野口悠紀雄のレビュー一覧
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『「超」整理法』(中公文庫)の著者が、クラウド時代にふさわしい新たな整理法を語っています。「分類するな。ひたすら並べよ」という方法を打ち出した『「超」整理法』(中公文庫)のセオリーに替わって、現在の整理法は「分類するな。検索せよ」というセオリーに基づくものでなければならないというのが、本書の中心となる主張です。
具体的には、Googleの提供する「Gmail」や「Google Desktop」といったサーヴィスの強力な検索機能を駆使することで、従来紙の書類によっておこなわれていた仕事のスタイルをより生産的なものに変えていくことができるということが語られています。
ただ、そうした整理術やそれ -
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本書は「経済危機のルーツ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか」となっている。アメリカ、ロンドンの金融革命の解説とそれにモノづくり社会から抜け出せず、適応できなかった日本について解説されている。グーグルは、あまり出てこない(笑
「おわりに」で著者は本書はある意味で自分史であると書いている。
“60年代の末に最初に留学したとき、私は目がくらむばかりのアメリカの豊かさに圧倒された。
そして、日本がほとんど問題にされていないことを、認めざるをえなかった。だから、私は、「東洋の小さな国から来た留学生だ」という思いを持ち続けていた。
…いま統計データを見ると、その当時(メイドインジャパンが -
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著者は、マニュアル遵守的な仕事と、本書で「マゼラン的な仕事」と呼ばれる否定形的な仕事を区別し、知的活動の中心はマゼラン的な仕事だといいます。その上で、マゼラン的な仕事においては、つねに新しいものが現われたり、当初はそれほど重要ではないと思われた情報が、後になって重要だと判明したりといった特徴があるため、捨てることが難しいと主張します。
こうした、知的活動に関わる書類などを捨てようとするとき、また必要になるのではないか、という不安につきまとわれることになります。「目の前からは消したい。しかし、万一必要になった場合には復活させたい」という相矛盾する要求を満たすための方法として、Windowsの「 -
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本書は、戦後の日本経済は戦時期に確立された経済制度の上に築かれた、とする歴史観を提示されている。戦時経済の中で、資金を軍需産業に集中させるために間接金融体制がとられた。終戦後、既得権益者の策略とアメリカの日本への無理解と中途半端な経済改革が、このシステムを生き残らさせた。これによって企業は資本の影響や市場の圧力から開放され(ある意味社会主義経済)、高度経済成長を担った。また、この統制力のあるシステムは石油ショックへの対応において優れたパフォーマンスを示し、このシステムの継続が助長された。一方で、1990年代以降の技術体系に本質的な変化(量から質)が生じ、このシステムは機能不全に陥った。依然、日
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■日本産業の方向
A.現在、アジア新興国の市場が急拡大している。日本企業も参入すべきとの意見が多いが、新興国に最終消費財の市場を求めるのは間違っている。その理由は、次の通りである。
・他国のメーカーがすでに参入しており、競争が激しい。
・新興国では低価格の製品が求められるが、日本の製造業は、低価格製品の生産において比較優位を持っていない。
B.日本企業では、少数の例外を除き、水平分業化・ファブレス化がなされていない。それは、利益の追求ではなく、「従業
員共同体の維持」が企業経営の目的になっているからである。
C.日本の製造業が赤字に陥る中、アップルは驚異的な高収益を上げている。その源は、 -
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1、原理と原則
<基本原則>
①発想は、既存のアイディアの組み換えで生じる。
模倣なくして創造なし
②アイディアの組み換えは、頭の中で行われる
③データを頭に詰め込む作業(勉強)がまず必要
④環境が発想を左右する
⑤強いモチベーションが必要
<発想はどのように行われるか>
・無用のものを試みないで捨てる直観力も大切。
・無益な組み合わせは、有能な発見者の精神には浮かばない。意識に現れるのは、有用な組み合わせとその候補だけである
・きわめて多数の組み合わせの中から有用なものを選び出すのは、審美的な感覚である。
・審美的感情は、成功の記憶によって形成されると考えられる。
・ある問題について