丸谷才一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
三人の英国紳士が10日間、ボートでテムズ河を旅する、ただそれだけの話ですが、それぞれのエピソードが声に出して笑ってしまう程面白い。実話に近いみたいです。
面白い話の合間にふと登場する真面目で哲学的な話も印象的。
ただ、テムズ河ほとりの歴史や地理が私にはちょっととっつきにくい箇所がありました(途中まさかと思ったけどこの本はそもそもは旅行案内書になるはずだったとか)。
でもユーモア小説として今も世界中で愛読されているのは納得。本書の井上ひさしさんの解説も良かった。訳者の功績もあるのでしょう。
三人三様に自分勝手な彼ら、あと、モンモランシー(フォックステリア)の活躍もお忘れなく。 -
Posted by ブクログ
追悼として、丸谷才一を初めて読んだ。筒井康隆絶賛というだけあって、その徹底して理知に勝った小説技法から文章を書く天才ということはよく分かった。しかし、小説としてガツンと面白いかというとそうでもないかな。美人新聞記者の社説が問題となり、最後は総理官邸でクライマックスを迎える、一貫して流れるのは日本の思想の問題、贈与の哲学であるということ・・・テーマとしては大変興味深いが、しゃれていて、コミカルで、技法が詰まった文章を駆使して、通俗小説?大衆小説?中間小説?ぶった中に深遠な思想を書き込むという才気に溺れているだけのやうな気もする。詰まらなくもないがもったいない本。
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Posted by ブクログ
1993年発刊のベストセラー。架空の全国紙の論説委員を務める主人公が記した社説を巡って、巻き起こる筆禍事件を題材にしている。時代設定はよくわからないけど、93年当時だろうか。裏表紙には「大新聞と政府と女性論説委員の攻防をつぶさに描き」とあるけど、描いているのは、そういったエンタメ一色ではない。確かにユーモアにあふれてるし、主人公の女性は離婚歴がありつつも、歴然としたエリートで。取り巻く人物も味があって楽しい。かといってテーマ性が浅いわけでもなく、「ものの贈与」に込められた日本的文化性の機微を描き出している。作中のクライマックスでは、論説委員の座を守ろうと、親類のつてをたどって時の総理と直談判