清水潔のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「殺人犯はそこにいる」で清水潔の取材力や、その姿勢に惚れたが、本著では、そのジャーナリズムの哲学を存分に味わう事ができる。但し、先の著書や「桶川ストーカー殺人事件」を読んだ人には、そのダイジェスト版的な要素から、重なるページも多いだろう。
仕事の仕方として素直に尊敬するのだが、感情的な発言も時に気になる。最も引っかかっているのは、足利事件での、冤罪を晴らすことに興味はないという発言。まあ、言葉の綾というか、それ以上に、真犯人に興味がある事を強調するために言っているのだろうが、この発言は違うだろう。騙されてたまるかと、悪を暴く事ばかりがジャーナリズムではなく、真実を追求する事が真理ではないか -
Posted by ブクログ
どうしても南京大虐殺は無かったとしたい戦後の人間であるが、この本ではまず第一史料に当たることの大切さと、それの検証を徹底していることに、取材、調査のあり方は評価すべきものがある。
それはいかに自分が、考えているようでも、他者の説に乗っかっていることを指摘されているようでもあるからだろう。
この本では、南京大虐殺があったか無かったかということを決めつけているものではない。
真実を知ることはより困難なことで辛くもある。そしてただ願わくばどちらにしろ戦争で亡くなった人らが安らかに眠れるよう、自国他国ともに政治的に利用しないで欲しいものである。 -
-
Posted by ブクログ
「絶望の裁判所」の著者、元裁判官の瀬木比呂志と、「殺人犯そこにいる」の著書でジャーナリストの清水潔の三日間にわたる対談をまとめた一冊。基本的には清水さんが質問者でそれに瀬木さんが答えるという形式。両者の著書を読んでいる読者にはそこまで目新しい内容ではないかもしれないが、お互いに突っ込んだり質問したりしながらの対談の内容をそのまま対話形式でまとめてあるので、内容はより分かりやすくなっていると思う。最高裁に統制された日本の裁判所は「権力の監視機関」ではなくて「権力の補完機関」になっていると言うのは、なかなか重い事実のようだ。記者クラブ制度によって政府権力の広報機関に成り下がっているマスコミもしかり