園児のために良かれと思って企画した農園実習がこんなことになるなんて・・・。収穫してきたネギやニンジン、そして近くの農家で飼われている鴨肉を使って鍋を作り、おにぎりと一緒にみんなで食べた。数時間後、園児達が次々と調子を崩して病院に運ばれ、中には意識が戻らない子供まで。おにぎりの管理が杜撰だったために
...続きを読む起こった食中毒であろうと思われたが、農園実習を企画した原島聡美によると、保存は特に慎重に行っていたという。そして他にも腑に落ちない点がいくつもあり、調べ続けた結果なんと、カドミウムという思わぬものが検出されたのである。
途中までは良かった。一緒になって楽しんでいたくせに、事件が起きると手の平を返したように態度が激変する保護者たちと幼稚園側の攻防もありありと浮かんできた。しかし、中盤で物語の雰囲気がガラッと変わったというか、登場人物の印象がむちゃくちゃになった(苦笑)。責任感の強いまじめな2人かと思いきや、自分達さえよければそれでよいただのバカップルだったのか・・・。この小説で一番罪深いのは誰か?中盤以降の聡美の思考や行動には腹立たしいことこの上ない。放火は立派な犯罪。それを1人に押し付ける形になった上に、「私が待っててあげなくちゃ、支えてあげなくちゃ」って何様のつもりなのか。真相を知った他の人間も、隠ぺい工作を思いついて「それいいねぇ!」って子供みたいに盛り上がられても困る。テーマは興味深いのに、出てくる人間達が残念すぎる。