中村うさぎのレビュー一覧
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色もの、キワモノと侮ったら大怪我します。
「私」という病とは、「病んでいる私」なんかじゃなくて、全ての女性存在(オカマ含む)の根源的苦悩のことを「やまい」と称しているふかい深い一冊である。
証拠に一部引用します。
「私は、女たちが好きだ。たったひとりで頑張って働く女も、主婦という孤独な立場で必死に踏ん張っている女も、道に迷ってへたり込み絶望している女も、泳ぎ続けてないと死んでしまう魚みたいに暴走し続ける女も、すべての女が私だから。私は、私を救いたいのよ。だから、彼女たちに向かって語り続けるのよ」
デリヘル嬢としてほんとうに十人ばかりの男の客の相手をしてみた彼女のことを、北野武はそこまでやっ -
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作家、中村うさぎが新宿は歌舞伎町にある熟女ヘルスにて実際にデリヘル嬢として働いた経験を通して描き出される女としての相反する欲望。読み終えたあとに深くて暗い闇のそこを除き見たような感覚が致しました。
ずっと読もう読もうと思って、ツイッター上でも筆者本人に読むと約束して結局読むのが遅くなってしまいました。
「どうして私は、女であることを、おおらかに正々堂々と楽しめないのか」―
という疑問の果てに彼女がたどり着いた場所は、新宿歌舞伎町のとある熟女ヘルス。
そこでデリヘル嬢「叶恭子」として三日間働き、ここで感じたことと、
「自分はなぜ、女としての性を楽しむことができないのか?」
という自らのみをえ -
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「女王様」こと中村うさぎさんが新宿二丁目の「ウリセンボーイ」を金で買って、彼らとの間に「本物の愛」は成立するのだろうかと言うまさに体を張ったエッセイです。
西原理恵子さんとはまた違った意味ですごい。 中村うさぎさんの本を本格的に読んだのはこれが初めてで、ショッピングの女王としてむちゃくちゃな買い物をして借金まみれになったり、もはや「工事」と言うレベルにまで自分の体を整形している、と言う話はちらほらと耳にしておりましたが、この本の中で彼女が敢行しているのは新宿二丁目のウリセンバーで春を鬻ぐ男の子を買いまくって「金が介在する彼らとの性の関係に果たして本物の愛は生まれるのか?」というまさに体を張っ -
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ネタバレ「『男性嫌悪』である私が同時に『女として認められたい』と強く思うのはなぜか」という問いをひたすら自問自答し、内省を綴る書。
その問いの立て方、論の進め方、そして結論に至るまで、ほぼフェミニズムの考え方を踏襲しています。
著者自身はそのようなつもりはなかったと冒頭で書いていますが、しかしフェミニズムのテキストとして読まれてしまうのも致し方ない内容。
類書と異なるのは、自らデリヘル嬢になることで自らの葛藤の深遠を探った、という点。
これは出版当初かなり話題になったようで、本件を記した前後で周囲の男どもの態度が急変したことも、本書の検証対象の一部となっています。
穿った見方をすれば、本書の -
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初めのほうで、時事ネタということで石原都知事のことに触れられている。どうしてあんな差別的な発言ができるのか、と憤っているんだけど、私にはあまり不思議に感じられない。私の母が石原都知事と同年代なのだが、まったく同じようなトーンで差別的発言をする。あの年代が社会の中心にいた頃の世間的常識ってあんなもんだったんじゃないんだろうか。まあ、今の世の中で、しかも都知事という公的な立場でそれを言ってしまうところが問題だとは思うけど。
二人の書簡を読むと、その誠実さ、真面目さに心打たれる。自分の弱点をこれでもかというくらい掘り下げていくところや、自虐的な見方などが、読んでいて痛々しくも思えてくる。でも、他人事 -
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大好きなマツコと、昔お世話になったらしい中村うさぎさんとの往復書簡(お互いに手紙みたいにやり取りする内容)+対談本。YouTubeで二人の対談をみてすごく興味を持ってました。初めて読むマツコの執筆でしたが、TV怒り新党で一度自分が書きあげた文章を有吉に読んだ時と同じような、「少し曲がりくどい」「エッセイちっくな」書き方でした。論理的な話し方が好きなので、個人的にはあまり好きじゃなかったし読みにくかったけど、内容は物凄くよかったです。中村うさぎからの愛情や二人の友情も垣間見ることができたし、過去の苦労話や石原都知事をぶった切るような話など、ハラハラドキドキ笑わせてもらいました。すごくおススメな一
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著者は、自分の体を使って
『自分を知る』試みをやり続けてるんだと思った
(文中では「自己確認」と表現してた)
頭だけで考えたり人から聞いた話じゃなくて、
自分自身が動いてぶつかって
その実体験から得られたこと
=自分についての発見・葛藤などの心の動きなど
を整理して言語化してるんだと思った
わたしも同じ。
「生きづらさ」の形を表す媒体が違うだけで
やろうとしてることは「自分を知る」ことと、
そこからの【自尊心の回復】。
その他、男性と性に関する考察や
日本社会で女性が抱える問題や葛藤についてもわかりやすくかつ書かれてて、なるほどーとおもた -
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鋭い
(中村)うさぎさんというファンタジックな名前とは
かなり印象の異なる本質を見抜くような鋭い意見
愛(を求める)という言葉からは夢見がちな印象を受けるのに
内容からは徹底したリアリストぶりがうかがえる
勝手に想像したものとの落差も手伝ってとても面白い
男らしさ・女らしさという枠に縛られること、
露出という防御、
自分で選んだ人生の対立項の脅威、
関係性の中での自己確認としての愛情etc…
問題の本質を射抜く意見とストイックさ
デリヘルだかウリセンだか整形だかしらないが
この人は真面目で真実だけを求めて生きている
妥協のできない人…という印象
何だか天命の課題を研究する研究者のような -
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中村うさぎがこの5年間で巡った地獄の数々を4つに分類して読者の皆様に披露!
●第1章『浪費地獄』買い物、美容整形、海外旅行などなど、幸せ・悦楽を求めれば求めるほど填っていくのがこの地獄。
●第2章『借金地獄』『浪費地獄』に落ちた者を、次に待っているのがこの地獄。
●第3章『悪口地獄』自分のことは棚に上げ、他人のことは容赦なくこきおろす。嫉みに僻みに同族嫌悪、すべての憎悪を投影し、思うさま悪口言った直後に落ちる、著名人芸能人への揶揄と嘲笑と悪口三昧の地獄。
●第4章『博打地獄』著者の未だ落ちていない「他人の地獄」。しかし他人の不幸こそ、蜜の味…地獄めぐりの最後に到達するのは、「他人の地獄を