【感想・ネタバレ】鉄路の果てにのレビュー

あらすじ

「だまされた」
父が遺したメモを手掛かりに、
気鋭のジャーナリストが戦争を辿る。
いつの時代も、国は非情だ。

本棚で見つけた亡き父の「だまされた」というメモ書き。
添えられた地図には、75年前の戦争で父が辿った足跡が記されていた。
どんな思いで戦地に赴き抑留されたか。
なぜ、犠牲にならねばならなかったか。
薄れゆく事実に迫るために、韓国・中国・ロシアへ。

国は過ちを
繰り返してきた。
何度も。
これからも。

目次
序章 赤い導線
1章 38度線の白昼夢
2章 ここはお国を何百里
3章 悲劇の大地
4章 ボストーク号
5章 中露国境
6章 シベリア鉄道の夜
7章 抑留の地
8章 黒パンの味
9章 バイカル湖の伝説
終章 鉄路の果てに

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

非常に読みやすく、勉強になった。令和版深夜特急といった感じ。鉄道と戦争の関係が非常によくわかった。満州やシベリア鉄道、ぜひ行って、乗ってみたい。

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2024年01月24日

Posted by ブクログ

ジャーナリスト清水氏が終戦後にシベリア抑留されていた父親の足跡を追って,イルクーツクまで旅をする.わが国がかつて満州で中国の人のみならず自国民ををどんなに痛めつけたか,をたどる旅であり,その過程で日露戦争から第二次大戦におけるソ連参戦までの日露関係の意味を明らかにしてゆく.

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2020年12月24日

Posted by ブクログ

中国ロシアと国境超えの長い旅路の紀行文。日本が満州を侵略していた当時のことをまじえながらすすむ。日本人を助ける為に進んだ関東軍のはずだつたがいざその時には多くの日本人を見捨て上級民と共にとんずらした。結局日本人は日本の戦争を推し進めた政治家たちに殺された。暗い歴史を振り返りながらも清水さんの車内でのエピソードを織り込んで旅は終わった。南京事件を調査せよの方が興味深く読めた。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

初老版『深夜特急』by沢木耕太郎
ジャーナリストの清水潔氏と小説家の青木俊氏によるドタバタ鉄道旅行記。いや、本来はそういう読み方ではなく、戦争を巡る日本とロシア周辺の歴史を辿る旅でもあり、重々しいテーマを取り扱ったものだ。しかし、それを2019年にタイムトリップして当に現代を旅するものだから、まるで意識したかのような〝戦争と今“のコントラストを表現した名著。楽しく読める分、凄惨な歴史が沁みるような仕立てと言えるかも知れない。

「だまされた」亡き父の書棚、一冊の本に貼り付けられたメモ用紙。本の表紙には『シベリアの悪夢』、ミステリー小説のように始まる物語は、清水潔のお家芸。この〝読ませる文章“、開始から終わりに一本のドラマを敷くストーリーテラーでもあるジャーナリストとしての表現力が著者の魅力だ。しかし、結局、何がだまされたのかは、本編とあまり関係ない。シベリア抑留そのものが確実に騙されているし、戦争自体が民間人には国に騙されたとも言える。或いは単に私的な悔恨かも知れない。

著者の筆力に頼り、そして青木センセイの奔放さ、人間力を放ち、旅が続く。ぬるい酒、不味い飯、強引な車掌、そしてほの暗い歴史。いけいけシベリア鉄道ボストーク号。本筋とズレるが、本著で改めて、文章には細部の数値が大切だと再認識。数値により厳しさの度合い、規模感、歴史の順序が伝わってくる。

下記にメモ書きしておきたい。

万里の長城は東端の山海関まで6352キロ、ウラジオストクからモスクワまで走るシベリア鉄道は9300キロ、日本が1889年に開通させた新橋・神戸間の東海道線は600キロ。
 
1959年になってからハルピン郊外で大慶油田が発見。1973年には日本人が試掘していた場所の近くで遼河油田が見つかり、中国は戦後世界第6位の原油生産国へ。

日本が朝鮮半島に敷設した鉄道は1435ミリ幅。ロシア軍が敷設した東清鉄道は1524ミリ。この違いは本編でも触れられるが、重要なポイントの一つ。

バイカル湖はアジア最大の湖で首位は2100キロ。面積は九州と同じ位。深さは世界一で1673メートル、透明度も世界一。

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2023年08月27日

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積読2年笑

著者とお父様が、私と私の父のちょうど10歳上で、色々と考えました。私の父は旧制中学3年が敗戦の年で、8月後半は、動員先で戦争協力の証拠破棄していたそうです。

親族でシベリア抑留された人はいないので、通り一遍の事しか知らなかったですが、元気があれば関連書籍も読みます。

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2022年07月29日

Posted by ブクログ

 筆者は、亡き父が残した本の中に貼りつけられたメモ用紙から、生前は戦争や抑留体験についてほとんど語らなかった父親のシベリア体験の痕跡を見つける。筆者は、メモに残された「だまされた」の一言にまるで追い立てられるように、長年取材を共にしてきた友人と共に、父が強制労働に明け暮れたシベリアの地に出掛けることを決意する――。

 戦争や抑留の記憶をほとんど語らなかった「父」の語りの不在から、いわゆる「第2世代」の記憶の実践が駆動する。どちらかといえば韓国・中国・東シベリアと続く鉄道紀行というべき内容だが、その鉄路がまさに戦争の手段であり、戦争の目的でさえあったことが、車窓からの風景に重ねて書きつけられる。軍事力で変更された境界は戦争によって再び引き直されるが、そのはざまで多くの人びとがいともたやすく見捨てられ、生命を奪われていく。「知る」ことで、更地になった土地からも、茫漠と広がる森林や草原からも、氷結したバイカルの湖面からでさえ、人びとの生きた痕跡を浮上させることができる。『南京事件――兵士たちの証言』の著者らしいノンフィクションだと思う。

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2021年05月10日

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亡き父の戦争体験を追って。釜山からイルクーツクへ。朝鮮半島から満州、シベリアを辿る旅。

亡くなった父の残したメモ。多くを語らなかったシベリア抑留を追体験するため筆者は旅に出る。

父は鉄道連隊に所属し満州へ。終戦直前のソ連軍の突然の侵攻。捕虜となりシベリアへ送られていた。

日本から大陸を渡る筆者。ちょうど明治維新後の日本が日本が大陸に進出していく道と重なる。複雑な歴史を筆者は簡潔にまとめて描写している。特に鉄道の占める役割が強調されている。

南京大虐殺であったり政府の姿勢を追求する筆者。日本政府の暴走により名も無き庶民が犠牲となるという構図。もちろん父もその犠牲者。本書で終始変わらぬ視点。満州やソ連の人々から見た残虐な日本の軍人。逆に進行したソ連軍による略奪行為。被害者目線が強い。昔も今も政府が悪く民衆が正しいという一方的な視点が多い。筆者の父も当時の中国人から見れば残酷な日本軍人の一人であったと思うのだがそのような視点はない。

筆者の紀行にはセンセイという同行者がいる。重いテーマの紀行に余計な挿話が雑音となっている。スジの通った内容が阻害されており残念。被害者、加害者の視点は個々の思想もあるので許容範囲だが、こちらは気になる。

日本人として知っておくべき歴史。戦争という大きなテーマを史実もコンパクトに解説しつつも、見事にまとめた紀行でした。

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2020年10月02日

購入済み

旅がしたくなる

韓国から中国東北部を経由し、シベリア鉄道で亡父の辿った鉄路を行く。シリアスでありつつ、微笑ましくもある道中記。形は変わり、時は流れても、そんな旅に出てみたくなる人間の性を感じる。それにしても私はあまりにも日露の歴史に疎い。勉強したい。

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2020年08月16日

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清水潔さんの本を初めて読んだ。「桶川ストーカー殺人事件」や「殺人犯はそこにいる」を読みたいと思っているのだが未読。
暗く重いものを想像して読み始めたが、思っていたより軽いタッチ(と言ってしまっていいのか)だった。ユーモアを感じさせ、クスリと笑える部分と現実の歴史の厳しさ、戦争の残酷さ、国家の薄情さを描く部分が共存していた。ご自身の父親の足跡を辿る旅なので、情緒的になりそうだが、そんなことは一切なかった。暗く重く描かれなかったからこそ、実際の苦難を想像し、考え、感じる力を発揮すべきなのだろう。
旅に出られない今、著者と青木さんと西へ西へ向かうシベリア鉄道の旅に同行させてもらった気分で、それはそれで今読んで良かった本であった。

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2020年08月10日

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国は民衆の命を犠牲にして戦争を仕掛ける。権力者は民族云々という空疎な思想によって暴走する。戦死によって労働力を失った戦勝国は、捕虜を尊厳無視して強制連行する。そこは極寒のシベリアであり、乏しい衣食住によってさらなる落命を連鎖させてしまう。この書籍ではその責任を問うのではなく、現在の街を行き交う道程と戦後の変貌を辿っていく。そこに戦争の空気は消えてしまっても、人びとの記憶はまだらに残されている。戦争を知らない、ではなく、知ろうとする、そして誰も幸せにならない戦争をしてはならない。と痛感する。

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2023年10月18日

Posted by ブクログ

私が読んだことがある本書の筆者、清水潔の他の著作は、「桶川ストーカー殺人事件-遺言」「殺人犯はそこにいる-隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」という傑作ノンフィクション2冊であるが、本書は、その2冊とは随分と趣の異なる本だ。
清水潔の父親は、第二次大戦中に満州に、鉄道部隊として出征する。満州で終戦を迎えたために、終戦間際に宣戦布告してきたロシア軍の攻撃を受け、シベリアの強制収容所に抑留される。日本に引き揚げることができたのは、1948年、終戦から3年後のことであった。その父親が亡くなったとき、父親の本棚で清水潔は「だまされた」というメモ書きと戦時中父親が辿った土地の地図が残されていた。
本書で、筆者は父親の地図の足跡を辿る。ソウルを訪れた後、中国ハルピンからシベリア鉄道に乗り、父親の抑留されたイルクーツクまでたどり着く。そういう意味では、本書は父親の足跡を辿る紀行文であるが、それだけにとどまらない。中国・ロシアを通ることもあるが、日清・日露戦争まで遡り、日本が第二次大戦に突き進んでいく経緯を語る。筆者の父親は、そういった大きな歴史の流れに飲み込まれた犠牲者でもある。
父親が「だまされた」とメモに記したのは、日本が戦争に突き進み、自分は軍隊に召集され、満州に行き、敗戦を満州で迎え、ロシア軍の攻撃を受け、強制収容所に抑留された経験そのものが全て「だまされた」ものであったのだ。

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

前作を読み、この人はどういう人なのか知りたくて読みました。肩の荷が少しでも下りて(下りてないのかもしれませんが)ルーツを巡る旅の良い味出てました。僕もいつか、と思います。

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2021年09月29日

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ネタバレ

面白かった、と軽く書くのは申し訳なくなる、重いお話。先に『ノモンハンの夏』を読んでたのは幸運だったかも。日本史の復習になるのも良い。
やはり一度はシベリア鉄道に乗っておきたいとも思った。

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2021年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家族史(父親の従軍史)―日露近代史(日露戦争、シベリア出兵、ノモンハン事件、第二次世界大戦、シベリア抑留)・シベリア鉄道史-自分史(鉄道趣味)。

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2021年02月07日

Posted by ブクログ

第二次世界大戦中の日本軍とソ連軍の戦い、両国民のおかれた状況、またシベリア鉄道のことや道中に通る街並みや人柄など様々な情景を語った一冊。
戦争後の日本軍におかれた立場や、日本軍がもたらした災いも含めて全て理解できる一冊ではなかろうか。

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2020年10月17日

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