浅野いにおのレビュー一覧
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購入済み
時代を感じるデジカメ視点
絵を気に入って購読。
しかし、その絵がもう、実は古いことに気がつき、時の過ぎる早さに愕然。
この作品のなかにも出てくるけれど、視線はまさにコンパクトデジカメ。隅々にまで焦点が合いコントラストが強めで何を見ているのかの焦点の無さ、そこに古さを感じる。ただ、それが意図して作っている世界ならすごいと思う。
この物語の人物たちの若くてキラキラした感じにあっている。年を取れば風景に対峙するときには、何か視座を持ち焦点を合わせないと世界に振り回されるんだと知る。このように何もかもに焦点が合い描き込まれている世界は若さの象徴としているのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小梅はサブカルが好きで、顔だけ良い先輩を好きになり、そのろくでもない先輩に流されてしまうような、どこにでもいる女の子だから"佐藤"なんだと途中で気付きます。
一方、磯辺は兄を自殺で亡くしていて、後悔や孤独をずっと1人で抱えたまま。
親にも気付かれず、小梅にも心を開けず、兄をイジメた犯人…小梅の好きな先輩に復讐しようと企みます。
読み終えてみて、
老婆心では小梅が妊娠しなくてよかった、身体が傷つかなくてよかったとホッとした反面、磯辺がどうなったのかがずっと気がかりです。
何を思って浅野さんがこのお話を描いたのか、知る機会があればぜひ知りたいですね…。
はっぴいえんどの楽曲 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ソラニン」から浅野さんのファンで、大体作品は読んでいます。
海辺の寂れた町に住む中学生の小梅と、小梅を好きなクラスメイトの磯辺。
小梅は好きな先輩に振られた腹いせから、磯辺と体を重ねるようになります。
最初は磯辺の方が小梅を好きなのに、体を重ねていくうち、小梅の方が磯辺を好きになっていきます。
描き込まれた背景だけの原画展を開いて欲しいくらい、1ページ1ページ、いつまで眺めていても飽きません。
もちろん人物描写も素晴らしく、特に女の子は可愛くて生々しくて、危うげな幼さすら見ていて愛おしい気持ちになります。
小梅を知るうち、磯辺はどんどん小梅に冷めて行き、次第に2人の気持ちは逆転してしまう -
Posted by ブクログ
登場人物たちの断片的な記憶からストーリーを掴むのは難しいが、つなぎ合わせて初めて全体像が見える映画のような演出方法は好き。
イラストのタッチが写真みたいで、漫画というよりも映画を見ているみたい。
蝶は魂の象徴であり、キリスト教では「復活」、仏教では「輪廻転生」、ギリシャ神話では「不死」という意味があるらしいが、この物語の中ではどんな意味があるのだろうか?
黒い蝶ではないから「不幸」や「不吉」の象徴というわけではないと思うが。
過去と現在が交差する様子は「胡蝶の夢」のようだと思った。
小学生時代の回想なのか、小学生時代に見た夢なのか。
個人的にはヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」とかも考