【感想・ネタバレ】「承認欲求」の呪縛(新潮新書)のレビュー

あらすじ

SNSで「いいね!」をもらうことに全身全霊を傾けてしまう人がいる。職場で表彰されたために「もっとがんばらねば」と力んでしまい、心身を蝕(むしば)む人がいる。エリートであるがゆえにプレッシャーを感じて、身を滅ぼした人もいる……すべての原因は「承認欲求」の呪縛だった。誰しもがもつ欲求の本質を深く探り、上手にコントロールする画期的な方法を示す。人間関係の向上や組織での成果アップに変換するヒントが詰まった一冊。

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SNSが発達したことの弊害ともいえる承認欲求が、現代の日本の問題としてどう顕在化しているのか?
具体的な事例に基づいて理解し、承認欲求を求めるものたちの心理感を理解できました。

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2023年12月25日

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承認欲求が満たされれば、逆にその面での危険やリスクを伴うということがよく書かれたものです。
社会的地位が高い人でも、1つのミスで自殺に追い込まれるなんて言うことがあるそうです。

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2023年12月11日

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p.48
ストレートに表現したら顰蹙を買うことがわかっているので、わざわざ迂回する戦略をとり、認められようとしている。それだけ、他者から認められることへの執着が強いからである。

p.74
彼はその道の大家である師匠に「いつまでたっても社会的に評価してもらえない」とこぼした。すると師匠は「実力があっても評価されないのは幸せだ。私のように実力以上に評価されるのはどれだけ苦しいか」と答えたそうだ。
たしかに私の周りを見渡しても、なかなか認められないと嘆く人は何人かいるが、実際に多少なりとも認められた人を思い浮かべてみると、その人が幸せな人生を送っているかといえば、必ずしもそうではないようにみえる。
→ 過小評価されている方が気楽なので幸せなんだな。

p.91
主観的価値と客観的価値のギャップに目をつけて利益を得るのがビジネスである。いわゆる「やりがい搾取」、そして「承認欲求の搾取」もまたそのギャップにつけ込んだものだといえよう。
→ 客観的価値を意識できないほどに、それそれの顧客にあわせた付加価値を前面に押し出すことが大事。

p.119
やりがいであれ、承認であれ、本来それは働く人にとって望ましいものであると同時に、それによって意欲が高まり、仕事の成果があがれば企業もまた利益を得る。その恩恵を正当な形で本人に配分するのが筋だろう。企業はそこから経済的な利益を得ながら、働く人には心理的(主観的)報酬だけですませようというのは、やはりフェアではない。
→ 承認目的ならタダでも働いてくれる。だから、ボランティアなどと言ってタダで人を働かせる企業は犯罪として処罰の対象として良いのではないか。そうすることで、みんなの意識が変わって健全な社会になりそう。スタートアップ企業を潰さないために10人まではセーフとか、特例は必要だろうけども。

p.190
そもそも仕事内容や環境の変化が激しいポスト工業社会では、能力や貢献度も変動しやすい。花田光世(1987)が明らかにしているように、これまでの日本企業の人事制度は敗者復活の機会が乏しいトーナメント型に近かったが、これからは敗者復活の容易な人事制度に切り替えていかなければならない。

p.192
このようなゼロサム型の組織や社会で成功体験を積ませるには、どうすればよいか。それは周囲との競合を避けることである。閉ざされた組織の中でも、一人ひとりの目標やキャリアが競合しなければ、他人の足をひっぱる動機は生まれない。組織の中で出世したい人、専門職を目指す人、ゆとりある生活を送りたい人など、それぞれが自分の道を歩めば良いからだ。

p.196
特に効果的なのは、自分の名前を出して仕事をさせることだ。名前を出すことによって、製品やサービスに対する顧客の評価が直接本人に返ってくるようになる。ある機械メーカーでは機械の組み立てを丸ごと一人に任せ、製品には製作者の名前を入れて出荷するようにした。すると社員のモチベーションが目に見えて高くなり、若手の離職者がゼロになったそうである。社内外に発表する文書を原則として署名入りにするとか、仕事上のアイデアについては発案者の名前を明示するといった方法もある。
→ なるほど、仕事の成果物に自分の名前が付いたら自己効力感が上がるよな。

p.198
何が賞賛に値するかをできるだけ文章にして具体的に示す。たとえば表彰する場合も、賞状には通り一遍の文言ではなく、理由を詳細に記述したほうがよい。またカードやスマートフォンのアプリを使って、ほめ言葉や感謝の言葉を伝える仕組みを取り入れている会社もある。口に出すのが照れくさい場合に使えるといったメリットもあるようだ。
→ ちゃんと自分を分かってもらえているという安心感、自分は正しい努力を続けられたという肯定感を満たすことが大事。

p.205
自己開示は、自分の弱みも包み隠さずみせることである。そして逆説的にいうと、弱みを見せれば恐れを抱かなくてもよいので強くなる。その意味でも大切なのが「失敗体験」である。
→ 失敗してもみんなに話せるネタを得られたくらいの気楽さが欲しい。みんなに話せば原因と対策の振返りができ、リトライする気力も養える。

p.208
「楽しむ」ことを徹底できれば、「承認欲求の呪縛」に陥らなくてもすむはずである。

p.214
もっとも、リアルな世界に居場所を見いだせないからこそ、ネットの世界にそれを求めた人が多いのは事実だ。それなら、せめて複数のSNSを使い分けるようにすれば、「承認欲求の呪縛」を軽減できるはずだ。ちなみに要領のよい若者は、匿名で複数のアカウントを使い、異なるキャラを演じている。

p.217
こうした問題を一挙に解決する方法はないのか?
ある。メンバーの「プロ化」、すなわち組織をプロフェッショナルの集団に変えればよい。なぜ「プロ化」によって問題が解決されるかを説明しよう。

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2019年10月25日

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この本で指摘されている通り、本当に多くの日本人が、「認められたい」「認められなくてはいけない」という状態に陥ってしまっています。

この呪縛を解くカギとして、著者は
・周囲と同一次元で勝負をしないこと
・別の大切な世界「もう一つの世界」をもつこと
・組織をプロフェッショナルの集団に変えること
を挙げています。

まずは、自分の行動が経済によるものなのか、承認を求めてのものなのか、自己実現のためのものなのか、を自覚することから始めることが大切だと感じました。

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2019年09月21日

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承認欲求の功罪両面が書いてあってよかった。
そしてSNSのいいねにとどまらず、組織内のいいねにしがみつく中年にまで話を振ることで「最近の若者は」の議論にとどめなかったのは素晴らしい。
ぜひおじさんたちに読んでもらいたい。

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2019年07月07日

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 「承認欲求の搾取」という言葉が目についた。おそらく「やりがい搾取」と同種の言葉であろう。

 承認を受けたいが為に右往左往するのでは、振り回されて疲れ果ててしまう。それをどう中和するか、そして適度な距離を取りえるのか。

 

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2019年04月30日

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タイトルの通り承認欲求に関する本。うまく向き合っていくために。

メモ
・パッキングより販売員の方が不満が少ない。客から日常的に承認を得ているので。
・認められるために本能的にリスクを冒す
・承認欲求をコントロールできない場合がおそろしい

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2024年09月19日

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承認欲求って、認められる為に努力し、モチベーションとなり、さらなる高みを目指すようなプラスのイメージを持っていた。だから褒める事=いい事だと思っていた。
しかしこれがマイナスに働いてしまうと、自殺やうつ、過度なプレッシャーからの不祥事などに繋がるという著者の分析が目から鱗だった。

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2024年08月10日

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承認欲求はかなりめんどくさいな。
私にももちろんある。
認められたいが、認められたら今度はその評価がなくならないように気にしてしんどくなる。

私事ではありますが、この4月で比較的早くして係長に昇任し、嬉しいものの、それと同時に係長はこうあるべきだとか、係長としての見られかたとかが気になることがありそれは多少はプレッシャーとなっている。
他人は思ったより自分のことを気にしてないだとか、自分は自分だとか、他者が自分のことを評価するのは他者の課題だから自分が気にすることではないだとかいうことを言い聞かせて日々過ごしている。

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2024年06月26日

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承認欲求の問題点と解決法について淡々と論が進む。まあ、そうなんだろうなあと思う程度。体系的にまとまってはいないので、承認欲求についてそういう面もあるんだろうな、で終わる。悪くはないが、目新しさや新たな気づきもないかな。

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2022年11月12日

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自信が身を置く環境での承認欲求が時として犯罪につながる。
承認欲求を満たすはずの誉める、という行為の隠れたリスクや自己効力感を高める方法など、よく整理されて述べられている。

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2022年07月26日

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基本、人を相手にした仕事をしてきたので、「ありがとう」と言われたときはうれしくなり、またがんばろうと思える。反対に(アンケートなどで)批判されるとやる気をなくす。
これって承認欲求?と思い、読んでみました。

最初に
「承認欲求は本来、人間の正常な欲求の一つである。(中略)承認欲求があるからこそ人間は努力するし、健全に成長していくといっても過言ではない。また、ほかの人と協力したり、助け合ったりする動機も承認欲求から生まれることが多い。」
とあり、著者は承認欲求そのものを否定しているのではない、とわかりました。

「ほめる」と「認める」の違い、など、なるほど、と思う点も多かったです。

仕事については、外資系によくある「評価主義」に対する考え方が変わりました。
「お金で済ましたほうがサッパリする」ことも確か。
イスラエルの託児所のケースも興味深かったです。

そして、この本でもやはり、「もう一つの世界」をもつことの有効性が述べられていました。

とはいえ、本業で疲労困憊している人には難しいことでしょう。
「やりがい搾取」「がんばること(長時間労働)を美徳とする」という日本企業の体質が変わることを願うばかりです。

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2022年06月12日

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ネタバレ

承認によって得られたプラスの効果が、あるきっかけでそのままマイナスに転化していくのだ。まさに「山高ければ谷深し」である。

(社内表彰で)500万という高額の賞金を受け取った営業社員〜(中略)「これからもっと頑張ります」〜(中略)「違うよ。君の過去に感謝したいだけなんだ。将来の貢献を期待して表彰したのではない」〜(中略)
→承認欲求の呪縛の要素のうち、「期待を下げる」についての一コマ。ありがちすぎて、考えさせられる。

承認欲求により不正も隠蔽も引き起こされる。
それがら今の日本企業のメンバーシップ型だとなおさら起こると言う。専門性を持たない代わりにさまざまな業務をするため、自己効力感が低いことが特徴として挙げられ、それにより承認欲求が高まる、と言う具合だ。
共同体意識の強い日本では、組織が承認していることに対して意見を言いにくい人も多い。
ジョブ型雇用ならいいのか、というと、例えば自分の会社にも専門職集団がいるが、承認欲求の呪縛に陥る例は多々見受けられると思っている。
おそらく、スキラーが偉いみたいな方程式になっているからであろう。

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2022年04月16日

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SNSの普及とともに人々に多く知られるようになった「承認欲求」という言葉。これまで注目されてこなかったこの欲求が人間にとっていかに大切なものであるかを認めながらも、その危険性や弊害などを中心に本書は記されている。

ご多分に漏れずワタクシも最近知った言葉だったため、承認欲求には自己主張の暴走的なイメージがあったが、実際は全然違った。誰にでも備わっているものであり、誰もが陥りかねない欲求なのだと理解した。幅広い解釈から、イジメやパワハラの被害者の意識構造に結びつけているところは、やや強引な気もするが、従来の同問題に対するアプローチよりはずっと妥当な気がする。
ただ、この問題を完全に解決するのは正直難しいように思う。特に教育関係者からしてみれば、「じゃあどうやって褒めればいいの?」という気になると推察。人それぞれバックボーンが違うのだから当たり前ではあるのだが、より一層知恵を絞らないといけないように思う。

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2020年07月16日

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承認欲求は必要である。
ただし過度な期待はプレッシャーとなり逆効果になる。
塩梅が難しい。

褒められるために仕事をするのは本末転倒だが、ほとんどの人がその状態ではないか。

上司の部下への接し方が重要である。と、わかっていてもバランスが難しいと感じる。

プロ化するためにはどうしたら良いか。まさに永遠のテーマだ。

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2020年07月15日

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こうしてみると会社組織の在り方は、大転換期に入ってるようですね。個人の自由度が増せば増すほど、経営のリスクは増大しているように思います。個人の権利、主張を過度に尊重しても、それに見合う義務が果たされるのか?従業員のモチベーション向上ばかりに目がいってて、とても違和感があります。そもそも仕事をして対価を得るのだから、その時点でプロフェッショナルですよね。
モチベーションは各人が自身で上げる努力をしていくのが筋ではないのかなあ?何でも会社に依存するのは、個の弱体化が進むんではと憂鬱になりますね。日本が特異な環境にあるのは理解しますが、世界の働く人々と比較した研究成果があれば、読んでみたいですね。

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2019年09月29日

Posted by ブクログ

そうなんだなぁと納得できるようなわかりやすい構成。承認するだけでは弊害も踏まれるということを学びました。今後、役立てようと思います。

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2019年06月01日

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承認欲求高めの私が何に囚われているのかを客観的に教えてもらった気がする。
褒めて伸ばせも大事だけど、褒められるとそれが本人の負担になりモチベーションを下げることにも繋がる。
じゃあどうしたらいいの?と思いながらも、
結局正解は存在しないのだから、人によって対応を変えるべきというのが妥当だろう。
勝手な思い込みで褒めちぎることよりも、その人が何を求めていて、どうしたいのかを一緒に考えてあげられるようになれたら最高。
かくいう私も承認欲求の呪縛に囚われないよう気をつけなければ。

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2019年05月06日

Posted by ブクログ

「叱ってはダメ、褒めて伸ばせ」から
「褒めすぎてもダメ」
結局は一人一人、真剣に向き合う事が大切。
向き合うポイントを教えてくれる本。

人を活かし伸ばす事の難しさを再認識しました。

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2019年04月30日

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承認欲求の呪縛は無意識に起こっていると理解。周りから見た自分のキャラがあり、周りの期待に応えようとして本来の自分とは違うキャラを演じて疲弊するみたいな。アイドルや芸能人とかは世間の期待に合わせてるってことなのかな。
あと、相手の承認欲求を満たすために褒めてあげても、大きな期待と捉えられてしまって相手にプレッシャーがのしかかることもあり、注意。

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2025年10月30日

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ネタバレ

承認してもらいたい!っていう強い気持ちはあんまりなような気もするんだけど、認めてもらえるとやっぱり嬉しいもの。
現在、部下を育てるに当たって、なんだか認めてもらいたい感は感じる。

承認欲求とどのように付き合うのか、人と接する時にどのように承認欲求と向き合うのかが伝わる本でした。

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2025年10月24日

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褒めて伸ばすという言葉や風潮が近年顕著になり、会社では部下の良いところを見つけて「褒めてあげよう」といった教育がリーダー層に対しても良く行われている。私もその様なやり方は良いと思うし、何より褒めるためには部下の仕事ぶりをしっかり見て、尚且つ何ができるか、何処が優れているか常に探す必要があるから、その分更にしっかり見るという増長効果もある。人の良いところを探して、自分もそれに倣ってみたいと思うし、そうした良い部分に気づく事で、更に他人に対する敬意や好意を持つ事にも繋がる。こうしてみると「褒める」事は良い事づくめに思えてくるが、私自身について少し思い出してみると、それは自身のプレッシャーになっていた事もあった。周囲からの期待に対して裏切りたくないという想い、次もその期待に応えなければならないという強烈なプレッシャーとなって押し潰されそうになった記憶。私だけでなく誰もが人生の中でこれまで味わった経験があるのではないだろうか。
昭和の時代は褒められる事は少なかった、これは私の考え感覚かもしれないが、幼い頃は親に叱られてばかりで、毎日毎日勉強しろ、スポーツも音楽も学びごとばかりで日々忙しく遊ぶ暇もなかった。良い成績をとっても特に褒められる事もなく、恰も学習教材を大量に与えているんだから、それが当たり前だろうといった風に思われていたのかもしれない(親はその様な感覚ではなかったと、後年気づいたが、当の本人である私はそう感じていた。何で褒めてくれないの?)。私なりに厳しい親だなと思っていた記憶があり、そんな厳しい親(特に母親)が、たまに褒めてくれたりすると、それが大きなプレッシャーとなっていた事を覚えている。ダメだしばかりで、文句を言われていた方が楽なのに、大学受験前の学内試験で相当の成績を残した時は、お前なら絶対大丈夫と褒められた事、それまでの成績からも間違いなしの様に思われていたというプレッシャーは物凄かった。昔はその様な状況は勉強でも運動でも当たり前にあったし、就職してからも最初の研修で「お前らは皆馬鹿だから覚える以外にない」という当時の研修担当次長の言葉や態度は今でも鮮明に覚えている。そして、今の自分がそうした親や上司のお陰でできている事も理解する。いずれも今となっては尊敬するし、感謝しかないのであるが、そうした態度や言葉は、既に令和の世の中ではアウトだ。簡単にDVやパワハラ扱いされるだろう。だから昭和の時代という訳だ。
話はだいぶ逸れたが、現代人は他人から褒められる事、承認される事に飢えている。本書が扱う承認欲求というものである。マズローの欲求5段階説はよく知られているが、食べ物も水も困る事のない生理的欲求が満たされ、平和憲法の下で安全の欲求も満たされ、失業率も低く会社に就労し社会的欲求もあり、その上の四段階目が人から認められたいという承認欲求である(その上は自己実現の欲求)。他人から認められたい、「良いね」が欲しいという風潮は近年はSNSへの投稿が当たり前となった状況で誰もが持ち始めた欲求だ。本書はそうした欲求が持つ問題点を検証する内容である。前述した褒めることが、本人の成長を促すだけでなく、逆にプレッシャーとなり潰してしまう事、過度の承認欲求で自らの精神が縛られてしまう事など、その弊害や負の効果について様々な事例を挙げて検証していく。主には会社などの共同体内で起こった不正や自殺、離職などの問題である。これを読むと褒めることを習ってきた私にも普段の人との接し方に注意しなければならないふしが沢山ある事に気づく。自分が経験したプレッシャーもそうであるし、過度の期待は本人を潰してしまう事にも繋がりかねない。とは言えある程度の期待がなければ人は成長しないし、やり過ぎは慢心を産むしと、中々バランスをとった褒め方は難しいのであるが、そこにヒントをくれるのが本書である。期待をしつつ本人の能力や成果に見合った具体的な内容について、過度に受け止めない様な事の大きさを抑える工夫。文字にしていても難しいが、ビジネスパーソンなら、やはり周囲の人間とその特性や個性、能力をじっと見つめて観察する以外には無いなと改めて感じさせてくれる一冊である。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

「承認欲求」がもたらすポジティブ・ネガティブな側面、また対処法について、さまざまな事例を取り入れながらの説明が、とても分かりやすかった。ふだん誰もが感じている事を、うまく言語化してくれた感じ。

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2022年01月04日

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ネタバレ

承認欲求がいかに人間にとって強力な欲求であるかを改めて認識した。
承認欲求のプレッシャーを軽減するための方策が具体的に示されているが自分が共感したのは『勝つ』ことよりも『楽しむ』ことを追求するという一例。勝負の世界では甘い考えかたかもしれないが、自分にとってはヒントになった。
あとは承認欲求丸出しのみっともない人間にならないよう気をつけること。褒めて欲しいための自慢エピソードや、そのエピソードに持っていくために自分で前振りしてみたりなんてほんとに恥ずかしい。(今までしてたかも。。。)

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2021年02月07日

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どちらかと言うと、認められた人がそれを失うことを恐れて縛られるという意味の「呪縛」。まだ認めてもらえていない、認められたいと思ってしまっている今の自分のニーズにはイマイチ合わなかった。

「呪縛」とは、恥、面子、意地、責任感、使命感などなどに置き換えられる。呪縛の強さとは、(本人が認知した期待ー自己効力感)×問題の重要性。受験エリートは自分の期待を下げられないというロジックは刺さる。

個人でできる打開策としては、大きな志を抱く、別の世界を持つなどが挙げられている。

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2021年02月06日

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承認欲求のプラス面とマイナス面、マイナス面として企業や行政の不祥事、過労自殺にいじめやパワハラ等の背景にある承認欲求に関して日本の風土病として述べられている。
承認はやる気、自信、人間関係や報酬と多くのものを得ることができる代わりに、認められなければならないという状態になると、承認欲求の呪縛となる。認知された期待と自己効力感のギャップが大きいとき、期待の多きさを実感している一方で、それに応えられる自信がないときに陥る。

日本の組織では組織内で認められることが全てになりやすいことが、承認欲求の呪縛に繋がりやすい。
解決策は1つの組織に固執しない、大きい目標をもって目の前の期待を下げる、自己効力感をもつ。

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2019年11月07日

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承認欲求の負の側面に着目した本書。
自分が気にしないといけないのは、承認欲求を求めすぎ自分で自分を認めること。
一つの組織に依存するのではなく、居場所を幾つ持つこと。
一つの目標だけに固執しない。
他者に対して気にしないといけないのは、ただ褒めるだけでは意味がないこと。
きちんと基準を決めて承認し成果に報いること。

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2019年09月28日

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評価されたいという気持ち、承認欲求は自分にもかなり思い当たった。海外だったら部下を褒めたらすぐに昇給を要求される、ある意味ドライで相手からの承認欲求だけで満足しない。ただ褒めて働かせるのは承認欲求の搾取。活躍した社員を表彰し報酬金を与えると、そのプレッシャーで表彰者が翌年には辞める会社。。子供が自殺するのは家庭では元気なお兄ちゃん、お姉ちゃんが学校でいじめられているという自分の評価が180度変わることに耐えられないから、など承認欲求というテーマでいろいろ考えるのが新発見で納得。しかし、高橋まつりさんの自殺まで承認欲求でくくるのはさすがに疑問。明らかに過労だったし、鬱状態だったので承認欲求のプレッシャーと結論づけるのは彼女の思考回路に問題があったかのようでおかしい。
いじめについて改めて考えさせられた。いじめという言葉が自分を「いじめられっ子」と定義することになりそれが受け入れられず大人に相談できない。嫌がらせ、校内暴力など別な言葉はないだろうか。

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2019年09月03日

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ネタバレ

なんともしんどい話。承認が欲しいから無理する、不祥事の自殺は、組織内での承認を失うから、というのは非常に説得力がある。相対化するのって難しいが、必要なんだな。

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2019年07月28日

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これまでの著書の方が面白かった。


 モチベーションは大きく分けて二種類ある。一つはお金やモノ、役職ポストなど、外から与えられる報酬によって引き出されるものであり、「外発的モチベーション」という。もう一つは仕事そのものが楽しいとか挑戦心をかき立てるとかいうように、仕事の内側からわいてくるものであり、「内発的モチベーション」と呼ばれる。

 名著『夜と霧』の著者であり、精神科医、哲学者でもあるV・E・フランクルは、人間存在の意味を追求する「ロゴセラピー」を説き、関連してこう述べている。「恐怖症と強迫神経症の病因が、少なくともその一部は、患者がそれから逃れようとしたり、それと戦おうとすることによって起こるふ不安や強迫観念の増大にあるという事実に基づいている」
 このような現象を「精神交互作用」と名付けたのが、「森田療法」で知られる医学者森田正馬である。森田によると、そもそも神経症の不安や葛藤は正常な人にも生じる心理状態であり、自分にとって不都合な弱点を取り除こうと努力するほど、その意に反して自分に不都合な神経症の症状を引き出してしまう。

 したがって「認知された期待」「自己効力感」「問題の重要性」を呪縛の三要素と呼ぶことができる。定式化すると、(認知された期待‐自己効力感)×問題の重要性=プレッシャーの大きさ、すなわち「承認欲求の呪縛」の強さである。

 それでは結論として、どこを、どのようにほめたらよいのか?
 その答えは、具体的な根拠を示しながら潜在能力をほめることである。潜在能力をほめることは、「やればできる」という自信をつける。すなわち自己効力感に直接働きかけることを意味する。すでに述べたように自己効力感が高まれば挑戦意欲がわく。かりに成果があがらなくても、潜在能力に自信があれば、成果があがらないのは努力の質か量に問題があるからだと受け止められる。そして、改善への努力を促すことができる。
 第一に、友人や顧客からの声など第三者の評価を伝えることによって、受け取る側からすると信憑性が高くなる。…
 第二に、何が賞賛に値するかをできるだけ文章にして具体的に示す。たとえば表彰する場合も、賞状には通り一遍の文言ではなく、理由を詳細に記述したほうがよい。またカードやスマートフォンのアプリを使って、ほめ言葉や感謝の言葉を伝える仕組みを取り入れている会社もある。口に出すのが照れくさい場合に使えるといったメリットもあるようだ。
 第三に、「昨年はできなかった○○が今年はできるようになった」というように、進歩の度合を客観的に理解できる指標を示す。他人と比較するより、過去の自分と比較するほうが成長の実感が得られやすい場合がある。
 第四に、ふだんはできないことがたまたまできたときなど、例外的な事象に注目する。とくにほめるところを見つけにくい場合に使える方法である。

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2019年04月26日

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