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不思議な人ですね。
と、紗枝にも、妻にも言われる、碓氷さん。
懐が深いんだろうなぁ。
そして、普通の人の感覚を考える。
いいなぁ〜。
でも、心理学って、怖い‼️
Posted by ブクログ
警視庁捜査一課、碓氷弘一。48歳。
腹の出た体をくたびれた背広に包み、薄くなってきた頭髪を気にするサエない中年男である。近ごろ警部補に昇進し、第5係最年長ということもあって鈴木係長の番頭的な存在になっている。
そんなベテラン刑事が事件解決に奔走する警察サスペンス。シリーズ6作目。
◇
その朝、碓氷は若手の警官が自殺したことをニュースで知ったが、特に気に留めることはなかった。だが出勤してみると、事件は奇妙な色合いを帯びていた。
警官の自殺と同じ23時過ぎに、中学生の自殺が1件、殺人事件が2件起きている。殺人事件の容疑者はすでに逮捕されてはいるが、別個の事件が同時刻に起きたことに疑問を持った田端捜一課長は特命捜査班を設置。第5係をこれに当てることにした。
調べを進めるうちに、同日同時刻に強姦未遂2件と盗撮1件の3件の事件が起きていたことも判明した。その背後には何かあると確信した田端は、警察庁から心理調査官・藤森紗英の招聘を決めたのだった。
(「第1〜6話」) ※全26話。
* * * * *
藤森紗英が再登場。
紗英の今回の相手は、臨床心理の専門家です。催眠術や暗示などマインドコントロールスキルに長けた犯人と対峙する紗英が物語の中心。もちろん碓氷はいつものようにサポート役を担います。
第1ラウンドの相手は、メンタルクリニック院長で精神科医の水沢瞳。
水沢の隙を見せない受け答えに碓氷は攻め手を見出せず、紗英とバトンタッチするしかありません。
ここでの水沢と紗英との丁々発止のやりとりがすごく興味深い。決め手には欠けたものの、水沢のプロファイリングをした紗英の判定勝ちと言えるでしょう。
第2ラウンドの相手は、クリニック助手の持田奈緒子。優秀な臨床心理士でもある女性です。穏やかな微笑みを絶やさない持田も水沢同様で、碓氷にはまったくつけ入る隙がありません。
ここも紗英が碓氷の後を引き受けて質問することになるのですが、持田のしたたかさは水沢以上で引き分けに終わりました。
おまけに、自分に目を合わせてにこやかに対応してくれる持田に好感を持った碓氷はつい気を許してしまい……。
それにしても、ここで描かれるマインドコントロールスキルには驚愕するばかりです。
『パラレル』にも登場した役行者 (が憑依した賀茂晶) の操心術は「ファンタジーだから」で流せても、この臨床心理の達人技は現実世界のことのようで笑って済ませられませんでした。
心療の世界のことはあまり知らないのですが、こんなことが実際にできるのなら想像しただけで戦慄が走ります。
さて、待望の藤森紗英です。
本作では、犯罪心理学の紗英 vs 臨床心理学の犯人 という構図です。紗英と犯人が繰り広げる心理戦は『エチュード』以上であり、存分に楽しめました。
やっぱり、『心理調査官・藤森紗英』のシリーズを立ち上げて欲しいと願ってやみません。
最後に懺悔です。
実は、かつて『碓氷弘一』シリーズを初めて読んだときは、自分の未熟さもあって碓氷の魅力がわからず、2作目で読むのを止めてしまったのでした。
でも今回改めて読んでみてびっくり。おもしろい。特に3作目からのおもしろさを知って、自分の不明が悔やまれてしかたありません。
軽々に評価を下したりすることは厳に慎もうと思いました。
今野敏先生、誠に申しわけありませんでした。
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