【感想・ネタバレ】鳥類学者のファンタジアのレビュー

あらすじ

「フォギー」ことジャズ・ピアニストの池永希梨子は演奏中に不思議な感覚にとらわれた。柱の陰に誰かいる……。それが、時空を超える大冒険旅行の始まりだった。謎の音階が引き起こす超常現象に導かれ、フォギーはナチス支配下、1944年のドイツへとタイムスリップしてしまう――。めくるめく物語とジャズの魅力に満ちた、ファンタジー巨編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ウダツのあがらない30代負け犬ジャズピアニストのフォギーが、「オルフェウスの音階」に導かれ戦時下のドイツに至る大冒険譚。

「ロンギヌスの石」やら「フィボナッチ数列」やら、神秘的なモチーフの断片が散りばめられ、しまいにはオクイズミヒカルまで出現する荒業のメタフィクション。

根底に流れる遊び心満載のジャズ魂から発せられる、人を食ったような展開にまるめこまれながら読んでいくのが気持ちよくてたまんないです。
何よりも、自由闊達に動き回るフォギーの魅力にヤラれました。

中盤の、祈りについてのフォギーの考察は胸に迫るものがありました。
特定の信仰、民族、文化を超えて、祈るということの意味を考えさせられます。

最後のほうは蛇足と思われる向きもあるかもしれませんが、これはこれで、ジャズのグルーヴ感をフォギーと一緒にめいいっぱい味わったようですごく良かったです。

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2011年09月29日

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