酒井順子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
四十路半ばで体験する初めての物事を綴ったエッセイ。スマホを持つようになったり、老化のきざしのようなこともあり。そして東日本大震災があり。わりと淡々とした日々のなかの初めての出来事を淡々とした筆で描く酒井さんの安定感。
こうしてあらためて考えると、いくつになっても初めてのことはあるもので、そのことをそう感じられなくなるのが年をとるということなのかな。初めてのことに敏感になってみると、意外と日々を過ごす心持ちも変わりそう。
そういえば、あとがき(文庫版)で酒井さんが「年をとる」「年を重ねる」という表現についてわりと力説していた。「重ねる」という耳ざわりのよい言葉より、しっかり年をとることと向き合う -
Posted by ブクログ
初めて読んだ著者さんの本です。
お金に関する話を、「かせぐ・つかう・けちる・ふやす」という4方向で章立てしています。
これ、初版が1997年なんですよね。つまり、今からちょうど20年前。
バブルの時の話は、さすがに時代を感じるところがありますが、著者の考え方としては、なかなかどうして。今の時代の人たちとの考え方と共通してるところが多分にあるという印象でした。
「将来的に、レジが無人化するかも」の著者の予想は、現代、少しずつではありますが、部分的に浸透してきていますし。
「三高」の件も、本来はそういう意味だったんだと分かると、見方が変わりました。
ただ、ハンカチで鼻をかむところは、眉をひそめて -
Posted by ブクログ
『昨晩お会いしましょう』から『DAWN PURPLE』まで毎回発売を楽しみにアルバムを買っていた者としては、読まないわけにはいかないでしょうと、この本の発売時に思っていましたが、それっきり忘れていましたね。今更ですが一応読んでおこうかと。
もともと雑誌の連載とはいえ、全体的に雑誌向けのネタ感が強いです。「助手席性」「軍歌」はなるほどと思いましたし、歌詞の解説、解読はそのとおりかもしれないけど、改めてそれを書かれても、だから何?みたいな。いわゆる同人誌的な、おもしろいと思えない消化不良な感じだけが残りました。
言葉には刷り込みの力があって、深く考えずに聴いていても影響を受けることはあると思う。し -
Posted by ブクログ
女を観る歌舞伎。女形って歌舞伎の超特徴的な一面ですが、やはり時代背景もあってか、お芝居のなかで大活躍するのは立役(男役)であることが多い。女暫とか、女団七とか、あえて「女」を主役にしている演目もあるが、逆に何も言わなければ主人公はだいたい男性。私もどちらかというと立役の魅力を重視して見てしまう。そんな歌舞伎のいくつかの演目を、「性愛以外においては女にしか興味が持てない」というくらい女観察が好きな酒井さんが、女性の振る舞い、生きざまに焦点を絞って解説。複雑な時代物のあらすじも華麗にすっとばして、ただひたすらに女。
すごく雑にいうと、歌舞伎の中の女性はだいたい不幸、しかも自ら不幸な(、と私たちには -
Posted by ブクログ
確かに、あの当時独身の人の声って、あまり聞こえてこなかったかも。
帰宅困難者でも独身者の人は意外と帰らなかった人が多かった、というのは、言われないと気づかなかったかな。
一人暮らしだったりしたら余計にそうかも。
いろんな人の話が聞けて、自分があの頃どうしてたかなーっていうのも思い出したりして、また震災について考えるいいきっかけになりました。
それにしてもあの当時、関東圏に住んでいる人でも「放射能が気になるから」と逃げる人が少なからずいた、というのに驚きました。
そうかあ……。
私はまったく気にならなかったな。
「目に見えないものだから気になる」
「目に見えないものだから気にならない」
酒井