野口悠紀雄のレビュー一覧
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ネタバレ週刊誌連載のエッセイ的な内容を、最近のインターネット周りのトレンドに合わせて選択して並べ直した印象。
「知」の進化についての歴史的な記述で、印刷技術の登場によって知識が万人に開放され始めたことが述べてある。インターネットの登場はそれに相当するインパクトがあり、知識が誰にでもタダで手に入るものになったというところはその通りであると思う。
百科全書、グーグル、人工知能は、それぞれ過去・現在・未来における万人への知識を分け与える媒介となっていると思う。
あまり今後の予想的なことは、著者の見解としては書かれておらず、全体も世間一般のまとめ的な印象がぬぐえない内容でした。 -
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『「超」勉強法』(講談社文庫)の続編。
終身雇用制と年功序列制が崩れ、学歴社会から勉強社会へと変化し、社会人になってもつねに勉強しつづけることが要求されるようになると著者はいいます。本書では、そうした時代の変化を見すえて、主に社会人のために必要な英語、日本語、パソコンの勉強法を解説しています。
英語については、専門分野の英語に触れることや、「聞く」「書く」能力の鍛え方、日本語の勉強法については、ファックスなどの実用的な文章を書く方法とプレゼンテーションの方法が、それぞれ説明されています。
パソコンについては、本書刊行時と状況が大きく異なるので、さすがに古びたという印象は否めません。 -
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第Ⅰ部はローマ史、第Ⅱ部は航海時代と現代史である。
謳う「ビジネスモデル」はこじ付けたようであり、古代史~中世史~現代史の論理的ブリッジもほぼなく、野口氏の書きたいものを書いている雑多感は否めない。映画話の挿話も読者にとってはキョトンだ。
国家繁栄の考察としては内容は面白い。ローマ史においてはカエサルではなくローマ帝国初代皇帝アウグストゥスに焦点を当てたのは興味深い。中国の帝王学『貞観政要』でも創業より守成が難しとされており、アウグストゥスが国礎を作り上げ寛容主義を根付かせた結果、衰退の危機を経て五賢帝時代に栄光のパクス・ロマーナをもたらしたといえよう。また15世紀航海時代のポルトガルのエンリケ王子のフロンティアスピリットと驕りによる衰退は示唆に富む。と、ここまではまだよかったが現代史はMBAケーススタディのようだ。世界史の大局観から学ぶ趣旨が置いてけぼりになる。
野口氏の視野と知見の広さは疑う余地はないところではあるが、何故か日本の国家戦略などへの批判的記述では唐突に断定的で偏向的な内容が散見される。また史実への議題提起をしながら要因推定は「しかしそれはわからない」と放り投げれる。HALの由来など誤情報も多い。学者が書く歴史書と一風異なり有識者が書く歴史書は視点がユニークで面白いものの色々と気になることが多い一冊であった。 -
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筆者の考えで一つの筋が通った入門書。
データの証左を得ながら簡潔に現状を説明。各論の是非は要検討だが、構造理解に役立つ。
・デフレではなく産業構造の不適合による経済の停滞
・雇用情勢の好転ではなく人手不足による有効求人倍率の上昇
・物価は相対価格の変化に着目
工業製品価格は外生的に決まる側面が強く、国内の需要変化の与える影響は小さい
サービスに相対価格の上昇
為替の有利不利
・人口減少よりも年齢構成の変化が問題
→雇用の確保から人手の確保へ
・国民医療費の対GDP比の増加
医療、年金の潜在的負債の増大と改革障害となる世代間闘争
・請求書等保存方式からインボイス方式への消費税構造の変更必要性
・企業競争力に影響を与えるのは法人税ではなく社会保険料
※因果関係ではなく相関関係による説明では? -
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タイトルには「今更聞けない~」というフレーズは冠されていませんが、内容的には「いまさら聞けない日本経済」というタイトルがピッタリと思われる本です、先月、本屋さんの親書コーナーで偶然ン見つけました。
入門書ではありますが、データは最新のものを使って、日本経済の真実が描かれています。この本の著者である、野口氏は私が社会人になったばかりの平成元年からお世話になっていて、当時から経済エコノミストとして多くの本を書かれていました。まだ現役を続けているのは素晴らしいですね。
日本が最も輝いていた時代を知る人が書く、日本経済の真実、解説していて落胆した点もあったかもしれませんが、改善するための対策を考えるためにも、まず現状を真摯に把握する姿勢が大切です。
何冊と、これだけ溜まった日本国債の残高、問題ないかと思って読んできましたが、この本の解説が一番理解できました。まず、金利上昇となる心配がありましたが、日銀が買い取って「日銀当座預金」となっているので今の処大丈夫、しかしこれは潜在的な貨幣なので、支払い要求があれば紙幣を刷って払う(インフレになる)ことになる、でも今の日本ではその需要がないので、当面は大丈夫、と理解しました。私のような普通の人はお金はまだまだ必要ですが、本当にお金を持っている人達(年配の方、お金持ちの方)は十分に満たされていてあまりお金を必要としていないみたいですからね。
日本の将来、そして私の残りが限られてきた社会人生活をどのように送るべきかを考えるうえでも良い時期に出会えたと思いました。
以下は気になったポイントです。
・日本経済の大きな問題、1)世界経済の大きな構造変化に、日本の産業構造が対応できていない、2)人口構造が高齢化しつつあるのに、社会保障制度をはじめとする公的制度が対応していない(p5)
・経済の活動水準を測るのに売上高を合計するのは適切な指標ではない、ある企業の売上は他の企業に購入されて原材料となることが多く、重複計算となる。原材料購入を控除した額=付加価値を合計したもの=GDPを指標とすべき(p19)
・生産された付加価値の合計は、分配面(雇用者報酬・営業余剰・固定資本減耗)、支出面(民間最終支出:56%・民間住宅・民間企業投資・政府最終消費・公的固定資本形成・純輸出:10.4-10.2=0.2%)と同額となる。支出面からの統計は早く公表される(p21、24)
・仮に物価が変化しなったとすれば、GDPはいくらになるかが実質GDP、物価が上昇すれば経済活動の実態が変わらなくとも名目GDPは上昇するから(p25)
・GDPの「G」は、グロスの意味、これは資本摩耗を含むということ。1960年においては固定資本形成4.96に対して、1.84兆円であったが、2015年においては、123兆円に対して120兆円、ほぼ同じ=減耗する資本ストックを補填しているだけ(p33)
・製造業が世界の先進国で停滞・縮小にある理由は、新興国の工業化と、IT革命にある(p42)
・中国は、エネルギー・通信・重工業・金融などの基幹企業の大企業は国家保有の上で株式会社化、それ以外は民営化をした(p43)
・IT革命とは、情報処理コストと通信コストの劇的な低下、大型コンピュータや専用回線が不要になったことで、情報処理の点で、大企業・中小企業・個人が同じ条件で仕事可能となった(p45)
・製造業の就業者のピークは1992年の1603万人がピーク、2001年には1200万人=1965年の水準へ、それに代わって、卸売・小売・飲食店の就業者が1995年に逆転した(p91)
・1997年までは全産業で賃金指数が上昇、それ以降、全産業データは2015年まで下がり続けるが、製造業は2009年リーマンショック以外は上昇(p67)
・日本では、労働所得と資本所得の比率はほぼ一定であり、ピケティの主張の1つ(労働所得にしめる資本所得の比率は時系列的に上昇)が成り立たない、理由は貯蓄率が顕著に低下している。ピケティの前提は貯蓄率一定(p84、92)
・日本において貯蓄率は1970年には30%を超えていたが、現在では5%を切る状態。この理由として、1)人口高齢化、2)政府の財政赤字の拡大、主に社会保障支出の増大(p89)
・2011年のジニ係数は、当初所得の0.55から、税・社会保障による再分配政策で0.38へ改善、格差拡大を改善している。(p92)
・日本の消費者物価指数は、ほとんど輸入物価(円安)によって決定されて、国内の需給関係が影響を与えることは殆ど無い(p98、108)
・1970年と比較すると、2008年までに工業製品価格は10分の1になった(労働力の増加、ITの進歩が原因)のに対して、サービス価格は5倍程度になった、相対価格は50倍変化した(p102、103)
・GDP統計における日本の輸入総額は15年7-9期の年率で95兆、原油価格が17.5%低下したことで、16.6(95x0.175)兆円の輸入額減少効果がある、それまで輸入にかけられていた税がその分、減税されたのと同じ、これは最終家計消費支出の5.8%にあたる(p116)
・円安により輸出企業の利益は増大し株価は上がったが、輸出数量が増加しないので、実体経済には影響を与えなかった。消費者物価を上げて、実質賃金を下落させ、実質経済成長率を低下させる(p131)
・資金需要がない経済では、貸出が増えることがなく、したがってマネーストックは増えない、実際に13年からの3年間で、マネタリーベースは228兆円増えたが、マネーストックは89兆円しか増えなかった(p133)
・医療費の総額40.8兆円のうち、公費38.8、保険料19.9、患者の自己負担が11.7%(4.8兆円)である、自己負担率は70歳未満が3割(就学前児童は2割)、70-75歳は所得に応じて2-3割、75歳以上は1-3割(p157)
・シミュレーションによれば、厚生年金の積立金は2031年頃にゼロになる、その場合、年度毎に保険料収入と国庫負担額の合計が年金給付額と同一になるように、保険料引き上げ・国庫負担額引き上げ・給付の切り下げが必要(p186)
・国債残高が税収の16年以上になっていて、金利が高騰するはずが、実際にはなっていない。それは日本銀行が買い上げているから。このため、政府プラス日本銀行が民間セクターに対して保有する負債は、国債から「日銀当座預金」に変わっている。償還期限が来たとき、政府は償還する必要がない。(p204)
・日銀当座預金は支払い要求があれば支払う(紙幣を刷る)しかない、いまは国債の紙幣化に至っていないが、潜在的には貨幣になっていない(p207)
2017年5月4日作成 -
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ブロックチェーン技術。
インターネットの初期段階と同じ感じがします。
この本にも書かれてある通り、情報のインターネット
が現在のインターネットであれば、価値のインターネット
になりえるということ。
また、トランザクションとデータベースという考え方
に対して大きな革命がおこる処理方法であると思います。
仮想通貨だけではなく、事実の証明が中央機関の有無、事業や会社の大小ではなく可能となること。
Iotの懸案であるセキュリティーの確保。ビッグデータの
コストの問題が解決できるため、Iotにおける欠かせない
技術になること。シェアリングの中央機関がなく、
セキュリティー問題が発生しないこと。
大きな、凄い将来性のある、今後の核になる技術であること
は間違いないと思います。絶対に理解すべき、活用すべき
技術であると思います。 -
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ネタバレブロックチェーンには、①記録されたデータが改竄できない②攻撃に対して(単一障害点がないことから、)強靭である③管理者が不必要であるためコストが削減できる といった特徴があり、IoTの普及や特に金融(送金等)に関する事業への応用が考えられる。仮想通貨と電子マネーの法律上の違いなど、各国における法整備等、超えていかなければならない課題は多いものの、ブロックチェーン技術の隆盛が国内外問わず人々の生活に寄与するものと考える。
銀行において、プライベートブロックチェーンによる独自の通貨の検討がなされているようであるが、筆者と同様にオープンな議論が行え、技術の発展がよりよく進むことを望む。 -
Posted by ブクログ
知の世界の歴史を現代にいたるまで詳細に語る。フランス革命直前に百科全書派(ディドロ、ダランベール、モンテスキューら)という言葉があったが、正に知識論の世界においてアルファベット順、50音順というものが画期的だったのだ。学問体系からすると邪道だと思われたということが、分るような気がする。今のウィキペディアの考え方などは、もっと驚くべきものだろう。グーグルの検索機能がインターネット普及の上で、不可欠な存在だったということは誰にでも明確なこと。初期の頃、gooでの検索が非常に探しにくく、使い物にならないと思ったことがあっただけに。百科全書派時代の英仏(ベーコン対デカルト)の思想界のライバル意識の強さが面白い。グーテンベルクの活版印刷術発明が情報革命の第1弾だったという説明もこの文脈の中で、非常に分りやすい。ラテン語を使える人による知識の独占、障壁というのは今でも全く同じ現象が続いており、英語だけではなく、戦前までの外交におけるフランス語、医者の世界のドイツ語などがそうなのだと思う。
コピペ蔓延の現状、2011年の京大入試における携帯からネットに質問をするというカンニング事件を取り上げ、むしろ指導層の怠慢を言う著者の考えはユニークだが、この流れからは不自然な結論ではない。