石持浅海のレビュー一覧

  • 耳をふさいで夜を走る

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    ひゃー!

    石持作品でこのクオリティはがっかり。
    初の石持作品ハズレバージョンだ。


    私の好きな石持作品は、閉ざされた空間で、
    最小限の人物と条件だけでストーリーが展開するもの。
    例えば「扉は閉ざされたまま」とか、「セリヌンティウスの舟」。

    今回の作品は残念だったな〜。
    フリは十分だったのに。
    才能の開花とか選ばれた少女達とか。
    あーもったいない!!!
    なんだってーの、このエンディング。
    むしろ若干、目を塞ぎたくなった感あり。

    これだけの才能のある人なので、次に期待。
    待ってますよ石持先生、渾身のミニマムないつものあのキレを!

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    2012年04月30日
  • セリヌンティウスの舟

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    ネタバレ

    石持浅海らしい、ロジックを突き詰めるミステリーでありながら、
    そこにあるのは冷徹な論理の「冷たさ」ではなく、
    あくまで、人を信じることを描いた、とても「温かい」作品。

    自殺に至るまでの動機付けが苦しいと見る意見もあるでしょうが、
    この部分こそが、人と人の絆の意味を問う、今作の醍醐味(論点)なのだと思います。

    ///

    遭難するも奇跡の生還を遂げた男女6名のダイバー。6人はその不思議な縁を大切にし、
    定期的に同じメンバーでのダイビングを実施していた。
    しかし、メンバーの1人美月が、ダイビング後の宴席で皆が酔いつぶれた中、
    青酸カリを呷る自殺を遂げる。

    残された5人は49日の法要で再び顔を合

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    2012年04月05日
  • BG、あるいは死せるカイニス

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    題名のアルファベットの意味が今一つ落ちてこなかったのが残念。一方で人間が性転換する世界と言う独特の設定においてパズラーとしてのミステリーを成立させているのは見事だった。ジェンダーフリー、高齢化社会といろいろな現実の社会問題を取り込む為のとしての舞台装置だったことを読み終わってから理解する。好みはわかれるところだろうが、この作品に限って言えば好感が持てた。伏線の張り方からするとあくまでも本格ミステリーが作者の意図するところであろうし、その部分が失敗しているとは言わないが、SFのスパイスがよく効いてそちらのほうが印象に残る作品。

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    2012年02月16日
  • セリヌンティウスの舟

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    テーマは悪くないのに、若干のくどさと物足りなさを感じたような。石持さんならもっと良くできた気がする。ちょっともったいない一冊です。

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    2012年02月04日
  • セリヌンティウスの舟

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    メロスの人質、セリヌンティウス。そこにあるのは盲目的な信頼。決して裏切りのない信頼だ。この物語は海難事故によって出会った者たちの絶望に似た死への希求と生への希望、そして信じることの証明を描いている。ああでもないこうでもないと信頼という最後の答えを探してひとりの仲間の死の謎を解いていく。ミステリとしては興味深いし面白い。この人が彼女の死に関わってはいるだろうと犯人というか共犯者というか、そういう人がだれなのかは簡単に知れるが面白い。ただどうしても残念なのはラストにもうひとり死んでしまうことだ。犯人、ではないがそれに類する彼の死が水を差す。まあ、この人は最初から死への絶望的な憧れを捨てられなかった

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    2011年12月17日
  • 耳をふさいで夜を走る

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    身近な人間を殺害するという行為の描写が凄く巧い。背徳感と緊張感が細かく表現されていて、新鮮なドキドキを味わえる。こういう感覚、久々だなぁ。

    終盤、主人公がどんどん変態になっていく。殺す快感を自覚したあたりからおかしくなった。語り口は終始冷静だから、そのギャップがひどい。ここまでくるともう笑えてくる。…褒め言葉です。

    ミステリーというより、サスペンスだった!軽くサイコの。犯人が主人公という構図で描かれる、疾走感のある連続殺人。動機やきっかけ、関係性が徐々に明らかになるので、一気読みしてしまった。うん、面白かった。

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    2011年12月17日
  • 賢者の贈り物

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    誰も死なないミステリー

    石持作品らしいロジカルな謎解き

    主人公たちと「どうして??」といっしょに悩み、導かれた答にホッとして

    なんだか温かくなる短篇集でした(^-^)

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    2011年11月24日
  • 温かな手

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    人間でない人間のような生物とはいったいなんなのでしょう。
    そんな人がいるのかと思ってしまうような温かい物語。

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    2011年11月14日
  • アイルランドの薔薇

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    ネタバレ

    こういう感じの推理小説はおもしろい♪

    犯人を捜すところにどんでん返しを持ってくるのではなく
    少しそれた所に仕掛けを持ってくる手法は犯人が特定されても
    驚きがあります。

    この小説はアイルランドを舞台にしたもので登場人物が1人だけ
    日本人で残りは外国人なんで名前を覚えるのが大変でしたが
    読みやすいです。

    この作家さんの「月の扉」を読んで次を読む気になれなかったんだが
    これが評判良かったので読んでみたら評判通りおもしろく
    次も読んでみる気になった♪

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    2022年03月18日
  • 温かな手

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    暖かいじゃなくて温かと書いたのは意味があるのかな?

    と思ったのですが、あるのかないのか。。。結局わからずじまい。。。他人の生命を吸い取って生きてる生命体、「ぎんちゃん」

    そのぎんちゃんと暮らす畑寛子。ぎんちゃんは次々と起こる殺人事件の難解を解いていく。。。


    その妹、「ムーちゃん」もまた人の生命を吸い取りながら生きている生命体。彼女もまた、北西匠と暮らして難解な事件を解いていく。。。。

    その4人が旅行へと出かけた。。ぎんちゃんにはある思惑があるとも知らずに。。。。

    「謎の生命体」って設定がSFっぽかったけど、

    別にSFっぽい要素はなく、ただ、たんたんと事件を解決していく名探偵のお話

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    2011年10月28日
  • 耳をふさいで夜を走る

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    主人公の並木は3人の女性を殺害することを決めた。
    彼女らは彼がそれまで人道的に支援してきた存在であるにもかかわらず。
    中長期的な計画として策を練っていた彼だったが、
    そんな彼の殺意に気づいた人物が現れ、事態は旧展開することになる。

    いつもの石持さんとかなり印象が異なる物語。
    なぜ並木は3人もの女性を殺さねばならないのか。
    そして、それを行動に移していくさなかでの彼の変化とは。
    サイコホラーの要素もあるかな。

    ある程度予想していたことだけど、ラストがどうもしっくりこなかった。
    加えて、並木の心理描写がちょっとくどくて読みづらかったかな。

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    2011年09月19日
  • 賢者の贈り物

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    金の携帯 銀の携帯/ガラスの靴/最も大きな掌/可食性手紙/賢者の贈り物/玉手箱/泡となって消える前に/経文を描く/最後のひと目盛り/木に登る

    どこかで聴いたり読んだりしたことがあるテーマを今風に置き換えて、なぜ それが起きたかを推理していく。正解はないけど、それぞれの主人公が、きっとこうだと思い定めて次の行動を起こしていく。一つの出来事に対して、こうか? いや あーか? いや そうかもといろいろな解釈をしていく。それぞれの思い付きがそれぞれ別の話になり得るのが面白い。時々こんがらかって、わけが分からないときもあったけどね

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    2011年07月17日
  • 心臓と左手~座間味くんの推理~

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    「月の扉」で活躍した座間味くんが主人公の安楽椅子探偵物。
    どれも意表をつく真相ばかりの良作です。

    【貧者の軍隊】この過激派組織がリアリティがあっておもしろかったです。密室殺人事件の解決の着目点が素晴らしい。
    【心臓と左手】異様な事件、猟奇的な信仰を持つ新興宗教と、現実的な真相のギャップが良いです。この作品も看破の手掛かりとなる着目点がおもしろい。
    【罠の名前】どの作品もそうですが、注目を脇に逸らしておいて実は…という驚きが気持ちいいです。犯人の凶悪さに惑わされました。
    【水際で防ぐ】人物が組織が目的がくるりとひっくり返っていく楽しい1編でした。
    【地下のビール工場】この真相には大迫警視と一緒

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    2011年09月13日
  • 温かな手

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    石持さんは、ミステリーでも本格派とカジュアル派と書くんだけど
    どちらもミステリー部分がイマイチなんです。
    どの本を読んでも、動機が弱いんです。
    ただ、動機は価値観によって違ってくるものだから仕方ないと思いますが、それでも詰らない。
    じゃ、なんで石持さんの本を読むかというと
    人物に魅力あるんです。
    あと、お酒が好きみたいで美味しそうに表現してくれるんです。
    今一番のあたしのお気に入りの日本酒も石持さんの本から情報を
    えて知ったお酒。
    石持さんが薦めるなら、美味しいお酒だろうと思うようになりました。
    ただ残念な事に今回の本ではお酒好きが集まっている話があるにも
    関わらず、そのへんはすっとばして書か

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    2011年06月01日
  • 心臓と左手~座間味くんの推理~

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    ネタバレ

    前作の月の扉が好きで読んでみました。

    前作の人質兼真相を探る役割を担っていた座間味くんが主人公

    今作はその座間味くんがショートストーリーの事件を
    それぞれ違う視点から座間味くんなりの真相を語るカンジで
    最初は面白いものの
    全てのストーリーが警察の見解とは違う見かたを語るとこに
    つまらなさを感じてしまいました


    ミステリーっぽい思いがけない展開を期待しちゃ裏切られる作品かなw

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    2011年05月30日
  • 賢者の贈り物

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    ネタバレ

    オリジナルは2008年に発行された作品の文庫化。
    石持作品はただでさえミステリファンの間でも
    やや(?)異端扱いされてる感があるのにw、その中でも
    この作品はまた...なんというか変わった作品ですね。
    一見すると日常の謎を思考をフル回転させて解く
    ミステリ作品集として読めるんですが、それにしては
    ややこしく、...どっちかというと...屁理屈とヒネくれた
    思考の積み重ねによって、実は普通の出来事をわざと
    謎に仕立てあげてるような気すらします。
    それがまた、面白いんだから流石です。

    しかも10話の短編から成るんですが、その全てが
    なんだか聞いた事のある童話、寓話、神話、昔話を
    モチーフにしてあ

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    2011年05月25日
  • 顔のない敵

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    「地雷」という統一したテーマで、あらゆる視点から様々な事件が起き、バラエティに富んだ短編集でした。

    「地雷」という武器はこうも陰湿なものかと考えさせられます。
    仕掛けられた方だけでなく、仕掛ける方にとっても相手の顔が見えない武器だからこそ、こうも長く一般市民を苦しめているのでしょうか。

    深いテーマですが、本格ミステリの枠から外れることなく、謎解きはロジカルで軽快な話ばかりでした。

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    2011年04月18日
  • セリヌンティウスの舟

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    ダイビング中の遭難を乗り切ったことにより精神的に固い絆で結ばれる数名の男女。
    ある日、マンションの一室でみんなで集まって酒盛り。酔いつぶれて目が覚めると、一人服毒自殺していて・・・
    単純な自殺と思われたが、ある写真からその死が疑われる。固い絆で結ばれた仲間は最期に一体なにを思って死んだのか?

    中篇、くらいのボリュームの小説です。いやあ・・・この人面白いわ。なんていうのかな?舞台の脚本みたい。
    一つの視点というか一つの場所だけで話が完結していくような。シチュエーションコメディのような。

    そして「絆」という不確定とも思えるようなものは「絶対条件」として動かさないのも読んでいて変にゆさぶられない

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    2010年12月08日
  • 心臓と左手~座間味くんの推理~

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    「月の扉」で探偵役を務めた「座間味くん」(仮名)の活躍譚。続編。
    先の事件で知り合った刑事と時折食事を供にするする座間味くん。そこで事件の話を何気なくふられ・・・という構成の短編集。

    徹底したデッキチェアディテクティブと時系列ごとに進む話で彼のその後の人生が紐解かれていく・・ようなそうでもないような。

    探偵役が再登場する、というだけで前作とのからみは、一部を除いて、そんなにありませんので前作を読んでなくても問題ない・・・と思う。

    短編、というせいか話のテンポはよいものの、座間味くんの人となりなんかはあまりクローズアップされないためちょっと完璧超人すぎるんじゃないか?という印象もありました

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    2010年12月08日
  • 顔のない敵

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    「地雷」小説。
    といっても「つまらない」という意味ではなく、文字通り「地雷」をテーマにした短編集。

    戦争が終わり、埋没されたままの地雷。
    危険を承知でなおそこに住まわざるを得ない人々。
    一方日本では「防衛」を主とした地雷兵器の開発。

    一つのテーマでも切り口でいろいろ楽しめるのは作者の力、というところでしょうか?なかなかの良作でした。
    あともちろん「地雷」についての深刻な状況とかも勉強になりました・・・

    最後に、作者のごく初期の短編がボーナスなんちゃら的に収録されていますが・・・徹底した「クローズドサークル」にこだわるのははじめっからなんですね・・・ww

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    2010年12月08日