いたのだった…。

 読んでみて感じたのは、被害者と加害者の問題ということもありますが、ネグレクトの問題もはらんでいます。だけど、それだけではなく、小夜子と梨七のエスポワール(フランス語で希望)という友情や、柊志を思う職場の人間関係にはじーんとさせられました。

 小林由香さんの作品はこの作品で4作目…結構好きなタイプの作家さんなので、少しずつ読み続けたいと思ってます。でも、今のところの一番は「チグリシアの雨」だなぁ…これから他の作品読んだら、順番変わるのかもしれないですね!!それは、それで楽しみです。

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2024年10月11日

Posted by ブクログ

週刊誌記者の今井柊志には子供の頃、美麗村少年リンチ殺人事件で、当時19歳だった異父兄の舜士が15歳の天地晃太郎を四対一でリンチ殺人をして殺している過去があります。

そして当時6歳だった柊志の異父姉の小代子17歳も自殺とみられる交通事故で、その年の7月7日に亡くなっていました。
柊志は覆面作家の書いた小説『ゴールドフィッシュ』が当時の自分と姉の小代子との間にあったこととまるで同じシチュエーションで書かれているのを読んで、なぜ作家が知っていたのか調べ始めます。

すると覆面作家の本名は天地梨七で、リンチ殺人で亡くなった天地晃太郎の姉であり、また自分の姉の親友であることがわかります。

しかし柊志が姉は自殺ではなく、殺されたのかもしれないと考え小代子の周辺をあたっていると、自分に送られてきた怪文書「これ以上事件を調べると大変なことが起きる」という手紙が親代わりに育ててくれた伯母夫婦のところにも送られていることがわかります。
果たして怪文書を送ってきたのは誰なのか…。



この作品は構成を練りに練られた力作であると思います。
だけれど、私が読みたかったのはこういう話ではなかったとも思います。
最初はなんでまた、リンチ殺人を読まなきゃならないの?もうこういう手垢のたくさんついたようないじめの話はお腹いっぱいだと思って読んでいました。
だけど、怪文書を送った犯人と、事件の真相が全部わかったときは面白かったです。
物語の副主人公である梨七の心の内の変化には胸をうたれました。

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2024年09月22日

Posted by ブクログ

週刊誌記者の今井柊二は、『ゴールドフィッシュ』という小説を読み寒気を覚えるほどの驚愕を覚える。
雨宮世夜という著者が書いた本の内容が、幼い頃に体験した記憶だったからだ。
覆面小説家である雨宮世夜の正体を探ろうとした矢先に封印していた過去の事件のことを知る者からの電話が…。

幼い頃、親に愛された記憶はなかった柊二には父親が違う歳の離れた兄と姉がいたが、兄が起こした事件で父が失踪し、しばらくして母も家に戻らなくなり、姉は事故で亡くなるという悲惨さを経験したが、伯母夫婦に引き取られて育てられた。

何故、今になって兄の事件のことを…誰がと思う気持ちと姉の事故のことも詳しく知らなかったこと、そして電話の意味…。

真相を探る為に故郷で過去を追うが、姉のことを知れば知るほど事故が疑わしくなり、また自分のことを探る誰かも追ってくる。


週刊誌記者であるが為に受ける苦悩の意味や加害者家族の辛さ、被害者遺族の憤りや絶望感など、計り知れない思いが溢れていた。





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2024年09月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

誰も知らないはずの自分の過去が小説に書かれている?
なんだかわくわくする始まり方だったけど読み進めていったら、被害者家族、加害者家族の感情の絡み合う重い内容になっていった。
だんだんと明らかになる過去、全体的に漂う不穏な感じ。
好みの作品でした。
一番ひどいのはネグレクトした両親。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

初めての小林由香さんの作品。
地方から引っ越してきた貧しい家庭の姉弟と、その姉と同級生の地域の盟主の家庭に生まれた女の子を中心に描かれるお話。
貧しい家庭の弟は成人して雑誌記者に、姉は17歳の時に交通事故で死亡、ある日姉弟しか知らないはずの子供時代のエピソードが小説として出版されたところから、物語が動き出す。
姉の死の真相に近づきつつ、その背景にあったリンチ殺人事件がいろいろと影響を与えていた事がわかり…という展開で、クライマックスに近づいてドキドキが増してきます。
ただ、結末が何となく途中で予想できてしまうのがもったいない感じです。

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2025年07月04日

Posted by ブクログ

よく似たお話を読んだわ〜
同じような文章もあったし
なんだか、納得し兼ねている
良かったかどうかも・・・

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

エスポワールが、なんだかよく分からなかった。
些細な出来事で、人殺しまでしてしまうのが怖い。そして、その出来事のせいでたくさんの人達の運命が変わってしまう。
若くても、自分の行動がどんな結果をもたらすのか、きちんと考えて欲しい。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いい感じに惹き込まれて読み進めているところに、突然の不倫俳優に週刊誌アベンジャーズで興醒め!!!! 挫けそうになった。

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

他人事だから噂話で盛り上がれるんだろうが、当事者となるとね。真実ならば納得もできそうだけど、大体は憶測で面白おかしくなるように計算されているんだろうな。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

読みごたえがあったが、自分には
少し長く感じた
でも、心理状態や背景など丁寧に書くには 
このくらいのボリュームが必要なのかな?と
思いました

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとなく展開が読めたけど、面白かった
なんか雑味が多かった気もするけど…
小説内小説のところが1番引き込まれた

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

魔者
小林由香さん

加害者の家族
被害者の家族

おもしろかった。

だれが?犯人?
こわい。

生きる。
皆それぞれ、強く生きる。

味方は必ず居る。
負けないで。



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2025年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても難しいテーマ
救いも光もあった

事件の当事者はあまり見えてこないのは仕方ないけど、少し物足りないかも

出版社の紹介文は意味不明だなと感じた

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2025年01月29日

Posted by ブクログ

オカルト?って思ったけど、違った

とても楽しめた。加害者被害者交錯する混沌が、かなり複雑な各登場人物の家庭環境に乗っかってるんだけど、違和感なくそれらを受け入れて読み進めることができた。

いろんな真実が、後半一気に明らかになっていく様は壮観なんだけど、最後の静かな真実が少し心安らぐエンディングかなぁ。

本とは関係ないかもしれないけど、グレーを認める事。これなんとなく心に残った。シロクロつけず、真実を明らかにせず。なんとなく心に響いた。なぜかな?

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2025年01月13日

Posted by ブクログ

週刊誌記者の今井柊志は幼少期、兄が殺人容疑で逮捕、父と母は失踪し、姉は事故死という壮絶な過去を持つ。
その27年後、自身と姉をモチーフにしたかのような小説を発見。雨宮世夜という覆面作家の正体は?この小説を書いた目的は?
柊志は胸の内に秘めていた事件の再調査を開始するが、何者かに調査を妨害され…

の不可解性が高く、調査の過程で次々と新たな謎が発生するプロットでリーダビリティは高い。
一方、終盤の展開は色々な要素をぶっ込み過ぎて大味になってしまい感動には至らず。

親友同士が被害者遺族と加害者家族の関係になってしまうのは読んでいて胸が痛む。
毒親の元に生まれ、犯罪者の家族となってしまう柊志。普通ならやさぐれてしまうだろうに、愛情溢れる伯母に育てられ優しい心の持ち主に育ったのは救い。

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2024年12月08日

Posted by ブクログ


『美麗村少年リンチ殺人事件』の被害者遺族と
加害者家族が辿った悲劇の連鎖。

悲しみ、憎しみ、怒り、憤り、恐怖や不安など
様々な負の感情に侵蝕され、信じあっていた
人間関係が跡形もなく瓦解していく。

真相を追い求めた末に明らかになったのは、
言葉にし難いやるせなさでした。

事件は関係する多くの人々の人生を大きく
変えてしまうのだと痛切に感じさせられました。

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2024年12月04日

Posted by ブクログ

少々事件を複雑にし過ぎ、人を綺麗に描きすぎな印象を受けつつも、答えの出ない問題について正面から取り組んだ作品だと思えた。
自分の過去、拭えない罪や罪悪感。
誰にでも義憤というものがあるが、現代はその発動が容易になったのではないだろうか。何かをやらかした人に対する炎上が持て囃され、私刑のようにあちこちで起きているのは我々が心の中に一方的な正義を持て余しているから、ではないか。
魔物、ではなく魔者というタイトルが実にいい。個人的にはあまり響かない作品だったが、それでも本作の問いかけは重たい。

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2024年11月25日

Posted by ブクログ

読んだ後に重い気持ちが残った。
犯罪被害者と加害者の家族のその後が過去を遡りながら描かれている。ミステリーと言うより切なさが先行した。

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2024年11月13日

Posted by ブクログ

週刊誌記者の今井柊志は、ある小説を読んで寒気がした。
それは覆面作家 雨宮世夜の書いた『ゴールドフィッシュ』という小説だった。
その小説の内容が、偶然だと片付けられないほど、柊志の幼少期の出来事と酷似している。

この思い出を共有できるのは姉の小夜子だけだ。けれど姉は27年前に事故でこの世を去っている。

著者は、なぜ姉弟しか知らない出来事を知っているのか?
そして、小説の発行日は7月7日…姉の命日だ。これも偶然なのか?

封印したい過去を持つ柊志にとって、人生を脅かす小説-。「【あの事件】を知る人物は脅威となりうる」

「週刊誌記者の自分は秘密を暴く側の人間だと安心しきっていたが、暴かれる側になることもあるのだ。」

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雨宮世夜の正体を探り始める柊志。
すると、柊志の勤務する編集部に不審な電話が入る。『今井柊志の兄は十五歳の少年を殺した』
そして、柊志をつけまとうシルバーのアウディ。

雨宮世夜を調べる柊志は、自分の辛い過去と向き合い、また姉の事故死、兄の起こした事件の悲しい真実を知ることになる-。

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うーん。辛い。
殺人事件のニュースを見れば、被害者の家族はどれだけ悲しく辛い思いをしているだろうかと考えるけれど、加害者の家族もまた同じように辛い生活を強いられているんだろうな。

悪いのは殺人を犯した人物であっても、その親やきょうだいも世間からは冷たい目で見られたり、心無い言葉で傷つけられたり…。

どちらも同じように苦しいだろうに…
この物語は『加害者の兄』を持つ小夜子と、
『被害者の弟』を持つ 梨七が親友だったって…
なんて悲惨な運命なんだよぉぉう…!!!
( ߹꒳​߹ )


なんだかそろそろ爽やかな本を読みたいのだけれど、「ぼくは化け物 きみは怪物」の返却期限が迫っております…。
爽やかとは程遠い!!!


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2024年10月31日

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