福永令三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2011.03.23
中学受験に失敗し、希望を失っていたまゆみは、青年・三郎と出会い、クレヨン王国へと足を踏み入れる。
子ブタのストンストン、ニワトリのアラエッサと共に4人で始まった「月のたまご救援隊」の冒険の物語。
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この物語に出会ったのは小学生のとき。
当時自分より年上だったまゆみは年下に、三郎とは、見た目に関していえば同い年になった。
わたしは、サードという名前より三郎という名前のほうが好きだ。
三代ごとに生まれる第三王子は、生まれる前からきっと「サード」と呼ばれていたのだろう。
それは三郎にではなくその特殊な役割に付けられた名前である。
三郎がまゆみに「三郎」と名乗ったのは、自分を一人の人間として見てほしいと思ったからなのではないか。
憎しみを浄化して光にかえる黒髪の婆
しかし絶えず人間は憎しみを生み出し、原子爆弾という形でさらに婆を追い詰めた。
「まんぞくしないものが、まんぞくしているものを攻撃する、これが人間の歴史だよ。ーーだからまんぞくしてると、危険なのだ。」
という三郎の言葉がある。
この物語は25年も前に書かれたものであるが、なんら人間は変わっていない。
話のいたるところにまゆみの詩は、まるで挿絵のようである。
生きて帰れるかもわからない旅の読者の緊張をほぐすような、そんな役割も果たしていると思う。
続刊がないほうがよかったという声も多いが、わたしはどこか心に穴があいてしまったままのまゆみを見ていることはできない。 -
Posted by ブクログ
6年生のまゆみは、自分だけ入試に落ちどん底の気分で学校のグラウンドにいた。そこで偶然出会った見知らぬ青年・三郎の運転するトラックでしばらく走り続けると、いつのまにかクレヨン王国に入っていた。そこで、まゆみは、三郎、ブタのストンストン、ニワトリのアラエッサとともに、「月のたまご」を救出することに――。それは、危険がいっぱいで無事に戻ってこられるかどうかすら分からない任務だった。家出四人組はナルマニマニ博士の作った第三ピアスに乗って月のたまごを目指すが・・・。
どうしても手元に欲しくてネットで探したものの中古以外見つからず、大手書店に直接かけあってようやく見つけたシリーズ第一作目。
小学生のときどんな本よりも多く読み返してしまうほどに一番好きな本でした。いや、今も好きだ。ちょうどまゆみと同じように中学受験に落ちた私は、サードたちと一緒に本の中で冒険して現実逃避したとも言えるかも。そしてとてもハッピーエンドとは言えない結末に泣いた。これしかなかったとは思えても、まゆみやサードの気持ちを思えば涙が出た。初めてそれほどまでに「お話」にのめり込んだ本でもあります。月のたまごは救われて人間界は無事なわけですが、そのために払われた犠牲は大きい。おまけにそれは何の罪もないクレヨン王国が危険をおかしてくれたおかげ。私たち地球の人間はなんて身勝手で恐ろしい自然破壊者なんだろうと思いました。今から25年も前に書かれた小説なのに、妙に当てはまってしまう現代が悲しくもある。 -
Posted by ブクログ
子供の頃、大好きで何度も何度も繰り返し読んだ作品。
久しぶりに読んだ。
今読んでもわくわくと楽しくて、素敵。
その輝きは全く失われない。
子供にも、大人にも、
クレヨン王国の門は、そこを訪れる者を歓迎するかのように、
いつも開いている。
7歳の人間の女の子ユカちゃんが、
クレヨンの国のお妃様であるシルバー王妃のお供をして、
12ヶ月を旅する話。
その旅の目的がなかなかユニーク。
シルバー王妃様が12個の悪い癖を持っていて、
その癖を直さないと帰ってこないと、
置手紙をして家出したゴールデン王様を探すのだ。
大人なのに、12もの困った癖も持っている王妃様も王妃様だけど、
そんな妻が嫌になって国を捨てる王様も王様だ。
つい、大人の感覚でそんな事も思ってしまうけど、
そんな困った王妃様、そしてそんな妻と暮らす日々から
逃げ出してしまう王様も、実は私には結構魅力的な人に見える。
むしろ王妃様にとって12個の悪い癖はチャームポイント?
ちらかしぐせにおねぼう、うそつき、じまんや、ほしがりぐせ・・・。
なんだか身に覚えがあるような癖ばかり。
欠点が一つもない完璧な人間なんていないよ、
それぐらいいいじゃない、王様なんだし器の大きなところを見せてよ、
と王妃様のために言ってあげたいような気もするけれど、
お化粧三時間にいじっぱり、けちんぼ・・・。
ううむ、ずっと一緒にいる夫からしたらやっぱり辛いか。
12ヶ月を旅する内に、
旅する王妃とユカちゃんの身に「事件」が起きて、
それをきっかけに一つずつ王妃の悪い癖が直っていくのだが、
お説教くさくなくていい。
最近本屋さんで気軽に買えなくなって寂しい。
もっともっと沢山の子供や昔子供だった人達に、
クレヨン王国の旅を楽しんでもらいたい。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
大みそかの夜、ユカが目をさますと、12本のクレヨンたちが会議をひらいていた。
クレヨン王国の王さまが、王妃のわるいくせがなおらないうちはかえらない、といってゆくえをくらましたのだ。
おどろいた王妃は、ユカといっしょに王さまをさがしもとめて、ふしぎな旅に出る。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
心の原風景みたいなものって、かならずしも現実に見たものとは限らない。
実際にこの目で目にするよりも先に本の中で出会った風景が、ずっとずっと自分の中でイデア的存在であり続けることもあると思う。
この本を読んだ子どもの頃はまだ、まっ白ななぎさを見たことはなかったはず。
海水浴で行くようなふつうの砂浜とは違う、太陽に照らされて限りなく色を失った砂に影がくっきりかたちづくられるような。
影があまりにはっきりと映るので、まつげや爪のかたちまで見分けることができそうなくらい。
ひとりでに影が動き出してもおかしくないくらい。
お話の中での白いなぎさは本当に最後にしか出てこないけれど、これを読んで以来、テレビでも写真でも、まっしろな砂浜を見ると反射的にこの本のことを思い出してしまう。
ストーリーも好きだけれど、この光景を自分の中に生みだした、自分にとって本当に意味深い本です。