朝倉宏景のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「日本プロ野球初の女子選手」を描いた小説。
こどもの頃から野球に打ち込んでいた主人公・鳥海真琴は、中学の教師に勧められて進学した高校でも、男子に混じってひとりピッチングの腕を磨く。2年生ながら正捕手に選ばれた君澤龍也とは単なる同級生以上の関係になるが、とある事件をきっかけに野球部は春の選抜高校野球への推薦を辞退する羽目に陥り、真琴と龍也の心も離れてしまう。野球に対する熱意を失いかけた真琴に、祖父の道夫が女子のクラブチームを紹介する。
やがて、日本でも女子プロ野球のリーグが発足(このあとは、登場人物たちが、現在休止中の日本女子プロ野球機構に実在したチームに所属したという設定だ)、2011年、高校を出た真琴や、クラブチームの選手もトライアウトを受けて入団。2014年に完全試合を達成した真琴は、その年のNPBドラフト会議で「琉球ブルーシーサーズ」に7位指名される。翌年の9月、一軍登録された真琴が、甲子園での阪神戦の9回、琉球がリードしている場面で起用され、高校時代の友人たちからのメールでそれを知らされた龍也が慌ててテレビをつける……。
「現在」である2015年9月と、真琴の成長記が交互に描かれ、真琴がなぜ甲子園のマウンドに立っているのか、同級生のはずの龍也がなぜ一歩離れた位置でそれを見ているのかが、ページが進むにつれて少しずつ明らかになっていく構成である。
男子の野球チームに女子がひとり入ると起こる出来事については、おそらく実際に相当近いのだろう。それだけに、女子チームに出会ってから、本当に楽しく、張り合いを持って野球をする真琴の姿が、読んでいて気持ちよかった。また、「2004年の球界再編の結果、1リーグ10球団になったが、沖縄にも球団ができた」という設定には、筆者の思いがこもっているように感じる(「多少あちこちにチームができたけど、それも片一方のリーグだけ。もっと球界全体で、日本中にプロ野球を広げる気持ちがないと発展しないでしょ」……とか、ね)。
ただ、上に書いた「事件」は、正直なぜその種のものでないとダメだったのかよくわからないのが正直なところだ。あまり気分のいい内容ではないのと、その結果真琴と龍也の気持ちが離れるという結末がよく理解できないのとがその理由だ。話の筋自体は面白いから、いま小5の孫がもうちょっと大きくなったら薦めようかと思ったが、この「事件」があるのでちょっとためらってしまう。 -
Posted by ブクログ
かつての恋人に懇願されて精子提供したものの、妊娠・出産の連絡を受けただけでその後、接点のなかった「娘」をある日突然引き取ることになった40男の物語。
エンタメ系の作品。
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設定は突拍子もないものだし、展開も想定を超えている。リアリティという点ではかなり低めのストーリーだと思います。
だけど勢いがある。緩急で言えば急が多くを占める。このジェットコースターのような勢いにつられてつい読まされてしまいます。
そして時おりの緩。これがいい箸休めになっています。朝倉さんの構成の妙でしょう。
ただ光枝が死病に罹っていることを仄めかすラストシーンは余計。エンタメなら、とことん楽しませて締めくくって欲しかった。
中途半端なお湿りはいらない。これがマイナス点です。
最後に主人公の良行。
ここまで脇の甘い男はダメだし、母親をババアと呼ぶところもNG。
母に対する思いやりの欠片もない。だから母の不調にも気づかない。自分のことしか頭にないからです。
「優しい」というキャラ設定は眉唾に思えます。むしろ底の浅い粗忽者にしか見えません。
なぜ周囲の支えが得られるのか疑問が残りました。 -
購入済み
挫折ではあるが
よくある高校球児物語ではなく、怪我で野球を続けられなくなった元高校球児の物語である。誰でも人生を長く続けてゆけば何度かある挫折 それにどのように向き合ってゆくか、そのまま参考にはならないが、一つの指針を提案してくれる作品である。文章は平易で読みやすい。スッキリとした終わり方ではないが、人生ってそんなモノ。リアル感があってよい。