一条岬のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
イマジナリーフレンドとの恋模様。
ふたりがお互いのことをものすごく思ってるのに
もう水瀬がこの世に居ないのが切なくてたまらなかった。最後の婚姻届には涙。
・「樋口、なんだか楽しそうだね。私がいない間に、いいことでもあった?」水瀬凜が、僕の前に久しぶりに姿を現した。 そして再び微笑むと、慣れたように、窓際の隣の席に向かった。
・「私(有馬)の父親が起こした交通事故で、水瀬さんは十日後に、亡くなっていたんだから」
・水瀬がどうか安らかに眠れますように。彼女がどうか天国で、本当の両親と再会できていますように。
・水瀬が亡くなったとしても、彼女を好きな気持ちまで失う必要はないんだ。
・遊園地で手に入れた玩具の婚姻届には、僕らの名前がそれぞれの字で記されていた。今も消えることなく、確かに、僕らは並んでそこに一緒にいた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一条岬『君が最後に残した歌』は、愛と別れ、夢と継承を描いた切なくも温かい物語です。冒頭、主人公・春人が車を運転し、助手席に座る「彼女」と会話する場面から始まります。何気ない導入のようでいて、物語の最後にその「彼女」の正体が明かされることで、大きな感動へとつながっていきます。
高校時代、春人と綾音の出会いは印象的でした。担任の藤田先生が詩を読み上げる場面で、綾音は目を閉じて耳を傾け、その詩を歌にのせて歌唱しました。その瞬間から、春人と綾音は互いに心を通わせ、居場所を見つけたかのように過ごすようになります。やがて綾音が「文字の読み書きが困難な発達性ディスレクシア」を抱えていることが判明しますが、春人の詩を歌うことで二人の絆は深まり、綾音は歌手デビューの夢を掴みます。春人は彼女の夢を邪魔したくない一心で距離を置き、二人は離れ離れになってしまいます。
数年後、春人は公務員となり、綾音は歌手として成功を収めます。ツアーで地元を訪れた際に再会した二人は、互いの存在の大切さを改めて実感し、春人の告白によって結ばれます。遠距離恋愛ながらも順調に愛を育む二人ですが、綾音の体調に異変が訪れます。そこで描かれるのは、強烈に印象的な二つの出来事です。ひとつは新しい命を宿すこと、もうひとつは余命1年半を宣告されることです。綾音は残された時間を精一杯生き抜き、娘を出産し、春人のギターとセッションを重ね、やりたいことを一つひとつ叶えていきます。しかし物語は残酷で、綾音はこの世を去ることになります。
物語の冒頭で描かれた助手席の「彼女」との会話は、実は娘とのものであったと明かされます。しかもその娘・春歌は歌手デビューを控えているのです。最も心を打たれたのは、綾音がライブでしか歌わなかった「春の人」、そして春人と二人で完成させた「春の歌」です。隣にいたのは綾音ではなく娘であったという真実に胸を締め付けられ、歌に込められた想いの継承に深い感動を覚えました。
この作品は、単なる恋愛小説にとどまらず、「歌」という芸術を通じて人が人へと想いを託す姿を描いています。綾音が抱えていた障害や病は、彼女の人生を制約するものでありながら、逆に彼女の歌に深い意味を与えました。春人の詩と綾音の歌声が重なり合うことで生まれた音楽は、二人の愛の証であり、娘へと受け継がれる希望でもあります。
読後、私は「人は限られた時間の中で何を残せるのか」という問いを強く意識しました。綾音は歌を通じて自分の存在を未来へと託し、春人はその歌を支えることで彼女の夢を守りました。そして娘・春歌がその歌を受け継ぐことで、物語は世代を超えて続いていくのです。
一条岬先生の筆致は、まるで目の前に情景が広がるような臨場感に満ちています。愛と別れ、夢と継承を描いたこの物語は、読者に強い余韻を残します。来年の映画化が今からとても楽しみです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今夜、この世界からこの恋が消えても、のスピンオフ作品!!
まだ前作読んでないけどとてもこっちから読んでも特に異変はなかった!!
神谷透が真織と付き合ってその付き合っていく途中で心臓突然死で亡くなってしまった
初恋が亡くなって失恋になってしまった
そしてなんやかんやあって成瀬透と言う大学1年生と条件付きで付き合ってみたけど彼が優しくて無理をしていたら別れたけど透のことが好きでたまらないかった!!
P、253. 「私のこと、本気で好きになってくれていい。私も君のことを好きになるから。もう好きになりかけているから。だけどこれだけは守って、絶対に、私より長生きして」
これの言葉が一番響いた!!これが愛として特別な存在 -
Posted by ブクログ
高校生の切ない恋愛を描いた作品。中学生の娘が号泣しており、手に取ってみました。
事故のせいで記憶障害を発症し、朝目覚めるたびに前日の記憶を失ってしまう女子高生。ひょんなことから同級生男子に告白された彼女は、本気で好きにならないことを条件に疑似恋人として付き合うことに。毎日リセットされる奇妙な恋愛ごっこを繰り返す二人を待っていた運命とは・・・
上記以外にも一般的な日常からはかけ離れた背景設定が組まれており、共感しにくいかもと危惧しつつ読み進めましたが、細かなエピソードが上手く配されていて、少しずつその世界観に浸っていくことができました。
甘酸っぱさ、温かさ、悲しさなど、青春恋愛ものに不可欠な要素を押さえつつ、読み手に衝撃を与える大きな展開もあり、おじさん読者でも涙腺が(崩壊までは至らずも)弛みました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語の幕開けは、月島誠が映画制作部に誘われる場面から始まります。部活動を通じて、誠と美波翼、そして仲間たちが少しずつ心を通わせていく様子が、静かで温かな筆致で描かれています。青春のきらめきと、何気ない日常の中にある小さな幸せが、読者の心を優しく包み込んでくれました。
中盤では、登場人物たちがそれぞれの想いを胸に、少しずつ変化していく姿が印象的です。誠の病気という重い現実が物語に影を落とし始める中で、彼の選択や仲間たちの支えが、成長と葛藤を浮き彫りにします。特に、速水葵の視点から描かれるエピソードは、友情と恋愛の狭間で揺れる心情が痛いほど伝わってきて、胸が締めつけられました。
終盤、誠の病気が明らかになるも、彼の願いを尊重して周囲はその事実を翼に伝えません。誰かを守るための“嘘”が、時に真実以上の優しさを持つことを教えてくれます。読後、タイトルの意味が心に深く染みわたり、「嘘の世界」が決して冷たいものではなく、温もりに満ちた“優しい嘘”であったことに気づかされました。
本作の魅力のひとつは、登場人物それぞれの視点で物語が語られる構成にあります。誠、葵、翼といったキャラクターの内面に深く入り込むことで、読者はまるで彼らの心を追体験しているかのような感覚を味わえます。特に、男性と女性それぞれの視点から描かれる恋愛や友情の機微は、読者に多面的な感情の揺れを伝え、物語への没入感を高めてくれました。 -
Posted by ブクログ
最後に贈り物を感じました。
こちらは映画化を予定している作品であり、かつジャケット写真に私は惹かれて手に取りました。
あなたが結を想像をしたとしても、私は読むことをお勧めします。なぜなら私は読んで良かったと感じたからです。素晴らしい物語が“君が最後に遺した歌”にはあります。
このタイトルに隠された意味を想像しつつ読み、そこで作者が伝えたい思いに辿り着きました。この作品はとても読みやすく、宝物達への思いに触れることができました。この物語は終わりますが、きっとこの物語は…
最後に観覧車を前に佇む1人の女性は誰なのかを私は想像しつつ読み終えることとします。
気になる方は是非その物語に浸ってください。
そして私に共感していただける方がいらっしゃると嬉しいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネタバレ含みます。
神谷くんが亡くなった時、もうそれはそれは衝撃が強くて。寝る前に読んでいたのですが、物語の中の人間じゃないのにショックで、ぽっかり穴が空いた気持ちになりました。
それまでは、真織が記憶を毎日無くしながらも少しずつ変わっていっていて、神谷くんがいることへの安心感が強すぎたんです。だから、亡くなってしまって読者である私ですら不安になりました…
この本を読んで身をもって「大切なものは失ってから気づく」を体感できました。
これを読んだ後、家族や恋人のこととても恋しくなっています。同時に亡くなったおじいちゃんのことも思い出します…
はーーー、本当にいい本に出会えた! -
Posted by ブクログ
とても面白かったです!
入間人間さんと時雨沢恵一さんを目当てに読み始めましたが、他の筆者皆さんも大変におもしろい話を書いてくださいました。
※私は、安達としまむら、アリソンシリーズ のファンです。笑
どのお話も面白かったので、いろいろ語りたいことだらけですが、ネタバレ回避のため、抽象的にまとめさせていただきます。
皆さんは本作を読んで何を感じるでしょうか。
私は、「可能性」「未来」「ナカイマ」「命」
だと思いました。これまで長く、そうするべきだと云われてきたことや、伝統には、もちろん尊ぶだけの、それが続いてきたなりの理由はあります。一方、そうでない物は許されないと云うはずないのですから、可能性については、誰にだって分からない以上、やってみたいことはやってみればいいのです。
その「可能性」を届けるために、それぞれの作者さんが、それぞれの表現で、語り書けてくれているように思いました。
気になる作家さん、タイトルなどございましたら、ぜひ、手に取ってみて下さいませ。 -
Posted by ブクログ
昨日のことを覚えていること、両親がいること、友達がいること、恋人がいること…
これらのことは当たり前のことでずっと続くと感じてしまう。しかし、そんな当たり前のことが全て奇跡でとても感謝すべきものだと改めて感じた。
また、物語中に真織が自分の記憶が明日にはなくなるという事実を毎日突きつけられ、向き合っているのに、透自身は自分から逃げていると気付く場面があった。私も気づかないうちに自分自身に向き合うことを避けていると感じた。自分のことは1番自分がわかっていると思ってしまうが、意外とそんなことはないのかもしれない。
真織のように深刻な事実を抱えているわけではないが、毎日を積み重ねていける自分の能力を活かして自分と向き合っていきたいと思う。