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Posted by ブクログ
一条岬さんの作品を読んだのはこれで二つ目だけど、なんでこんなに優しい物語が書けるんだろうと毎回思う。
自分のことなんて二の次でこんなにお互いを思いやれるような成熟した高校生はなかなかいないかなとも思うけど、
大人の建前と利害関係ばかりの世界を生きないといけない私は、だからこそ登場人物たちのような優しい気持ちで人に接していたいなぁと思う。
社会の荒波に揉まれに揉まれていつのまにかどこかに置いてきちゃったけど、本当の自分はそういう人間だったなぁと思い出した。私もっと優しかった。
誰かを大切に思える気持ちがあって同じだけ思ってもらえることって幸せ。
印象に残った文章。
僕が好きになった人は映画を撮る人だった。
優しくて、心が美しい人だった。
葵は自分で思っている以上に情に厚い人間だった。
だけどその分だけ、世界の冷たさや何気ない悪意に気づいてしまい、自分を強く見せるためか冷淡に振る舞ってみせた
Posted by ブクログ
いわゆる「難病もの」の作品で、本作の場合はヒロインではなく主人公が病気に罹ってしまう。
ストーリーは王道をいく展開で驚きもなく、登場人物たちのセリフのひとつひとつもあまり心に刺さらなかった。読みやすくて学生さんでも楽しんで読めそうだけど、印象に残る作品ではないなと思った。
こういう難病モノはほとんどストーリーがテンプレート化されている。だからどこかでその作品独自の色を出さないといけないわけだけど、いまいち個性が出しきれていなかったかなと思った。
ちなみに主人公たちは高校で映画の自主制作活動をしている。たぶん作者さん的には「映画」をひとつテーマにして、主人公たちが映画制作をするなかでいい感じのセリフだったりフレーズを盛り込みたかったのだろうけど、個人的にはまったく記憶に残らなかった。
ただこういった難病ものはいろんな意味で大好物なので、今後も懲りずに読んでいきたい。
Posted by ブクログ
物語の幕開けは、月島誠が映画制作部に誘われる場面から始まります。部活動を通じて、誠と美波翼、そして仲間たちが少しずつ心を通わせていく様子が、静かで温かな筆致で描かれています。青春のきらめきと、何気ない日常の中にある小さな幸せが、読者の心を優しく包み込んでくれました。
中盤では、登場人物たちがそれぞれの想いを胸に、少しずつ変化していく姿が印象的です。誠の病気という重い現実が物語に影を落とし始める中で、彼の選択や仲間たちの支えが、成長と葛藤を浮き彫りにします。特に、速水葵の視点から描かれるエピソードは、友情と恋愛の狭間で揺れる心情が痛いほど伝わってきて、胸が締めつけられました。
終盤、誠の病気が明らかになるも、彼の願いを尊重して周囲はその事実を翼に伝えません。誰かを守るための“嘘”が、時に真実以上の優しさを持つことを教えてくれます。読後、タイトルの意味が心に深く染みわたり、「嘘の世界」が決して冷たいものではなく、温もりに満ちた“優しい嘘”であったことに気づかされました。
本作の魅力のひとつは、登場人物それぞれの視点で物語が語られる構成にあります。誠、葵、翼といったキャラクターの内面に深く入り込むことで、読者はまるで彼らの心を追体験しているかのような感覚を味わえます。特に、男性と女性それぞれの視点から描かれる恋愛や友情の機微は、読者に多面的な感情の揺れを伝え、物語への没入感を高めてくれました。
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