【感想・ネタバレ】同調圧力の正体のレビュー

あらすじ

和の精神が呪縛に変わるとき、それは同調圧力となる。なぜ、日本の美徳は、見えない暴力へと変わるのか? 私たちはその理由を明らかにしないまま、異端を許さない不寛容さに、漠然とした「生きづらさ」を感じてきた。「空気」という曖昧な表現で蓋をしてきたからだ。コロナ禍を契機に同調圧力が注目される今こそ、その正体に迫るチャンスではないだろうか? 本書では、同調圧力が発生する背景、メカニズムを読み解きながら、同調圧力の「功」と「罪」の歴史を振り返る。また、こうした歴史が令和の世にどんな現象を引き起こしているのか、SNSの出現で新たに登場した「大衆型同調圧力」という概念を使いながら分析する。学校のイジメ、職場のパワハラ、企業の不祥事、SNSの誹謗中傷、暴走する正義――。すべては一本の線でつながっている! こうした諸問題を引き起こす同調圧力を防ぐ仕組みや対処法とは一体何か? 息苦しい日々に光明が差す、「希望の1冊」だ。

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Posted by ブクログ

めちゃめちゃ目新しいということではないですが、コロナ禍にあって明確にまとめられたものを読んだ意義はあったと思います。

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2021年09月22日

Posted by ブクログ

近年の心理学等の研究結果を踏まえながら、同調圧力の発生機序や、同調圧力がもたらすメリットデメリットが簡潔にまとめまれている。

組織が閉鎖的、組織に属する人が同質的、組織内での個々の役割が不明確、この3点が同調圧力をもたらす要素とのこと。経験的にも確かになと感じた。

同調圧力は、なかなか明確に定義することは難しいが、本著のようにメカニズム等を明らかにしながら、同調圧力を崩していく試みは非常に重要だと思う。

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2021年07月26日

Posted by ブクログ

題名の通り同調圧力について書いてある本。

職場で同調圧力について感じる事が度々あったので読んでみました。同調圧力について、疑問に感じながらもついつい屈してしまう事がありました。

同調圧力について気付いたこと
・利点もある→民衆自らが規律を守りやすくなる。
・同調圧力が生まれた原因は色々ある→終身雇用制度、学校、近所、狭い人間関係等
・昭和の時代までは同調圧力が良かった→平成からIT化、女性の社会進出、終身雇用制度の崩壊等で同調圧力はそぐわなくなってきたにも関わらず、相変わらず残り続けている
・様々な対策が取られてはいるが、結局別の問題が発生したりで、同調圧力をなくすことは難しい

同調圧力は様々な要因が関わって発生し、ハード面(制度や政策)では対処しきれない問題である。
自分的に同調圧力に屈しない方法としては
自分の中にぶれない軸を持つ、常に思考し続ける2つが重要であると感じた。
さらに、同調圧力からの一種の逃げ道としては
・準拠集団を共同体の外に置く→例えば職場で同調圧力を感じているのだとしたら、家庭や友人関係に重きをおいて、例え職場で同調圧力を感じても家庭があるから問題ないといった考えを持つ。子供が学校でいじめられたとしても、この考えを教えれば解決できるのかもしれない。そのためには子供への無償の愛が必要であると感じた。

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2023年01月10日

Posted by ブクログ

日本の官僚、大企業で問題になることを羅列し、解決法を示している。
結論、変われずマイノリティになったことがないので、多様性を受け入れられないのが最大の原因。

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2021年10月22日

Posted by ブクログ

このコロナ禍であらためて注目される同調圧力の本ということで、手に取った。

昭和〜平成〜と流れる中、時代や環境が変わるとともに同調圧力が足枷になってきたということ、縦でなく横からの同調圧力が増えて来たという流れを、この本を読むと実感する。

同調圧力が無くならない理由は共同体主義にある、ということは、この先を生きる上でも意識しておかないといけないと感じた。

1
2021年12月16日

Posted by ブクログ

コロナ禍で明らかになった新たな同調圧力の正体を「タテ(秩序)からヨコ(正義)」に変わったという視点で、日本でこれまで問題となっていた同調圧力とは何なのか、日本社会の歴史的背景やコロナ禍で露呈した日本の課題を明らかにしています。
著者指摘のとおり、現状のこの変化は十分理解できるところであり、その特徴も注意しなければならないところでしょう。最後に、同調圧力に対処するための戦略を提案しています。難しい面も多いのですが、参考にしたいと思います。

▼同調圧力の背景にある3つの要因
①閉鎖性
②同質性
③未分化
・閉鎖的、同質的な組織や集団は共同体になりやすく、さらに個人が未分化だと同調圧力に無防備である。この三要因は日本社会、日本の組織・集団の特徴をあらわすキーワードともいえる。それゆえ日本の社会や組織や集団の中で、人びとが同調圧力を強く感じるのは当然だろう。
・共同体の圧力による自発的な協力要請と、公式組織の力による強制という二段構えの手段を備えた日本式の共同体組織は、最初から強制に頼る欧米式の組織に比べて一見すると弱腰なようだが、実はより強力だということができる。だからこそ組織は、なんとしてもその体制を守ろうとするのである。

▼冷静な意識に基づく合理的な計算、あるいはほかの目的や価値との比較考量を超える社会的な力を産み出すものーそれはイデオロギーである。イデオロギーでゃ命令や権力に対する服従というタテの力だけでなく、民衆のある意味で自発的な行動というヨコの力も生む。
▼感情的にも、理念としても共同体を望ましいものとしてとらえ、共同体を積極的に維持・強化しようとする価値観。それを「共同体主義」と呼ぶことができる。ただ、そこに日本社会の特性が色濃く反映されていることを考えたら、正確には「和製共同体主義」ないしは「日本的共同体主義」と呼ぶべきかもしれない。
▼本書では既存の政治思想や社会科学の概念にこだわらず、共同体主義を「感情的にも、理念としても共同体を望ましいものとしてとらえ、共同体を積極的に維持・強化しようとする価値観」と定義する。
▼共同体主義は、その性格からして自由主義や個人主義とは相容れ難いが、民主主義には溶け込みやすい。とりわけ参加型民主主義とは、理念的にも一致する部分がある。したがって日本では政治的に右からも、左からも支持される場合がある。

▼日本の職場では効率性の論理と共同体の論理が渾然一体となっており、それが問題を複雑にする。
▼タテ方向の同調圧力を「家父長型同調圧力」と呼ぶなら、ヨコ方向のそれは「大衆型同調圧力」と呼ぶのがふさわしいだろう。注意したいのはヨコ方向の同調圧力においても、攻撃する者、される者、傍観者という三者の関係が前述したイジメやハラスメントの場合と驚くほど似ていることである。違うのは圧力の方向がタテかヨコか、そして背後に社会的な「正義」があるかどうかだけだといってよい。とりわけ日本社会で問題なのは、そこに異論を受け入れる懐の深さがないことだ。
▼少数意見や異論を受け入れるようになることが、成熟した社会へ移行するための課題だろう。いま社会のフラット化が進む、私たちはタテの圧力から解放されようとしている。本来なら個人が主役になるチャンスである。にもかかわらず自縄自縛ともいえる状況に陥っている現実がそこにあるのだ。
▼私たちは過剰な同調圧力を苦々しく思いながら、いっぽうで他人に圧力をかけていることに無自覚な場合が多い。
▼コロナ禍で露呈された共同体組織のもう1つの弱点、それは、危機において意思決定システムが機能しなくなることだ。

▼新たな同調圧力の特徴
①圧力をかける者が匿名集団であり、姿が見えないこと。それだけに対処が難しい。
②多くの場合、被害者が同時に加害者にもなりうること。
③日常生活の隅々まで、ときには身近な対人関係の中にまで入り込むこと。
④圧倒的な伝播力・拡散力を持っていること
▼同調圧力と立ち向かう3つの戦略:構造改革戦略、適応戦略、共存戦略

<目次>
序論 「事件」は共同体の中で起きる
第1章 なぜ日本社会はこれほど窮屈なのか
1 職場も学校も共同体に変質
2 同調圧力の背景にある三つの要因
3 加圧装置としての共同体型組織
第2章 圧力をエスカレートさせるもの
1 同調圧力の正体
2 自粛、謹慎ムードを強化するもの
3 ウチの常識はソトの非常識
4 それでも幸せだった昭和時代
第3章 パンドラの箱が開いた平成時代
1 イノベーションの足を引っぱる工業社会の残像
2 グローバル化、規制緩和の「意外な結果」
3 起きるべくして起きた「平成の不祥事」
第4章 コロナで露呈した日本の弱点
1 テレワークと日本型組織は水と油
2 自粛警察、SNS炎上にみる「大衆型同調圧力」
3 コロナ対策が後手に回る必然
第5章 同調圧力にどう立ち向かうか
1 同調圧力に対処する三つの戦略
2 構造改革戦略
3 適応戦略
4 共存戦略
あとがき

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2021年12月05日

Posted by ブクログ

同じ空気を読むことが美徳とされてきた日本社会。その影に潜む危うさはないのか。周囲に合わせることで摩擦は避けられるが創意は抑えられ異論は封じられる。結果として組織や社会は硬直し変化の波に乗り遅れる。個を尊ぶ自由と共同体の調和、その両立は難しい課題だ。だが未来を切り開く力は異なる声を受け入れるところから生まれる。同調の鎖を解く勇気こそ次の時代を進める鍵である。

0
2025年09月03日

Posted by ブクログ

同調圧力の原因をイデオロギーとしての共同体主義に求める分析。タテ社会や空気という伝統的な切り口とは異なるが,言いたいことはほぼ重なるように思われる。

閉鎖性,同質性,未分化が同調圧力を強める。
タテの圧力=権限・序列
ヨコの圧力(大衆型同調圧力)=「正義」

分析はそれなりに説得的ではあるが,目新しいものはないかな。対応策もまぁありがち。

教育で身に付けさせるべきは受動的な同調よりも積極的な協力というのはそうだと思う。

結局人は人なんですよ。

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

「何もしない方が~」と同様、事象の説明には納得感があるものの、解決に向けた対応策の章はイマ一つ。フラット化によってタテの圧力が弱くない、ヨコの圧力が高まりつつある社会風潮はまさにそのとおりだと感じました。

もはや、社会が一回ダメにならないと再生できないのではなかろうか。。。と思わせます。

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2023年01月27日

Posted by ブクログ

同じ背景を持った日本人ばかりの組織の中で暮らしているから同調圧力が強くなる。
一つの共同体に依存せずに、いくつも居場所を見つけることが大切で、今のインターネットを使用して世界中の人と繋がれることを活用したい。
日本だけではなく、世界にコミュニティを作ること。

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2021年11月06日

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