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女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
見事と言う他無い。 著者らしいユニークな表現法やインテリが結晶した集大成。 古典文学や『源氏物語』に興味関心が無ければ、「ふぅん」で終わる内容が大半を占めるが、物語的工夫が半端ないので読ませられてしまう。 古典アレルギーの方でなければ一読の価値あり。
なんという 小説なのだろうか。 松尾芭蕉の奥の細道 そして源氏物語を ひもといていく。 その徹底した構成力と 文体の変化に 作者自身の 智力 と 洞察力。 人間模様の 変化 など。 円熟した ふでさばき の職人ワザ。 恐ろしいほどに 切り込んでいく。 まったく、スゴイ人が いるんですね。 その...続きを読むことだけで、ため息が でるほどの スリリングな 読後感。 源氏物語を 挫折した ニンゲンが、 再度 読んでみたいと思わせるほどに。 道長 という権力の保護のもとに 紫式部の 才能が さらに磨かれ 熟練していく。
とても面白かったです。特に「源氏物語」ファンにはタマラナイでしょう。僕はそうじゃないんですけど、舌を巻きました。 やっぱり丸谷才一さんは、凄いなあ、と。なんていうか、好きか嫌いか、という趣味の問題はもちろんあります。 なんていうか、ソコと別次元で、「知っている」「考えている」「自分の趣味を貫く」「...続きを読む肩の力が抜けている」「小説である、ということに意識的である」「モラルがあるが、押し付けない」とでも言いましょうか。 2003年発表の小説だそうです。舞台は、まあだいたい1980年代~1990年代です。 主人公は、杉安佐子、という名前の、日本文学者。つまり大学の教員さんです。30代~40代くらいの感じです。 若い頃に同じく大学の学者さんと恋愛結婚したけど、子供が出来る前に離婚したようです。バツイチ独身さん。 専攻は18~19世紀日本文学。つまり江戸時代から明治時代ですね。 「事件として起こること」で、言いますと。 ●「奥の細道」の解釈を巡って、大家の先生と摩擦を起こしてしまう。その発表を巡って知り合った学者の男性とのロマンス。 ●「源氏物語」の解釈、特に存在したかしていないかが議論になる幻の章「輝く日の宮」について、同じく女性の源氏研究家と大激論対立してしまう。 ●ミネラルウォーターを売る会社の重役の年上独身主義の男性とのロマンス、結婚するかしないかのお話。 以上、です。 杉安佐子さんの人生とロマンスを追っていきたい、という読み方をしていると、とても焦らされます。 彼女の研究内容と思索の内容に、大幅に脱線していくからです。 そうなんだけど、それが実は脱線じゃなくてなんとなく関連がある。 そして、焦らされるけど、ちゃんと満足させてくれる。 そして、脱線かと思われた内容が、実はこの本のいちばんの狙いなんだなあ、と。 それは全て、純粋にある科学実証的な事柄ではなくて、それが芭蕉であれ紫式部であれ、ある心情というか、ブンガクと人生というか。 そういう内容に収斂していきます。まあとくに源氏物語なんですが。 結局それが、人生と恋愛というか、人生の皮肉というか、老いだったり、エロスだったり、孤独だったり、社会との関係だったり、すれ違いだったり。 そういうある風景に見えてきます。 そしてそれを、書き言葉、日本語で表すということの面白み、つまり小説という愉しみというか、その快楽の不思議さというか、その愉しみ自体を眺める興味深さというか。 そういうところにじんわりと沈殿していくような。大人な愉しみに満ちています。 ちなみに、章ごとに文体が変わります。一人称だったり、三人称だったり、作者が語り込む形式だったり、戯曲になったり。 遊び心に満ちていますが、それが後段は源氏物語という巨大な謎と格闘する主人公の思索に生きてくるような感じです。印象ですが。 主人公は、父親も学者さんで、何だか資産家です。全然生活苦はありません。イイ御身分です。 そういう意味では呑気な話です。 だからそういうところでつまずいちゃう読み手だったら、どっちらけだと思います。僕も、ある年代まではそうだったかもしれません。 でも、そういう次元を超えたところで、人間ドラマというか、大変に豊穣です。 と、ここまで書いて思いましたが、要するにここ20年くらいのウディ・アレン映画の味わいですね。 僕にとっては無上の楽しみです。 文庫版で読んだのですが、鹿島茂さんが解説を書いています。 それを読むと、「ああ、俺はまだ、この小説の持っている滋味というか、愉しみを満喫できていないなあ。また10年後、20年後に読んでみたいなあ」と思いました。 でも、それは読みながら実は半ば判っていたことだったりします。 また、作者の丸谷さんも、そういう風に受け取られることは百も承知で書いています。きっと。 それでも十分面白い。また読みたくなって、この小説の中で言及されている本をまた読みたくなります。 謎が残ります。判然としません。すっきりしません。でもイイんです。だから面白いんだなあ、と思います。 判らないところ、もやもやするところが快感です。 そういう意味では僕は、村上春樹さんの小説にも似ているなあ、と思います。 レイモンド・チャンドラーさんもそんな気がします。 そして、コレは小説でしかありえない表現だなあ、と嬉しく思います。 そんな小説でした。 昔々、谷崎潤一郎版で「源氏物語」を読んだんですが、内容の99%は失念しています。 またいつか、何かの翻訳版で良いから、読んでみたいなあ、と思いました。 なんていうか、「ああ、このままずっと読んでいたいなあ」という文章ですね。 日本という国が、風土が、文化が、素敵だとかそうじゃないだとか、そういう議論をするならば、こういう本を踏まえてしたいなあ、と思いました。
"すべてすぐれた典籍が崇められ、讃えられつづけるためには、大きく謎をしつらえて世々の学者たちをいつまでも騒がせなければなりません。惑わせなければならない。"
日本文学(主に19世紀)研究者・杉安佐子は、日本最古の長編小説・源氏物語には「輝く日の宮」という巻が存在していたと考えていた。長良との恋に悩み、研究者との論戦に遭遇しながらも、幻の一巻を求め研究を続ける。やがて紫式部と時の権力者・藤原道長の関係に、安佐子は答えを見つけ出す―― 初めての丸谷才一だっ...続きを読むたのですが、歴史的仮名遣いをふっつーに使っているのであぜん!としました。でも1925年生まれですのでむしろこちらの方が普通なんでしょうね。冒頭が思いっきり文語調で始まるのでもうこの時点で挫折臭がすごくて(笑) ですがちゃんと読まないと!!と投げたくない性分ですので読み進めたら、これが面白い面白い! ただ中盤にならないと輝く日の宮の話にならず、芭蕉の話だったりほかいろんな文学の話だったりするので、これ本当に輝く日の宮の話なん??ってなりますw もうほんとに面白くて、章ごとに書き方が変わるのも興味深かったです。爆笑してしまった表現とかもありますしw 特にガラッと変わったのはシンポジウムのところですが、台本みたいに書く方がそれっぽく伝わりますね。また表現も素晴らしいのでとにかくメモが止まらなかったし、ネタの構想も膨らみました。あと読んでて、やっぱりもっと日本文学研究したいなあ…と。この本を読んでて大学の授業を受けているみたいだったからだと思う。源氏にa系列とb系列があって、それぞれ出来た時間が違う、なんてのは初めて知りました! 最後は「輝く日の宮」を少し書いて終わっているのですが、安佐子が道長と式部の姿を幻視するところがとてもロマンティックというか幻想的で、なるほどこういうところがあったから鏡花賞を受賞したのかもななんて思ったり。式部が「(来世があるなら)その時こそ「輝く日の宮」をちゃんと書き直したい」と言ってて、そして安佐子がオリジナルで「輝く日の宮」を書くのですが、ああもしかしたら安佐子こそ式部の来世なのかもな…!と感動しました。 ちなみに私は「輝く日の宮」は存在していたと思ってます。今月京都に行って源氏物語ミュージアムにまた行くから源氏熱あげとこーと思ったら、こんな学究心くすぐられる作品に出逢えるなんて。たんなる小説ではなかった。カテゴリも一応小説にしておいたけど、本当なら研究書にしたいところです。あ、ちょっと北村薫の「六の宮の姫君」に近いのかもね。
源氏物語を研究している女性が主人公 源氏をかじったことがある人は すごく楽しめるのでは。 源氏を読んだことない人には 良い足がかりになりそう。
こういう小説を読むと、自分が日本人で日本語の素晴らしい作品に会えてよかったと思う。 === 女性国文学者の研究、私生活を中心とした話。 彼女は「源氏物語」には失われた一帖、「輝ける日の宮」があったと考え研究を続けている。その研究を中心に、主人公の思春期時代、家族や交際する男性達との関係、日本文学史...続きを読むなどが語られる。 章ごとに形式が変わって文語体やお芝居形式で語られる面白さには、松尾芭蕉や源義経などに関しての研究内容にも興味をそそられる。 最後は紫式部と藤原道長の関係が登場人物たちに反映されていくところも見事。
源氏物語の失われた章を探し求める女性国文学者の話です。文章というものを知りつくした人が書いたのではないかというくらい圧倒されました。旧仮名遣いや各章ごとに変わる文体が、それ以外の表現方法はないだろうと素人ながらに感じられます。資料を基に立てられる推論、もう用は済んだと思われた人がのちのち絡んでくる人...続きを読む間関係、段々と自分にも馴染みが出てくる時代の流れ、文学に纏わる知識など、どれを取っても興味深く厚みを感じませんでした。小説というものが、本能から惹きつけられるような力強さをもつものだと初めて知りました。
『源氏物語』の失われた一篇「輝く日の宮」をめぐる物語。主人公が少女時代に書いた小説に始まり、討論会、作者の独白など、自由に描かれる。丸谷節炸裂。
国文学者の女性が源氏物語の失われた一巻を探っていく。 作中人物に、漢詩の発音は適当でよいと言わせながら、本作は(も?)旧仮名遣い。 いろいろ趣味的だが、通俗的な面白さもある小説と思う。 中村(萬屋)錦之助が好きな外人が出てきて嬉しかった。
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