あらすじ
柴崎令司警部は、今回も綾瀬署を離れることができなかった。その一方で、同世代のキャリア・坂元真紀が署長に着任。現場経験に乏しいコンビが誕生してしまった。職務にまつわる署内の不祥事、保護司による長男殺しの闇。そして、女性店員失踪事案の再捜査が、幾つもの運命を揺さぶりはじめる――。ミステリ×人間ドラマの興奮。日本推理作家協会賞受賞の名手が描く、警察小説集。
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柴崎警部シリーズ第二弾。
5つの短編集。
警務でありながら刑事事件に深く関わらざるを得ない。
署内の運営を円滑にするべく動いたことが事件の解決に繋がる。
撃てない警官も面白かったが、こちらもとても面白かったです。
柴崎警部は所轄から本部へ戻ることはあるのでしょうか?それも楽しみ。
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撃てない警官続編。
柴崎警部はまだ所轄にいた。前作で警視総監直属の花形セクションから左遷させられたのだったが、春の異動内示はなく警務課の課長代理のままだった。
今回、新しく同年代バリバリのキャリアの女性署長を迎え、補佐していく。
捜査の経験はほとんどないが、柴崎警部は管理畑にいるのがもったいないほどセンスがある。
そして補佐が絶妙だ。出過ぎず、立てるべきは立て、ここぞの時は譲らない。
「本来なら我々だけでこの事件は解決できたはずです。しかしそうはできなかった。その原因に、思いを致すべきです。」
これ。痺れましたわぁ。
昔のセクションに返り咲いてもほしいけど、もう少しここで活躍する姿をみたい。
続編読むの楽しみです。
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警視庁綾瀬署警務課課長代理の柴崎令司シリーズの2作目。今回も連作短編集の体をなしている。冒頭に新キャラクターのキャリアの女性署長が登場。現場を知らない署長と捜査部門との軋轢の間にたち、刑事では無いのに、あれよあれよといつの間にか、事件の捜査に関わることになる柴崎。ヒーローの活躍劇のような派手さは無い。しかしシリーズを通して警察組織の複雑な人間模様が淡々とだか味わい深く描かれる。そして事件の意外性からのミステリーの面白さもある。
本作の表題作でラストに掲載されている『出署せず』は、中編というか短めの長編のボリュームで、柴崎か綾瀬署の要となるストーリー。
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シリーズ第2弾,読み応えある5編の連作短編集だ。警視庁の中枢から所轄の警務課長代理に左遷されたエリート柴崎が,キャリアの若い女性警察署長と所轄の刑事の間で板挟みに。中間管理職の悲哀,花形部署への返り咲きを狙う野心,真相を追求する警察官としての良心に揺れながら事件を解決する。一番好きなのは5年前の失踪事件を題材にした『出署せず』。
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シリーズ2冊目。前作では、部下の責任を1人で負わされ、警視庁の花形部署から所轄の警務課に左遷された恨み節を炸裂させていた柴崎だが、今作では新しく赴任してきた女性署長の元、粛々と仕事をこなす日々。前作の緊張感はやや抜けたものの、警察官の不正を暴きながら事件を解決に導く、刑事顔負けの観察眼の鋭さが光っていて全体の印象は地味ながらも、とても面白かった。自身の野望はぐっとこらえ、警務課の仕事に追われる上、署長の無茶振りに忙殺される柴崎の警察官としての姿勢に次作も期待大です!
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柴崎令司シリーズ第2弾。新しい魅力的なキャラクターとして、女性キャリアの新署長・坂元真紀が登場。様々な事件に警察内部の人間ドラマが絡む。微妙な距離感を保つ柴崎と坂元が今後、どういう関係になっていくのか、どんなコンビになっていくのか……第3弾も(出れば)読みたい。
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「撃てない警官」の続編。
部下の自殺という不祥事の責任をとって綾瀬署に左遷させられた柴崎は、綾瀬署警務課・課長代理となった。
警務課でありながら捜査にも関わらざるを得ない状況に陥る柴崎。
どの短編も、物語の中心に事件を置きながら、犯罪に関わってしまった人たちの人間性を描いている。
事件を起こす犯人も警察官も同じ人間なのだ。
どんな立場に立たされようとも、何かを決断するときには下した人の考え方や生きる姿勢が表れる。
柴崎にとっては不本意な左遷であっても、警察官としての責務を忘れるような柴崎ではない。
キャリアの女性署長と刑事たちとの微妙な確執。
間を取り持つ火消し役、調整役を柴崎が果たさなければならない羽目になっていく。
本部への返り咲きをけっして諦めてはいない柴崎の、警察官としての目が事件を人間味豊かに解決していく。
派手な仕掛けなどないけれど読みごたえのある物語だった。
どの短編も手を抜いていない。丁寧に描かれている物語は面白い。
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警察署の人間関係を描きながら振り回される事件と新署長の話しを描いている。
細かな積み重ねを作品ごとにしてラストの長い中編でその吹き出したものを描きながら事件を表す。
なかなか面白かったし、柴崎の管理職としての悲哀などいいシリーズですね。
Posted by ブクログ
前作のようなインパクトはないが、ほとんど牙を抜かれた主人公がそれはそれで面白い
出てくるキャラが皆どこか人間くさく、生真面目な主人公が結果的にいいように使われ、断ればいいのにできないところや、現場が気になってしょうがなく、知らないところで事が進むと腹を立てたりと、どこか憎めない
主人公が主体となって解き明かしていくスタイルではないが、ミステリー部分もうまくまとまっていると思う
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「撃てない警官」の続編。現場を知らない女性署長のせいで組織に軋轢がうまれるのがリアルに思えました。当初は小さな事件と思われたケースが重大犯罪に発展していくさまが興味深かった。
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初めて読む作家の作品。警察小説。
と思ったら、シリーズ第二作でした。短編集だが、重い人間ドラマが描かれ、実に読み応えがある。
第一作も読んでみよう。
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署長が男性から女性に変わってしまった・・・
今回は副署長である助川の役回りが目立つことなく、
どちらかというと、刑事課長の浅井がちょくちょく出る。
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撃たない警官の続編。
・折れた刃
・逃亡者
・息子殺し
・夜の王
・出署せず
本庁から綾瀬署へあおりの懲罰人事を食らった柴崎が、女性キャリア署長・坂元と、癖強副署長の助川との間に挟まれながら、警務課として、事件の裏側に迫る。
続編から読んでしまった。
伏線の張り方が、独特で、ちょっと頭を使う。
Posted by ブクログ
これより先に「撃てない警官」があったが、しまったと思っていたら、解説が丁寧で読んだ気になれた。
そしてあれやこれやで、柴崎が左遷されたのが綾瀬署の警務課、課長代理だった。
間の悪いことが重なって、現場経験の少ない女性キャリアが署長になった。下で働く柴崎の署員との板ばさみ状態と、ついつい現場に足を踏み入れてしまう性格が、数多い警察小説の中でも物語を面白くしている。
折れた刃
職務質問をしてカッターナイフの携帯を見つけた。刃が6センチ未満なら軽犯罪法、6センチ以上は銃刀法違反になる、担当した警官二人は刃を折って短くしたがそれがリークされ、関わった巡査と警部補の取調べを開始した。難航したそれが終わったと告げると、署長はあっさり明るい声で「良かった」といった。
逃亡者
ひき逃げがあった、最近の車は塗料などの進歩で手がかりが残っていなかった。
被疑車両が見つかったが所有者は貸し出していたものだという。しかし借りた本人は行方が知れなかった。
犯人なのか、冤罪なのか。
柴崎が活躍するちょっといい話。
息子殺し
課長代理さんのレビューでこれが読みたかった。
保護司として人望もあり、世間に認められている人格者がなぜ息子を殴打して殺したか。
他人の子を更正させることに心を砕いてきたが、自分の息子にはどうだっただろうか、自問しながら父親は罪を認めている。酔った息子の乱暴を止めるために犯した罪で、正当防衛は認められるのか。状況は確かに父親のいうとおりなのか。
夜の王
事件が起きると、上司も飛び越えて初動捜査の手配をする、その指揮の巧みさで城田は「夜の王」と呼ばれていた。
9年前の事件もなんなく解決したが、新たに発生した窃盗事件で逮捕した犯人のタバコの吸殻が、9年前の4本のうちの一本のDNAと一致した。
どういうことなのか。そのときの捜査官、城田が呼ばれた。
出署せず
23歳の矢口昌美が失踪した。失踪事件として片付けていたが、5年後転勤先から戻った父親が捜索ビラを撒きはじめた。警察としても放っておく訳にはいかなくなった。当時、昌美が付き合っていた人たちから調べ始めると、複雑な人間関係が分かってきた。
昌美を可愛がっていたという南部は、今では周りの塀を高くして家に引きこもり、住居を要塞状態にして世間との交わりを絶っていた。中はごみ屋敷だというネットの写真も公開され、ついでに庭にごみを捨てる者も出る始末。係累のない南部は遺産相続人の甥、古山が何度訪れても門は閉ざされたままだった。
だが、可愛がっていた昌美に相続させるという遺言を書いたという噂があった。
古山は?付き合ったいたと言う横江は?昌美は無事でいるのか?
この最後の中篇は面白く纏まっている。
特に新味はないが、読みやすい。
署内の人たちの関係も、よくある軋轢や意志の疎通や、人事異時期の思惑なども良くわかる。
しかし、警察物というジャンルでは読者も手ごわくなっている。
キャリアの美人署長、柴崎の人柄や彼の家庭の様子などもあり、無難な出来だった。
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地味な事件の裏に人間の矮小さや小さな正義が潜んでいるのが面白かった第1作、二作目はあまりに地味過ぎるきらいがある。
保身と出世しか考えていないのが魅力だった主人公が警官とは何かみたいなお利口さん的なことをいうのも一貫性がなくて違和感。もっと利己的な動機で動く人というのを徹底した方が魅力が出ると思うんだけど。
あと謎のモテは意味わからんので不要。著者の女性経験の乏しさがうかがえる。妻子ある中年がそんな風に唐突にモテることはないという現実を見て知ってほしい。
とはいえつまらないわけではなく地味に地味に読める。
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柴崎令司警部は、今回も綾瀬署を離れることができなかった。その一方で、同世代のキャリア・坂元真紀が署長に着任。現場経験に乏しいコンビが誕生してしまった。職務にまつわる署内の不祥事、保護司による長男殺しの闇。そして、女性店員失踪事案の再捜査が、幾つもの運命を揺さぶりはじめるー。
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「撃てない警官」の続巻。「隠蔽捜査」シリーズと設定は似ている。しかしあちらはキャリアの署長で、柴崎は警察署の警務課課長代理(中間管理職)。当然上からも下からも突き上げはあるし、抜群の能力が災いして、もはや何でも屋…という気の毒な立場。当然、勧善懲悪でスカッとする場面はなく、読み手も柴崎目線でもやもやしてしまう。でも、5つの短編それなりに面白かった。次巻も楽しみ!
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内容(「BOOK」データベースより)
柴崎令司警部は、今回も綾瀬署を離れることができなかった。その一方で、同世代のキャリア・坂元真紀が署長に着任。現場経験に乏しいコンビが誕生してしまった。職務にまつわる署内の不祥事、保護司による長男殺しの闇。そして、女性店員失踪事案の再捜査が、幾つもの運命を揺さぶりはじめる―。ミステリ×人間ドラマの興奮。日本推理作家協会賞受賞の名手が描く、警察小説集。
柴崎が本職では無い捜査でバンバン成果を出してしまって、なかなか本来の仕事に戻れないという可哀そうなお話です。ちゃんちゃん。
なんですがこの昂揚感なく淡々と進みつつきっちり話には落とし前をつける辺りは力量を感じます。警察内部を描いた小説好きとしてはお勧め出来る本です。
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不祥事がらみで所轄署に左遷させられる主人公というのは「隠蔽捜査」シリーズと同じなので、同時に読み進めているとこんがらがる。こっちの主人公のほうが若干インパクトが弱い。階級が低いから上司に強くでれないからか。
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警視庁総務部企画課という花形部署から綾瀬署警務課課長代理に左遷された柴崎令司が主人公。管理系ポストの警察官視点のちょっと風変わりな警察小説。4つの短編と1つの中編という構成。題名にもなっている中編の「出署せず」が一番面白かった。他の短編は面白くないわけではないのだが、今一つ自分にははまらなかった。同じような設定の小説でも、今野敏や横山秀夫の小説のほうが好きかもしれない。
Posted by ブクログ
安東さんの2冊目。
面白かった。十分に。
続編あるのかな…?女性署長が変わりゆく様を、もう少し見ていたかった。
表題作『出署せず』が一番好き。
だけれど……
トリックものだったとは。
“いわゆる推理小説”な感が漂ってきて、人間ドラマに引き込まれて読み進めた心が!少しだけ肩透かしを喰らった気分。
★3つ、7ポイント半。
2015.05.20.古。
続編があるなら、迷わず買うだろうな。
安東さんの、他の作品も機会があればきっと読むだろう。
Posted by ブクログ
女性キャリアの新署長、の謳い文句に今野敏の隠ぺい捜査シリーズの竜崎署長のような活躍を勝手に期待していたため、ズッコケ。
管轄の仕事以外の捜査に駆り出される警務課の課長代理が主人公。所轄内で浮いた存在の、現場経験のない新署長と刑事課の軋轢の板挟みになったり、署内不祥事の後始末とか。
警察の実情が反映されているといえるかもしれないが、派手な事件もなく、最後まで物足りなさが残った。
Posted by ブクログ
所轄・綾瀬署に左遷させられた柴崎令司警部が、主役であるが、今回は珍しい女性署長のもとで事件を推理していく。現場経験のない柴崎が刑事のように事件の核心に迫っていく形が新鮮で、所轄の署長、副署長と各部に挟まれる中間管理職の悲哀も面白い。それでいて、女性店員失踪事件の裏に隠された謎は意外にしっかりとした推理物になっている。