清水潔のレビュー一覧

  • 桶川ストーカー殺人事件―遺言―

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    嗚咽の波が何度も来て、鼻水で鼻が詰まり、泣きすぎて目が腫れ、大変なことになりました。同県で同時代を生きていた身として、言葉にならない思いが溢れて、人体の反応としてそうなりました。

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    2023年03月13日
  • 裁判所の正体―法服を着た役人たち―

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    三権分立の制度の中で,司法はそれなりに独立して動いているものと予想していたが,全く違うことが良くわかる.最高裁判所が権力をチェックする機構ではなく,権力を補完するものだとの説明には唖然とするばかりだ.冤罪が起こるのもありうることだと認識した.メディアの対応も不十分なのは,司法ばかりでないと思うが,ジャーナリストの奮起に期待する.第8章の提案で,法曹一元化があったが検討に値するものだと感じた.

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    2018年11月15日
  • 「南京事件」を調査せよ

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    戦後70年となる2015年に放送されたテレビ番組の取材が元になっている。大量に発生した投降者、捕虜の食料や水を確保できないことが虐殺の一因だと推測されるようで、当時の軍上層部の判断に戦慄をおぼえる。

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    2018年10月21日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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     おかしいものをおかしいって伝えるのは、難しい。気づいたら孤立無援になってたりする。
     おかしいと思うことなんか山ほどある。これをおかしいと言わなかったら、自分が自分でなくなってしまうと思うようなことだってある。そんなのを仕方ない仕方ないってつぶやきながら飲み込む自分になるなんて、昔の自分には教えられない。大事な部分を削りすぎて、誇りも消えそうだ。
     清水さんの本は、まぶしい。
     この人に会ったこともないのに、この人の記事は信頼できると感じる。
     この本は、調査報道の裏側を書いた本だけど、それはそのまま、信頼を得るために必要なことは何かってことだ。
     ひとつずつ、やってみようと思う。せめて自分

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    2018年04月23日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    ネタバレ

    清水さんの本は2冊ほど読んでいたので伝えたいであろうメッセージは重複しているものも多かった。ただ、事件の取材ごとに章が組まれていたので、知らなかった事件・出来事の概要を知ることができたのは良かった。
    以下印象に残った箇所。

    時効が存在する理由:
    本気で公訴時効を潰してやりたくなった。
    私は不条理を報じ続けた。
    当初は周囲の感心も薄かった。「法律だから仕方ない」中略。
    しかし法律とは人間が人間のために作ったものだろう。「おかしい」と思えば帰ればいいし、必要なら追加、不要ならば削除すればいい。日本の刑事訴訟法は百年以上、ほとんど変わっていなかった。さらに先進国の多くは、重大事件に時効はなく、あっ

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    2018年02月23日
  • 「南京事件」を調査せよ

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    日中戦争において日本軍が南京で中国の一般市民を虐殺したとされる南京事件。未だに「中国のねつ造だ」「中国のプロパガンダだ」と主張する人も多く、某大手新聞社もその見解を支持しています。著者の清水氏は従軍兵士の日記を基に可能な限り「事実」を追い求めて取材を進めています。そのプロセスは理詰めで飛躍がなく、非常に説得力のあるものです。本書を読んだ個人的な印象としては南京事件は”あった”と言ってよいのではないでしょうか。
    南京事件の取材の延長上に、日清戦争で起こったもう一つの虐殺の件にも触れています。日本では教科書にもほとんど取り上げられることのない出来事であり、私も初めて本書を読んでその存在を知りました

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    2017年12月27日
  • 「南京事件」を調査せよ

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    ネタバレ

    2017/12/27 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。
    2019/10/2〜10/5

    丁寧な取材で定評のある清水氏が南京事件に挑んだ作品。難しい問題ではあるが、関係者の証言を掘り起こして真相らしきものに迫っていく迫真のルポ。
    何を持って”大“虐殺とするか、が結局のところの問題か。一般人を殺害したのは間違いないんだろうし、それについては反省と謝罪が間違いなく必要だろうが、清水氏の取材でも結局のところ人数については触れられていない。全く無かったことにしたい日本と、少しでも被害を大きく見せたい中国。今になって確信的な証拠が出るとは考えにくく、このまま言い合いをしていても結論は出ないだろう。どこかで折

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    2019年10月05日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    調査報道について書かれた本。
    筆者が関わった具体的な事例を読み進める中で、今の報道の問題点が赤裸々に。
    また、筆者の報道に対する熱い思いが伝わってきた。
    こんな風に真剣に仕事に取り組んでいる人がどれだけいるだろう。
    「殺人犯はそこにいる」を読んだ後だったので一つひとつの事件の掘り下げに対しては少し物足りなさも感じたが、浅く広くいろんな事例を知ることでたくさんのことについて考えさせられた。
    報道を見る目が変わった。

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    2018年04月03日
  • 裁判所の正体―法服を着た役人たち―

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    『犯人はそこにいる』などの冤罪ルポで有名な清水潔と、元裁判官の瀬木比呂志による対談本。
    清水が瀬木に裁判所や裁判官の実態を聞く形で進んでいく。

    誰もが裁判所や裁判官に対して漠然と抱いていた信頼感(もちろん冤罪などはあるがごく一部の例外はあったが)が、この本を読んで崩壊した。
    裁判官も普通の人間だし、裁判所はその性質が故に通常の官公庁以上に官僚的だということがよくわかった。

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    2017年10月29日
  • 裁判所の正体―法服を着た役人たち―

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    元裁判官学者と独立系ジャーナリストの対談、もともと両者とも日本の司法制度には経験的に否定的であるが、それが強調されている。大岡裁きのようなものは期待するものではなく、なるべく捕まらないことが大事と思われる。
    基本的には政治を見ている役人であり、外の世界とは触れ合わず、堅いヒエラルキーの中で一生を終える仕組みになっているため、広い視野や一般性を持つことが難しく、政治に逆らうことはない。特に刑事事件は99.9%有罪になり、特に権力が絡むものは絶対である。地裁で画期的な判決を出したとしても現在の原発裁判のように統一見解が出され、当裁判官は左遷されていることもある。(がそれをメディアは報じないような記

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    2017年08月19日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    日本社会に警察の腐敗を印象付けた桶川ストーカー事件の犯人グループの特定や、栃木県で幼女が誘拐・殺害された足利事件の犯人逮捕が冤罪であることを暴きだし、近隣で発生した他4件の幼女誘拐・殺害事件も含めた真犯人の可能性を示唆した足利事件。これらを一介のジャーナリストとして、調査報道というメソッドを元に実現させた著者が、その調査報道の裏側について語った一冊。

    足利事件と連続幼女誘拐・殺害事件の全貌を描いた「殺人犯はそこにいる」で、著者のとにかく徹底した現場への拘りとファクトをとにかく追求する姿勢には驚かされたが、本書ではそれが決してあの事件報道に特有なのではなく、他の仕事も含めた仕事に対する基本的な

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    2017年07月01日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    『殺人犯はそこにいる 』を読んで、著者に興味を持ったので続けて読む。

    どんな事件に対しても、著者は自分の頭で考えて、伝聞に頼らず、必ず裏を取るという姿勢を貫いている。
    当たり前のことなんだけど、地道な作業の積み上げであり、いち早く記事にしたいという思いとは真反対なので焦ることもあるだろう。

    だいたい「調査報道」はなおざりにされがちである。そりゃ「発表報道」の方が楽だもんねぇ。
    でも、ここで怖いのが発表が操作されてる場合である。
    著者はそれを自分の取材と照らし合あわせて「おかしい」と思うわけなのよね。それで、さらに取材を重ねるという、ね。

    スクープには二種類あり、一つはいずれ世に出る情報を

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    2017年02月25日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    ネタバレ

    2016年、50冊目です。
    マスメディア、警察などの情報を鵜呑みにしてしまうことの恐ろしさが書かれている。要は、自分に入ってくる情報を自分でしっかり納得してあるいは正しく客観的にみて、判断することが大切だと論じています。
    足利事件や日系ブラジル人の殺人後の母国への逃亡、桶川ストーカー殺人事件などが取り上げられています。著者のすごい執念を感じるとともに、公的権力を持つ立場の人間のいい加減さや建前主義を感じます。人は立場に胡坐をかき、楽をしてしまうため、「調査」という手間のかかるプロセスを排除してしまう。これに歯止めをかけるのは、一人一人の正義感や良心によるしかないのかと嘆息してしまう。
    こういっ

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    2016年10月23日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    冤罪事件と未解決事件。
    改めて、こんなにあるんだなと思いました。

    著者の調査報道はすばらしいですね。
    マスコミも間違ったことを報道することなく、
    事実確認をしっかりとしてもらいたいです。

    ・・・が、警察が発表してることは正しい。
    と思うのは当然か。
    でも、やっぱり真実が知りたいです。

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    2016年05月15日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    桶川ストーカー殺人事件を読み、清水さんのジャーナリストとしての姿勢に強く惹かれたのでこちらも一読。
    本巻も著者の徹底した仕事ぶりを垣間見ることができて、身が引き締まる。

    「自分の目で見て、耳で聞いて、頭で考える。」という著者の理念は、報道のみならず私たちが生きていく上でも大事にすべきことと感じた。
    そしていかに日本のマスコミがこの基本原則を蔑ろにしがちか…一冊かけて危機を伝えてくれる。
    流れてくる情報は自分自信の責任のもと、取捨選択をする必要があるのだ。

    本巻では著者の「調査報道」の代表例がいくつか掲載されている。事件の例を通して警察の怠慢を晒し、あるべき捜査の方向に軌道修正していくさまは

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    2016年01月24日
  • 殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―

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    犯人は、まだ捕まっていない…。

    そういえばニュースにあった、というくらいの記憶。
    無罪が確定した、というのは覚えていますが
    一体何があったのか、は。
    こういう事件だったのか、と思うと同時に
    犯人捕まっていないのか、と。
    確かに、もう証拠が古すぎて、というのはあるかと。
    そして警察の言い分というかやり方が
    どうなのか、とも聞きたいものがあります。

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    2025年08月09日
  • 殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―

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    3.8
    常日頃マスメディアにはあまりいい印象を持っていないけれど、ここまで正義感に溢れたジャーナリストがいることにびっくりした。

    被害者遺族の「ごめんなさいが言えなくてどうするの」という言葉がグサグサ刺さる。
    子どもでも分かるようなことが出来ない大人。警察と司法のクソさに怒りというより虚しさを覚えました。

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    2025年08月07日
  • 騙されてたまるか―調査報道の裏側―

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    筆者の清水潔は、「桶川ストーカー殺人事件」や「殺人犯はそこにいる」等の、傑作ノンフィクションを書いた人である。本書は、それらの事件を含めた、清水潔の「調査報道」のやり方を筆者なりに書いたものである。

    感想文を書くこと、それ以前に、読書をするのが1週間ぶりくらいである。
    先週の水曜日にインフルエンザに罹患し、ずっと寝込んでいた。毎年インフルエンザの予防接種を受けており、最後に罹患したのはいつか分からないくらい昔が話だ。住先週水曜日の午前中から喉が痛いな、と感じていたが、午後~夕方になり熱が急激に上がり、39度を大きく超えた。数日間は、ほぼ寝たきりとなり、金曜日くらいから熱が下がり始め、外に買い

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    2023年10月24日
  • 鉄路の果てに

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    国は民衆の命を犠牲にして戦争を仕掛ける。権力者は民族云々という空疎な思想によって暴走する。戦死によって労働力を失った戦勝国は、捕虜を尊厳無視して強制連行する。そこは極寒のシベリアであり、乏しい衣食住によってさらなる落命を連鎖させてしまう。この書籍ではその責任を問うのではなく、現在の街を行き交う道程と戦後の変貌を辿っていく。そこに戦争の空気は消えてしまっても、人びとの記憶はまだらに残されている。戦争を知らない、ではなく、知ろうとする、そして誰も幸せにならない戦争をしてはならない。と痛感する。

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    2023年10月18日
  • 鉄路の果てに

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    私が読んだことがある本書の筆者、清水潔の他の著作は、「桶川ストーカー殺人事件-遺言」「殺人犯はそこにいる-隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」という傑作ノンフィクション2冊であるが、本書は、その2冊とは随分と趣の異なる本だ。
    清水潔の父親は、第二次大戦中に満州に、鉄道部隊として出征する。満州で終戦を迎えたために、終戦間際に宣戦布告してきたロシア軍の攻撃を受け、シベリアの強制収容所に抑留される。日本に引き揚げることができたのは、1948年、終戦から3年後のことであった。その父親が亡くなったとき、父親の本棚で清水潔は「だまされた」というメモ書きと戦時中父親が辿った土地の地図が残されていた。
    本書

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    2023年08月06日