無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
メスを入れるのは病気じゃなくて人間関係!
『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞。医療ミステリーの第一人者仙川環が贈る新境地。
「こんな先生に診てもらいたい!」書店員さん絶賛の医療小説。
東京郊外にある古びた洋館。そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者の医師青島倫太郎。
目が悪くなったのに車の運転をやめない父。怪しげなサプリにはまる母。民間治療に心酔した妻……。そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。スイーツと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、青島と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう……。
現代の赤ひげ先生が、鮮やかに患者と家族のトラブルを解決するハートウォーミングお医者さん小説。
※この作品は単行本版『処方箋のないクリニック』として配信されていた作品の文庫本版です。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。今の私にしっくりくる好きなお話でした。医療ミステリーとありましたが、ミステリーでも何でもないお話です。「適切な治療を限られた時間内」に行わないといけない病院の立場も描かれていながら、それだけでは良くならない患者さんをどのように納得してもらって心身ともに健康な生活を取り戻したかが描かれています。後者については、結局患者自身が気付かないと変わらないので、その手助けを総合内科の主人公はしているのですが、そこはなかなかお金にならない。だから経営の立場からは文句がでる。小説のなかでは、儲かっている部門と抱き合わせでの経営を考えているようでしたが、この総合内科が独立採算できる日本であってほしいです。
ほのぼのクリニック系のお話かと思いきやしっかり世の中にありがちな医療関係の社会問題と結びつけられててびっくり。万事屋のようなこじんまりしたクリニックで患者1人1人ときちんと向えるのすごく良いなあ。表面的な治療だけではなくて、こっちが伝えたいことを患者の心にストンと落とし込んで、勘違いしていたりやたらと意地っ張りな患者に自ら間違いに気づかせるような話のうまい医者ってのはそうそういないよな多分。
Posted by ブクログ
東京郊外の小さなクリニックを舞台に、病気だけでなく、患者や家族が抱える悩みや人生そのものに向き合う医師・青島倫太郎。高齢者の運転やサプリメント、生活習慣病など、誰にでも身近なテーマを通して、「人を診る」ということの温かさを描いた連作短編集です。
前半は、青島倫太郎が主人公であることを忘れてしまうほど存在感が控えめで、どこか変わった医師という印象でした。ミカもまた、奇抜なナース服を着た少し変わった看護師という程度の認識でした。しかし、「総合内科本日開院」でミカの過去や青島との出会いが描かれたことで、それまで何気なく見ていた二人の言動の意味が一気につながり、物語へぐっと引き込まれました。
個人的には、「総合内科本日開院」をあえて物語の途中に置いた構成が秀逸だったと感じます。最初に人物の背景を説明するのではなく、読者に人物像を少しずつ積み重ねさせた上で、このエピソードによって、それまでの印象が自然と塗り替えられていく。その流れがとても心地よく感じられました。すべてを語り切らず、必要な分だけ人物の内面を見せることで、この作品らしい軽快なテンポも損なわれていないように思います。
個人的には、このエピソードのように人物の内面をじっくり描いた長編も読んでみたい気持ちはありますが、この軽快な読み味は連作短編集だからこその魅力なのでしょう。
気軽に読める一冊でありながら、読み終えたあとには登場人物の見え方まで変わっている。そんな構成の巧さが印象に残る作品でした。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。