清水潔のレビュー一覧
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試し読み
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Posted by ブクログ
おかしいものをおかしいって伝えるのは、難しい。気づいたら孤立無援になってたりする。
おかしいと思うことなんか山ほどある。これをおかしいと言わなかったら、自分が自分でなくなってしまうと思うようなことだってある。そんなのを仕方ない仕方ないってつぶやきながら飲み込む自分になるなんて、昔の自分には教えられない。大事な部分を削りすぎて、誇りも消えそうだ。
清水さんの本は、まぶしい。
この人に会ったこともないのに、この人の記事は信頼できると感じる。
この本は、調査報道の裏側を書いた本だけど、それはそのまま、信頼を得るために必要なことは何かってことだ。
ひとつずつ、やってみようと思う。せめて自分 -
Posted by ブクログ
ネタバレ清水さんの本は2冊ほど読んでいたので伝えたいであろうメッセージは重複しているものも多かった。ただ、事件の取材ごとに章が組まれていたので、知らなかった事件・出来事の概要を知ることができたのは良かった。
以下印象に残った箇所。
時効が存在する理由:
本気で公訴時効を潰してやりたくなった。
私は不条理を報じ続けた。
当初は周囲の感心も薄かった。「法律だから仕方ない」中略。
しかし法律とは人間が人間のために作ったものだろう。「おかしい」と思えば帰ればいいし、必要なら追加、不要ならば削除すればいい。日本の刑事訴訟法は百年以上、ほとんど変わっていなかった。さらに先進国の多くは、重大事件に時効はなく、あっ -
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日中戦争において日本軍が南京で中国の一般市民を虐殺したとされる南京事件。未だに「中国のねつ造だ」「中国のプロパガンダだ」と主張する人も多く、某大手新聞社もその見解を支持しています。著者の清水氏は従軍兵士の日記を基に可能な限り「事実」を追い求めて取材を進めています。そのプロセスは理詰めで飛躍がなく、非常に説得力のあるものです。本書を読んだ個人的な印象としては南京事件は”あった”と言ってよいのではないでしょうか。
南京事件の取材の延長上に、日清戦争で起こったもう一つの虐殺の件にも触れています。日本では教科書にもほとんど取り上げられることのない出来事であり、私も初めて本書を読んでその存在を知りました -
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ネタバレ2017/12/27 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。
2019/10/2〜10/5
丁寧な取材で定評のある清水氏が南京事件に挑んだ作品。難しい問題ではあるが、関係者の証言を掘り起こして真相らしきものに迫っていく迫真のルポ。
何を持って”大“虐殺とするか、が結局のところの問題か。一般人を殺害したのは間違いないんだろうし、それについては反省と謝罪が間違いなく必要だろうが、清水氏の取材でも結局のところ人数については触れられていない。全く無かったことにしたい日本と、少しでも被害を大きく見せたい中国。今になって確信的な証拠が出るとは考えにくく、このまま言い合いをしていても結論は出ないだろう。どこかで折 -
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Posted by ブクログ
元裁判官学者と独立系ジャーナリストの対談、もともと両者とも日本の司法制度には経験的に否定的であるが、それが強調されている。大岡裁きのようなものは期待するものではなく、なるべく捕まらないことが大事と思われる。
基本的には政治を見ている役人であり、外の世界とは触れ合わず、堅いヒエラルキーの中で一生を終える仕組みになっているため、広い視野や一般性を持つことが難しく、政治に逆らうことはない。特に刑事事件は99.9%有罪になり、特に権力が絡むものは絶対である。地裁で画期的な判決を出したとしても現在の原発裁判のように統一見解が出され、当裁判官は左遷されていることもある。(がそれをメディアは報じないような記 -
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日本社会に警察の腐敗を印象付けた桶川ストーカー事件の犯人グループの特定や、栃木県で幼女が誘拐・殺害された足利事件の犯人逮捕が冤罪であることを暴きだし、近隣で発生した他4件の幼女誘拐・殺害事件も含めた真犯人の可能性を示唆した足利事件。これらを一介のジャーナリストとして、調査報道というメソッドを元に実現させた著者が、その調査報道の裏側について語った一冊。
足利事件と連続幼女誘拐・殺害事件の全貌を描いた「殺人犯はそこにいる」で、著者のとにかく徹底した現場への拘りとファクトをとにかく追求する姿勢には驚かされたが、本書ではそれが決してあの事件報道に特有なのではなく、他の仕事も含めた仕事に対する基本的な -
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『殺人犯はそこにいる 』を読んで、著者に興味を持ったので続けて読む。
どんな事件に対しても、著者は自分の頭で考えて、伝聞に頼らず、必ず裏を取るという姿勢を貫いている。
当たり前のことなんだけど、地道な作業の積み上げであり、いち早く記事にしたいという思いとは真反対なので焦ることもあるだろう。
だいたい「調査報道」はなおざりにされがちである。そりゃ「発表報道」の方が楽だもんねぇ。
でも、ここで怖いのが発表が操作されてる場合である。
著者はそれを自分の取材と照らし合あわせて「おかしい」と思うわけなのよね。それで、さらに取材を重ねるという、ね。
スクープには二種類あり、一つはいずれ世に出る情報を -
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ネタバレ2016年、50冊目です。
マスメディア、警察などの情報を鵜呑みにしてしまうことの恐ろしさが書かれている。要は、自分に入ってくる情報を自分でしっかり納得してあるいは正しく客観的にみて、判断することが大切だと論じています。
足利事件や日系ブラジル人の殺人後の母国への逃亡、桶川ストーカー殺人事件などが取り上げられています。著者のすごい執念を感じるとともに、公的権力を持つ立場の人間のいい加減さや建前主義を感じます。人は立場に胡坐をかき、楽をしてしまうため、「調査」という手間のかかるプロセスを排除してしまう。これに歯止めをかけるのは、一人一人の正義感や良心によるしかないのかと嘆息してしまう。
こういっ -
Posted by ブクログ
桶川ストーカー殺人事件を読み、清水さんのジャーナリストとしての姿勢に強く惹かれたのでこちらも一読。
本巻も著者の徹底した仕事ぶりを垣間見ることができて、身が引き締まる。
「自分の目で見て、耳で聞いて、頭で考える。」という著者の理念は、報道のみならず私たちが生きていく上でも大事にすべきことと感じた。
そしていかに日本のマスコミがこの基本原則を蔑ろにしがちか…一冊かけて危機を伝えてくれる。
流れてくる情報は自分自信の責任のもと、取捨選択をする必要があるのだ。
本巻では著者の「調査報道」の代表例がいくつか掲載されている。事件の例を通して警察の怠慢を晒し、あるべき捜査の方向に軌道修正していくさまは -
Posted by ブクログ
筆者の清水潔は、「桶川ストーカー殺人事件」や「殺人犯はそこにいる」等の、傑作ノンフィクションを書いた人である。本書は、それらの事件を含めた、清水潔の「調査報道」のやり方を筆者なりに書いたものである。
感想文を書くこと、それ以前に、読書をするのが1週間ぶりくらいである。
先週の水曜日にインフルエンザに罹患し、ずっと寝込んでいた。毎年インフルエンザの予防接種を受けており、最後に罹患したのはいつか分からないくらい昔が話だ。住先週水曜日の午前中から喉が痛いな、と感じていたが、午後~夕方になり熱が急激に上がり、39度を大きく超えた。数日間は、ほぼ寝たきりとなり、金曜日くらいから熱が下がり始め、外に買い -
Posted by ブクログ
私が読んだことがある本書の筆者、清水潔の他の著作は、「桶川ストーカー殺人事件-遺言」「殺人犯はそこにいる-隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」という傑作ノンフィクション2冊であるが、本書は、その2冊とは随分と趣の異なる本だ。
清水潔の父親は、第二次大戦中に満州に、鉄道部隊として出征する。満州で終戦を迎えたために、終戦間際に宣戦布告してきたロシア軍の攻撃を受け、シベリアの強制収容所に抑留される。日本に引き揚げることができたのは、1948年、終戦から3年後のことであった。その父親が亡くなったとき、父親の本棚で清水潔は「だまされた」というメモ書きと戦時中父親が辿った土地の地図が残されていた。
本書