仙川環のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
噂を聞いて読み始めることに。
私も長い間苦しんでいたが、あることをきっかけに今春化学物質過敏症と診断された。発症者や経験者の聞き取りをもとに、こんな小説があることを知ってから、手にするまでに半年かかった。
登場人物は、化学物質過敏症だけでなく、低周波や電磁波に過敏だったり、味覚過敏・異常だったり、何かしらのアレルギーだったり、知らずに自然毒にあたったものを日光過敏症と思い込んでいたり、シックハウス症候群だったりする人たち。不調の原因が突き止められずに苦しみながらも、カナリア外来を訪れることによって、徐々に自分自身の不調と自信を取り巻く環境、人間関係などについて深い洞察を得ることになる。登場する女性医師や看護師も患者たちから学びの機会を得る場面が多い。本当にこのような世界が存在するのなら、自信の病気も何かの気づきのひとつであると思えるし、過敏症という特性が誰かの助けになることもあるのではないかという希望を持たせてくれる話だった。 -
Posted by ブクログ
シリーズ三作目。
今回も、眠れない人や、結婚したい人や、病院へ行きたくない人や、いろんな問題が出てきて、面白かった。
青島先生の元恋人が再登場したり、ミカちゃんの母親や親戚も出てくる。
どんな問題にも、なんて頼りになる青島先生!
我が家にも、青島先生に相談したい人がいるので、美味しいスイーツ持参で是非伺いたい!
大病院でなくても、予約が取りづらかったり、待ち時間が長かったり、安心できるほどの十分な診察時間を取ってもらえなかったり。
本当に、この総合内科は必要だと思う。初診千円でなくても、必要とする人はたくさんいるんじゃないかな。近所にこんなお医者さんがいたらいいのにと心から思う。 -
Posted by ブクログ
東京郊外の小さなクリニックを舞台に、病気だけでなく、患者や家族が抱える悩みや人生そのものに向き合う医師・青島倫太郎。高齢者の運転やサプリメント、生活習慣病など、誰にでも身近なテーマを通して、「人を診る」ということの温かさを描いた連作短編集です。
前半は、青島倫太郎が主人公であることを忘れてしまうほど存在感が控えめで、どこか変わった医師という印象でした。ミカもまた、奇抜なナース服を着た少し変わった看護師という程度の認識でした。しかし、「総合内科本日開院」でミカの過去や青島との出会いが描かれたことで、それまで何気なく見ていた二人の言動の意味が一気につながり、物語へぐっと引き込まれました。
個人的には、「総合内科本日開院」をあえて物語の途中に置いた構成が秀逸だったと感じます。最初に人物の背景を説明するのではなく、読者に人物像を少しずつ積み重ねさせた上で、このエピソードによって、それまでの印象が自然と塗り替えられていく。その流れがとても心地よく感じられました。すべてを語り切らず、必要な分だけ人物の内面を見せることで、この作品らしい軽快なテンポも損なわれていないように思います。
個人的には、このエピソードのように人物の内面をじっくり描いた長編も読んでみたい気持ちはありますが、この軽快な読み味は連作短編集だからこその魅力なのでしょう。
気軽に読める一冊でありながら、読み終えたあとには登場人物の見え方まで変わっている。そんな構成の巧さが印象に残る作品でした。