感情タグBEST3
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今まで読んだ「石の来歴」や「シューマンの指」は陰惨な空気を孕んだミステリだったのに、この本はクスリと笑える(そしてちょっと胸が熱くなる)SF小説だった。こんなのも書けるのか!とますます奥泉光が好きになった。分厚いけれどそんなの気にならなくなる話運び。
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ものすごい長かったけど、ユニークな語り口とフォギーの愛すべきキャラクターのおかげで、だれずに読めた。
神霊音楽会が私の中でクライマックスだったけど(フォギーかっこいい!)、その後、各登場人物たちとの別れを丁寧に描かれていて、もうすぐ物語がおわるんだなーと思ったらとてもこの物語がいとしく感じた。ジャズは詳しくないので、ラストにちょっと置いてけぼり感を食らったけど、それでもとても楽しい読書だった。
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すっごくおもしろかった、読んでて幸せ、読み終わっても幸せな感じ。これぞ、小説という感じ。ミステリ、歴史、ファンタジー、冒険、SF、ロマンス、哲学、宗教などすべてがつまっているし、場面ごとの雰囲気もすごく動きがあったり、静謐だったり、ほのぼのだったり。そしてとにかく主人公の36歳ジャズピアニスト、フォギーがものすごーく魅力的でファンになった!自分ツッコミが多いし、一見、浮ついているみたいだけど実は繊細で、柔軟性があって前向きで、いい人で、考えが深くて。ジャズの即興演奏は他人を受け入れることだ、とか、他人のために祈ること、とか、深く感じ入って共感するところがたっくさんあった。相棒の佐知子ちゃんもすごくキュートで魅力的。こんな友達とか後輩がいたらいいなあと。このコンビと霧子の隠れ家生活のあたりなんていつまでも読んでいたいくらいだった。この小説、難しそうでかたそうで男っぽく見えて絶対損してると思うんだけど。もっとずっとやわらかくて楽しくて、絶対女子向けなのに!最後のオプショナルのような章も、これぞSFの幸せ!って感じ。ジャズに興味が出てきたり。フォギーと佐知子ちゃんが活躍する続編なんて出ないかなあ!!!
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面白かった!!!!本読んでわくわくする気持ちをひっさしぶりに味わったかのよーでした。
奥泉さん初めて読んだけど、これから読んでこ〜っと。
ベートーヴェン様がカッコよくって大満足☆(そこですか)
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ウダツのあがらない30代負け犬ジャズピアニストのフォギーが、「オルフェウスの音階」に導かれ戦時下のドイツに至る大冒険譚。
「ロンギヌスの石」やら「フィボナッチ数列」やら、神秘的なモチーフの断片が散りばめられ、しまいにはオクイズミヒカルまで出現する荒業のメタフィクション。
根底に流れる遊び心満載のジャズ魂から発せられる、人を食ったような展開にまるめこまれながら読んでいくのが気持ちよくてたまんないです。
何よりも、自由闊達に動き回るフォギーの魅力にヤラれました。
中盤の、祈りについてのフォギーの考察は胸に迫るものがありました。
特定の信仰、民族、文化を超えて、祈るということの意味を考えさせられます。
最後のほうは蛇足と思われる向きもあるかもしれませんが、これはこれで、ジャズのグルーヴ感をフォギーと一緒にめいいっぱい味わったようですごく良かったです。
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時空を超えるSF小説。
奥泉光は、昔、「葦と百合」を読んで、小説であることを意識したややこしい小説を書く人だな、と思ってたんだけど、今回のは読みやすい。ストーリーを追ってくだけで面白いし、その中に出てくる思想も好き。教会で祈るシーンでは、ああ素敵だな、と思った。何度も読み返したい。
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簡単に言うと二人の女性(女の子?)が1944年のドイツにタイムスリップして、そこで右も左も分からない中で猫やピアノと格闘しながら宇宙の真理や祖母の秘密を探る話。軽妙、不可思議、神秘的!
ジャズのCDをゆるくかけながら読むのにふさわしい本だった。勢いがあり弾けて流れるように続くユーモア溢れる文章、がむしゃらに前向きに進むフォギーと佐知子ちゃん、時代も場所も入り乱れて最後には宇宙(!)のエネルギーを集めた音楽の話に進み、不思議で大人ウキウキした感じの気分になれる。
それにしても、この題名はどういう意味だったのだ?
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☆4
「フォギー」ことジャズ・ピアニストの池永希梨子は演奏中に不思議な感覚にとらわれた。柱の陰に誰かいる…。それが、時空を超える大冒険旅行の始まりだった。謎の音階が引き起こす超常現象に導かれ、フォギーはナチス支配下、1944年のドイツへとタイムスリップしてしまう―。めくるめく物語とジャズの魅力に満ちた、ファンタジー巨編。
最初は「なんかタイトルからして良くわからなそうだし、分厚いし、挫折しそう・・・」と思ったけど、思いがけずスイスイ読めた。途中から1945年のドイツにタイムスリップして、フォギーはどうなるんだろう、方向音痴だし、いい年なのに(失礼!)どこかぼんやりしているようなところもあるし、とまるで身内のようにちょっと心配しながら読んでいました。文章が、時々ちょっととぼけたような感じで、クスッと笑えるところもあって、意外に読みやすかった。
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途中のフィボナッチ数列だとか、カラヤンだとか、宇宙オルガンだとか何とかがどうでも良くなるくらい、最後の演奏シーンに感激しました(少し、涙が出るくらい)。
この小説はジャズだ。間違いなく。
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Jazzに関係ありそうという事だけで、とくに予備知識もなく読み始めた(著者が男性だということも知らなかった)が、以外と奇想天外な空想活劇で、エンターテイメントとしては面白かった。
注釈の多い文章が途中でしつこくなったり、飽きたりするかと思ったが、以外と最後まで読めた。
謎が解明した(?)時のすっきり感があまりなかった事と、最後のNYの部分は蛇足のような気がする点は残念か…
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ジャズ好きならばこの小説を読んで面白くないわけがない.作者得意の時空を超えていくお話ですが,構造的には判りやすい.「宇宙オルガン」見てみたい.
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確か以前読んだはず…。思い出せないのはなぜ?たな友さんの感想を見て再読。
あ~、そうだったそうだった。中盤でちょっと飽きてしまって(長いんだもの)あとを読み飛ばしたんだったよ。今回はちゃんと読んだ。
何より、すっとぼけた主人公フォギーがいい。超自然的出来事のただ中でも、きっちりごはんの心配をし、よく寝てるのがおかしい。ジャズが好きな人だったらもっと楽しめただろうな。
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「いい」いう噂とタイトルだけを知っていて、すっかり鳥さんだったり、学者さんのお話だったりと想像していたが、ジャジーなタイムリープものだった。
若干気怠さのあるジャズの雰囲気がこんなにもナチス下のドイツにあうとは思わなかった。
いい意味で騙されて、電車つり革ではかなり辛い重さの文庫もみるみるうちに読み進んでしまった。
で、鳥類学者いずこに?
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ファンタジアだから話がどのように展開するかは作者の気の向くままという感じということにはなるのだが、最初からどこに話が向かっているのかわからなくなるような長い文章の積み重ねで書かれているので、ストーリーを理解していくのにはかなりの苦労がある。読み終わってみれば作者としては最後の章のミントンハウスのシーンさえ書ければよかったのではないかと思うほど、ここについては文章が踊っていて、それまでの長い長い前説をあくまでも序章と位置づけているのではないかと思うほどであった。
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初読:2008/09/19
この本を文庫化しようとか思ったヤツ誰よ(笑
解説含めて総ページ数755。文庫版京極夏彦かと言わしめる分厚さ。
購読意欲を極限まで削る最高の装丁かもしれないが…(汗
ある程度ジャズのことを知らないと、意味が解らないかもしれない。
とはいえ私も楽器を弾くことは出来ないので、ラストシーンはいま一つ乗りにくかった。
若干、どころかかなり読む人を選ぶ本。
Posted by ブクログ
奔放かつ荒唐無稽に世界が錯綜し、展開する。SFというよりやけにリアルな幻想小説か。やたらトイレや睡眠にこだわるのが印象に残った。だらだらと長い文章は、一人称的なキャラクター設定によるものなんだろうな、たぶん。
ジャズ好きなら違う観点で楽しめそう。最後の願望充足的なシーンで、それなりにわくわく。これに到達するまで、700ページ余りの本編という序章を読む必要あるが。