あらすじ
美奈代の家には、壁にじっとしたままの“ふじみ”という赤トンボがいる。“ふじみ”は、うっかりとオーブンで焼いてしまった童話から出てきたのだ。美奈代・菊菜・良恵は、この童話の作者、由美をさがした。由美の心が明るく健康的でないと、“ふじみ”は、いきいきした赤トンボになれないのだ。そこで、アメリカにいる由美と、3人の少女たちの文通がはじまった……。
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今月の魔法つかい
すてきなファンタジーでした!童話をオーブンでウッカリ焼いたら、童話の主人公達が飛び出す…お姉ちゃんは、本当に魔法つかいになってしまいましたね~
そこで生まれた、赤トンボのふじみ。
生きているけど、生きてない。
「死なないって言ったけど、それって生きてないからじゃないの?」という少女(誰が言ったか忘れた)のセリフにドキンとしました。
終わりかたが軽やかで後味も良かったです!
Posted by ブクログ
先生のユニコーンの童話が素敵だった。
どの童話もユーモアがあって面白い。
そもそも、オーブンで童話集を焼くと赤とんぼが登場するというのが奇天烈。
さらに童話の作者とリンクしているという。
手紙のやりとりからは先が気になり、感動的だった。
Posted by ブクログ
児童文学作家さんの五感は子どもの頃で止まっているんだろうか。読んでいると小学生の頃の世界の見え方が想起され、タイムトラベルをした感覚に陥る。
物語は間違って童話集をオーブンで焼いてしまい、そこから1匹の赤トンボ“ふじみ”が飛び出した所から始まる。童話をオーブンで焼くという発想!そして死なない赤トンボが浮き彫りにする少女の生について。正直クレヨン王国シリーズの詩はむず痒くなってあまり好みではないのだが、本書の詩は琴線に触れた。心が澄み渡る1冊。
Posted by ブクログ
子供の頃にはあまり理解出来なくて、冒頭の魔法使いを探す遊びしか覚えていなかった。
何度も読んだはずなのに、断片は覚えていても全体のストーリーが頭に入らなかったのだ。
肝心の赤とんぼの名前も「よしえ」だと勘違いしていた。(ここが一番のテーマでもあるのに!)
今改めて読んでみると、経済や教育、人々の生活の変化などいろんなものが揺り動いた昭和の時代を切り取っていたことに驚く。
例えば各家庭の教育方針の違いだとか、美奈代たちのお母さんがシングルマザーでバリバリ働いて他の母親から奇異の目で見られているところなども、まだこの時代には新しかったとも思うし、今の時代に通じているとも思う。
そういえば田舎であった実家の周りでも、この頃から教育ママとか塾とか、激しくなってきていたなあ。
最後に、全体的に良い話ではあるのだけど、美奈代のお母さんの「子供をもうけて命を繋ぐことが生きること」という持論は、今の時代には受け入れられるものではないだろう。
美奈代、菊菜たちも当時小六なら現在は四十六歳くらいか。
今の四十代は必ずしも子供がいるとは限らない。
命を繋がないが自分のためだけに生きているわけでもない、第三の選択をした女性たちも増えてきた世代なのだ。