溝口敦のレビュー一覧
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ドラマ『地獄に堕ちるわよ』を見たあと、溝口敦『細木数子 魔女の履歴書 新装版』を読んだ。
ドラマを見て、占いとは「当たるも八卦、当たらぬも八卦」であり、そこには良い占い師もいれば、そうでない占い師もいるのだろう、という程度に受け止めていた。人は不安を抱えたとき、誰かに道を示してほしくなる。その意味では、占いが人の支えになることもある。
しかし本書を読むと、その印象はかなり変わった。
描かれているのは、単なる占い師の物語ではなく、占いの背後にある金、権力、人脈、恐怖、そしてメディアの構造である。「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と言いながら、その曖昧さを利用して大きな金を得る。人を導くように見せながら、時には人を傷つけ、支配し、恐れさせる。その姿が、著者のかなり辛辣な筆致で描かれている。
本書の表現には強い断定や人格批判も多く、そのまま受け取ってよいのかという慎重さも必要だと思う。人の見方は立場によって変わるし、本人には本人なりの理屈や物語があるとも思う。その中で本書から見えてくるのは、「人を救う言葉」と「人を支配する言葉」は紙一重だということだった。
細木数子という人物そのものよりも、周囲がその力を許していく構造である。怖いから逆らえない。人気があるから止められない。数字が取れるから使い続ける。そうして、強い言葉や放言が社会の中で大きな力を持っていく。
不安なときは、道を探したがる。その道を示す言葉が相手のためなのか、それとも相手を従わせるためなのか。そこを見失うと、「導き」は簡単に「支配」へ変わってしまうのだと思った。
ドラマと本を続けて触れたことで、細木数子という一人の人物を通じて、占い、メディア、金、権力、そして人間の弱さについて考えさせられた読書になった。
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Posted by ブクログ
決して反社会組織を肯定し賛美するような代物ではない。
溝口先生の書物を読むのは2冊目だが、あくまでも我々が知らない世界の事実だけを伝えるものである。
驚かされるのが、その取材量である。
生まれ故郷の旧友や恩師にまで取材しており、そこから起こされる文章はあたかも実際に見てきたかのような内容である。
とかく一般人とは縁のない世界の話、ここまでの取材と文章構成はさすが溝口先生としか言いようがない。
逆にいえば、任侠武勇伝を堪能したい方には、少々味気ないものかもしれない。
それは主人公の・・・言い方は悪いが「かっこわるい」部分も描写されているからでもある。
女性に対してシャイな人柄や、商売や博打が苦手、清貧で派手を嫌うといった部分だ。
我々一般人はそういう部分に人間味を感じ惹かれ、おもしろいと思うのではなかろうか。
そして、結末が分かっている、歴史は変えられないのに、
「あかん、そっち行ったらあかん」とその最後に感情移入してしまう。
最期も事実を伝えるのみで、淡々と進行し、過度に美化されたりドラマチックな演出もない。
膨大な取材から人間像に描いているが、あくまでも第三者からの言葉からであり、
実際本人がどう思い考えていたかというのは、少ない発言録から読み解くしかない。
そこが本書の良いとこでもあり、ぼやけているところかもしれない。
案外本人は「そんな細かいこと考えとらんわ」「ええ加減な事言うな、ほめすぎや」そういうかもしれない。 -
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■覚醒剤の薬理作用には男女の違いがある。効果は女性の方により強く具体的な形で現れる。その差を自分の利益に結びつけようとする男がいる。覚醒剤を享楽目的で使うケースが増えてきた。
■依存性薬物の分類
①モルヒネ型(抑制作用,アヘン,モルヒネ,ヘロイン,コデイン)
②バルビツール酸系催眠剤及びアルコール型(抑制作用,バルビタール,フェノバルビタール,フルニトラゼバム,トリアゾラム,アルコール)
③コカイン型(興奮作用,コカイン)
④大麻型(抑制作用,マリファナ,大麻樹脂,ハシッシュオイル)
⑤覚醒剤型(興奮型,アンフェタミン,メタンフェタミン)
⑥カート型(興奮作用,カート,カチノン,カチン)
⑦幻覚剤型(興奮作用,LSD,PCP,メスカリン,MDMA)
⑧有機溶剤型(抑制作用,シンナー,トルエン,酢酸エチル)
■危険ドラッグは過去「合法ドラッグ」「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」「違法ドラッグ」「違法薬物」など呼び名の変遷があるが2014年以降はすべて「危険ドラッグ」と呼ばれる。
・合成カンナビノイド系,合成カチノン系,幻覚系の3系統
■「つぶれ」とは,薬物による多幸感の後の激しい抑うつと興奮及び薬物渇望の状態をいう。
■1回だけでも「乱用」になる。
■医薬品はその使用量や使用方法が同じであっても薬理作用が同じように現れるとは限らない。
・薬物に対する反応性「薬物感受性」に違いがある
・男女によっても差異があり女性は男性に比べ薬物感受性が高いと言われている
・子供と高齢者は薬物感受性が高い。これは肝臓の代謝機能と腎臓の排泄機能の問題で,子供は未成熟,高齢者は機能が低下しているため
・個体差もあり人により全然違う
■2015年の全国警察における覚醒剤検挙人員は11022人でほぼ前年並み。
・40代:34.3%(2,324人)
・30代:30.7%(3,383人)
・50歳以上:21.1%(2,324人)
■再犯率は全体で64.8%に達する。
・50歳以上:83.1%
・40代:72.2%
・30代:57.9%
■薬物対策は次の四つが上手くいってこそ成果があるもの。
①正規麻薬等の厳格な管理
②不正麻薬・覚醒剤等の取り締まり
③予防啓発
④依存・中毒対策
■覚醒剤の生涯経験率は0.4%とされる(厚生労働省研究班調査)
・人口一億人として約40万人
・アンケートなので少なくともこの倍以上,100万人はいると推計される
■覚醒剤は「前借りのクスリ」といわれる。寝ないで頭や身体を動かしていたければ明日の分明後日の分までエネルギーを前借できる。
■「覚醒剤やめますか,それとも人間やめますか」は真実を語る至言。
・覚せい剤そのものが人体に加える罰があまりにも苛酷 -
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清原逮捕や少し前なら餃子の王将事件など、暴力団絡みの事件は多い。けれどもそもそも暴力団という組織がなぜ存在しているのか?彼らはどうやって食っていっているのか?よく「必要悪」などと言われるが、実際のところどうなのか?自分自身が暴力団とかけ離れたところにいるために彼らに対する知識は驚くほど少ない。本書は暴力団にとどまらず、暴力団に対する警察のあり方について知る上で良書である。
本書は「暴力団の存在は否定されるべきものだ」というスタンスを基本としている(当たり前といえばそれまでだが)。そのスタンスに立った上で法や警察のあり方にも踏み込んでいる。たとえば各地で制定されている暴力団排除条例。なんとこの条例の主体は「暴力団」でも「警察」でもなくなんと「住民、市民」なのである。市民が暴力団と付き合わないというのは分からなくもないが、それじゃあ警察は一体何をするというのだ?
ただし、仮に暴力団がいなくなったとすれば、これまでのパワーバランスが崩れることも必至だ。それでも「正当な」権力で平和を維持しようとするなら、警察はこれまで以上の働きが求められる。それに本書も指摘するように、警察はその食い扶持を(退職後でさえも天下りという形で!)維持するという意味で暴力団を本気で無くそうとは思っていない。つまり警察は全然本気なんかじゃないわけだ。
結局、暴力団を減らすためにはそもそも暴力団に入る若者を阻止することしかないのではないだろうか。でも経済状況の悪化、学力の低下、学力の軽視(一部の層だが)などが進んでいると思われる現在、暴力団とまではいかずともそれに近い半グレは増えていく気がする。そしてそれがまた権力を持ち始めて、それに警察が乗っかったりするのだろうな…頭痛い。この本を読むと警察不信もますまふ強くなるよ。個人的には前作『暴力団』よりも面白かったし勉強にもなった気がする。 -
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おれおれ詐欺など組織的な特殊詐欺犯罪組織の頂点に君臨していた男「本藤」の半生を描いたもの。裏世界の当事者へのインタビューを取ってくることで有名なノンフィクションライターの著者が、「本藤」本人の話を中心に構成したもの。
おれおれ詐欺の起源が、イベントサークルやヤミ金にあったとは驚きだ。しばらく前に世間を騒がせたスーフリ事件も、それが原因で本藤が会社を辞めるきっかけ(犯罪に手を染めるきっかけ)になっているというのも不思議な話だ。まあ、中身を読んでいただきたいが、とにかく驚くのはその金まわりの桁違いのよさだ。それだけの人がだまされていたということなのだが。
本藤は、自分のところに官憲の手が回る前に足を洗う。リスクマネジメントにも優れた人物なのだろう。今は堅気だという。著者は本藤を断罪もしないし、許すこともしない。しかし、被害に会い身を持ち崩した多くの人がいる以上、やりきれなさは残る。たとえば自分の親がだまされるような目に合っていたとしたら、どんな気分でこの本を読んでいただろうか。
もう少しシステム詐欺の具体的な手口があれば、こちらの好奇心を満たしてくれたのかもしれないなと思いながら、よく聞きこまれたストーリー性が読み手を惹きつける。溝口さん、その辺りは安心できる。でも、どこまで本当なんだろうね。