丸谷才一のレビュー一覧
-
立ち読みだけでも読む価値は有り
立ち読みだけでも面白いです。
不満なのは、文章読本を探していたのに未だ電子化されていない。
三島由紀夫みたいな感じ。
よつばと、といい電子書籍はやはり紙にはかなわない。
ブックオフ万歳、お好みで。 -
Posted by ブクログ
講談社文芸文庫
丸谷才一 「 日本文学史早わかり 」
西洋の文学史の枠組みにとらわれず、勅撰集(詞華集)に注目して、日本文学史をまとめた本。
5つに分けた時代区分は、年数に偏りはあるが、宮廷文化の盛衰 や文学の共同体的性格という目線から 分けられ、とてもわかりやすい
詞華集に代表される日本文学の大半は、共同体的な立場で書かれたものだったが、明治時代において、西洋の刺激が強すぎて、詞華集のない文学になり、個人主義的になったという論調
「趣向について」という論考から、自然主義文学や私小説といった個人主義的な純文学に対して、批判的立場をとっていることがわかる
時代区分、指導的 -
Posted by ブクログ
丸谷才一「横しぐれ」、誰が何処で推奨していたのか定かでないが、信頼する作家が強く薦めていたことはよく覚えている。この本がなかなか手に入らず焦れていたことも事実である。
読むうちに、その意味がよくわかった。構成・文章・内容のすべてが読む者を独特の世界に深く引き込んで、しみじみとした懐かしさとともに強烈な印象を残してくれる。父の過去の話・種田山頭火の詩論とその晩年・国文学者(英文学者)の研究作法 等々、丸谷才一という作家の能力・学者としての矜持を見せつけられた思いである。
「だらだら坂」の緊迫感、「中年」の夫婦間の裏切りと諦観、兄弟関係の微妙な齟齬と距離感 等々ちょっとした話を簡潔で絶妙な表現で展 -
Posted by ブクログ
三人の病弱な紳士たち、ジョージとハリスとぼく、それから犬のモンモランシーは、休息と気分転換が必要だという理由で、テムズ河をボートで漕ぎ出すことに。
寝泊まりする場所や、持って行く物や食糧について、三人の間で議論が交わされるのだが、すぐに話が横道にそれるし、ドタバタ喜劇みたいで笑わずにはいられない。
ボートに乗る前から、何やら珍道中が始まる予感がする。
19世紀に書かれた古典だが、ユーモアのせいか垢抜けた感じがして楽しめたし、各章の始まる前に要約された文章がつけられてあるので、内容が分かりやすくなっていた。
小さなコテージをちりばめた並木道や絵のように美しいホテルなど、河の眺めを想像しながら読む -
Posted by ブクログ
p93 しかし現代に生きているわれわれには、この犬の美しさが見えないのである。なぜかと言えば、この犬はあんまり身近な存在すぎるから。つまりそれは、日没や星のようなものだ。ぼくたちの目にとってあんまりあふれているから、その美しさによって畏敬の念を覚えることはないのである。
19世紀イギリスの、膝栗毛のようなユーモアあふれる船遊び。お金持ち紳士の遊び。
落としたワイシャツが誰のものかわかったときの笑いの交代、ほら話や昔話、船に関する笑い話いくつか、自分が働くときはさも重労働で、他人が働くときの手際の悪さを笑い、美味しいもの好きのハリスといつも寝ているジョージ、お互いに雑言を言い合って仲良しなんだ -
Posted by ブクログ
ネタバレ女子大生の皆さんと出会っていると、僕自身の無知もさることながら皆さんがモノを知らないことに唖然としてしまうことが多い。知らなくてもいいことかもしれないけれど、知っていたほうがいいことのひとつに文学史がある。
どの作品を誰が何時書いたか、そんなふうに要約されがちなジャンルだけれど、本来は違う。万葉集以来、ハハハ、大きく出ましたね、どれほどの書物が、この国において、文学の範疇として残されてきたのかしらないけれど、それが何故その時代の、その人物によって書かれたのか、そう考える所に文学史の意味があるのであって、そこが文学史の「史」たる所以というものだ。
文学を文化現象として捉える為の文学史。
-
Posted by ブクログ
丸谷才一 「 輝く日の宮 」 源氏物語の謎解きと共に、源氏物語という時代小説に隠された 人間の意図を 小説の随所に組み込んだ内容
源氏物語論だけでなく 文学論まで飛躍していると思う。文学=国家からの自立であり、風雅
著者の源氏物語論
*紫式部の生活と夢としての源氏物語〜源氏=藤原道長→女達=紫式部。安佐子と長良
*アジール論としての源氏物語=逃亡者を保護する領域(社会逃亡者を保護する社寺)
*反体制としての源氏物語〜国家=天皇、藤原氏。反国家=左翼、共産
*風雅や御霊信仰と結びつく源氏物語=松尾芭蕉
紫式部の生活と夢としての源氏物語
*源氏=藤原道長→女達=紫式部
*紫式部と藤原道長との