仙川環のレビュー一覧
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不妊治療の研究に使うという名目で、違法と知りつつ自分の卵子を売った過去を持つフリーライター。ある日突然、自分の卵子から生まれた子供だといって、成長した赤ん坊を押し付けられてしまう。秘められた過去を封印すべく赤ん坊の育ての親の調査に乗り出すが、関係者は次々と死んでしまい、殺人の容疑まで加わって、ますます窮地に陥っていく。
前作「感染」と同様の巻き込まれ型女性主人公医学ミステリーで、読み出したら止まらないノンストップアクションでしたが、前作よりは好印象。お話の前半あたり、主人公キャリアウーマンのギスギスした印象だったのが、読み進むにつれて優しくなっていくところには、一服の清涼感がありました。200 -
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失礼な話だと思うが、病院に行くと「え?!もう診断したの?」と思ってしまうくらいの先生の診察時間。
患者目線で考えると、長い待ち時間の割には短い診察時間だと思う。
私は医療従事者であるから、「短い診察時間と長い待ち時間」という状況になってしまうことはとても理解している。医師が1日で診れる患者さんの数を考えたら、医師はより正確に早く診断されることが、求められている。
そのような現実になってしまうことは承知の上で、先端医療では治せない患者の人生を治療してくれる医師がいたら、どうだろうか。
病院の経営を考えたら現実的ではないかもしれない。それでも人生を変えてくれたと患者目線で思える医師がいたらそれは本 -
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「化学物質過敏症」の患者さんを“炭鉱のカナリア”に見立てている「カナリア外来」。
そこへ助けを求めてやってくる患者たちを描いた連作短編集です。
私は化学物質過敏症というほどではありませんが、1話目の花奈さんのように、きつい香水や特定の柔軟剤で頭痛が起こる体質です。
読みながら、そうなんだよね~と頷いていました。
相手が悪いわけではないと知っていても、自分にとって実害があるので相手を避けてしまったり、無意識下で嫌ってしまうこと、(私は強い香りの人とすれ違うときに息を止めたりもしています)外の空気を吸いたくなることなどなど。
話の中で「一部の人への配慮が必要なのはわかるけれど、そのせいで大多数 -
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ネタバレ総合内科、要するに身体にまつわる困りごとを抱えた人のための「よろず相談窓口」。
そこに訪れるいろいろな人と、担当医の青島倫太郎医師(と看護師の小泉ミカ)のお話。
ほっこりする話から勧善懲悪的なスッキリ話まで、いくつかの短編で構成されている。
飄々としつつも医師として優秀で、捉えどころがないがスルッと問題を解決していく様がとても心地よい。
短編集ならではという感じで、登場人物が章をまたいで現れ、時には一役買うようなところもステキ。
現実でも人間関係や人の信条が絡んだ難しい問題もたくさんある中で、リアルに総合内科があったらいいのになぁと思ってしまった。
非常に読みやすくスルスル読めてしまう。 -
Posted by ブクログ
嗅覚過敏とか化学物質アレルギーとか知識としては知っていて、大変そうだなぁとは思っていたけど、そうした人たちを炭鉱のカナリアのような存在、ととらえていることに「なるほど!」と感心した。
患者さん本人はもしかしたらカナリアに例えられることにいい気持ちはしないかもしれないけど、ほんの少数とはいえ人に健康被害を与える物質は他の人にも悪影響を与える可能性が高いと思うので、カナリアは言いえて妙だなと。
ただ、お医者さんが一生懸命になるあまり話し方がぶっきらぼうになる、というのはどうだろう。患者様を敬え!と言う気はないけど、初めて会った人に対して「今日はどうした?」という声かけは適当じゃない気がした。