清水潔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実際の冤罪事件を追った記者によって書かれた一冊。普段は読まないジャンルなので読みきれるか不安だったけど、読んでみて本当に良かったし、多くの人に読んで貰いたいとも思った。
ミステリーのようにハラハラ一気に読み進められる文体と展開ながら、ノンフィクションなので司法や報道や社会構造の問題点など、非常に考えさせられる。
「足利事件」は1990年、栃木県足利市で当時4歳の女の子が行方不明になり、遺体で発見されたという痛ましい事件。警察は菅家利和さんという男性を逮捕して、DNA鑑定を根拠に有罪にし、無期懲役が確定した。しかし、その後の科学の進歩と再鑑定によって、DNA型が一致しないと判明し、2009年に再審・釈放。翌2010年、正式に無罪判決が出て、冤罪が明らかになった。
この事件は、日本の刑事司法における以下のような問題点を浮き彫りにしたとされてる:
・初期のDNA鑑定の信頼性
・自白の強要
・捜査機関の「一度決めたら動かない」体質
・真犯人が今も分からないこと
「捜査機関の面子を守りたがる体質」というのは特に印象的。無罪判決が出て冤罪と分かってからも、過去のDNA型鑑定の証拠が間違っていたことを認めたくない、警察の頑なな姿勢。それだけで真犯人が野放しにされているのは本当に遺憾なことだなと。
警察や検察、あるいは一部の報道機関が「過ちを認めること=組織の敗北」って捉えてしまう構造は、まさに著者の清水潔さんが全編通して訴えておる「正義より体面」という異常な構図。未解決事件が放置され、被害者の家族も、冤罪で苦しんだ人も、加害者本人も全員が報われないまま時間だけが過ぎていく。
そして恐ろしいのは、「これ、もしかしたら昔の事件だからということではなく根本的には今も変わってないのでは…?」と思わせられること。
事件としての衝撃より、構造としての病のほうが深刻。
一方で、著者のような記者がいて、このような本を出版できていることは一つの希望でもある。
悪戯に事件を掻き混ぜて遺族を傷つける報道をするメディアとは違って、真摯に事件と向き合って根気強く真実を探ろうとするジャーナリストがいることは救いであり真のジャーナリズムと言える。
とりあえず個人的には、メディアで何かの事件を見て誰かが逮捕された報道を知っても、逮捕=犯人っていう短絡的な見方に流されず、「この人が本当にやったのか?」「証拠は本当に確かなのか?」と、一歩引いて考える視点を持ちたい。その人が犯人と決まったわけではなく無罪の可能性もあるって忘れないようにしたいと思った。 -
Posted by ブクログ
びっくり。表紙が隠されて販売されていたらしく前から気になっていて、それも地元の知っている書店のおすすめということもあり二度びっくり。ノンフィクションで、調べてみると実は今もまだ犯人は捕まっていないみたい。これを読んだらなんで捕まんないんだろうと思うかもしれない。本当にもどかしくて、警察や検察、科警研、裁判所が絡んだことは詳しくはわからないけど、わからないから悔しい。読んでてもなぜ?なぜ?がいっぱい。同じくらいの子どもを持つ親として時々涙しながら清水さんや遺族の方と同じ気持ちで、ただただ犯人が逃げ得になるなんて許せないし適当な判定で犯人と決めつけることも許されることではない。
自分にとって馴染み深い地名が出てきて、他人事ではないと思ったし、何の罪のない子どもたちが巻き込まれてしまったことに悲しい気持ち。自分の子がと思ったら、、。
これを読んで心動かない人がいるのかな。なんとかしたい。そんな気持ち。 -
Posted by ブクログ
ストーカー規制法のきっかけとなった桶川ストーカー殺人事件の真実を暴いた、1人の週刊誌記者のノンフィクション作品。
真実を暴いてくれてありがとう…と身内でもないのに感謝と敬意しかない。
そして真犯人の死で終えたのは上尾署の大大大失態でしかない。
事件自体は知ってたけど詳細を読んで改めて警察のずさんな対応に腹が立つ。市民を守るはずの警察と、真犯人に彼女は殺された
その後の民事裁判も腸が煮えくりかえる。判事もまとめてクソだった。
例の埼玉県警の映像も見たことあるけど終始ヘラヘラした会見で被害者と国民をバカにしてるとしか思えなかった。
わたしは20年以ほど前、自分が一人暮らしを始めたばかりの頃
部屋に誰かがいると勘違いして警察を呼んでしまったことがある
その時の警察官は「何かあってからじゃ遅いんだから気にせずどんどん頼っていいから」と言ってくれたし
わたしの帰宅時間にはしばらくパトロールすると約束してくれて1年間くらい本当にその時間にパトロールしてくれた。
いい警察官もいるのに一部のクズ人間のせいで警察全体が悪く思われそうなのも大迷惑でしかなかっただろう。 -
Posted by ブクログ
20年以上前に起きた事件ではあるが、決して忘れられてはならない悲惨な出来事だと思う。
犯人が、何故そこまで執拗に詩織さんにまとわりつきストーカー行為や嫌がらせ行為に走ったのだろうと思った。
本書でも触れているように、犯人は精神的に異常な部分があったようだ。そして、最後には犯人は自殺してしまった。何らかの周囲のサポート、精神的なケアがあったらこのような凄惨な事件は起こらなかったのだろうかと考えてしまった。
しかしながら、犯人は相手が嫌がることはしてはいけなかったしあまりにも自分勝手で相手を想いやることができていないことに激しい憤りを覚えた。
著者の清水氏は、自分の足で地道に取材されており、本書を通して取材の裏側を知ることができた。報道やパパラッチに対してあまり良いイメージを抱いていなかったが、清水氏のように、被害者や遺族の気持ちに寄り添った取材をされている方がいることを知って報道に対するイメージが少し変わった。テレビ等の報道番組をまた違った角度から見られそうだと感じた。
警察の闇も深いことが分かり、これは残念な真実であると思う。あれから数十年が経過して多少は警察も変わったのだろうか?
一部の警察や報道は、未だに被害者や困っている人に寄り添った報道や取材が残念ながらできていない部分があるのかもしれない。
多くの人に本書を手に取ってもらって、真の報道、捜査のあり方を知ってもらうことは意味があることではないかと思った。
警察に頼ったにも関わらず、真摯に対応してくれなかった被害者や遺族は無念であったと思う。警察がしっかり捜査、対応していたら、このような凄惨な事件は起こらなかったと思う。警察はしっかり反省して、市民に寄り添った業務を全うして欲しいと思った。
最後に、被害に遭われた狩野詩織さんのご冥福を心よりお祈りします。