【感想・ネタバレ】ボートの三人男のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年06月09日

蔦屋書店が展開している「ねぇ、いまなに読んでる?~あの人と、本で繋がるひとりの時間~」のうち、森見登美彦セレクトの一冊。

読みながら何度も笑みがこぼれた。これまでで一番やられた。

注意点もある。まず、試験前や早く寝なければいけない夜に読むのは禁物。勉強に手がつかなくなるし、気が付いたら日付はとっ...続きを読むくに替わり夜が明けている。さらに、ひとつアドバイスするとしたら、人前で読むのは控えよう。他人に訝しがられる。

ストーリーは単純明快。三人の男たちがボートでテムズ川を上っていく、ただそれだけ。

とはいえ、ただ漕ぐだけなら話は退屈になりそうなものだ。だから話は何度も脇道にそれる。半分以上はユーモア溢れる過去の回想だ。

ボート上でもあらぬことが起き、話がとんでもない方向に進むので大いに笑った。同時にちょっぴり同情した。それらのうちのいくつかはわたしもすでに経験済み。

他人のこととなると「あっ、はっ、は!」と笑い、自分のこととなると「あるある」と神妙な顔でうなずいた。

森見登美彦セレクトというのは、らしい、というか、さすが、というか。わたしが森見ファンということもあり、茶目っ気たっぷりの小説を書く人の頭の中を覗けて、満足満足。

あとがきによると『世界ユーモア文学全集』に掲載されているらしい。世界中のユーモアが結集した本...うう、読みたい...が絶版......

p44
風の神がわれわれ人間の心の琴線をかきならして奏でる風の音楽に、耳をかたむける時間も必要である。

p154
ぼくはまず、鉄のフープをとりあげ、それを所定の穴に入れた。こんなことを危険な仕事などとは、誰も思わないだろうが、今にして思うと、ぼくがこうしてまだ生きていて、この物語を語ることができるのが不思議な位なのである。あれは鉄のフープなんてものじゃない。悪魔である。

p319
ユーモア作家は、人生と矛盾や世の中の穢さや賤しさにめげずに人生の意義を認めなければならぬ。醜悪なるこの現実にあっては愛は不毛であると認識しつつ、しかし同時に愛の可能性を信じなければならぬ。悪を憎みながら、「悪あってのこの世さ」と悪と調和しなければならぬ。ひとことで言い尽くせば、両極に足をしっかりと踏まえてバランスみとりつつ、躰の中心は常に両極の真ん中に置くようにしなければならない。
この釣り合いを上手にとることができるのは英国人が第一である。かつてプリーストリイが喝破したように、「英国人は常に叡智と遅鈍の中間にある」からだ。叡智は鋭い機知や洒落を生む。遅鈍は滑稽の原料である。そうして、ユーモアはこの両者の中間からもたらされるというわけである。

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Posted by ブクログ 2019年11月08日

その時いたのは、ジョージとハリスとぼくの三人、そして犬のモンモランシーだった。
三人でどうも最近体の具合がよくないなあなんて話し合っていたんだ。ジョージもハリスも不調を訴えていたが、ぼくなんてもっと重症だよ、病床図鑑を調べたら全部が当てはまるんだ!
ぼくたちには休暇が必要だ。だからぼくたちはテムズ河...続きを読むに出ることにした。
キングストンからオクスフォードへ、ボートをひきながら河を漕ぎ上がる。そしてキングストンへ漕ぎ下がる一週間の旅。
こうしてぼくたち、ボートの三人と一匹の休暇が始まったんだ。

***

イギリスのユーモア小説。

読んでいる最中には頭の中で「ボートの上には三人男~~♪犬もいるよボートの上に~~♪」とかいう感じ歌が流れていました(メロディーは適当に/笑)

翻訳は丸谷才一、表紙絵は和田誠、解説は井上ひさしというメンバーがなかなか豪華。
ボートを漕ぐ男たちの楽しい騒動。
楽しいといっても大袈裟な事件が起こるわけではありません。
家の壁に釘を打つとか、夕食会の余興で歌を披露するとか、初めてボートを漕いだ時のこととか、新しい趣味として楽器を習うとか、そのような日常が作者の語り口により実に賑やかで楽しい大騒動に変わります。
語り手である"J"も、回りの人たちを好き勝手に面白可笑しく語っていますが、彼自身もなかなかの身勝手っぷり。この本でに出てくるイギリス人は、みんなが好き勝手にしてお互い迷惑かけつつみんなが楽しいという、なかなか前向きな生活ですね。
さらに犬のモンモランシーは、小さいフォックステリアながらも近所ではボス犬、他の犬猫相手に暴君ぶりを発揮したり、キャンプの湯沸かし器相手に喧嘩を吹っ掛けたりとやんちゃ坊主でかわいい。

小説としては、もともとはテムズ河周辺の歴史的地理的旅行案内のようなものだったようで、そのためにユーモアも気取ったりわざとらしいところがなく、読者も一緒に自然に楽しい日々を過ごせます。
さらにイギリス人の生活様相、イギリス人気質、食事の状況、紳士淑女の休暇の過ごし方など、イギリス人の日常風景も感じられます。

ちょうどいい時に父なるテムズ河に入り、ちょうどいい時にボートから逃げ出した三人男に乾杯!
 わん!

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Posted by ブクログ 2011年09月20日

軽妙な話
モンモランシーを含めてみんないいキャラクターをしてる
モンモランシーがでかい(?)猫にちょっかい出しかけるあたりが面白かった

コニー・ウィルスの「犬は勘定に入れません」を読む前に読んでおきたかったので読んだ

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Posted by ブクログ 2018年12月30日

1889年に書かれたイギリスのユーモア小説。モンティ・パイソンのジョン・クリーズが愛読していたというし、もはや古典。
友人である3人の罵り合いとか、すごくイギリス的なユーモア。
1900年にイギリス留学した夏目漱石は絶対読んでるね(決めつけ)。なにしろ漱石はトリストラム・シャンディだって読んでいるの...続きを読むだし。
本筋とは関係のない回顧談を漫談的に差し挟むのとか、『吾輩は猫である』に通じるところがある。まあ『猫』のネタ元については諸説あるのは知っているが。

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Posted by ブクログ 2018年03月20日

今風に表現するならほっこりする小説といえる。男三人と犬一匹が英国のテムズ川を遠漕する。その珍道中を面白おかしく紹介する。ひたすらアホな旅なのだが、男同士の旅行ってこんな感じだよなあと過去の経験を呼び起こさせる。何かつらいことがあった時やイライラしている時に本作品を読めば、リラックスできそうだ。深いこ...続きを読むとは考えなくていい。ひたすら流れる文字を(ゆっくりと)追いかけ、アホな男たちを笑おう。ゲラゲラ笑えるものではないが、ゆったりとした笑いが心の中に沸き起こってくる。

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Posted by ブクログ 2017年08月23日

テムズ川をボートで旅する「ぼく」とジョージとハリス。そして犬のモンモランシー。三人衆と一匹の旅は上手くいかないことも多くて現実味にあふれている。それからイギリスっぽいユーモアも会話のあちこちにあふれています。
あーわかるわかる!という箇所も多くて(特に、「ぼく」のおじさんが額縁の絵を壁に掛ける大騒動...続きを読むの話とか)笑いながら読みました。

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Posted by ブクログ 2015年05月25日

イギリス人って、映画もそうですが、なんともいえないユーモア感がありますよね。
そしてこういう自虐がほんとにうまい。

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Posted by ブクログ 2015年01月22日

ロンドンはいつだって曇り空。憂鬱な天気を吹き飛ばす気概もない夜にはこんな本がよく似合う。ダメ・だめ・駄目な残念三銃士と1匹が繰り広げる、テムズ河におけるボート旅でのズッコケ道中。脱線と回想を繰り返す内容は人生に目的など不要だと諭してくれるダメダメ臭が溢れているはずなのに、時折挟まれる美しい風景描写や...続きを読む詩的な情景がふと我に返させてくれるその絶妙なバランスがたまらない。主人公の仕事に対する、真摯に怠惰であろうとするスタンスもたまらない。見上げればいつだって曇り空、それでも別に構わない。それがユーモアの力なんだ。

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Posted by ブクログ 2012年11月22日

ユーモア小説といったらこれとウッドハウスくらいしか思いつかない。他にもあるのかしら。もしご存知の方がいらっしゃったら、教えてください。

ボートでテムズ川下りというストーリーはあってないようなもので、この本の真髄は枝葉末節にある。これ以上ないほどどうでもいいエピソードが仰々しい美文によって綴られる、...続きを読むそれだけで知らず知らずのうちに唇が歪んでしまうではありませんか。神は細部に宿る。違うか。

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Posted by ブクログ 2011年05月07日

「犬は勘定にいれません」が、この本のオマージュだと知ってから、一度は読もうと思ってた。
ユーモア小説というけど本当に面白いかな?と半信半疑だったのだけど、愉快な本だった。吾輩は猫である的な面白さ。洋の東西と時代を問わず、人間のやることを茶化したり皮肉ったりというのは、面白いもんなんだなぁ。

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Posted by ブクログ 2020年05月13日

コロナで自粛のような、ちょっとだるい休暇に読むとちょうどいい本。
かわいい笑いであふれていて、なごむ。

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Posted by ブクログ 2018年11月06日

昔、新聞か雑誌の書評で推薦されていた。いつか読もうと、はじめは、workpad にメモしていて、やがて携帯電話にメモして、iphone にメモして、evernote にメモして、何年ごしかで、やっと先日書店で買った。読んでみて、たしかにユーモア小説としてよくできていると思ったが、俺には必要ないと判断...続きを読むした。第4章で読むのをやめる。""

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Posted by ブクログ 2018年06月22日

解説にこの本はテムズ川の歴史と地理を紹介する目的で書かれたもので、ハナからユーモア小説を目指して書かれたものではないとあった。そのためイギリスの地理・歴史に明るくないとよくわからない。ユーモアの部分は面白い。東海道中膝栗毛に似ている。でも膝栗毛は下ネタがかなり多いけどこっちは下ネタが全くない。

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Posted by ブクログ 2016年07月18日

「話がわきにそれる」というけれど、これはそのわき道寄り道を楽しむ本、かな。
行き先を決め、計画を立て、荷物を選んで詰めて、とここまでだけでもすったもんだどったんばったん、ああでもないこうでもないとひと悶着!
ミョ~なプライドと屁理屈いいわけを共にした3人の紳士(?)と1匹の舟旅。
舟を曳く場面やイギ...続きを読むリスの地理や歴史などもうちょっと知っていればと思うところもあって、そのあたり自分自身に対して少々残念。

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Posted by ブクログ 2013年12月05日

英国ユーモア小説の古典。

いろいろオマージュ作品もあるようで、本作品の副題がタイトルの
『犬は勘定に入れません』(コニー・ウィリス)も是非読んでみたい。
・・・実はチラッと最初だけ読んだけど入りがほぼ同じだった。

ちなみに各章の目次的あらすじ的キーワードの羅列は、
既読の『エーミールと探...続きを読む偵たち』にもそのオマージュを見た(と思う)。
↑やっぱり違った(笑)。なんだったかな…
↑判明!『飛ぶ教室』だった!やっぱりケストナーだったかー。


内容については機知に富んだ場面がいくつかあって参考になった(何の?)。
展開に派手さはないけど、ほぼ全編に渡って脱線しまくり(笑)。
そしてストーリーの流れはまさにボートが川を下るかのごとくゆっくりと進む。

解説の一節、「英国人は常に英知と遅鈍の中間にある」というのはとてもいい。
本作品に描かれている三人は正にこんな感じ。
英国で暮らせばボクもこんな風になれるかな。

・・・全然レビューになってないな。

最後に。
基本的に解説はあとから読むタイプだし、
そもそも個人的に解説はそういう位置づけだと思っているんだけど、
本書は解説を先に読むといいかも知れない。

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Posted by ブクログ 2013年03月29日

あとがきを読んでからスタートすればよかったなぁと。
勿体ないのでまた時間が在るときに地図片手にゆったり読みなおしてみたいです。

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Posted by ブクログ 2013年03月10日

三人の英国紳士が10日間、ボートでテムズ河を旅する、ただそれだけの話ですが、それぞれのエピソードが声に出して笑ってしまう程面白い。実話に近いみたいです。
面白い話の合間にふと登場する真面目で哲学的な話も印象的。
ただ、テムズ河ほとりの歴史や地理が私にはちょっととっつきにくい箇所がありました(途中まさ...続きを読むかと思ったけどこの本はそもそもは旅行案内書になるはずだったとか)。
でもユーモア小説として今も世界中で愛読されているのは納得。本書の井上ひさしさんの解説も良かった。訳者の功績もあるのでしょう。
三人三様に自分勝手な彼ら、あと、モンモランシー(フォックステリア)の活躍もお忘れなく。

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Posted by ブクログ 2010年04月20日

ユーモア小説の古典と云われてる作品が文庫化されてたのですばやく購入。これぞ英国ならではのナンセンス。合わない人はまるきり何がおかしいかわからないと思いますが好きな人はついクスクスと笑ってしまうようなエピソードの連続。ストーリーはほとんどなくどんどん脱線してゆくのと、やや古い作品のためボートはモーター...続きを読むなど無く人力で曳航してたりのギャップがあったりで、花粉症で慢性的な寝不足のためしばしば睡魔に襲われてしまったのは不覚。

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