中村彰彦のレビュー一覧
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幕末から明治時代・日露対戦までを戦い抜いた立見鑑三郎(のちに尚文)のお話。
幕末の小説はまさに激動の時代で、タイムマシーンで突然50年も100年も先の未来に人物たちをつれていってしまったかのような感さえ覚える。
立見鑑三郎も、武士としての刀・銃の混じる戦(いくさ)すがたから、明治の日露戦争では外套にシガーをくわえくゆらせる姿へと変ってゆく。
物語を通して一貫しているのは、彼の中に流れる武士のこころなのでしょうね。戦争を讃えるのではなく、幕末を生き抜いて、開国後に大国ロシアを破るもののふの芯を見た気がします。
しかし幕末の戦闘風景の描写は凄惨を極めるな…。 -
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ずいぶん前に購入し,一度読み終えた本ですが,大河ドラマ「江」で,なつという女性が秀忠の子を身ごもったという場面があり,「あれっ,保科正之の母ってだれだっけ?」と思い,ささっと読み返してみることにしました。
読み返して改めて思ったのは,2代将軍秀忠の庶子として生まれ,とても数奇な運命をたどった人だということ。江戸前期の幕政の安定に貢献したことはもちろん,幕末の会津藩にまで影響を与えたすぐれた名君であったことを改めて確認しました。その事績を抹消してしまったのが明治政府であったかもしれないということも。
それにしても,正之の幼少期を支えたのが武田信玄の娘とその旧臣であったことや,悪妻に手を焼い -
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会津藩士・秋月悌次郎の一生が書かれています。
主人公が会津藩士なので、『容保公ラブvvv』『容保公万歳!!!』『容保公最高★☆★』なのは理解できるんですが、容保公を聖人君子に書きたいが為に周りにいる人達(慶喜公とか小笠原長行公などなど)を無能な者のように性格が悪い人物のように書かれていたのが、読んでいて、あまり良い気持ちがしなかった。
まぁ、仕方がないといえば仕方がないんでしょうが、個人的に小笠原長行公が好きなんで、あんまり、あんな書かれ方はちょっと…。
内容は、ホント、調べてるんだろうなぁ~とつくづく感じる小説で、幕末時の会津がどうやってあんな目に遭ったのかがよく解りました。
小説というよ -
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保科正俊と鉾持桟道の戦い、宇喜多直家の命で三村家親を狙撃した遠藤兄弟、松野主馬、釣天井事件、鏡山仇討事件の計5編の短編。表題の話は武田家で弾正忠を名乗った三弾正の一人で槍弾正と言われた正俊さんの最後の戦の話です。ちなみに「名君の碑」で正近が幸松少年(後の正之)に語った場面に出てきます。合わせて読むと二度美味しい感じです。単品で読んでも面白い話だと思います。遠藤兄弟のは直家の戦の動機がね。うん。これは読んでみてください。松野主馬は小早川秀秋に仕えて関ヶ原の折には返り忠に従わなかった人。彼が伴団左衛門(塙団右衛門の子)に秀秋の死因等を調べさせます。従わなかった彼がどう動いたのかってのが分かります。
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幕末の話。日本一の学生と呼ばれ,最後にはラフカディオハーンに神のような人と言われるまでにもなった会津藩士 秋月悌次郎の話。
会津藩主 松平容保はその藩祖 保科正之の家訓から幕府に絶対忠誠を藩の志としていた。このため,尊王攘夷が叫ばれるなか,尊王左幕(公武合体)の会津藩は次第に追い詰められていく。薩長同盟が締結される前には薩会同盟がもともとあり,この同盟に尽力したのが秋月悌次郎であった。会津若松城の明渡しの際の使者となり,七言絶句や漢文に通じていることから,降伏状の起草をしたり,容保の陰になり尽くした人である。
『天道是か非か』という,史記に見える表現にあるとおり,天は善人に福を与え悪人に災いを