中村彰彦のレビュー一覧
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ネタバレ会津出身の私が,逆にいろいろと教えていただいた.幕末の悲劇は,なんとなく知っていたものの,それに至る歴史はほとんど知らなかった.
・藩祖の保科正之は,家光の異母兄弟.長野県高遠藩の出身.(会津の源流は,高遠)
・正之は将軍家綱の輔弼役として,幕府を指導.(玉川上水開削,制度改革など)
・家光(異母兄)の信頼篤く,独特の報恩思想に.
・会津藩家訓を制定
・5~7代藩主に仕え,中興に力を尽くした家老:田中玄宰の改革を特筆.
・幕末の容保(9代藩主)の時代は,今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」でも描かれている.
・明治維新後,会津は逆賊とされ,働き先がない,軍での昇級が認められないなど,差別を受けた -
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NHKの番組「BS歴史館 今いてほしい!?日本を変えたリーダーたち(2)保科正之」2012.4.27を見て感動し、すぐに本屋に飛んで行きました。
本著の著者中村彰彦氏も出演されておりました。懇切に保科正之の業績を説明する一方、朝敵として認知された会津藩の祖というフィルターを通してしか昨今は語られないことに静かに憤慨しておられる姿が鬼気迫っていました。
同じ出演者の黒鉄ヒロシ氏は「名君中の名君」と絶賛。
そこまで人にして言わしめる人物を丁寧に書ききった名小説です。
正之の出生こそが正之を運命付けたのであり、生涯その則を越えることなく卓越した業績を残したことがよく分かります。
会津藩主と -
Posted by ブクログ
戦国時代から幕末維新まで、武士が武士らしく生きた時代を彩る人物群像を、資料の読み込みと偏見を排した視点から描く。 あまり知られていない人も含めて、範とすべき生き方をした人々、そしてダメな人もやはり多い。 歴史がもっと面白くなる論考集。 全体を貫いているテーマは、ひとはどのように生きれば美しいかを歴史に学ぶ、ということだと思う。
第一部は、本のタイトルでもある、「名将がいて、愚者がいた」。 戦国から江戸期にかけての器量人と、それをとりまくダメだった人を取り上げる。 最初に俎上に載せるのは、織田信長と上杉謙信の先見性の比較。 「名奉行矢部定謙と「妖怪」鳥居耀蔵」に登場する矢部定謙など、地味だが高 -
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家綱の補佐役として武断政治から文治政治への切り替わりに活躍した、ということしか日本史で学んだ記憶したなかったが、保科正之の生い立ちから、政治哲学、史実の中で実際に成し得たことを、具体的に学ぶことができた。
正之の謙虚さは、生まれの境遇や家族・周囲の人々に大切に育てられた環境に負うことが大きいと感じた。秀忠の側室の息子として殺される危険や、親子の関係を名乗ることができないことに対して、世を疎んだり蔑むわけでもなく、「足るを知る」現状でいられることの在り難さや感謝の気持ちを、彼の政治哲学の根幹となっている点、それを生涯にわたって貫いたところが、比類なき優れた政治家なんだと感じた。
「足るを知る」と