一肇のレビュー一覧
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ネタバレ以下、印象的作品。
◆東川篤哉『陽奇館』。予想外の結末でびっくりしました。まさか探偵が死ぬなんて。
◆一肇『銀とクスノキ』。館はあくまで舞台装置という印象。(そういう意味では、澤村さんの作品の方がまさにその舞台って感じかな。)メインは一人の女の子の心を救うお話。罪善くんのキャラ良かったなー。
◆周木律『煙突館の実験的殺人』。一番びっくりしたのがこれ。急に世界が、スケールが大きくなったな。
◆六作共通して言えるのは、登場人物の名前が特徴的。あと、なぜ「白」なのかはよく分からない。
唯一はまれなかったのが古野さんの『文化会館の殺人』。登場人物、特に探偵役の言葉使いとか、改行の感じとかかな~。その辺りが引っ掛かった感じ。あとシリーズものの一つとしてお馴染みのキャラ(ユイカ)が急に出てきた感じがしてしまって、慣れないうちに終わってしまった。もちろん自分の知識不足もあると思う。ごめんなさい。 -
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新本格30周年記念アンソロジー。
1.「陽奇館(仮)の密室」(東川篤哉)2…建築途中の館での密室殺人
2.「銀とクスノキ〜青髭館殺人事件〜」(一肇)4…目の上のたんこぶである女友達と幽霊屋敷探訪
3.「文化会館の殺人—Dのディスパリシオン」(古野まほろ)3…演奏コンクールでの失敗からの悲劇
4.「噤ヶ森の硝子屋敷」(青崎有吾)4…すべてがガラスでできた透明な館で起こった殺人事件
5.「煙突館の実験的殺人」(周木律)3…「CUBE」的不条理状況での連続殺人
6.「わたしのミステリーパレス」(澤村伊智)4…遊園地のびっくりハウスに拉致監禁された女性
本書は「白」だが「黒」もあるのでそちらも楽しみ。 -
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「館」をテーマにした6名の作家による書き下ろしアンソロジー。
東川篤哉『陽奇館(仮)の密室』
キャラというかギャグ?のテイストにあまり付いていけない。終わり方は短編ならでは、で面白いと思う。
一肇『銀とクスノキ ~青髭館殺人事件~』
この本の中で罪善くんのキャラが一番好きかも。ミステリーとしてあのオチは何でもアリになるのであまり好きじゃないかな。
古野まほろ『文化会館の殺人 ――Dのディスパリシオン』
手記から読み解く謎とお耽美な空気感。
青崎有吾『噤ヶ森の硝子屋敷』
ラノベにありそうな個性の強いキャラ。全部硝子でそんな風になるのかとか想像がし辛かった。
周木 律『煙突館の実験的殺人』
SFチックなぶっ飛んだ設定。
澤村伊智『わたしのミステリーパレス』
ちょっと違ったテイスト。ミステリー色少なめ。物語の構造が面白い。 -
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ネタバレ『陽奇館(仮)』:The バカミス。発想が面白い。★4。『銀とクスノキ』:多重人格と信頼できない語り手の共存はずるい。ストーリーは面白かった。★3。『文化会館』:無駄な改行が多く読むのが苦痛だった。館である必要性もなく推理も論理的でない。★1。『硝子屋敷』:バカミスその2。時間帯によっては窓がないことぐらいわかるのでは…。探偵のキャラクターが面白い。★4。『煙突館』:バカミスその3。わざわざ熱川の往復時間を書いてくれてたせいでわかってしまった。最後…。★4。『ミステリーパレス』:ホラーの作家さんだけあって怖い。構成もストーリーも面白かった。★4。
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ネタバレ初読みの作家さん、書店で平積みされてるのに惹かれ購入、ジャケットも好み。
この一肇(ニノマエハジメ)氏、ラノベ出身で『魔法少女まどか☆マギカ』のノベライズを手掛けているとのこと。
まず文体と主要キャラ造詣、これには大きな既視感がある。ジャケットからも想像に容易いが「夜は短し恋せよ乙女」を連想せずにはいられない。今時の若者が決して使わないバンカラ言葉、ヒロインの容姿に言葉遣い、貧乏苦学生の暮らしetc…パクリ感は否めないものの、そこに「映画」に魅入られた人々がミックスされる。
「映画」にかかわる作品として重い浮かぶのは「探偵映画」我孫子武丸著、海外版として「フリッカー、あるいは映画の魔」セオドア・ローザック著などを思い出す。主人公の秘匿されたる停滞の原因が、「映画」に魅入られ自死を遂げた親友の「死」の真相究明というミステリ的構造を謳っており、中盤までは延々と繰り返される苦学生バンカラストーリーに、どうやって解決(オチ)をつけるのか、半ば作品としての成立に疑いを持ちつつも我慢しながら読んだ。
しかしながら親友の未完の短篇映画の最後のカットを撮りきる件にくると、スピード、サスペンス、キャラ立ち、全て停滞を感じていたものが急激に輝き出して、一気に解決へとなだれ込んだ。
正直、いくつかの仕掛けは仕込まれていて、それは今さらの手法ではあるが、自分は気付けなかったし見事な着地、解決と評価した。時代を築いた一大コンテンツ「まどマギ」のノベライズを手掛けただけのことはあると納得した。(まどマギもミステリ的どんでん返しに富むストーリー構成であることは周知の事実でしょう)
ただ残念なのは最後の最後、ヒロイン「さち」の在り様をファンタジー然として、無理やりなハッピーエンドで締めてしまったことである。ハッピーエンドは嫌いでないが、もう一捻りが欲しかったと思う。
まぁ個人的趣味をあるが、そこそこ楽しめる作品でありましょう。 -
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“「事後報告になってごめん。それは謝る。けど、ぼくはただ君を知りたいだけなんだ。もっともっと君を縛る特殊体質を知りたいんだ。君は死のうと思ってる。でもどうやっても死ねない。ぼくはそれがなぜか知りたい。それが解ければ君は晴れて自殺できる。ほらね、ぼくらの利害は見事に一致する!」
魂の叫びである。
後世きっとゲティスバーグの演説とともに歴史の教科書に記載されることだろう。
気がつけば、辺りは騒がしかった。
無数の野次馬がぼくらを取り囲んでいて、なかにはケータイカメラで撮影してくるやつまでいた。遠くからは救急車だかパトカーだかのサイレンまで聞こえる。考えてみたら民家も大破してて、大量の粉塵が夜空に舞っている状態だ。やばいなあ。怪我人とか出てないだろうな。いまさらながらそんな心配が頭の片隅を巡ったけど、それもなゆたの下っ足らずな台詞でかき消された。
「つまり、あなたはどうしてあたしが死ねないのか研究してくれてるというわけなのね?」
なゆたはぞくぞくするような上目遣いでぼくを睨みつけてそう確認してくる。
「その為につけ回したり、胸さわったりしたというのね?」
とりあえず、ぼくは頷いた。
「まあ、そうだね。胸は不可抗力だけど」”
死にたい理由がある死にたい少女は何度も死のうとするけれど、その度『なゆたエフェクト』と名づけられた不思議現象が起きて死ぬことができない。
彼女にストーカーまがいの行動をする少年は記述者となり彼女と行動をともにすることに。
どういうエンドが待っているのかと思ったら現実離れしたエンドだった。
だけど、無理矢理といった感は特にない。
意外な展開に驚嘆し、寧ろ、納得できる部分もあったり。
そして、二人のこれからは。
“「死は救いだと思わない?」
「おう、いいパンチだ。思うぜ。ときどきな」
「どういうとき?」
「たとえば、朝かな。朝目覚めたとき。まだ生きてるよ、俺って」
するとなゆたは目を輝かせた。
「あたしも思うの。寝ている間にすうっと死ねたらどんな幸せで面倒がないのだろうって。毎晩そう願っているのに、朝目覚ましが今日も始まりますよーって鳴るの。最悪なの!」
おいおい。
「なんで、仕方なく顔洗って、ご飯食べて、着替えて、髪とかして、家出るとストーカーがいるし。最悪なの」
「そりゃあ最悪だな。死にたくもなるな」
おっさんまで楽しそうに相づちを打ちやがったので、ぼくは言ってやった。
「そんなに死にたいのなら、あなたの場合、出頭すればすぐだと思うのですけど」
すると、Kはにやりと笑う。
「あいにくケーサツは、麩菓子の次に嫌いなんだ」”