あらすじ
誰も知らないあなたの過去が、もし、小説で暴かれていたらーー。
言葉で私たちを攻撃する魔者は誰だ?
SNSの炎上、加熱する週刊誌報道……人の不幸を喜ぶ人間がいる。
──お前たちを守るため、人間を喰おう。そうしよう。
衝撃のデビュー作『ジャッジメント』の著者、書き下ろし長篇ミステリ
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Posted by ブクログ
加害者の妹と、被害者の姉。
そんな立場にならなければ、永遠に続いていたであろう2人の友情に亀裂が入ってしまい、加害者の妹が自殺した(ように見える)結末を迎えてからの、その未来の話。
被害者の姉が書いた小説は、親友を悪者にしたかったわけでも、魔者に魅せられた愚か者にしたかったわけでもなくて、あの時無力だった自分に対する憤りと、親友に対する謝罪、そして、「自分が、魔物くらいに強かったら、こういう結末を迎えられたかもしれないのに」という幻想なんだろうなと、最後のエピローグを読んで思った。
「ふたりは、エスポワール」と言った魔物の言葉。あれは作者が魔物に自分を投影したからこその言葉だったんだろうなと。
当事者に限りなく近い、弟にすら分からない、あまりにも分かりにくい、贖罪のような、謝罪のような、後悔の塊のような、そんな話だったんだろうと思う。
事件さえ怒らなかったら、と何度も思ってしまうような、悲しい話。でも読後感は悪くなかった。
Posted by ブクログ
小林由香作品、不条理の世界。週刊誌の記者・柊志の兄が20年以上前に起こした未成年リンチ殺人事件がきっかけとなる。柊志たち兄姉弟は全員父親が違い、母親はネグレクト状態。食事もままならない。そんな中兄が殺人事件を起こし加害者家族となる。姉・小代子とその親友・梨七の関係が一気に崩れる。何故ならば、柊志の兄が殺したのは梨七の弟だったからだ。さらに、姉・小代子が自殺する。この真相を加害者家族である柊志が迫っていく。狭い世界の中で、被害者遺族と加害者家族がお互いの立場を認識して生きていくことは苦痛しか見えなかった。⑤
Posted by ブクログ
悲しい、悲しい事件の話。
ある日週刊誌の記者が本を読んでいると
自分の過去と酷似した内容の本と出会う。
と、同時に
職場に自分を告発するメッセージや、
過去を探るなという警告が届く。
本の作者の意図とは?作者は誰なのか。
告発や警告の犯人は誰か。
少年集団リンチによる死亡事故って
世の中には本当に沢山ある。
それ自体、すごく悲しいことなのに
加害者の家族と、被害者の家族が親友であったり、事件の後に出会って助け合ったり、恋に落ちたり。
なんとも人間関係がごちゃごちゃしていて、切ない。
加害者家族に非がないパターンなんて
きっとほとんどなんだろうけど
自分の家族が"加害者"になった瞬間から
周囲の目は変わるんだろうな。
自分は悪くないし、自分は自分!って思っていても
同じ血が流れているんだから、、いつ何が起こるかわからない。と、不安になることもあるだろう。
Posted by ブクログ
なんて悲しい物語なんだ。最後の編集長らの連携プレーはちょっと笑えるけど…。りなとさよこの物語は悲しすぎる。少年事件ってニュースでは見るけど、やっぱり周りへの影響ってすごいあるんだろうな。。
Posted by ブクログ
誰も知らないはずの自分の過去が小説に書かれている?
なんだかわくわくする始まり方だったけど読み進めていったら、被害者家族、加害者家族の感情の絡み合う重い内容になっていった。
だんだんと明らかになる過去、全体的に漂う不穏な感じ。
好みの作品でした。
一番ひどいのはネグレクトした両親。