溝口敦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本人は「ヤクザ」にえもいわれぬシンパシーを持っている。それはおそらく、国定忠治や清水次郎長の物語に始まり、岩下志麻や片瀬梨乃が演じていたような任侠物映画などに影響されてのことだろうけど、筆者は極めて冷静に書いている。暴力団にはある程度の美学があるのは確かだが、それはほとんど実践されていないし、今までのシノギで生活できなくなった暴力団は、今後犯罪者そのものになっていくだろうと。筆者は一貫して「暴力団」と呼び、「ヤクザ」や「極道」とは記さない。
そして、筆者は暴力団対策法にも批判的だ。暴力団の定義付けを図ることは、同時にその存在を許容することにもつながる。実際に今効いているのは、各都道府県の暴 -
Posted by ブクログ
前著の「暴力団」の続きで、暴対法と暴排条例が暴力団に与えた大きな影響を詳しく説明している。これらの法律と条例の解説、一般人への影響、警察の対応や振る舞い、暴力団の今後についての考察などを記しているが、「前にも述べたように」と繰り返しながら説明を進めるので分かりやすく理解しやすい。
暴力団はこの法律と条例で困窮してきていて、社会との関係も変わってきているが、このまま暴力団がなくなることはないだろうと筆者はみている。それは、昔から持ちつ持たれつの関係がある警察が困るからだと喝破する。
このように現在の暴力団をとりまく状況を整理したうえで、筆者は暴力団は他国のように法律で非合法化すべきと主張す -
Posted by ブクログ
暴力団に関するノンフィクションライターの第一人者の筆者による、暴力団とは何かを記した入門書である。構成員など言葉の説明から、組織紹介、活動実態、外国のマフィアなどとの比較、法律の影響や警察との関係、活動の盛衰など、暴力団の全貌がおおまかにつかめる内容で、たしかに入門書である。
2011年発行の本書は、島田紳助引退事件など記憶に新しい事件についての記述もあり、3年前の書ではあるが古さは感じない。それだけ、暴力団に関する報道が少なくなっているのだろう。
筆者は暴力団の衰退と半グレ集団の伸長を予言しているが、その通りであると思う。日本の犯罪集団の形態が大きく変わろうとする現在において、その理由 -
- カート
-
試し読み