田中芳樹のレビュー一覧
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創竜伝完結の15巻。
正直、拍子抜けというか、そういう形でしてしまったか、という感覚が強い。30年という期間がそうさせるのだとは思います。休んでいる期間が長い30年だからです。しかし、作中経過時間は8ヶ月とは。1年ぐらいは経過していると思っていたのですが、やいや恐ろしい。
終わりと思いきや、余りがあって、また始まり、続いてゆく、の15巻。
残っている宿題は、七都市物語と灼熱の竜騎兵ですよ、お父さん。
必ずしも、どこかの一都市が全七都市統治という結末である必要はないのですが、ただただあの世界の続きを読みたいのです。
竜騎兵は、惑星ザイオンの決着はつけてもらわないと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ薬師寺涼子シリーズも三作目。第二作からその楽しみ方が判ったこともあり、今回も純粋に楽しめた。
第三作目で舞台を海外はフランスに移しての傍若無人ぶりを発揮するというのは田中作品の王道だが、このシリーズの特徴は他のシリーズに比べると描写や手法とに残虐性の色が濃いと云う事。
『創竜伝』とかは特に相手を必要以上に傷つけないという配慮で動いているのに対し、お涼や泉田は結構過激に立ち回り、相手を時には必要以上に痛めつける。他のシリーズはそこに至るまで相手の極悪非道ぶりをこれでもかこれでもかと見せ付けられた上の活劇シーンに移るのだが、このシリーズはその区別無く主人公が痛めつけるのも特徴的である。また主人公のお涼が途轍もなく金持ちでしかも警視正という地位で権力も持っているのも他のシリーズにはない特徴で、どうにも行き着く所がお互いの権力の張り合いでしかなくなるのが評価としてはマイナスか。
ストーリー、プロットは比較的単純。特に北岡はストーリーの中での扱い方からしてもあの正体は当然でしょう。
ハリウッドのアクション映画を意識したような展開、幕切れはちょっと無理しているような気もする。
『銀英伝』が余りにもスケールが大きく、叙情性に溢れているので非常に浅薄な印象を受けるのは仕方ないか。これはこれでよしとしよう。 -
Posted by ブクログ
密度の濃い中世ファンタジーを読まされた感がある。
今回は主人公である周一郎と多夢は最後にその名前のみ出てくるだけで、メインは自転地球儀世界の、恐らくこのストーリーの中核を成すキャラクターであるグントラムの立身出世物語で、通常ならば番外編、外伝物にあたるようなもの。
このようなファンタジーではまず前回の周一郎と多夢の二人が自転地球儀世界に紛れ込んで終わっているからそれからストーリーの続きを語るような運びとなるのが普通だが、ここではまず2回目にして自転地球儀世界の世界観からグントラムの一連の物語を語るという、どこか折り目正しい構成にしているのが珍しい。御蔭でほとんど『アルスラーン戦記』や『マヴァール年代記』の亜流を読んでいた気分である。
ストーリーとしてはある従卒がクーデターをきっかけに他国の王子になりすまし、己の才覚で国王の地位まで登りつめようとするもので、最早手垢まみれのものである。が、田中氏の―恐らく各種の歴史書に書かれているエピソードを参考にしているのだろうが―巧みなストーリーテリングに酔わされ、結構楽しめる。
ここに周一郎と多夢がどのように絡んでいくのか、田中版ハイブリット・ファンタジー、次回が楽しみである。