安東能明のレビュー一覧

  • 夜の署長3 潜熱

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    これは読みやすい。話としても味のあるものだ。
    クライマックスはないのだけれども、内容の進めかたに、フィットするものがあるのだろう。タイトな小説といえる。

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    2025年06月12日
  • 蚕の王

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    静岡出身の著者が、戦後の静岡で起きた「二俣事件」を題材にした事実に基づく小説。

    赤松刑事の自白強要が強烈に伝わってくる。
    そして、犯人捏造がこんなにも軽く行われていたということに愕然となる。

    著者自らが、取材しながらのストーリーになっているので史実では…と感じる。
    この事件は、無罪判決が出るまで7年かかったとある。



    ほかにも静岡県では、幸浦事件、小島事件、島田事件、丸正事件、そして袴田事件はよく知られていると思う。
    拷問捜査で冤罪をつくりだすというだけではなく、警察内部の体質にも問題があるのだろうと感じる。


    最後にジャーナリスト・清水潔との特別対談も読み応えがあった。




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    2025年03月13日
  • 蚕の王

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    安東能明『蚤の王』中公文庫。

    実在の冤罪事件をテーマにしたノンフィクション風警察小説。

    著者の安東自身が取材を行うという描写もあり、創作小説をより一層ノンフィクション小説の側に寄せている。なかなか面白く、読み応えのある骨太の小説であった。

    巻末には北関東幼女連続殺人事件の真相に迫るノンフィクションを執筆し、足利事件の冤罪を証明してみせた清水潔と安東能明の対談が収録されている。

    拷問による取調べにより幸浦事件、二俣事件、小島事件と次々と冤罪を作り出した悪徳刑事の赤松完治のモデルは悪名高き紅林麻雄であろう。最近、無罪が確定した袴田事件を始め、静岡県で冤罪事件が多いというのは非科学的或いは非

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    2024年12月07日
  • 伴連れ

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    【柴崎令司シリーズ③】短編5話。1話目で警察手帳を摺られた新米女性刑事・高野。一見だらしなさそうな彼女が見せた鋭い一面。残りの4話はその高野と共に行動する構成。高野のサポートを押し付けられたり、相変わらず業務外の事に奔走する柴崎に、ついに本部に返り咲くチャンスが!!と思ったが… もしや刑事仕事に目覚めたとか?まさかね。短編なのに内容が濃いのでついつい夢中になってしまう。通勤の電車を危うく乗り過ごすことろだった。

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    2022年07月28日
  • 頂上捜査

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    警察モノ、事件モノの小説である…
    山梨県を舞台とするということになる小説だ。実は自身では山梨県を余り知らない。が、それでも物語の中での事件の舞台としてリアリティーを持って迫るものは在った。
    プロローグに、暴力団抗争という不穏な事態の最中、街で発砲事件が在って、女性が救急搬送されるという物騒な場面が描かれる…そして以降、物語の本編が始まる。
    県警の捜査二課に課長として赴任したキャリアの仁村は、着任早々に大きな事案の相談を受けた。県知事が収賄に及んでいる可能性が在るので内偵を進めるという相談だった。
    収賄側の県知事、そして贈賄側の会社の代表者の関係性、贈収賄の事実を明らかにしようとする訳だが、内偵

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    2022年02月21日
  • 出署せず

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    柴崎警部シリーズ第二弾。
    5つの短編集。
    警務でありながら刑事事件に深く関わらざるを得ない。
    署内の運営を円滑にするべく動いたことが事件の解決に繋がる。
    撃てない警官も面白かったが、こちらもとても面白かったです。
    柴崎警部は所轄から本部へ戻ることはあるのでしょうか?それも楽しみ。

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    2021年09月08日
  • 伴連れ

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    ネタバレ

    柴崎令二シリーズ第3弾、事務方で出世を狙う柴崎が、元上司の陰謀によって左遷させられた警察署で、捜査現場に駆り出される…的シリーズである。

    が、今回の主役は柴崎というより、この巻から登場した、今時の女性警察官高野巡査。警察手帳を紛失するというとんでもない登場の仕方をする第1話から始まって、彼女の成長激で最終まで話が進むという展開。一種の成長譚で、その手の話は好みなんで、楽しかった。

    が、それだけで☆5つなのではない。この本のスゲーのは表題ともなった最終話「朋連れ」のラスト3ページほどである。興ざめ警戒で多くは書かないが、このどんでん返しは、中年以降には刺さるぞ!

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    2020年12月07日
  • 広域指定

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    左遷された所轄で奮闘する元エリートの柴崎警務課長代理を描いたシリーズ4作は初の長編、読みごたえがある。幼女の行方不明事件が発生、有力な容疑者は、別の幼女殺人遺棄事件で容疑者となった男だ。すべての状況が彼を犯人と指し示す中で、疑いを持った柴崎は部下の女性刑事と真相を追求する…

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    2018年09月19日
  • 出署せず

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    撃てない警官続編。
    柴崎警部はまだ所轄にいた。前作で警視総監直属の花形セクションから左遷させられたのだったが、春の異動内示はなく警務課の課長代理のままだった。
    今回、新しく同年代バリバリのキャリアの女性署長を迎え、補佐していく。

    捜査の経験はほとんどないが、柴崎警部は管理畑にいるのがもったいないほどセンスがある。

    そして補佐が絶妙だ。出過ぎず、立てるべきは立て、ここぞの時は譲らない。

    「本来なら我々だけでこの事件は解決できたはずです。しかしそうはできなかった。その原因に、思いを致すべきです。」
    これ。痺れましたわぁ。

    昔のセクションに返り咲いてもほしいけど、もう少しここで活躍する姿をみ

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    2017年04月01日
  • 撃てない警官

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    ネタバレ

    派手なアクションや操作はまったくなく、主人公が正義の塊というわけでもない。が、本庁へ返り咲きたいという人間くささ、欲と、綾瀬署管内で起こるいくつかの事件の行く先が気になり、一気に読める。事件ごとの短編なのもいい。シリーズを読破しよう。

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    2017年01月07日
  • 広域指定

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    過去の3作品は、3冊の何れもが「短篇、中篇という体裁に纏まったモノが積上げられ、1冊としての一定の纏まりになっている」ような構成であるのだが、本作『広域指定』は1冊丸ごとで1つの物語という体裁になっている。そういう表現スタイルの微妙な違いは在るが、シリーズの魅力は損なわれておらず、寧ろ過去の各作品に登場する主要視点人物達の活躍等が確り愉しめて好い。
    「過ぎる」程に意外な顛末が明かされる…最後まで面白い!!本作は、“推理”の面白さと、柴崎警部を始めとする劇中人物達の“人間模様”が巧く併存しているのが好い!!
    「短篇、中篇という体裁に纏まったモノが積上げられた1冊」が「1冊の長篇」に“発展”した感

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    2016年09月03日
  • 出署せず

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    ネタバレ

    外部の事件と、警察内部の駆け引きや葛藤が交差する、とても丁寧で濃密な短編集。横山秀夫氏の「陰の季節」が好きな方には、是非!

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    2016年04月04日
  • 強奪 箱根駅伝

    購入済み

    面白い!

    マラソンファンにも、サスペンスのファンにも楽しめる作品

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    2014年11月22日
  • 強奪 箱根駅伝

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    箱根駅伝直前に神奈川大学駅伝部の女子マネージャーが誘拐され、駅伝を中継する日本テレビに監禁中の女子マネージャーの映像が届き、駅伝生中継のジャックをほのめかし、要求を突きつけてくる誘拐犯。
    そのような中で始まるレース中、誘拐犯と犯人を捕まえたい警察、番組を守りたいテレビマン、仲間を誘拐されながらも必死でレースを続ける選手たちの攻防と心の動きが臨場感ある形ですすんでいき、どんどん読み進めていけました。
    作者の綿密な取材と大学名も実名で登場するのもリアリティを増していると思います。

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    2012年10月10日
  • 強奪 箱根駅伝

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    働く大人×箱根駅伝×ミステリ
    努力、信念、仲間

    ジョギングに興味を持ってるところだったので、
    箱根を走る彼らがいかにすごいかが分かりより没頭して読む

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    2010年06月20日
  • 蚕の王

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    戦後に起きた冤罪事件を題材にした小説

    作者の後書きにもあるとおり、ほぼ史実をベースに書かれているようです。


    冤罪とはたった二文字で表される言葉ですが、冤罪は一人の人生を台無しにしてしまいます。

    人はどうしても嘘を吐きます。
    犯罪者という属性上やむを得ないと思います。
    警察や裁判官はその嘘を見抜かなければなりません。
    しかしその嘘を見抜く為に嘘をついてしまったら犯罪者と同じで、犯罪者が被害者から未来や金品を奪うのと一緒で、国家権力が冤罪被害者から未来を奪ってしまいます。
    根幹には間違った起訴が許されない事と警察や検察の官僚制度というか一種のポイント制度のようなものが、冤罪事件を産み出して

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    2025年05月11日
  • 突破屋 警視庁捜査二課・五来太郎

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    「突破屋」の異名を持つ警視庁捜査二課第四知能犯捜査三係の
    五来太郎のもとに匿名のタレコミが入る。
    料亭を張り込むと、そこは、国運省の官僚と建設業者との会食の場だった。
    国家規模での公共事業の入札情報が特定の業者に流出している可能性が――。
    その後も密談を繰り返す両者だが、巧妙に隠される贈賄の証拠。
    途方もなく地味な捜査の積み重ねの末、癒着の現場を押さえた緊迫の瞬間に!

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    2025年04月14日
  • 消える息子

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    ネタバレ

    過去に戻ってその人を助けてしまったら、生まれ変わりである我が子の存在が消えてしまう。
    設定がとても面白かったです。
    果たして主人公はその人を助けるのか、助けないのか。
    助けないことで訪れる息子のいない世界があまりにも救いがなく。
    結局、助けない道しかなかったわけですが、なんとかうまくいく未来はなかったのでしょうか…。まあ、仕方がないんでしょうね。

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    2023年10月11日
  • 突破屋 警視庁捜査二課・五来太郎

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    初めて読む著者だったから、どうだろう?という感じで読み始めてけれど、最初から最後まで楽しかった。というより面白かった!捜査場面と取り調べ場面のテンポが違って、主人公・五来と容疑者との緊迫感がより感じられワクワク。シリーズ化しないかなぁ、と期待。

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    2023年04月18日
  • ゼンカン 警視庁捜査一課・第一特殊班

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    これは面白かった。特殊班の活躍を描く連作だが、主人公となる辰巳係長と日吉の人物像がよく描けていて、事件そのものも良く出来ている。辰巳がスーパーマン過ぎる、かつ上意下達の警察組織で一匹狼過ぎるのが如何にもフィクションだが、まあその他が良かったのでご愛嬌。。

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    2022年08月26日