中村彰彦のレビュー一覧
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秋月悌次郎は、幕末の京都で守護職を務めながら時代に翻弄され、逆賊の汚名を一身に集めてしまった会津藩主・松平容保公のそばにあって、公用方を務めた一人だ。はなやかな幕末の歴史のなかでは、地味な脇役でしかない一文官の一生がこんなにも波乱にとみ、静かな感動をくれるとは思ってもみなかった。
そこには、「学問とは人としての道を知るためのもので、およそ人たるものは道義に生きるべきなのだ。」という、秋月が19歳の時に忽然と理解し心に落とし込んだ思想が、どんな境遇にあってもぶれることなく貫かれていた。それが、清々しい感動につながっているのだろう。
著者が語っているように、秋月悌次郎は、文官の最たるものなので、斬った張ったのエピソードが少なく、学問と仕事に対して誠実な人なので、艶っぽい話もでてこない。それでも、時代の変わり目にあった彼の一生は波乱に富んでいる。
会津の武家に生まれた悌次郎は、江戸での14年の遊学で、「日本一の学生」と呼ばれるほど寸暇を惜しんで学問を修め、同時に幅広い人脈を築き上げる。その後、京都守護職となった容保公に従って京都に上り、朝廷や幕府、各藩との折衝や情報収集を行う公用方として活躍し、「八月十八日の政変」にあたっては、薩摩との同盟の根回しをするなど実績をあげていくが、突然、国許に呼び戻され極寒の蝦夷地に左遷される。その彼が京都に呼び戻された時、すでに時流は変わり、会津は朝敵になっている。会津での激しい戦の間も容保公の側にいて、降伏の使者として命がけの交渉にあたり、降伏後も永久謹慎の身でありながら、後進のために命をかけて尽力する。明治5年、やっと許されて東京大学予備門教諭として奉職、その後、熊本の第五高等中学校の教壇に立ち、筋のとおった生き方と誰にでも優しい人柄で生徒からも同僚からも慕われた。五高で同僚となったラフカディオ・ハーン(後の小泉八雲)は、齢を重ねた秋月を神様のような風貌を呈してきたと評している。
戊辰戦争後の秋月の後半生が描かれている下巻の後半は、美しい日本人の魂みるような静かな感動をもたらす。
秋月悌次郎と同じく公用方だった広沢富次郎も、表舞台に返り咲くことなく、清廉潔白な藩主のため、会津の後進のために、信念を持って一生を捧げたような生き方をしている。彼らは返り咲くことはなかったが、彼らが育ててきた後進たちが後の世で確かな花となっていく。
「落花は枝に還らずとも」は、秋月悌次郎を書きながら、会津の信念を書いた本だと思う。 -
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岩倉城織田信賢に父弥助と共に仕えていたが信長に攻め滅ぼされ牢人となり伊勢、美濃へと流れてゆく。美濃で猟師をしていた時信長家臣の中で頭角を表してきた木下藤吉郎の目に留まり家臣となる。信長の陪臣として美濃攻め、金ヶ崎、姉川の戦いに参戦する。信長の覚えめでたく長篠の戦いでは兜首二つを取り首実験の時信長から「茂助は毎回の事」と最高の褒め言葉を賜る。怪我をした部下には見舞金などを渡し同僚の蜂須賀小六や前野長康などからは仏の茂助と呼ばれるようになる。松永弾正の謀反では茂助の奇策により松永を討ち取る。三木城、鳥取城など籠城戦を転戦し羽柴方の使者として交渉役も引き受ける。信長が本能寺の変で倒れ下巻は秀吉の天下の為奔走する
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渋沢栄一関係の書籍として手に取りました。「伝記」というほど物語(エンタテイメント)性に特化しているわけでもなく、どちらかというと研究書(史料にもとづく記述が中心)に近いかもしれませんが、一般読者を対象として渋沢の業績を紹介する本だと感じます。
大蔵官僚・実業家としてどのように活動したか、というエピソードよりも、その前提となる「幕末の尊攘思想に没頭したころの活動」や、「幕臣としてフランスに随行した際のエピソード」などが豊富で、渋沢が生涯を通じてどのように思考し活動していたのかが概観できます。
ただ、当時の経済状況やそれに応じた渋沢の活動などを史料をもとに考察・分析する部分では、やや専門的な内容もあり、経済や金融についての知識がないと、「どのような点が成果なのか」「渋沢の提案によってどんな”課題”がどのように”解決”され、社会がどう改善したのか」などの部分が分かりにくいと感じました。
このあたりについて、もう少し丁寧にフォローしてもらえると、よかったと思います。 -
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ネタバレ死せる保科正之、会津藩の運命を変える
会津藩家訓の事です
既視感しかないのは「将軍の子」を読んだから
でも昔死ぬ前に自分の業績を全て焼き尽くした
ため事績を示す古文書が少ないと読んだ気が?
母親の生き様から丁寧に書く事で、小説家らし
く「あの制度」を作った動機「あの判断」を下
す基になる経験・感情を描き、腑に落ちた感を
読者に与えてくれる(偉大な作家さん)
700ページ近い分厚さで背広に入りません(笑)
通勤本にしたけど話は頭に入りました♪
山崎闇斎とのくだりは参考になった
どうしても思想史は遠ざけてしまうので、この
ような物語の断片に出て来ただけで興味湧くし