溝口敦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は2012年に書かれたものだから、既に12年が経過し、暴力団の勢力図も変わっていると思われる。が、しかし抗争=暴力の世界は未だ続いているかもしれない。本書タイトルが表す「抗争」はある意味で動物であるヒトが持つ本能的な要素の一つなのだと思う。縄張りを侵すものがあれば排除する。縄張りの中で生きる為に狩猟する。獲物を探し餌とする。動物的本能剥き出しであるが、そのやり方も社会の変化や法制度の変化に合わせて変わって行く。単なる暴力、腕っぷしの強さだけでなく、頭を使い、法の隙間を隙間をギリギリをすり抜け、町中に死角がない程に設置されたカメラの隙間を縫って、生きるための活動を繰り広げる。勿論私はそうした人々が正しいとも良いとも思わないが、ある意味動物であるヒトのあるがままの姿であり、高度な脳を持つヒトだから、環境に合わせて変化を続ける姿も、またヒトならではの存在なのだと感じる。繰り返し言うが、この様な組織を肯定する意味ではないし、憧れや、カッコ良さを感じているわけでもない。何より10年ほど前は九州に住んでいて、町中を走る各都道府県からの警察の応援部隊に驚くほど、荒れた状況で暮らしていた。知り合いの中にも銃撃を間近で体験した人も居たし、よく通っていた商店街にある飲み屋が銃撃された事もある。そんなニュースを見るたびに何時も心の片隅で、撃たれたら嫌だなと漠然とした恐怖を感じながら生活を送った時期がある。勿論、私自身がそうした危険な組織に狙われる様な人物でもなく、性格的にも争いを積極的に避けていながらも。それでも近くで銃撃があれば、巻き込まれる可能性はあるし、運悪く飲んでる最中に飲み屋ごと爆破される危険が全く無いとは言い切れない。
幸いにもこうして本書を手に取り、読み終わってみると、改めて暴力団組織の凄まじさを感じる。仲間が殺されれば、やり返すのは普通だし、前述した様な縄張り争いを発端とした殺人などは、幾らでも存在している。なぜ人がそうした組織に集まり、集団を形成する組員となるのか。命の危険がありながらも組に入っていく人がいる。そして組長や仲間のために、自分の命や人生を差し出す。任侠映画ならば、スカッとするが、ニュースで流れる逮捕のシーンを見ていると、何故自分を犠牲にして組に貢献するのか、どの様な気持ちで犯罪を犯したのかは気になって仕方ない。恐らく筆者もそれを確かめるべく、こうした書籍を記し、真実に近づこうとしたのでは無いだろうか。
謎だらけの世界を、その中心たる抗争を見て行く事で、少しでもその心理に近づけたら、本書の価値はあるのではないか。命の奪い合い、その瞬間のために人生を賭け続ける人々。そして今なお塀の中で罪を償う人々。様々な理由と想いがあるとは思うが、それに近づく一つの方法、ヒントが本書にあると感じる。 -
Posted by ブクログ
読み終わって「何でこの本読み始めたんだろ…」と思うくらい、悲しい。。
「反社会的勢力取材の第一人者」という物凄い肩書きがプロフィールに書かれているノンフィクション作家が、「オレオレ詐欺の帝王」と呼ばれていた人物への取材を軸に、一連のシステム詐欺が誕生した経緯やエピソードを纏めた一冊。
優秀な頭脳が巨額のお金を騙し取ることに浪費され、中でのいがみ合い、当人たちも幸せとは言い切れないような状況(これは著者の味付けによる部分も大きいですが)、結局誰も幸せになってないじゃないか!
幅広い知識を得る目的で本を読んではいるものの、本著は読んでいてトップクラスに気が重い一冊でした。
ただ、現実としてこういう人の弱みを突くような犯罪が行われていること、その背景も含めて知り、目を背けないことはそれはそれで大事なことで、読んだコト自体は後悔していません。人にはオススメしませんが(笑
さて、幹部だと月収が億り人になる彼らですが、普通の仕事をしても優秀だったんだろうなぁと思わせるエピソードが多数出てきます。
巨大化した組織を上手くマネージし、暴力団と相対しても言い負けず、足がつかないためにあらゆる努力をして、詐欺のお金を引き出す末端構成員には防犯カメラを意識して顔を白飛びさせる高輝度のLEDライトをつけさせたり、ATMにとりつく前後の仕草を指示して個人が特定されないようにしたり。。
マジで余計なお世話のコメントでしかないですが、本当にもったいない。
終章の、日本人にはマネー教育がされていないから詐欺にすぐ引っかかるんだ、という論調は、そういう面もあるのかなと感じました。(どこか満たされない欠乏感と言うか、笑うせぇるすまん的な「心の闇」を生む社会も大きいとは思うのですが。)
ただ、電話1本で巨額を振り込むなんて騙してほしいって願ったようなモンだ、とか、偽造しやすいテレホンカードを作ったNTTが悪い、という記述については、著者のスタンスが取材対象に寄り添いすぎてるのでは…とも感じました。
いたちごっこのように新しい手口が生まれる詐欺ビジネス、当分続いてしまうのでしょうか。。
最後に1点。本著、中盤にリアルにゾッとする描写があるので注意です。。