今野敏のレビュー一覧
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「私には夢がある。それは、いつの日か私の幼い子どもたちが、肌の色ではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である」
というキング牧師の有名なスピーチがあります
私にもあります!
“I have a dream”
「それは、いつの日か今野敏ファンクラブ名誉会長のひまわりめろんさんより先に今野さんの新刊レビューをあげるという夢である」
裏金、闇取引、不正入手…、どんな方法で手にしているか知りませんがとにかくひま師匠は今野作品の新刊を手にするのが早いのです
いつも私より先に新刊を読んでいるのです
いつからか、そんなひま師匠より先に新刊のレビューをあげることが私の夢であり目標となりました!
そして、ついに!ついに!ついにその日が
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
『夏空 東京湾臨海署安積班』読みました
キング牧師、やりました!
私は夢を叶えました!
。゚(゚´Д`゚)゚。
えっ!?
本のレビューが無いって…Σ(゚Д゚)
相変わらず安積班のメンバーは最高!!
その一言で十分ですw -
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警視庁捜査一課、碓氷弘一。48歳。
腹の出た体をくたびれた背広に包み、薄くなってきた頭髪を気にする、サエない中年男だ。近ごろ警部補に昇進し、第5係最年長ということもあって、鈴木係長の番頭的な存在になっている。
そんなベテラン刑事が事件解決に奔走する警察サスペンス。シリーズ5作目。
◇
その一報を受けたのは、やはりその日当直の碓氷だった。駒込署管内で死体が発見されたと言う。
自分の引きの強さを呪いつつ、碓氷は係長の鈴木に連絡をとった。時計は午前2時を指しているがやむを得ない。
寝起きの声で電話に出た鈴木から、事件性があり第5係の臨場ということになったら再び報せるよう指示を受けた碓氷が待機していると、案の定出動の指令が出た。
事件現場は高級マンションの1室。リビングには1人の女性の死体。大きく目を見開いたまま息絶えていた。
通報したのは帰宅したばかりの夫で、沈痛な面持ちで捜査員からの事情聴取に答えている。
1人で室内を見回していた碓氷は、後輩の梨田が鑑識と何ごとか話しているのに気がついた。2人は壁の1箇所を気にしているようだ。
碓氷も近寄って行き梨田が指さした場所を見てみると、そこには何かの紋様が 20 ㌢ 四方ぐらいの大きさで刻まれていた。
( 第1話 )※全26話。
* * * * *
殺人現場に刻まれた不思議な紋様。妻の遺体を発見した鷹原道彦によると、朝の時点ではなかったということでした。
さらに鷹原は、その紋様について、ペトログリフと呼ばれる古代文字に似ていると言いました。鷹原は順供大学教授で考古学者であり、殺された妻は鷹原研究室の元教え子だということです。
以上から、その紋様は事件と何らかの関わりがある可能性があるのではと、碓氷たちは考えます。
ということで今回もミステリー色の濃いワクワクするような幕開けです。
そして駒込署に捜査本部が設置され、例の紋様については碓氷が専任で調べるよう特命が下ります。地取りや鑑取りといったオーソドックスな捜査とは違う方面からのアプローチは、もはや碓氷の専売特許といったところです。
さてそうすると問題は、専門的なスキルを持ち碓氷を輔けてくれる相棒をどうするかです。困ったことに今回は、『触発』の岸辺和也や『エチュード』『マインド』の藤森紗英のように、最初から用意されているわけではありません。鷹原研究室は捜査対象となるため、除外されます。
碓氷が苦労して見つけ出したのは、なんとユダヤ人考古学者のジョルジェ・アルトマン博士。ただしアルトマンは、日本の大学で教鞭を執る研究者であり、日本語も実に流暢に操ります。
しかもこのアルトマン博士、民俗学や言語学にも精通しており、多角的な見地から事件と向き合えるため、紋様の謎解き以上に碓氷の捜査を支えてくれます。
ということで、あとはいつものパターンです。
碓氷がアルトマンに能力を最大限に発揮させ、紋様の謎を解き犯人を特定し、事件を解決に向かわせます。いつもながら心地よい終盤でした。
本作で印象的だったのは、アルトマンが碓氷を評した2つのことば。
1つ目は、「あなたはまったく刑事らしくない」です。
基本的に人というものを信じている碓氷に対する感慨です。(「俺は基本的には性善説だ」の半沢直樹とよく似たスタンスですね )
2つ目は、「あなたは、不思議な人だ。媒体のような人だと思います」です。
捜査に不慣れな専門家に居心地の悪さを感じさせることも萎縮させることもなく、事件そのものや捜査本部との仲立ちをしてくれる碓氷に対する称賛です。謂わば碓氷というOS が、専門家というアプリケーションソフトの利便性を十二分に活かしているような感じでしょうか。
裏方に徹し相棒の活躍をお膳立てするという碓氷が、とてもカッコよく見えます。
そんな碓氷弘一シリーズ。なかなかのおもしろさでしたが、2015年出版の6作目『マインド』以来、続編は出ていないようです。
このシリーズの特性を考えれば、テーマの設定自体が大変そうなので仕方ないのかも知れませんが、やはり淋しさが拭えないのは確かです。
こうなれば、他のシリーズに碓氷がゲスト出演するなんてことを願っています。
碓氷弘一警部補、とりあえずはお疲れ様でした。 -
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警視庁捜査一課、碓氷弘一。48歳。
腹の出た体をくたびれた背広に包み、薄くなってきた頭髪を気にするサエない中年男である。近ごろ警部補に昇進し、第5係最年長ということもあって鈴木係長の番頭的な存在になっている。
そんなベテラン刑事が事件解決に奔走する警察サスペンス。シリーズ6作目。
◇
その朝、碓氷は若手の警官が自殺したことをニュースで知ったが、特に気に留めることはなかった。だが出勤してみると、事件は奇妙な色合いを帯びていた。
警官の自殺と同じ23時過ぎに、中学生の自殺が1件、殺人事件が2件起きている。殺人事件の容疑者はすでに逮捕されてはいるが、別個の事件が同時刻に起きたことに疑問を持った田端捜一課長は特命捜査班を設置。第5係をこれに当てることにした。
調べを進めるうちに、同日同時刻に強姦未遂2件と盗撮1件の3件の事件が起きていたことも判明した。その背後には何かあると確信した田端は、警察庁から心理調査官・藤森紗英の招聘を決めたのだった。
(「第1〜6話」) ※全26話。
* * * * *
藤森紗英が再登場。
紗英の今回の相手は、臨床心理の専門家です。催眠術や暗示などマインドコントロールスキルに長けた犯人と対峙する紗英が物語の中心。もちろん碓氷はいつものようにサポート役を担います。
第1ラウンドの相手は、メンタルクリニック院長で精神科医の水沢瞳。
水沢の隙を見せない受け答えに碓氷は攻め手を見出せず、紗英とバトンタッチするしかありません。
ここでの水沢と紗英との丁々発止のやりとりがすごく興味深い。決め手には欠けたものの、水沢のプロファイリングをした紗英の判定勝ちと言えるでしょう。
第2ラウンドの相手は、クリニック助手の持田奈緒子。優秀な臨床心理士でもある女性です。穏やかな微笑みを絶やさない持田も水沢同様で、碓氷にはまったくつけ入る隙がありません。
ここも紗英が碓氷の後を引き受けて質問することになるのですが、持田のしたたかさは水沢以上で引き分けに終わりました。
おまけに、自分に目を合わせてにこやかに対応してくれる持田に好感を持った碓氷はつい気を許してしまい……。
それにしても、ここで描かれるマインドコントロールスキルには驚愕するばかりです。
『パラレル』にも登場した役行者 (が憑依した賀茂晶) の操心術は「ファンタジーだから」で流せても、この臨床心理の達人技は現実世界のことのようで笑って済ませられませんでした。
心療の世界のことはあまり知らないのですが、こんなことが実際にできるのなら想像しただけで戦慄が走ります。
さて、待望の藤森紗英です。
本作では、犯罪心理学の紗英 vs 臨床心理学の犯人 という構図です。紗英と犯人が繰り広げる心理戦は『エチュード』以上であり、存分に楽しめました。
やっぱり、『心理調査官・藤森紗英』のシリーズを立ち上げて欲しいと願ってやみません。
最後に懺悔です。
実は、かつて『碓氷弘一』シリーズを初めて読んだときは、自分の未熟さもあって碓氷の魅力がわからず、2作目で読むのを止めてしまったのでした。
でも今回改めて読んでみてびっくり。おもしろい。特に3作目からのおもしろさを知って、自分の不明が悔やまれてしかたありません。
軽々に評価を下したりすることは厳に慎もうと思いました。
今野敏先生、誠に申しわけありませんでした。 -
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2022年(発出2020年) 425ページ
文庫本の表紙の写真は、神奈川県警本部庁舎でしょうか。『ビルの上階に円盤を埋め込んだような独特のデザイン』とあり、表紙カバーをマジマジと眺めました。
神奈川県警にきても、竜崎は変わりません。面白さも変わりません。ご都合主義のような終わり方でも、それが竜崎の醍醐味です。
神奈川県警の新キャラも登場します。竜崎のぶれないキャラで、周りの人たちの信頼を固めていきます。竜崎伸也の人心掌握術ですね。
横浜といえば中華街で、中華街で食事をするシーンがありますが、美味しそうでうらやましい!
安定の伊丹刑事部長も登場します。だけど、伊丹は神奈川県警を明らかに下に見ていて、やなヤツ〜風に描かれています。
そして、今回の家族のお話は冴子さんでした。横浜市もうちからしたら大都会だけど、東京では必要なかった車がついに必要になるのね。
今作で手元にある隠蔽捜査シリーズは終わりです。続刊も早く読みたいのですが、しばらく竜崎伸也とお別れです。
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2018年(発出2016年) 428ページ
今回も安定の面白さです。もはやおなじみのパターンではありますが、読み始めると一気に読めてしまうんですね。
今作はストーカーをテーマに事件が繰り広げられます。
警察庁による指示のもと、ストーカー対策チームを編成した矢先に、管内でストーカーによる殺人、誘拐事件が発生。犯人は猟銃を所持している可能性がある。しかし、犯人の足取りを追っているといろいろ不可解な点が……
家庭では、美紀が婚約者の忠典がしつこいという。頻繁な電話やメール、待ち伏せなど。それに対して竜崎は、ストーカー規制法の対象になると言うが、果たして⁉︎
事件では弓削方面本部長が主導権を握ろうと、竜崎と真っ向から対立する場面があります。そして、弓削が竜崎のとった行動に対して特別監察を要請するのです。結末は想像がつきますが、そこに至るまでの過程がまた面白いですね。勧善懲悪ではありませんが、竜崎の自分はなんら間違ったことはしていないという信念と、周囲からの援護がスカッとしました。
竜崎が大森署長として活躍するのも残り1冊。寂しいです。
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2017年(発出2014年) 321ページ
(2月読書……6258ページ 洋書117ページ)
竜崎伸也を取り巻く人たちの7編のスピンオフ作品集です。
『漏洩』……まるでホテルマンのような大森署の貝沼副署長。捜査情報を新聞にすっぱ抜かれ、朝から何やら工作を⁉︎
『訓練』……竜崎伸也が恋した女性キャリア、畠山美奈子がスカイマーシャルの訓練に参加することに
『人事』……新たに第二方面本部にやってきた弓削本部長。野間崎管理官が弓削本部長にレクチャーした内容とは
『自覚』……管内で発生した強盗殺人事件。関本刑事課長が臨場する。警視庁本部捜査一課も現場へやってきた。そして捜査員たちが大森署へ引き上げようとしている時に、どこからか発砲音が
『実地』……警察学校の卒業配置で地域課に配属された研修中の新人警察官が、職質した窃盗犯を取り逃がす。久米地域課長は新人警察官を守るため、怒鳴り込んできた関本刑事課長と対立する
『検挙』……検挙数・検挙率のアップを求める警察庁からの通達。小松強行犯係長は部下の係員たちに上からの指示を伝達した結果は
『送検』……おなじみ、伊丹刑事部長の登場
全部面白い。最高です。 -
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2016年(発出2013年) 423ページ
『隠蔽捜査2 果断』に次いで今回は面白かったです。
東京と神奈川にまたがっての殺人、誘拐事件。神奈川県に潜伏中と思われる犯人。神奈川県横須賀署に捜査の前線本部を作ることになり、前線本部で指揮をとるため竜崎が副本部長として神奈川県へ。
警視庁と神奈川県警って犬猿の仲なんですね。知らなかった。
それと、坂本弁護士一家殺害事件の捜査に関連して、神奈川県警のミスがあったことが作中で言及されています。これも知らなかった。ネットで調べるとすぐに記事がヒットしました。
そして、竜崎が神奈川県にいき、確執や軋轢の中で合同捜査本部を指揮しなければならないのでした。警視庁と神奈川県警のお互いが主張して譲らないところを、竜崎はどのようにさばいてゆくのか。
見どころは、横須賀署の板橋課長と竜崎の捜査方針の対立です。板橋課長は竜崎の判断ミスをつついたり、竜崎に現場のことには口を出すな的なことを言ったりイヤなやつなのです。
そして人質救出のため、伊丹のSITを使えという命令に逆らい、竜崎は神奈川県警のSTSを参加させます。そして突入からの犯人確保。最後の事件の真相解明へと進みます。
やはり竜崎は神奈川県警の捜査員たちをも魅了してしまいましたね。
そして事件の捜査と同時進行で、息子の邦彦の東大受験と、試験会場から邦彦が救急車で病院へ搬送されたという知らせ。なぜかいつも事件と同時進行で家族のトラブルが! これは物語とセットになっているパターンなので、次回は家族にいったい何が起こるのか⁉︎ というのも実は楽しみなんです。 -
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2013年(発出2010年) 352ページ
警視庁刑事部長・伊丹俊太郎を主人公としたスピンオフ短編集・・・なのですが、影の主役は竜崎伸也という感じで、竜崎ファンには満足の一冊だと思います! そして、伊丹俊太郎がなんとなくかわいいキャラに思えてきます。
時系列順に、『指揮』『初陣』『休暇』『懲戒』『病欠』『冤罪』『試練』『静観』と、全部で8編の短編からなっています。全部飽きさせることのない構成で、一気読みできます。今野敏さんは短編も名手! こんなにスピーディーに小説を読むことができるのは爽快な気分でした。会社の休憩中に、2、3編くらい読めてしまいますし、短編でも続きがすごく気になりました。面白かったです。
ちょっと息抜き、そして次の長編へレッツゴーです。
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購入済み
この「語り口の巧さ」よ…。
2024年2月読了。
もうず〜っと前から存じ上げていましたし、凄まじい多作でも有名な著者の作品。本書も2時間ドラマでも観たような話…。
ちょっとした切っ掛けで読み始めたのですが、気軽にちょっと手を伸ばして読み始めたらグイグイと惹き込まれ…数時間で読了。この「語り口の巧さ」には、ほとほと脱帽しました。
『多作と言えど必ずしも不作ならず』と自身で意志表明し、「そんな事を言ったってどうせ…」と鼻で笑っていたのが私の学生時代の頃ですから、もうかれこれ30年近く昔の話…。
久しぶりに読んで、本当に著者の《圧倒的な筆力》に参りました。こんなに爽やかな読後感は久し振りかも。
こんなに沢山の著作で、今だにこれだけのレベルの小説を量産出来る作家は、国内ミステリ界でも相双居ないと思います。
最近は、しっかりした構成の「推理小説」といわゆる 「ラノベ」の類の境界線が崩れてきていますが、同じ土俵で書くのなら、著者のような『読者を引き摺り込む巧さ』を、若い作家の方々にはしっかり学んでほしいと切に願います。出版社の方々も、もっと厳しく育てて欲しいですね。
とにかくひたすら『堪能』しました。これからも良い作品を書いていって欲しいと思いました。感謝です。 -
Posted by ブクログ
警視庁捜査一課第5係、碓氷弘一。腹の出た体型に薄くなってきた頭髪。くたびれた背広を着たサエない中年男だ。
警部補になりたてだが、係内では最年長の48歳ということもあり、年下の係長からは番頭のような扱いをされている。
そんなベテラン刑事が事件解決に奔走する警察サスペンス。シリーズ4作目。
◇
6月17日金曜日。退勤時間になってはいるが、鈴木係長が腰を上げないので碓氷も席を立てずにいた。
今日は朝から嫌な予感がする。さっさと退散しなくてはと碓氷が焦り始めていたとき、一斉無線が入った。渋谷ハチ公前広場で通り魔事件が発生したとの連絡だった。
さっそく管理官から指示があり鈴木係長以下第5係12人が急行したが、現場に到着してみると犯人はすでに逮捕されたあとだった。犯人は居合わせた一般市民にしがみつかれて逃亡できず、広場前派出所から駆けつけた警官たちに取り押さえられたという話である。
しかし、逮捕に協力してくれたという一般市民はいつの間にか姿を消していて、その人相風体を覚えている警官はなぜか1人もいなかった。
さらに被疑者は悲痛な声で容疑を否認しているというのだが……。 ( 第1話 ) ※全25話。
* * * * *
オカルトファンタジーだった前作とは打って変わり、読み応えのあるサイコミステリーでした。
渋谷と新宿で起きた通り魔殺人事件。犯人が異なるにも関わらず、2つの事件には共通点が多すぎることに田端捜査一課長は着目。特捜本部を設置し、被疑者を取り調べている各所轄署とは別に捜査することにしました。
ちなみに共通点についてですが、
①人通りの多い広場で起きている。
②犯行を見た者は誰もいない。
③被害者は死者1人、負傷者2人。
④その場に居合わせた一般市民が果敢に犯人にしがみつき、「こいつが犯人だ」と叫んでいた。
⑤その一般市民も犯人も、返り血を浴びていた。
⑥駆けつけた警官が犯人をすぐ逮捕した。
⑦逮捕した際、凶器の包丁は地面に落ちていた。
⑧逮捕に協力した一般市民は消えるようにいなくなった。
⑨犯人を逮捕した警官たちは誰1人、姿を消した逮捕協力者の人相風体を覚えていなかった。
⑩逮捕された犯人は全面的に犯行を否認している。
と、類似性はかなり高く、同一犯の匂いが強くします。つまり、確保された2人の被疑者は誤認逮捕の可能性があるということになるのです。
さて今回、碓氷がバックアップするゲスト出演者は、警察庁刑事局から派遣された心理調査官です。
名は藤森紗英といい、30歳前後のスラリとした美しい女性です。
田端課長からサポートを命じられた碓氷は途方に暮れてしまいますが、命令に従うほかありません。こうして美人調査官とサエない中年警部補の「美女とアナグマ」のようなコンビが誕生したのでした。
収集されたデータから犯人の心理を読みプロファイリングする。それが紗英に課された仕事なので本庁詰めでも構わないはずなのですが、紗英は碓氷とともに捜査に出ることを希望します。
かつては対人恐怖症で、その克服のために心理学の道に進んだ紗英。
今でもオドオドした態度が出てしまうことがありますが、不思議なことに碓氷の前では自然に振る舞えることに紗英も気づいたからでした。
心理学を用いた「印象のすり替え」を犯人が仕掛けたことを見抜いた紗英は、犯人の残した「エチュード」ということばの意味を読み解き事件を解決に導きます。紗英と犯人が互いの心理を読み合う描写は読み応えがありました。
一課長はじめすべての捜査員が認めた紗英の活躍が、碓氷のバックアップあってのことなのは言うまでもありません。
『パラレル』とは違って本来の姿を見せてくれた碓氷。人使いの名人が本領発揮した第4巻でした。
ところで、警察庁刑事局心理調査官・藤森紗英というキャラは実に魅力的な設定です。この1作で終わらせるのはあまりに惜しい。
彼女を主人公にした作品を ( シリーズ物で ) ぜひ読みたいと思いました。 ( 姫を支えるじいという、碓氷のような人間が必要なのかも知れませんが、なんとか考えていただけませんか? )