C.S.ルイスのレビュー一覧

  • 馬と少年 ナルニア国ものがたり5

    Posted by ブクログ

    きた、やはり蛮族といえば南方にあり、砂漠の向こうに住んでいるわけだ。絵を見るに、オスマントルコとかがモデルかな?
    まぁそんな蛮族ではあるけども、ラバダシは命乞いなどせずに非常に潔い。砂漠を馬で越えて、補給に困った様子もなく、なかなか有能な武略家ではなかろうか。単なる王族のボンボンではないのだ。そのあたり、心ある歴史家なら評価を見直しても良いのではないか。
    何しろいけ好かない正義を振りかざして良い子ちゃんの北方民族に比べて、カロールメンはアツいと思ったけど、あっさり最後は日和るんだもんなぁ。やっぱ魔法は怖いってことよね。いや、そりゃこんな得体のしれないもんは怖いわ。ティスロックは正しく、現実主義者であろう。

    0
    2022年08月25日
  • 銀のいす ナルニア国ものがたり4

    Posted by ブクログ

    相変わらず時代感がナイスで、こういう表現を使った本が今後生まれることはないだろうから、貴重なんじゃないか。
    今回のポイントは巨人かね。ただ石を投げるだけの愚かな巨人、という方はまだしも、賢い巨人の方は恐ろしいというか、まぁある意味ペットから見た人間てなもんで、エサをやって気が向いたら食うわけで。これを読んで子どもたちもベジタリアンに転向すること間違いなしである。
    更には言葉を理解しない獣は食って良いけど、理解する獣は食っちゃだめ、という、知的なら殺すな西洋主義が理解できるのではないか。イルカはダメでブタはOKなわけですよ。
    てかブタは蔑視表現として連発されているので、ブタも可哀想に。まぁ美味いから食うけどね。

    0
    2022年08月15日
  • 銀のいす ナルニア国ものがたり4

    Posted by ブクログ

    ナルニアも、ついに4巻。
    前の巻が海なら今回は地下の冒険。
    王子を探して冒険する話だが、みそは「目的の忘却」にある。登場人物が皆自分が何者であるか、忘れてしまう。何が正しいのか分からなくなるというのが今回のテーマ。
    それ故、これまでと比べてグダグダで新キャラの泥足にがえもんの性格も相まってじめじめした雰囲気がある。
    ただ、最後にそれらを吹き飛ばすカタストロフがやってきて大団円になるのでとても読み心地が良い。

    0
    2022年08月07日
  • 朝びらき丸 東の海へ ナルニア国ものがたり3

    Posted by ブクログ

    前巻カスピアン王子の角笛から数年後の話。
    船に乗って島々を巡る冒険の旅に出るという話で、ワンピース的な面白さの詰まった王道の面白さがある。
    しかし、同時にシニカルな表現が増えていて、ブラックユーモアな面白さもある。
    物語の後半、いやはての旅での海の美しい表現、残らねばならない者、旅に赴く者の対比。これらは作者の宗教的、社会的な心象風景が投影されていてとても趣深いものになっていると思う。

    0
    2022年06月26日
  • ナルニア国物語6 銀の椅子

    Posted by ブクログ

    ナルニア国物語の6巻目。タイトル『銀の椅子』が何なのか、色々想像していたけれど、まったく当たっていなかった。

    ペヴェンシーきょうだいのいとこ、ユースティスが再登場。いじめられっ子のジル・ポウルと体育館の裏から学校の外へ出ようとしたユースティスは、またもやナルニア国へ呼び出される。ナルニアでは数十年が経過。航海王と呼ばれるようになったカスピアンは老い、彼の息子リリアン王子は魔女の手にかかって行方不明になっていた。アスランから4つの〈しるし〉に従ってリリアン王子を探し出すよう命じられたジルとユースティスの冒険が始まる。

    前作でただ一人、二度とナルニアに来ることはないとアスランから言われなかったユースティスが続投となり、おーやっぱり!と思った。前作ではかなり性格のねじ曲がっていたユースティスだが、今回は成長を遂げている。とはいえ、そこはユースティスであり、友だちのジルもすぐに心が折れてしまう。素直なペヴェンシー4きょうだいとは異なり、アスランの言うことに中々従わないのだ。そんな2人がシリーズでも屈指の大冒険を繰り広げる。アスランも頭を悩ませたことだろう。

    ピーターたちペヴェンシーきょうだいは、すぐにナルニアに順応した(何せ闘いに参加するわ、敵の首も切り落とすわ…)が、冒険から逃げ出したり、使命を忘れたりと、ユースティスとジルは右往左往。読んでるこちらはもどかしいけれど、まあ何もわからない異世界に急に飛ばされたら普通の反応かも。ナルニアの世界の共通語が英語であることも判明した第6巻である。

    前作では勇敢な〈もの言うねずみ〉リーピチープが大活躍した。今回2人を支えるのは〈ヌマヒョロリ〉族のパドルグラム。デフォルトでネガティブなのに、いざとなったら決して信念を曲げない姿が印象に残るキャラクターだ。こういう魅力的な脇役陣が多くいるのもナルニア国物語の魅力だろう。
    さて、いよいよ最終巻だ。

    0
    2022年01月09日
  • ナルニア国物語5 ドーン・トレッダー号の航海

    Posted by ブクログ

    ナルニア国物語の5巻目。岩波書店版でいうところの『朝びらき丸 東の海へ』である。

    夏休みを叔母さんの家で過ごすことになったエドマンドとルーシーは、突然、いとこのユースティスと共に絵の中に引きずりこまれ、気がつくとナルニア近海に放り出されていた。カスピアン王の船に助けられた3人は、そのまま行方不明の7人の忠臣たちを探す旅に同行することに…。
    カスピアン王の叔父のミラーズに追放された7人の話は、前作『カスピアン王子』でチラリと出てきた。ナルニア歴で3年が過ぎ、16歳になったカスピアンは、アスランの許しを得て、彼らを救う旅に出ていたのである。

    ナルニアに来られなくなった年長のピーターとスーザンは表舞台を去り、今回はエドマンドとルーシーが活躍する。物語を通しての成長株エドマンドはお気に入りのキャラだが、やはりメインはアスランに近しいルーシーということになる。そもそもナルニアの物語は、ルイスの友人の娘ルーシーに捧げられているので、その名をもらったルーシーが活躍するのは当然かもしれない。前作であまり見せ場のなかったカスピアン、初登場のユースティスにも活躍の場が用意されている。

    ここ数作を通して、アスランは少しずつフェードアウトしてきているように感じる。強く導くというよりも、見守るというスタンスに変わってきているようだ。「きみはアスランを知っているの?」と訊くユースティスに対し、エドマンドは「むこうがぼくを知っているんだ」と応える。キリスト教的な問答だが、アスランと子どもたちのこの距離感は物語に一貫している。

    本巻の最後にアスランは、エドマンドとルーシーに対し、二人がナルニアに来ることはもうないと告げる。歳をとり過ぎたのだ、と。そんな殺生なと二人に代わって文句を言いたくなったが、アスランはさらに続ける。「そろそろ、自分たちの暮らす世界と絆を深めるときが来たのだ」。
    なるほどと深く納得してしまった。ナルニア国物語に限らず、大人になって子どもの頃に見えていたものが見えなくなるのは、多くの物語でありがちなパターンだ。毎回その理不尽さに不満があったのだが、それは何かを失ったからではなく、次のステップに進むためなのだというアスランの言葉はえらく腑に落ちた。

    今回初めて、物語はナルニア国のある大陸を離れた。これまで以上にルイスの想像力が発揮され、読者を全く飽きさせない。もうほんと、よくこんなことを思いつくな、実際に見てきたのではないだろねと疑いたくなるほど。4きょうだいのエピソードも終わり、物語はいよいよ終盤に。次の巻に進もう。

    0
    2022年01月06日
  • ナルニア国物語4 カスピアン王子

    Posted by ブクログ

    ナルニア国物語の4巻目。これまた原著タイトルに忠実に、岩波書店版にはあった「つのぶえ」の表記がない。

    ピーター王らが築いた黄金時代から何百年も過ぎ、ナルニアの地は異国の民テルマール人に征服されていた。〈もの言うけものたち〉やドワーフは殺され、あるいは追い払われ、精霊たちの姿はない。
    カスピアンは、テルマール人の若き王子である。支配階級にありながら、古き良きナルニアに心を寄せていた彼は、半ドワーフの家庭教師に導かれ、ナルニアの仲間たちと共に叔父王に反旗をひるがえす。圧倒的な戦力差に絶体絶命となったカスピアンは、魔法の角笛を吹く。それは、ロンドンに戻り日常生活を送っていたピーターたち4きょうだいをナルニアへ呼び戻すものだった…。

    タイトルロールはカスピアン王子だが、これはやはりピーターたちの物語である。そして、成長し過ぎたピーターとスーザンにとっては、ナルニアでの最後の冒険となることがアスランによって告げられる。実際、今回、末っ子のルーシー以外はアスランの姿や声がわからない状況が続く。シビアだ。

    アスランは不思議な存在である。その姿は輝くライオン。海の彼方からやってきて、大帝の息子であるという。つまり、彼は至上の者ではない。ナルニアの地が、あの世界でどのよう位置を占めるのか曖昧だが、アスランはナルニアの他にもいくつもの地を管理しているとされる。今回、アスランはナルニアが荒廃するに任せていた。ナルニアの民からさえ、アスランの存在は消えかかっていたのである。そのくせ、ピーターたちをさも当然のように使い、ナルニアに復権するとカスピアンを王に指名するのだ。何がしたいのか、アスラン。
    しかし、多くの神話において、神のされることは理解不能なものである。理解することを拒絶するものである。信じるしかない。ナルニア国物語は、偉大なるアスランの神話でもある。

    0
    2022年01月04日
  • ナルニア国物語2 ライオンと魔女と衣装だんす

    Posted by ブクログ

    ナルニア国物語の2巻目。光文社文庫版では、より原著に忠実に、「衣裳だんす」がタイトルに加えられている。

    前作のディゴリーとポリーの冒険から数十年後。ディゴリーは著名な教授になっており、片田舎の広大な屋敷に住んでいた。そこに戦火から疎開して、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーという4人のきょうだいがやってくる。4人で屋敷を探検しているとき、末っ子のルーシーが衣裳だんすを潜り抜けると、その先には冬に閉ざされたナルニアの森が広がっていた…。

    ファンタジーには異世界に通じる抜け穴のバリエーションがあるが、衣裳だんすが異世界へつながっていたというアイデアは本当に秀逸。ドラえもんの宇宙開拓史なんかも延長線上にありそうな気がする。私も子どもの頃に、かくれんぼで何度も衣裳だんすに潜り込んだ。子どもは狭いところに潜り込みたいものなのだ。

    解説でもキリスト教の影響の色濃さを指摘しているが、それは確かに強く感じる。アスランの復活とキリストの復活の類似性にはなるほどと思う。しかし、それは大人になった今だからの感想なのかもしれない。サンタクロースが登場し、ギリシア神話やケルト神話的なものまで登場するから節操がないともいえる。

    以下余談ながら、衣裳だんすのくだりを読むうちに、はるか昔の特撮ヒーローものである「兄弟拳バイクロッサー」を思い出してしまった。小学生の頃の記憶なので曖昧ながら、ナルニアよろしく、衣裳だんすが異世界につながっていて、弟が乗ったバイクを兄が担ぐという斜め上な必殺技を繰り出すヒーローだったような…。図らずも、読書が回想法になってしまった。年だなあ。

    0
    2022年01月02日
  • 朝びらき丸 東の海へ ナルニア国ものがたり3

    Posted by ブクログ

    第二作(カスピアン王子のつのぶえ)で予告された通り、上の二人は今回は登場せず、年下のエドマンドとルーシー、それにいとこのユースチスがナルニアの国に迷い込む。
    平和な世を築いたカスピアン王子は、東の海の果てを探検する航海に出発した。その船に乗り込んだ3人が出くわす、奇妙な島々での冒険。そしてとうとうたどり着く東の果てではどんなことが起こるのか。
    次はどんな島が?と思わせる展開。
    いきなり奴隷商人に捕まってしまったり、
    ユースチスが竜にされてしまう島、
    目に見えないものたちから声をかけられ、「この魔法を解いてくれ」と頼まれたり…。
    ユースチスも初めは癪に触るキャラクターだけど憎めない。

    一作目(ライオンと魔女)よりも二作目、三作目の方が好きです。ただ、岩波少年文庫の古い訳と、ひらがなが多すぎて読みにくいのが少し気になります。

    0
    2021年12月18日
  • ナルニア国物語6 銀の椅子

    Posted by ブクログ

    タイトルは『銀の椅子』だけど、銀の椅子がほぼ活躍しなかったので、記憶に薄かった。
    そしてまさかのユースティス続投!そしてかなりいい奴になってるのに比例して見た目も良くなってる〜!
    パドルグラムがめっちゃカッコいいと思った。

    0
    2021年08月06日
  • ナルニア国物語4 カスピアン王子

    Posted by ブクログ

    タイトル『カスピアン王子』だけど、カスピアン王子の影がうすかった…。期間限定でしかナルニアに出入りできないのは寂しい。

    0
    2021年08月01日
  • 新訳 ナルニア国物語2 カスピアン王子

    Posted by ブクログ

    ナルニア国物語シリーズ、
    2冊目は新訳で読んでみた。
    つばさ文庫版の新訳ともすこし違うらしい。

    わたしは瀬田さんの訳が大好きだけれど、
    新訳の河合さんもよかったです。
    きちんと原作の雰囲気を残してくれているし、
    解説からも愛が伝わる。
    いまの子供たちは新訳と挿絵のほうが手に取りやすいだろうなあ。面白い作品なのでおすすめしていきたい。

    個人的にはゲド戦記よりは読みやすさがあるシリーズだと思う。あちら自分との戦いだしな、、。


    2冊目は「カスピアン王子」
    4兄妹の世界では1年しかたっていないのに
    ナルニアでは100年以上経過していた、という。
    前作で出てきたあの角笛で
    ナルニアに再び呼び戻される。
    伏線(と言っていいのか)がまたお見事すぎて感服。

    100年後のナルニアと
    新しい王子をご堪能あれ。

    この調子でシリーズ全部読んでしまいそうだな、、

    0
    2021年01月20日
  • ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり1

    Posted by ブクログ

    面白かった、、!

    クローゼットの奥が
    別の世界に繋がっている、だって!
    なんて憧れのシチュエーションだろう。

    4人の兄妹と、白い魔女、そして君臨する世界の王様のアスラン。
    出てくる動物たちが可愛らしいのに加えて、
    空想上のいきものがこれでもか!と登場して
    戦うシーンは必見。


    瀬田さんの訳が大好き!だけど、
    どうやら新訳も出ている様子。
    読み比べてみようかな!

    0
    2021年01月18日
  • カスピアン王子のつのぶえ ナルニア国ものがたり2

    Posted by ブクログ

    本当にこの小説は子供向けなのか?と疑問に思うけど、今回もしっかり白黒つけて、敵ならば殺す、というスタンスで潔い。裏切り者も許さない。
    これがまたちびっ子でも容赦ないので、ああ、人を殺してしまった、あわわわ、みたいになる現代の子どもたちなど相手になるべくもない。
    なわけだから、概ね戦いとその準備に明け暮れて、行軍、補給、そして戦う、という流れで、野宿も余裕であり、ともかくタフ。
    イギリスっ子侮りがたし。

    0
    2020年11月18日
  • ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり1

    Posted by ブクログ

    映画になってたなぁ、と思ったけど、原作は随分と古かった。50年前て。何がきっかけで流行るか分からんなぁ。
    現代人(と言っても1960年くらいの設定だろうけど)がナルニア国に飛ばされて、なぜか最初から善人として扱われてて、人間=善 vs 魔女=悪、という非常に分かりやすい展開。ちなみにモモンガは悪である。そう言うんだからしょうがない。かわいそうに。
    でも何が良いって、悪となったら遠慮せずに殺す、殺す。ナルニア国に来たばかりの少年もいきなり剣を持って殺す。改心させるとかそんな甘っちょろい話はなく、お互いに殺すか殺されるかで、さすが1960年。
    思いのほか殺伐としてて、掘り出し物だわよ。

    0
    2020年11月09日
  • ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり1

    Posted by ブクログ

    言わずもがな知れたファンタジーの傑作。実在しないナルニア国の情景がありありと想像できて、実際に自分も衣装ダンスを抜けてルーシィたちと冒険した気分になれる一冊。日本語訳は所々違和感はあったけれど楽しめたので良し。映画はまだしっかり観たことがなかったから観てみたいな。

    0
    2020年09月21日
  • ナルニア国物語2 ライオンと魔女と衣装だんす

    Posted by ブクログ

    『ナルニア国物語』の第2巻の物語の構成は、ある意味とても素朴かも知れません。

    解説でも触れられていますが、物語の基本型である日常から非日常への「行って、帰ってくる物語」であり、悪を乗り越えて、魔女に支配された世界の秩序を取り戻し、子どもたちは人間的に成長する。
    おそらくこれ以上無いくらい、物語らしい物語だと思うのです。

    そんな素朴な物語に味をつけるのが、登場するキャラクターたちと、作者であるC・S・ルイスの語り口であったりする気がします。

    ナルニアの国に最初に迷い込んでしまうルーシーの素直な感じであったり、長男のピーターが勇気を示したりと、子どもたちの活躍もさることながら、ナルニア国ならではのファンタジーの世界の住人たちが、個人的になおのこと好きです。

    最初にルーシーと出会い、彼女を助けるフォーンのタムナス。魔女に見つからないよう、子どもたちにしゃべらないように促しつつも、自分の作ったダムが褒められるとうれしがるビーバーの夫。
    美味しそうな食事を振る舞うビーバーの夫人は、魔女の追っ手が迫ってきてもマイペースで、魔女に囚われた巨人やライオンは、どこかとぼけている。そして、神秘的であり神々しくもある世界の創造主であるアスラン。

    物語は基本的に作者(神)の視点で語られるのですが、その文体が時折、物語を語るのではなく、読者に語りかけてくるようになるのも面白い。

    衣装だんすに閉じ込められることを、異様に注意したり、またビーバーが子どもたちにダムを褒められたときの表情については『自分の丹精した庭を案内するときや、自分が書いた物語を読み聞かせるときに人がよく顔にうかべる、あの表情だ』と語りかけ、

    子どもたちが哀しみにくれる場面があれば、『この本を読んでくれている諸君がこの夜のスーザンやルーシーほどみじめな気もちを味わった経験がないことを祈っているが――』と語りだし、
    『一晩じゅう涙がかれるまで泣きあかした経験があるとしたら――最後にはある種の静謐な時間が訪れることを知っているだろうと思う』と語りかける。

    この語りは物語の流れを阻害するものではなく、一種のアクセントになっているように感じます。

    後、この『ライオンと魔女と衣装だんす』で驚いたのがサンタクロースが、実際に登場人物として現われ、子どもたちに魔女との戦いのためのプレゼントを渡すところもなかなかのインパクト。
    完全なる空想の世界の物語と思いきや、急に子どもの頃から身近だった空想が、突然現われるその意外性が、なんとも印象的です。

    物語の型や子どもたちのそれぞれの雰囲気は、児童文学らしく素朴でごまかしがありません。一方で突然作者が語りの中から現われたり、あるいはサンタクロースのような子どもの大好きな空想が、物語の中に現われたりと、どこかごった煮のように感じられるところがあります。それななぜなのか。

    自分は、作者のC・S・ルイスが読者として想定していた子どもへ、どうやったら物語と物語の声を届けられるか、考えた結果がこの素朴で、一方でごった煮のような物語と語り口だったのでは無いかと思いました。

    物語のところどころでキリスト教を思わせるところがあります。解説によると『ナルニア国物語』は、キリスト教弁証家のルイスが、聖書を子ども向けに書き直したにすぎない、という批判もあるらしいです。そうみると物語がところどころ寓話的なのもうなずけます。

    でも、その枠を越えて「固い寓話よりも、サンタも魔女もライオンも巨人も、喋るビーバーも出した方が、おもろいやん」というサービス精神のようなものが、物語に根づき、そして時折顔を出しているように思えてきます。

    児童文学らしく真っ直ぐな物語ですが、その分小手先の技術では誤魔化しきれない、作者のC・S・ルイスの読者への思いが確かに乗っかってこその、世界的な名作なのだと思います。

    0
    2020年06月14日
  • 馬と少年 ナルニア国ものがたり5

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    再読。

    『ナルニア国物語』第5巻。第4巻からは数百年前に遡り、第1巻『ライオンと魔女』と同時代におけるひとつのエピソードを描く。第4巻において、古くから歌い継がれてきた歌として「馬と少年」の名は現れていたが、今巻はその内容(少年と少女と、2頭のものいう馬による新天地への旅路)が語られる。
    次巻でナルニア国の始まりが、次々巻の最終巻ではナルニア国の消失が描かれ、物語が終局へ向かっていくからか、この巻は明るく伸び伸びとした冒険物語といった印象。

    0
    2020年05月28日
  • 朝びらき丸 東の海へ ナルニア国ものがたり3

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    再読。

    『ナルニア国物語』第3巻。第2巻から3年後のナルニアを舞台に、カスピアン王とエドマンド、ルーシィ、ユースチスら人の子の航海を描く。

    訪れる島ごとに違った冒険があり退屈しない。特に、ユースチスが竜となってしまう島のエピソードは印象深い。 

    第1巻『ライオンと魔女』において、アスランという存在には「ライオン」「復活」等のキリスト的モチーフが重ねられていた。今巻ではそれに加え、「子羊」「魚」等のモチーフもまた重ねられている。「あちらの世界では、わたしは、ほかの名前をもっている。あなたがたは、その名でわたしを知ることをならわなければならない」というアスランの台詞からも、キリストの象徴を読み取れると思う。
    そう考えてみると、第1巻で異世界ナルニアにクリスマスがあるとされた理由も、今巻において、遡って頷かれるように感じられた。

    0
    2020年04月28日
  • カスピアン王子のつのぶえ ナルニア国ものがたり2

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    再読。

    『ナルニア国物語』第2巻。
    第1巻『ライオンと魔女』にてナルニアの王となったきょうだいたちが、荒廃したナルニアを再び訪れて、漂泊の王子を助け、また、国に元の姿を取り戻させる、という筋。カスピアン王子にはもっと目立ってほしかったところ。第1巻の出だしでつまづいたエドマンドに、今回は見せ場があったのは良かった。

    0
    2020年04月20日