奥泉光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
奥泉光の『葦と百合』は、夢と現実、過去と現在が混じりあう不思議なミステリー作品。
奥泉光は明るいトーンで広大なスケールの物語を創作する場合も多いが、本作品『葦と百合』のようにじっとりした、夢と現実が混ざりあうような物語にも定評がある。作中に散見される山百合の描写は、ストーリーの展開と相まって、じっとりむせる様な匂いまで感じるようだ。そのような匂いたつ、じっとりした人々の関係性が、長年の時を経て変化していく。その結末まで続く夢と現実の交錯を、じっとり感にあえぎながら読み進めることで、奥泉光ワールドにどっぷりと浸かることができるのだ。
しかし、物語の展開そのものは、過去と現在が行ったり来たりし -
Posted by ブクログ
音大を目指していた主人公。彼の通う高校に、天才ピアニストと名高い少年が入学してきた。
少年は指が切断されたのに、のちに海外でピアノを弾いていたという話から始まって、女子高校生がプールで殺されたりなので、ミステリーのカテゴリーにはいってるみたいだけど、実際には「シューマン論」だった。
うん。「シューマン論」としては、ものすごく面白かった。
で、入れ子の入れ子みたいなことなのだけど…。
どこまでを曖昧模糊にするかっていうのが、微妙。
つか、これを<ミステリー>にカテゴライズしないといけない、曖昧のままでおいてはおけない、というのがむしろに今の出版業界の苦悩が感じ -
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Posted by ブクログ
山中深くに理想の村(コミューン)を建設した「葦の会」。学生時代に参加した主人公はが5年振りに再訪しますが、そこはとうに解体。かつての恋人と友人の消息を確かめようとしますが、そこで奇怪な事件に遭遇します。
麻薬的な魅力を持つ作品で、読めば読むほど訳が分からなくなります。誰が実在の人物で架空の人物なのか、誰が死んで誰が殺したのか、そもそも死んだ人間がいるのかどうかすら分からなくなります。入れ子細工と合わせ鏡が組み合わさったような形で展開されたまま、真相は結局提示されないままで終わってしまいます。自分なりに真相を考えましたが、どうも辻褄が合わないような気がしたので、「雰囲気は良いが未成熟な作品」とい