あらすじ
父親が猟奇殺人を犯し「悪魔の子」と噂される少年、良世。事故で娘を失った過去を持つ翔子は、亡くなった姉の忘れ形見である良世を育てることになるが、口を閉ざし、何を考えているかもわからない。なんとか彼を知ろうと寄り添うも、ある日机で蟻の「作業」を
している姿を目撃し――。人を信じ育てることの難しさと尊さを描く、感涙のミステリ。
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Posted by ブクログ
猟奇殺人を犯した父を持つ少年と、事故で娘を亡くした女性。
その2人が「家族」になろうと、もがき、苦しみながら心の糸を紡いでいく物語。
この物語はフィクションなのだけど、綺麗事は一切書かれておらず、ストーリーも都合良く進んでいくわけでもない。
だから、正直なところしんどい場面が多くある。
人間の多面的な面が、嫌というほど表現されている。
そして、ここまで、子どもの無作為に揺れ動く心理を丁寧に描いている小説を、私は知らない。
子どもだけではなく、主人公の女性の、少年を受け入れようと思いつつもそれが出来ないジレンマだったり。
本当にすごい小説に出会ったという感覚。
潮の満ち引きのように、寄せたり引いたりを繰り返す過程を、ここまで丁寧に描いた小説はあまりないのでは。
人間は多面的で、善と悪の両面を併せ持っている。
正直なところ、善だけで生きていけるほど世の中甘くなくて。だけれど、そんななかでも、誰かに愛された記憶があれば、誰かを愛することができる。
自分を大切に思えて、やっと、誰かを大切に思える。
世界の全ての子どもたちが、自分を大切に思える環境に居て欲しいと切に思う。
Posted by ブクログ
すべて見透かされるように、大小問わず細かい裏切りの連続をを感じる小説の醍醐味的作品だった。
その裏には読み手による登場人物へのラベリングや決めつけがある。
物語も面白く、気づきもあり、読後感も良い。
おすすめの本です。
Posted by ブクログ
命と引き換えに生まれてきた良世、悪魔の子と呼ばれ自分の殻に閉じこもっていたが、叔母の祥子と暮らす中で新しい感情が芽生えてくる。二人の再生と信頼の恢復、そして大いなる愛の物語。
Posted by ブクログ
読む前と後でタイトルの印象がガラリと変わる。
非現実的なあらすじに惹かれて手に取ったはずなのに主人公の葛藤は身近な現実そのものに感じた。それくらい文章がリアルだった。
本も人間も、肩書きやあらすじだけで見極めることはできない。当たり前を改めて突きつけられた。
Posted by ブクログ
考えても考えても答えは出てこないし、良世くんに私の考えがすべて見透かされてるようで怖かった。
でも読み進めていくと良世くんに対しての恐怖心や不信感はなくなっていって、とても考えさせられる作品でした。
読み終わってもなお答えは見つかりません。
匿名
恐ろしく何度も胸が苦しくなり辛くなりました。親の罪を子供が背負わなくてはいけないのか?親の罪によって心が傷付き一生消えないおもりを背負って生きていかねばならなく、人の目を気にして生きていくのは辛く苦しい。彼女のような人が側にいてくれて彼には希望がある。そこだけは救いです。
Posted by ブクログ
この本では、『人を信じる力』を試されます。
父が猟奇的な事件を起こし、悪魔の子と噂される少年。
その少年を、どこまで信じられるのか。
私は物語を読みながら、少年の肩書きや過去ばかりをみて、少年自身を信じてあげられなかった。主人公には信じていてほしいと願いながら。。。
すごい矛盾ですね。
過去や人の話や肩書き、家庭環境。
さまざまな情報をもとに、私たちは人を『こんな人だろう』と決めつけてしまうことが多い世の中だと思います。
けれど、真のその人を知るためには、ただ目の前のその人を見ること。共に時間を共有すること。信じることが必要だなと感じました。
Posted by ブクログ
途中何度か深呼吸しながら読んだ。
自分の薄っぺらい考えを見透かされて、見つめさせられるような気がした。
「プレゼントをもらわなかった子供はどうすればいいのか」
うーん。どうすればいいのかわからない。
でも、答えはないのかもしれない。
Posted by ブクログ
今は亡き姉の夫が狂気的殺人で捕まりました。その息子を引き取ったが、この子何かがおかしい。という話。
捉え方によって人の善悪なんて真逆になるしそもそも善悪どちらか一貫した人間なんていない。そのギリギリで悩むところが現実にも通じるところがあると感じた。
かつてこんなにも表題で涙した物語があっただろうか。彼女のやり方全てが正しいとは思えないけどそんな人間くささ含め、根気強さと得たものにすごく感動した。"まだ人を殺していません"これを何度も良世を疑った翔子さんが言ったからこそ良かった。彼女の根気がなかったら殺していたかもしれない。
Posted by ブクログ
初め「良世くん」が何を考えているのか不気味で
読んでいる時から少し怖かった。
けれど話せるようになった時から180°、良世くんに対する不信感やマイナスな感情は不思議となくなった。
そして、最後の最後で涙が止まらなくなった。
やっぱり子どもを大切に思わない母親はこの世には
いないと感じた。
良世くんには、亡くなってしまったお母さん(詩織)
の分まで精一杯生きて欲しいと思った。
小林由香先生の小説は、登場人物それぞれに優しさが詰まっていて読んでいて本当に心に染みる。
Posted by ブクログ
一気読みしました。
福岡観光するのに飛行機の中で読む用に買ったのですが、読み始めたら止まらず、福岡着いても観光中も本の続きが気になって、観光は早々切り上げてカフェに寄り読み続けました笑
残虐な事件を起こす悪人。決して許されないことをしたことに変わりはないけれど、彼等はなぜ犯行に及んでしまったのか。彼等の生い立ち、バックグラウンドを考えずにはいられません。彼等の味方をするつもりはもちろんないけれど、彼等が出会う人が違っていれば、悪人にならずに済んだのではないか。表面的な出来事だけで人を判断して決めつけることは簡単。でもニュースで知らされる事実だけで、外から批判する人にはなりたくない。
人のことを大切にできるのは人から大切にされてきた人だから。
だれと出逢うかで変わりうる人生。
とても大切なメッセージが詰まった一冊。
良世が翔子と出会えてよかった。翔子が良世と出会えて心からよかった。
Posted by ブクログ
良い意味で裏切られました。子育ての難しさ、人との向き合い方など。
自分の子供であっても、当たり前だけれど一人の人間で、今の私には必要な言葉の数々でした。言葉を話して紡いでくれる子供の話を、忙殺されながら向き合えずにいました。時間がないのはいいわけですね。一生懸命に聞こうと思わせてくれました。
Posted by ブクログ
解説と被る感想になってしまうが、本を手に取った時になんとなく思い浮かべるストーリーに類似している訳でも、全く異なる事もない、圧巻される内容だった。作者の意のままに感情を振り回されてしまった。
人の感情はいとも簡単に流されてしまい、固定観念に縛られて向き合うことを放棄してしまうものだなと感じた。
そもそも自分の感情や考えは相手に伝わらない、理解できない事は当たり前とわかっているつもりでも、実際自身が対面すると全く役に立たないことの方が多いと思う。
それだけ感情や考えは揺れ動くものだから答えのないものこそ、常に相手を、自身を疑い、考え続けなければいけないと感じた。
Posted by ブクログ
タイトルだけで手に取った本ですがその内容は衝撃的でした。読む前と読んだ後でタイトルの意味がぜんぜん違います。
前半は不気味で不穏な雰囲気。後半は心を強く打たれて涙無しには読めなかったり心が暖かくなる様な場面がありました。
前半の不気味さの謎が解けた時、子供の感情って繊細で複雑なのだと子を持つ親として考えさせられました。
最近読んだ本では1番おすすめの本です。
Posted by ブクログ
大人が思うほど、子供は無知なわけではないし、
大人だからといって、正解を出せるわけではない
主人公への感情移入はできなかったけど、
日々の積み重ねを諦めなかった姿は、読み終えた最後に、良かったねと感じられるものだった
Posted by ブクログ
面白かった。殺人犯の息子でかなり不気味で完全に黒な印象の子どもを養子として育てないといけないとしたら、自分だとこんなふうに出来るだろうか、と育てる目線でも見れるし、真実がどうなのかという目線でも楽しめた。
結末を幾つか結末を想像してしまうが、最後はスッキリおわれた。
Posted by ブクログ
本男さんのおすすめだったので読んでみた。
ある日突然、亡くなった姉の息子を引き取ることになる主人公。
しかし、その理由は、父親が殺人で捕まったため…
「殺人犯の息子」との向き合い方への迷いがちみつにえがかれていて、殺人犯の血を継いでいるという事実に慄いたかと思えば、「子供に罪はない!」と先入観を持ちすぎないようにしたり…
とにかく気を使うよなぁと思います。
息子の良正は頭のいい男の子で、本当によくできた子です。
蟻の手足をもいだりとするような、子供の頃なら誰でもやるようなことですら、殺人犯の息子というレッテルのせいで必要以上に恐れてしまう。
難しいなぁと思いました。
Posted by ブクログ
なんと感想を書けばいいのか悩む。亡くなった姉の子を引き取り養子にする翔子。その理由が元義兄が殺人事件を起こしたという理由。過去娘を事故で亡くしている翔子はそんな甥、良世(りょうせい)を育てられるのか。心を閉ざし何度も危うい事件を起こす度、読者側も同じように「なんで引き取った?」と思っているはず。子育てにレシピはない、しかもかなり特殊な例で自分ならとてもできない。信頼していた人にことごとく裏切られSNSに踊らされ結局昔から相手を見て話し続けることしか解決法はない、それが身に染みる。
Posted by ブクログ
発達障害のような感じなのかと思ってしまったが、そういった描写がなかった以上は、単に、子どもに対してどういうかたちで愛情を注いでいくか、伝えていくかという問題か
良世が、良き世を生きられますように
Posted by ブクログ
良世と翔子の関係に、温かさを感じながらもどこか陰鬱な感じが垣間見え、読んでいても不安が拭えない。この子は…どっちだ…?そう思って読む人も少なくないはず。タイトルの意味はあまりにも切ない。
Posted by ブクログ
亡き姉の夫が逮捕された。人を殺してホルマリン漬けにし、自宅で保管していたというあまりにもおぞましい容疑だ。
娘を亡くし離婚して独り身の主人公は、姉の息子である良世を引き取るのだが、言葉を話さず何を考えているのか分からない子で、もしかして「悪魔の子」なのではないかと不安になる……といったお話。
ミステリに分類はしたが、かなりヒューマンドラマに近い味わいで、いままであまり読んだことがないタイプの作品だった。
良世は「悪魔の子」なのか、兄は本当に殺人犯なのか、亡き姉は本当は自分を憎んでいたのか、さまざまな疑念にかられ不安に揺れる主人公の心情をとても繊細な手つきで描写しており、信じるべき人を信じることの難しさをひしひしと感じる。
猟奇的な描写もあり終始ぞわぞわしながら読んだが、救いのある結末でほっとした。
神様ではない我々は、神様ではないゆえに、自分が何を信じてどう行動するのか、つねに責任を持たねばならないのだな。
Posted by ブクログ
導入からの盛り上げにはゾクゾクさせられたが、ミステリアスな子供の伏線回収は、繊細な感性を持たない自分には若干不服。
真相が判明する度に誰が本当の闇なのか二転三転し、誰もが抱える闇、危うさというありきたりな感じでまとめてくるのかと思いきや、、最後の一行に希望の光に包まれるような感覚を抱いた。
このモチーフでこの結論、主人公のタフさに脱帽。私ならすぐに脱出。
Posted by ブクログ
葉月翔子は、5歳だった娘を交通事故で亡くし、夫と離婚してから1人で暮らしている、元美術教師だ。
ある日、亡くなった姉の夫である南雲勝矢が、自宅に2人の遺体をホルマリン漬けにしていたという事件が起きる。
勝矢と亡き姉の息子である良世(りょうせい)は小学生であり、もし翔子の娘が生きていれば同じ年だ。
翔子は、兄から頼まれて良世を引き取る決意をする。
良世は場面緘黙症であり、当初言葉でのコミュニケーションをとることはできない。
ただし、絵が抜群に上手い。
少しづつ言葉を交わすことができるようになっても、良世が何を考えているのかは、よく分からない。
良世の父親が老婆と幼女を殺害して首を切断し死体を保管していたという猟奇生の強い事件を起こしたことからも、翔子の良世への疑念は強くなっていく。前半は心理サスペンスさながらだ。
良世が残酷な遊びや残酷な絵を描くことについて、私だったらどう声をかけられるだろう…と考えたが、的確なことを言えないだろうということしかわからなかった。
特に亡き娘の部屋に入り娘の持ち物やアルバムを持ち去った上で、娘の首をはねる絵を描いてたときは、私ならここで養育をギブアップするだろうと思ったよ…。
それでも良世の手を離さなかった翔子はえらいよ。
南雲勝矢が事件を起こした背景と良世の生育歴が明らかになり、姉の過去が明らかになり、色々と頭の中で解決するものの、色々と疑問はのこった。
姉は南雲にとって神様みたいな人なのだろうが、それならばなぜ命と引き換えに産み落とした良世を愛せなかったのだろう…。
姉も、南雲が良世を大切に育ててくれると信じて死んだだろうに。自分が死んだ後の世の中について、何も手出しすることはできない。姉の無念を思うとともに、自分はこの世からお別れしてしまおうという南雲の自分勝手さ、南雲が起こした事件の影響が残る世界で生きていかなければならない良世への頓着のなさに、腹が立った。
最後まで読んでみれば、身体的虐待をしていなかったしても、あんな事件を起こす南雲が適切な養育をできていたはずもなく、良世に事件の悪影響があったんだとわかるはずなのに、私も良世が生まれながらの危険な人物、サイコパスなのではないかという疑念にかられてしまった。
前半の心理サスペンスは、それくらい真に迫っていたと思う。
犯罪者の子として生きていかなければいけない良世は、これからの人生もつらいことがあるんだろう。
良世は小学生、中学生という子どもでありながら、身近にいる人を無条件で信用することができないことのつらさが、身に染みた。
それでも、生きていかなければならない。
できるだけ良い人生を、信頼できる人とともに生きていく。それは簡単なことではないんだ。愛された記憶、経験が人の土台になるし悪にながれないための抑止力になるのだと、私も思う。すべての子どもに、それがありますように。
子どもにとっての心のホームグラウンドとしての家族、大人の存在について、深く考えさせられた本だった。
Posted by ブクログ
途中苦しくてメンタル持っていかれそうになって
早く最後まで読んでしまいたくなった
物事の真実が見えずうやむやにしていることは
自分を顧みてもきっと少なくないはず
それでも人を信じて向き合うことが救いになる
Posted by ブクログ
著者初読み。
死んだ姉の子良世と同居することになった翔子。父親が猟奇殺人を犯している良世は、場面減黙症となって口を閉ざし、何を考えているかわからない。翔子は娘を事故で亡くしており、その過去が良世との関係にも影を落とす。
彼との関係を良好にしたい翔子は、姉の親友の助けも借り、何とか良世が口を聞くようになる。
しかし、翔子が良しと思った決断も、「翔子さんは神様じゃないのに責任がとれるのですか」との良世の言葉が暗示するがごとく、二人の環境が暗転する。
現代を舞台にした場合、ISNなどネット関係を取り入れない小説はあり得ず、本書でもネット社会の負の側面が物語の展開に影響を及ぼす。
不穏な状況の連続に、息苦しくなりながらも彼らの行く末を案じ、頁を捲らざるを得ない。
関係を築こうとする親子(この小説の場合養母と養子だが)の成長物語の側面があり、子育て中の読者には、心に留めておきたい文言が綴られる。
「人間は善と悪の両面を兼ね備えている。善だけで生きてゆけるほど人生は甘くないからだ。それでも人を大切にできるのは、過去に誰かから愛してもらえた経験があるからだ。どんなプレゼントよりも光り輝く記憶ー。悪に呑まれそうなとき、みんな輝く記憶を呼び起こし、プレゼントの包みをそっと開く」
Posted by ブクログ
初めて、主人公に、感情移入出来なかった、。
子供の頃に強く生きてしまうと
大人になって進む道がわからなくなる時も、あるから、……。
翔子さんに質問するのは
頼れない気持ちが消えてないのかな。
幸せになって欲しいな。
良世くんは、とても強く見えるし
賢く見えるし、何でもそつなくこなす大人に見える
だけどそれは、自分の身を守る防御なだけで
ほんとうは、守りたくような尊い子供なのに
無償の愛を与えてあげたくて
だけどそれは、翔子さんにはとても難しくて
2人とも口下手だからこそ通じるものもあるのかな
良世くんは、子供なんだよ( ߹ᯅ߹ )と
泣きそうになってしまったけれど
きっとそれは、私がまだ家庭を持っていないからで
翔子さんのような過去を持っていないからで
とても、難しいな、感想を書くのが。
私の、私だけの感想だけど
良世くんの言うことがとても理解できて
私は翔子さんに怒らないで欲しかったし
質問にはちゃんと答えて欲しかった
大事な部分で逃げて質問返ししないで欲しかった
最初から怒らずにゆっくり話を聞いて欲しかった
大人だけど、分からないこともあるから教えて欲しかった
教えてくれないと、聞いちゃダメな気がして
自分で解決するしかなくなるから
良世くんの一部分を、自分と重ねて読んでしまったから
翔子さんに感情移入できなかったのかな
幸せに、なりますように
どうか、誰かに頼れる大人になりますように
Posted by ブクログ
終始重っ苦しい展開で読んでいて、気持ちが晴れることはありませんでした。解説に書いてあったのですが、自分が思っていた展開とは確かに違いましたが、結局のところ人の気持ちはいくら想像しても分からない。だからこそ決めつけてはいけないんだなと思います。
Posted by ブクログ
主人公の翔子は、ニュースで亡くなった姉の夫の家から、行方不明になっていた少女の遺体が発見されたと知る。
姉は息子を産んですぐに亡くなっており、息子の良世に会うことは叶わずにいた。
翔子は事故で娘を亡くしており、兄と相談して良世を引き取ることにしたが、初めて会う良世は言葉を発さず、何を考えているかわからない。
どうしても背景にある容疑者とされる父親の影響を受けて、良世を怖いと思ってしまう瞬間がある。
ネットでは「悪魔の子」と噂され、これからどうなるのか不安を抱える翔子。
なんとか彼の本心を知りたいとする翔子の苦悩が綴られる。
2024.8.14
Posted by ブクログ
殺人犯の子供もまた、親の咎を引き受けなければならないのだろうか?
翔子はある日、亡くなった実の姉の配偶者が殺人で逮捕されたというニュースを耳にする。
姉の息子、甥である良世を引き取り共に暮らし始めるが、彼は心を開かない。
寡黙で、暗闇と共に生きている。
翔子もまた、暗闇の中で生きている。
彼女は、娘を亡くしている。
良世は悪魔の子なのだろうか。
やさしかった姉は翔子を疎んじていたのだろうか。
疑心暗鬼、猜疑心、恐怖、無関係、誰の心も読めない。
読者も翔子と共に、ざわつく心を体験する。
どうかどうか、おかしな方向にいかないで。
こんな時代だから、誰もが簡単に他人を攻撃してしまうから。
純粋さは弱さで、愛や友情なんてものは陳腐に聞こえてしまう世の中だから、せめて物語だけは救いを。
大切なもの、残るものは陳腐。
言葉にすればありふれている。
だけど、それを実行することは新しくて難しい。
この物語は、雲外蒼天。
そんな言葉がぴたりとはまる気がした。