太田肇のレビュー一覧
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様々な組織で不正が起こり、毎日の様にニュース報道で取り上げられている。会社の不正であったり、大学をはじめとした学校、スポーツの団体やチーム内での問題など、組織の種類問わず大きな問題を抱えている事が連日報道されている。人は孤独で生きるのは難しいから、何かしら組織に所属またら縛られながら生きているのは当たり前の事だが、組織自体の体質や風土に問題を抱えている事が容易に想像できる。とは言え一昔前の問題とは異なる様相を呈している。
以前はよく問題となっていた、学内でのイジメや地域によって甚だしかった差別的な話、企業内でよく見られた超過労働や自殺の問題。この辺りは法制度の整備や人々のそれを排除する様な人々の意識の醸成などにより、多くは解消されつつある様に思える(かといって全てが解消されたわけではなく、場所によっては未だ未だ問題としては残る)。昨今騒がれている様な問題の多くは、人と人との繋がり、人間関係の希薄や、逆に表面には出てこないものの同調圧力の様な組織からの阻害を恐れた無言の服従の様なものから来ているのでは無いだろうか。特に会社ではハラスメントの防止が叫ばれる中で、表面上強く言葉や態度に出さないまでも、察せよとでも言わんばかりの空気感が支配したりする。不正を見たり聞いたりしたら当然、然るべき通報窓口に言えば良いだけの話だが、それにより所属組織が崩壊したり、ひいては自分の立場も危うくしかねない。であれば、皆んなと協調して安全に波風立てずに生きている方が楽だ。何よりただでさえ人員不足で忙しい中で、各所からヒアリングされたり、制度改定でやり方の変更に追随しなければならなくなったり、多少の我慢で今の給料もらえるなら…。私がその立場に立った時アクション起こせるか、忙しい最中では考えることから逃げてしまうかもしれない。
本書は日本型組織のドミの崩壊という表現で、壊れ始めを感じさせる様々な組織体の崩壊事例を挙げ、その原因や社会的な背景、人々の意識の変化などに迫る一冊だ。「日本型」と言っているのは、海外、特に個人主義や個人の能力重視型の社会とは根本的に異なる日本人、そして日本の企業を始めとする特異な共同体を題材にしているところに理由がある。
グローバル化により世界が同質化する中にあっても、未だ未だ独特の社会を形成する日本。海外から来た人と仕事をする機会が多いが、彼らから見ると日本の文化や社会、考え方などは参考になることも多いが、やはり独特のものに感じる部分が多いそうだ。良い部分も悪い部分も含めて、社会や組織を形成する人がそうである以上、その共同体の良い部分も悪い部分である問題点も独特だ。超高齢社会に足を踏み入れ、労働人口の減少や過疎化による地方の崩壊など様々な課題に溢れる日本。本書が扱う様な組織崩壊の原因を取り除き、世界にプレゼンスを示し続けられるかは、組織を形成する一人ひとりの意識にかかっている。 -
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社員の離職を抑えて生産性を高めるためにはどうすれば良いのか?答えは組織内の社員を自営型にシフトすることだと説いている。
自営型とは
社員が川上から川下までまとまった仕事をできるように裁量権を与える自律的な業務体制である。
特定の業務だけでなく、企画から実行までを一貫して行う点で従来のメンバーシップ型やジョブ型と異なる
なぜ自営型が離職ゼロの鍵なのか?
社員にとって以下のメリットがあるため
・業務に幅が広がり、経験や成長につながる
・業務の自由度が上がり、柔軟な働き方を実現できる
・業務が自分事化され、モチベーションにつながる
メンバーシップ型では組織主導であり社員はやらされ感が拭えず、ジョブ型では特定の業務の専門性が高まるばかりで成長にはつながらないが、自営型とする事でエンゲージメントの最大化が見込める
自営型社員を増やすには
ここはあまり具体の記載はなかったが、まずは自営型の管理者を増やすことがスタートと解いている。
優秀な管理者に新規事業案件などの重要な経営課題を一手に任せることで、管理者の業務を人の管理から仕事の管理にシフトし、その結果管理下から外れる社員の自営を促すことができる。 -
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明快に書かれた文章は
日本型組織の持つ特性と不祥事を生み出す弱点を浮き彫りにする
特にJTC(伝統的な日本企業)で働いたことのある人には刺さる内容ではなかろうか
日本企業の「今までとこれから」を考えたい方におすすめの一冊である
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落書き①:
ある時、同僚が一月近くサボっていたため痺れを切らして上司に協力を働きかけるよう相談し、同僚へのヒアリングが行われた
その結果『「メンタルヘルス不全だからあまり働けません」と言われたため来年度に別部署に異動させる。業務協力もできないらしい。』と言われた
その時は「お前は何を言ってるんだ」と思ったものだ
しかし日本型組織は「企業」(目的集団)であると同時に「共同体」(基礎集団)でもあるため「目的」を果たせない(さない?)人間も保護されるのである
組織をよくしよう(自治)としなくても護ってもらえる(受容)
つまり、「出来るやつがやればいい、出来なければやらなくていい」ということだ
これはまさしく「空洞化」した共同体型組織である
この気味悪い”寛容さ”の理屈を教えてくれたことに感謝している
落書き②:
本書の第1~3章の内容は私には大凡納得いくものだったが「消極的利己主義」を語る文脈(75P)で高校球児や生徒を「無関心な群衆」扱いしていた所はおや?と思った
実際の映像を見てみると周りの球児らの中には心配そうに見つめている者もいた(女子生徒は数秒後にスタッフが駆けつけて救護されていた)
運営が伝統を重視して熱中症対策を怠ったことを非難するなら分かるが、あの場に緊張して立っている高校生達に人命救助を求めるのは筋違いだろう
落書き③:
インフラ型・自営型組織に回帰するのも業界によりメリットはあるだろうが危険な感じがする
属人化がより進むだろうし着いていけない人が間違いなく増えて社会が不安定化しそうである
日本型組織は低能力者のセーフティーネット的側面もある(非正規雇用の増加で変質しつつあるが)
それに本書ではパソナグループや吉本興業の不祥事に触れていないがあれはインフラ型的ではないか
結局どの組織でも不祥事は起こるのである
身も蓋もない話をすればどんなに洗練された組織でも問題は起こるだろう
なぜなら組織を構成するのは人だからだ
※とはいえ組織変革が不要とは思わない
学者でない私にはいい案など到底浮かばないが、周囲に感謝を伝える同僚と働いた時は居心地良かった
社会の分断が叫ばれる昨今、大切なのは「自分への敬意ひいては他人への敬意」ではないか
それには日頃から読書や芸術・スポーツ、社会活動などの文化的活動や人との交流を通じて思慮を深め、自身を取り巻く環境の有り難みを理解することが必要だ
自己肯定/効力/有用感を高めることだ
それはスマホをいじっても身につかないものである
※組織論から外れるため深く言及はされていないが筆者も「あとがき」などでコミュニティの大切さに触れていた
自分でも引くほど落書きが長文になった
これだけ考えを巡らせるほどの良書だったという証左だと思う
ここまで読んだ方ならすぐ読めると思うのでぜひご一読ください -
Posted by ブクログ
フジテレビ、ジャニーズ、宝塚…。かつてのあこがれの組織、団体が音を立てて崩れていく。どうしてこうなったの?
日本型共同体は自治と受容のバランスが崩れて空洞化し、いつのまにか「もの言わぬ集団」になってしまった。「何もしないほうが得」になってしまった。空洞化した共同体は、権力者や体制側とっては大変都合がいい。他人事ではない。一流企業だけの話ではなく、身の回りの組織はみんな同じ状況だ。いつのまにか「上」から理不尽な要求をつきつけられて、周囲は知らんぷりで助けてくれない、最後は自らが不正に手を染める…。なんて悲劇がいつくるかわからない。
ではどうすれば?
個人ファーストの「インフラ型」組織へ転換すべし、その本書の主張は、イメージがわかない。とはいえ、組織を根本から見直し「新生」せよ、との主張は正しい。 -
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テレワークで働き方が変わったが日本人の承認欲求は変わらない。世代に関係なく誰にでもある「承認欲求」を定量的に示すことは難しいが、統計データや調査資料を基に「日本人の承認欲求」について、それがどんなもので、どういった時に生じて、誰に対してどこでどうアピールするのか、また、不足するとどうなるのか等を論じている。
テレワークのメリットとして「通勤時間をなくせる」「どこでも作業できる」「集中できる」「(コロナ禍での接触や職場で嫌いな上司など)人とむやみに接触しないで済む」「服装にこだわらなくてよい」「ちょっとした家のことが出来てしまう」等があげられる。
しかしながら、人の本質として社会的に認められたい部分がある為、人とのコミュニケーションを求めて会社に行って人に会いたくなってしまう様だ。
SNSの現状を見てもわかる通り、「承認欲求」とは人の行動原理のひとつの様にも思えるのでとても興味深い。
よく論じられているように日本は雇用体型や仕事感が独特ではあるが、テレワークや副業を上手く活用して、日本人の活力が上がり、経済が活性化すれば良いなと思う。 -
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なかなか面白った。人は金銭の為に働くのではなく承認を求めている承認人(ホモ・リスペクタス)。肝心なのは承認の多元化(名誉の分かち合い)を取り入れる事。日本人には表の承認と裏の承認がある。表面的に安易に褒めると妬み、嫉みを生んで「出る杭は打たれる」状態になってしまうので、控えめな日本人は裏の承認で動いてる。これをくすぐってやるにも承認を外部に求めたりしてあげるのが大事と。
「リーダーの仕事は、部下を売り出すこと」はとても共感できる。インフラ型リーダー。俺についてこい的なカリスマ型リーダーではなく、部下を「役者」や「選手」のように売り出しサポートできるリーダーこそ求められると。今時の言葉で言うとサーバントリーダーシップに通じるところもあるかな。自分の”推し活”は”推し”の部下を見つけ、”推す”事なので。推し活型リーダーって言葉を広めるかな。。 -
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同僚が貸してくれた本。著者は、同志社大学政策学部教授で、組織研究が専門の方。
企業や学校や町内会などで、率先して動こうとする人が減っている背景には、イジメ問題が起きた学校の校長が「うちの学校にイジメはない」と言い切るような、根拠のない楽観主義と、それに基づいた素朴な全体主義による組織の運営体制がある。全体と個の対立など存在しない、という建前のもとでは、役割を求められることは負担ととらえられ、何もしないほうが得という態度になりやすい。それは一見消極的な態度だが、実際には自らの利益のために他者を攻撃するような激しい態度と、利己的という点では同じことである。しかし、そういう態度を個々人がとるようになってしまったのは、それぞれの人々が悪いのではなく、そのシステムを放置し続けた側にある。みんなが、何もしないほうが得という態度を続ければ、組織は維持できない。ではどうすればいいのか。企業も学校も町内会も職能団体も、自らの権益と影響力を維持するために資格制度や登録制などのハードルを新たに設けて個人を抱えこもうとしているが、それではダメだ。まず、各企業に委ねられてきた、社員全員にある程度の生活を保障する仕組みは、社会保障の本来の担い手である国や自治体が中心となるように社会全体を設計し直す(ベーシックインカムの導入など)。その上で、企業や学校などは、所属している各々の社員や学生が組織内だけでなく、広く世界で活動できるようにその枠をゆるやかにし、また、多様な人材を外部から積極的に受け入れ続けるべきだ、ということを著者は主張する。
連日残業し続け、連休も滅多にとれず、公休日も職能団体の会議などに時間を取られ続けている日々を延々と送っている身からすると、うんうん、と頷けるところが多く、しかし、そんなふうに今更この社会は変われるのかなあ? どうせ無理でしょ? と醒めた気持ちになってしまうのも正直な読後感でもあり。まあでも、自分の所属するいくつかの組織を少し客観的にみることはできたかな。 -
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ネタバレビフォー
人の承認欲求を満たす側になるために、以前読んだ「頭のいい人が話す前に考えていること」でも登場した本書を読んでみようと思った。
気づき
承認には2タイプあり、表の承認と裏の承認がある。表の承認は成果や功績による自尊心を高めるものであり、裏の承認は妬み嫉みをされないように振る舞うという、消極的なものであった。特に日本は裏の承認の影響が大きいとされ、確かに実感することがあった。また、その裏の承認で損しない立ち回りを世渡り上手とかいうのかなとも感じた。
また、報酬などの外的要因が面白みなどの内的動機づけを奪う点にも納得がいった。幼い頃いつしかご褒美のために習い事を頑張っていた記憶が呼び起こされた。
本書を通じて自分自身も例に漏れず承認を得たい人間なのだと理解できた。
TODO
その上で、小さなことでも他者を褒めることをしたい。
褒め方は直接的なものでなく、「〇〇さんが褒めていたよ」など、第三者の褒めを間接的に伝えるものにしたい。心理学的にも有効だし、本書でも書かれていることなので、有効だと思う。
かつ自分においては、外の世界に目を向けて、足りないという渇望を掻き立てて、モチベーションを維持していきたいと思う。