あらすじ
さっちゃんと、「百点マシン」こと菅原君は5年生。毘沙門さまの節分会で、かるたの清少納言のふだを追って、タヌキの「かげ売り屋」から人魚とゲンゴロウのかげを買います。二人は、クレヨン王国の世界へどんどん足をふみ入れて……。ゆかいな会話と意外な展開で一気に読んでしまう「クレヨン王国」シリーズ5作。
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Posted by ブクログ
心の原風景みたいなものって、かならずしも現実に見たものとは限らない。
実際にこの目で目にするよりも先に本の中で出会った風景が、ずっとずっと自分の中でイデア的存在であり続けることもあると思う。
この本を読んだ子どもの頃はまだ、まっ白ななぎさを見たことはなかったはず。
海水浴で行くようなふつうの砂浜とは違う、太陽に照らされて限りなく色を失った砂に影がくっきりかたちづくられるような。
影があまりにはっきりと映るので、まつげや爪のかたちまで見分けることができそうなくらい。
ひとりでに影が動き出してもおかしくないくらい。
お話の中での白いなぎさは本当に最後にしか出てこないけれど、これを読んで以来、テレビでも写真でも、まっしろな砂浜を見ると反射的にこの本のことを思い出してしまう。
ストーリーも好きだけれど、この光景を自分の中に生みだした、自分にとって本当に意味深い本です。
Posted by ブクログ
大好きなクレヨン王国シリーズの中でもオススメ。
私の好きなものがたっくさんでてきます。
影、百人一首、汽車、お祭り、さっちゃん。
児童書は夢が広がりますねぇv
Posted by ブクログ
楽しいワクワクだけのファンタジーじゃなくて
ドキドキハラハラもあるおはなし。
目まぐるしく場面が変わっていくのに忙しくない。
夢を売ったらそのお金で豪邸に住めるよ。
って、ファンタジーなのに現実的すぎるw
影が自分になってしまうってのも
ちょっと恐怖。
さつきは影を取り戻せたけど
百点マシンは影が本物になっちゃったんだよね。
どっちがハッピーエンドなのかはわからないけど
奥が深いおはなしでした。
Posted by ブクログ
ぬいぐるみを持ち歩く代わりに百人一首の札を持ち歩く中で清少納言がお気に入りになったり、勉強が出来すぎてテストをすぐ終えて実況しだすという百点マシンというあだ名のエピソード、影を売買したり、人魚の影を選んだら人魚のように泳げたり、設定のアイディアがとても面白かった。
今作では街開発で自然が壊されることや、釣り針などが絡まって魚が混乱していたりというメッセージ。
あとがきに、その後の話がある。
それが良い話なのかどうか、微妙なところなのが好きだ。
百点マシンは影から生まれ変わったのですから、影ができない雨の日の記憶はないのです。本当の百点マシンは、バクのシャトータウンで自分の作った墓地の中にひっそりねむっているでしょう。さっちゃんは、はじめそれをとてもあわれに思いましたが、次第にその方が良かったのだと思うようになりました。百点マシンが以前ほど勉強が出来なくなった代わりに人のよいおおらかな性質がでてきて、みんなに愛されるようになったからです。思えば、雨の日に無理やりさせられた勉強がかれの本来の明るい人柄をよほど歪めていたのですね。百点マシントイレマンというあだ名は廃れ、みんなはたっちゃんと読んでいるのです。
夢をもつこと
どんな苦境にあっても…苦境にある時こそ、夢を捨ててはいけない。夢にしがみつかなくてはいけない。
クレヨン王国で夢を叶えた清少納言、夢を売ってしまった百点マシン(と、代わりに「こちらの」世界へ戻ってきたマシンのかげ)、クレヨン王国から夢をもったまま帰還し、これから大人になっていくさつき。
王国へ脚を踏み入れた3人の、三様の行く末から、作者のメッセージが伝わります。
Posted by ブクログ
当時はバクのシャトータウンの豪華なお城に憧れていたが、鬼の襲撃や海ザクラ、百点マシンのなれの果てなど怖い描写が多くてエピソードがどれも記憶に残っていた。夢を持ち続けることの大切さを説いているが、どんな状況でも夢を持ち続けるのは無理があるよな、と考えてしまう凡人の大人になってしまった。
Posted by ブクログ
2008/04/02読破。
元いた彼では無いのに本物。と言う定義が怖かった。
それは人が必ずしも、一個人唯一無二だと誰もが信じて疑わないからだろう。