丸谷才一のレビュー一覧

  • 別れの挨拶

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    立ち読みだけでも読む価値は有り

    立ち読みだけでも面白いです。
    不満なのは、文章読本を探していたのに未だ電子化されていない。
    三島由紀夫みたいな感じ。
    よつばと、といい電子書籍はやはり紙にはかなわない。
    ブックオフ万歳、お好みで。

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    2024年04月13日
  • 日本文学史早わかり

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    講談社文芸文庫
    丸谷才一 「 日本文学史早わかり 」


    西洋の文学史の枠組みにとらわれず、勅撰集(詞華集)に注目して、日本文学史をまとめた本。

    5つに分けた時代区分は、年数に偏りはあるが、宮廷文化の盛衰 や文学の共同体的性格という目線から 分けられ、とてもわかりやすい


    詞華集に代表される日本文学の大半は、共同体的な立場で書かれたものだったが、明治時代において、西洋の刺激が強すぎて、詞華集のない文学になり、個人主義的になったという論調


    「趣向について」という論考から、自然主義文学や私小説といった個人主義的な純文学に対して、批判的立場をとっていることがわかる



    時代区分、指導的

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    2023年12月14日
  • ボートの三人男

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    フォローしているb-matatabiさんの感想に共感して手にした。英国ユーモア小説の古典と言う事だが、今読んでも、変わらない人間の本質とかが描かれていてドキッとさせられる。バカバカしい小説の様だが鋭い人間観察が面白かった。

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    2023年05月24日
  • 日本文学史早わかり

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    「美意識の型」を提示することは一国を統治する上できわめてコストパフォーマンスの高い打ち手であり、従って日本文学は「土俗的かつ洗練された」宮廷文学(=勅撰詞華集)を中心に回っていたという洞察。

    また本論ではないが、日本の自然主義文学の特殊性についての指摘も興味深かった。西欧文学史の中ではそもそも異端な19世紀文学を、さらに煮詰めて手本としてしまったがゆえの孤独な自我へのフォーカス、そして社会・風俗の中の人間という視点の欠如。

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    2023年01月11日
  • 快楽としてのミステリー

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    ミステリーへの造詣が深いことは、毎日新聞の書評で確認していたが、軽快な語り口が重なると、余計に熱が高くなってくる。
    「丸谷ワールド」リターン。
    ミステリー(探偵小説)をがっつり読める余裕(時間と心理面)が欲しいです。

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    2022年12月05日
  • 輝く日の宮

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    国文学者の女性が源氏物語の失われた一巻を探っていく。
    作中人物に、漢詩の発音は適当でよいと言わせながら、本作は(も?)旧仮名遣い。
    いろいろ趣味的だが、通俗的な面白さもある小説と思う。
    中村(萬屋)錦之助が好きな外人が出てきて嬉しかった。

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    2022年10月27日
  • たった一人の反乱

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    一見600p超の大作だが内容自体はライト。
    掛け合いもユーモアの中に知性があり感心しながら読み進めてしまった。
    途中数十pも続く、作者の思想代弁とも言えるスピーチシーンが個人的に面白く良い装置だと思った。

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    2022年09月09日
  • 横しぐれ

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    ボリュームもユーモアも話の硬さも適度すぎる品の良い短編集。
    表題作のテーマ・進行・締めは余りにもオシャレ。

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    2023年01月04日
  • 横しぐれ

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    丸谷才一「横しぐれ」、誰が何処で推奨していたのか定かでないが、信頼する作家が強く薦めていたことはよく覚えている。この本がなかなか手に入らず焦れていたことも事実である。
    読むうちに、その意味がよくわかった。構成・文章・内容のすべてが読む者を独特の世界に深く引き込んで、しみじみとした懐かしさとともに強烈な印象を残してくれる。父の過去の話・種田山頭火の詩論とその晩年・国文学者(英文学者)の研究作法 等々、丸谷才一という作家の能力・学者としての矜持を見せつけられた思いである。
    「だらだら坂」の緊迫感、「中年」の夫婦間の裏切りと諦観、兄弟関係の微妙な齟齬と距離感 等々ちょっとした話を簡潔で絶妙な表現で展

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    2022年07月19日
  • 別れの挨拶

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    挨拶の名手(でもあり、一流の批評家でもあり、更に、長編小説の名手でもある)、丸谷才一さんの、最後の挨拶、であります。どの挨拶にも、相手の良いところへの心配りが一杯、そしてその中にピリッとした批評も一緒に、という熟練の挨拶が一杯。あの素晴らしい挨拶を、もう聞くことが出来ない(読めない)という事を教えてくれる(そして和田誠さんの装丁とイラストレーションもこれが見納めなのでしょうか)一冊(別れの挨拶、最後の挨拶)でもあります。丸谷さんの素晴らしい別れの挨拶(和田誠さんのイラストに)に☆4つです。

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    2022年07月04日
  • 横しぐれ

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    ネタバレ

    小説のたくらみ
     解説の池内紀が指摘してゐるが、横しぐれは種田山頭火の裏に、主人公の出生の秘密が隠されてゐる。私は終盤に差しかかった時気づいた。明言されないやうに巧く書いてゐるので気づかない人もゐるだらう。
     樹影譚も出生の秘密ものである。《次男なのに「才一」という名の謎。》といふ小谷野の文の意味がやうやく解った。
     種田山頭火の考證も、飛躍的な所はあるが「おっ」と昂奮する部分もあっておもしろかった。

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    2022年05月01日
  • ボートの三人男

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    楽しんだ^ ^
    解説にあった、地理、歴史、自然、冒険、ユーモア、なんかの多面性がまさによかったなあ。
    写真と地図付きの旅行案内出して欲しい

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    2022年02月20日
  • ボートの三人男

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    三人の病弱な紳士たち、ジョージとハリスとぼく、それから犬のモンモランシーは、休息と気分転換が必要だという理由で、テムズ河をボートで漕ぎ出すことに。
    寝泊まりする場所や、持って行く物や食糧について、三人の間で議論が交わされるのだが、すぐに話が横道にそれるし、ドタバタ喜劇みたいで笑わずにはいられない。
    ボートに乗る前から、何やら珍道中が始まる予感がする。
    19世紀に書かれた古典だが、ユーモアのせいか垢抜けた感じがして楽しめたし、各章の始まる前に要約された文章がつけられてあるので、内容が分かりやすくなっていた。
    小さなコテージをちりばめた並木道や絵のように美しいホテルなど、河の眺めを想像しながら読む

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    2021年07月11日
  • ボートの三人男

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    p93 しかし現代に生きているわれわれには、この犬の美しさが見えないのである。なぜかと言えば、この犬はあんまり身近な存在すぎるから。つまりそれは、日没や星のようなものだ。ぼくたちの目にとってあんまりあふれているから、その美しさによって畏敬の念を覚えることはないのである。

    19世紀イギリスの、膝栗毛のようなユーモアあふれる船遊び。お金持ち紳士の遊び。
    落としたワイシャツが誰のものかわかったときの笑いの交代、ほら話や昔話、船に関する笑い話いくつか、自分が働くときはさも重労働で、他人が働くときの手際の悪さを笑い、美味しいもの好きのハリスといつも寝ているジョージ、お互いに雑言を言い合って仲良しなんだ

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    2021年02月21日
  • 年の残り

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    ネタバレ

    大正から昭和を生きる人々を描いた短編集。

    人が内側に抱える思考や葛藤、過ぎていく日々の虚しさ、同時に救いでもある日常の流れが淡々と綴られている。老いや死が人に与えるものは何なのか、しんみりと考える人生そのもののような本だった。

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    2020年10月26日
  • 食通知つたかぶり

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    丸谷才一が書く `たべものの話` あとがきにあるように`まづ文章の練習として書かれた`との事ですが、著者本人の楽しそうな雰囲気が至るところに出てくる、`楽しい本`であります。 與謝野晶子いわく`食べ物の味のことを歌に詠むのはむづかしいからおよしなさい`と、そのへんの塩梅をこれは面白いと面白がって、書きました、とさ。

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    2020年02月27日
  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首

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    いずれの作品は情緒がある。季節の折々と恋の和歌が良かった。『新々百人一首』は訳がないこともあり、読み進めるのが正直につらかった。

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    2019年03月20日
  • 日本文学史早わかり

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    ネタバレ

    女子大生の皆さんと出会っていると、僕自身の無知もさることながら皆さんがモノを知らないことに唖然としてしまうことが多い。知らなくてもいいことかもしれないけれど、知っていたほうがいいことのひとつに文学史がある。

    どの作品を誰が何時書いたか、そんなふうに要約されがちなジャンルだけれど、本来は違う。万葉集以来、ハハハ、大きく出ましたね、どれほどの書物が、この国において、文学の範疇として残されてきたのかしらないけれど、それが何故その時代の、その人物によって書かれたのか、そう考える所に文学史の意味があるのであって、そこが文学史の「史」たる所以というものだ。

      文学を文化現象として捉える為の文学史。

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    2019年01月29日
  • 輝く日の宮

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    丸谷才一 「 輝く日の宮 」 源氏物語の謎解きと共に、源氏物語という時代小説に隠された 人間の意図を 小説の随所に組み込んだ内容

    源氏物語論だけでなく 文学論まで飛躍していると思う。文学=国家からの自立であり、風雅

    著者の源氏物語論
    *紫式部の生活と夢としての源氏物語〜源氏=藤原道長→女達=紫式部。安佐子と長良
    *アジール論としての源氏物語=逃亡者を保護する領域(社会逃亡者を保護する社寺)
    *反体制としての源氏物語〜国家=天皇、藤原氏。反国家=左翼、共産
    *風雅や御霊信仰と結びつく源氏物語=松尾芭蕉

    紫式部の生活と夢としての源氏物語
    *源氏=藤原道長→女達=紫式部
    *紫式部と藤原道長との

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    2019年01月27日
  • ボートの三人男

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    1889年に書かれたイギリスのユーモア小説。モンティ・パイソンのジョン・クリーズが愛読していたというし、もはや古典。
    友人である3人の罵り合いとか、すごくイギリス的なユーモア。
    1900年にイギリス留学した夏目漱石は絶対読んでるね(決めつけ)。なにしろ漱石はトリストラム・シャンディだって読んでいるのだし。
    本筋とは関係のない回顧談を漫談的に差し挟むのとか、『吾輩は猫である』に通じるところがある。まあ『猫』のネタ元については諸説あるのは知っているが。

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    2018年12月30日