岩室忍のレビュー一覧

  • 剣神 心を斬る 神夢想流林崎甚助7

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    ネタバレ

    ついに最終巻。長かった重信の神夢想流伝播の旅も終わりを迎えることに。

    個人的なハイライトは、心を入れ替えた武蔵が魂魄となった重信と対話する場面と、そこから続くラストシーン。

    ずっと活人剣を標榜してきた重信ですが、最後の最後に荒くれ者だった武蔵の邪念を、副題の「心を斬る」が如く討ち払い、まっとうな剣士として生まれ変わらせた様は、まさに人を活かす剣そのものでした。

    これまでの長い旅の最終目的は、実は武蔵の改心だったのでは、などと考えてしまいます。

    また、重信はこれまで何人もの剣客にその技と理念を伝えてきましたが、武蔵ほど大きな変化があった人物はいなかったように思います。

    こうした要素が感

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    2024年04月28日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈十〉 幻月の鬼

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    一段と分厚いシリーズ大10弾。
    今回は、女歌舞伎の河原芝居を隠れ蓑にした盗賊一味。
    安価で、色も売る女歌舞伎。
    京から流れ流れて日本中を回る。

    女の絶対数が著しく足りない江戸では、金を持たない男たちに大人気!

    小屋とも呼べないような場所に裏口から出入りする不審者。
    目をつけた隠密同心、執念の捜査。

    友人の盗賊仲間から、北町奉行、勘兵衛の怖さを得々と知らされた小五郎。
    初めはバカにしていたが、慎重を重ね、まんまと大きな仕事をする。しかも十七人皆殺しという極悪非道!

    勘兵衛ら北町奉行所は、本拠地を突き止め、京都所司代の援助を求め一網打尽にしようと・・・・

    分厚さも関係なく読ませてしまう筆

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    2024年03月27日
  • 家康の黄金 信長の軍師外伝

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    世界遺産である石見銀山に行った。ちょっとした興味だったが、たまたまガイド付きツアーにお世話になる事となり、大久保間歩という坑道を知った。ツアーのガイドさんの話しがとても興味深く石見銀山奉行であった『大久保長安』について何か小説がないかとこの本を読む事にした訳だ。
    長安は、女好き、大酒飲み、豪放磊落でありながら、算術の天才と言われ、信玄に仕えていた。
    信玄亡き後その才能を家康の元、存分に発揮して全国の金山銀山を制した。
    大阪城攻めの軍資金を、ひいては江戸時代の礎を築く資金を作り出したのだ。
    しかし、出る杭は打たれる、謀略家の本多正信との確執でお家断絶の悲劇となるのだが、戦国の世に相応しく波瀾万丈

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    2023年09月25日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈八〉 風月の記

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    まるで鬼平犯科帳のような世界観。
    史実を丹念に掘り起こして作品に繋げているので、読み応え十分。

    まるで人員が足りていない江戸幕府発足当時の北町奉行所。
    岡っ引きの前身のような、手下を何人も持つ。

    今回は、手下が持つ茶屋にやってきた男や女から不審を感じて操作すると大泥棒で江戸で大きな仕事を準備していた。

    最後までドキドキしながら読むものを飽きさせない。
    涙するような人情も。

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    2023年01月25日
  • 剣神 炎を斬る 神夢想流林崎甚助2

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    この主人公強すぎない?それにも増して、女にモテすぎだよ!剣豪というのは女を寄せ付けないイメージがあったけど、全然ウェルカムだし、そんな都合の良いことがあっても良いのか?!

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    2022年10月08日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈七〉 城月の雁

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    初代北町奉行米津勘兵衛。
    奉行となってはや15年、初めて故郷の墓参を願った。

    途中、決して気取られないまま仕事をする大泥棒が最後の仕事を終えて引退。
    そのかしら、朝太郎が茶屋で勘兵衛に別れを告げにきた。

    勘兵衛は知りながら別れる。

    道中もあれやこれやと忙しい。

    大きな江戸をたった一つ北町奉行所だけで治安を守る男。
    米津勘兵衛の忙しい日常を描く。

    江戸初期の気風が実に快活で豪放。

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    2022年08月31日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈六〉 荒月の盃

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    江戸幕府初頭の江戸の北町奉行所を舞台に、
    江戸の治安を守る男たちの活躍が描かれるシリーズ。
    早6巻目。

    徳川幕府の体制も固まってなく、
    人がどんどん流入する江戸という大都市をどう守るか?
    家康に請われて、奉行となった男。
    米津勘兵衛のブレーンとの関わり方や、
    勘兵衛の太極を見つめた仕事ぶりが良い!

    今回は初めに10万両を盗んだ男が隠居するタイミングに関わる勘兵衛。

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    2022年06月26日
  • 擾乱、鎌倉の風(下) 反逆の北条

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    ネタバレ

    頼朝の死から二代将軍義家から権力を奪い実朝を傀儡に果ては源氏を滅亡させ、北条家が権力を掌握するまでが描かれている。義時も妻に暗殺され、13人の中で最後まで残ったのは大江広元というのは意外であった。

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    2022年06月07日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈五〉 臥月の竜

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    江戸幕府創世記の奉行所を中心に当時の江戸の気風を伝えるシリーズも、早5巻目。
    この頃にやっと目付けという武家を取り締まる機関を作るが、まだまだ人数が少なすぎて脆弱。

    奉行所の少ない同心の下に岡っ引きのような人材を配置しようと試みる。
    家康がまるで神のように扱われる伝説のような言い伝えはフィクションで、実は家康が江戸に入った当時応仁の乱以降、京都から移動した勢力が既に存在し、大きな城とは言わないまでも、関東の社会の一つとして存在していたことがわかる。

    亡くなってしまった作家、浅黄斑さんは史実を丹念に研究し小説の中に現代ではどうなっているのかまで記述し、実に興味深い作風であったが、このシリーズ

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    2022年02月25日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈四〉 雨月の怪

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    家康も70代になると、老人特有の強いこだわりと、懐疑的で独善的になってくる。
    そんな時、豊臣秀頼と実際に出会い、その大柄な躯体、人柄をみて、徳川を守るには殺すしかないと思い始める。
    それほど秀頼は好ましく人望も集めそうな良い人物であったのだった。母茶々に似て父親とは比べようもなく頑強な体。
    自分が死んだら徳川は彼によって滅ぼされると盲信したのだった。

    江戸は相変わらず、治安、行政、司法の全部を少ない人数の奉行所が実質担うという事態。

    今まであまり出ることのなかった家康の小心ぶりなど、もしや真実はこんなであったか、と思わせるような面白い江戸初期の時代小説!

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    2022年02月19日
  • 家康の黄金 信長の軍師外伝

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    武田信玄がこの才能に惚れ込んだ土屋十兵衛こと大久保長安。武田家滅亡後は徳川家康に仕え、金山奉行だけでなく、石見守、勘定奉行、松平忠輝の家老を兼任させ、外様で唯一老中に就任した。女遊びと金遣いの剛気さに家康も惚れ込み、江戸幕府の創成期を金で支えたと言っても過言ではない。

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    2022年01月18日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈三〉 峰月の碑

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    家康の存命の頃のお話。
    年々巨大化する江戸という大都市。
    市中も問題が多発している。
    江戸支柱の安寧を任されたのが初代北町奉行、米津官兵衛である。
    当時はたった15人で足軽上がりの道新たちが激務をこなしていた。
    まだ火消し制度もなく、火付け盗賊改も存在しなかった頃。

    やっと、味噌の他に醤油の素となる「たまり」が出回り始め、そばも、今のような蕎麦切りはなく蕎麦がきなどがあるだけだった。

    そんな時代、人口とともに全国から男たちが江戸に集まり、食文化も誕生の時を迎えていた。
    吉原の始まりもこのころ。


    電光石火の米津官兵衛の働きぶりは、初期の奉行所というだけあって、まだまだ奉行以下の主従のまと

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    2021年10月16日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈二〉 満月の奏

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    徳川家康が自ら設置した北町奉行の初代、『米津勘兵衛』が主人公。

    時はまだ大阪城が存在し、豊臣の残党も、徳川に反発し幕府をひっくり返そうとしている輩が跋扈している時代。

    まだ奉行所ができて間もない時なので、いささか荒っぽい。
    少ない人数で男ばかりで、揉め事がやたら多い江戸の街を収めようとするのだから、大変なことだった。

    当時の諸事情も描かれ、実の興味深いシリーズの第二弾。

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    2021年08月12日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈一〉 弦月の帥

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    「信長の軍師」シリーズの著者が、満を持して贈る驚愕の時代小説!三河以来の譜代の臣米津勘兵衛は、家康直々の命で初代北町奉行に任じられる。江戸創成期を守り抜いた男を描く、衝撃の捕物帳。これぞ、令和版『鬼平犯科帳』

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    2021年07月15日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈一〉 弦月の帥

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    実に楽しみな新シリーズ。

    信長の軍師シリーズで、新しい角度から信長を見つめ直した歴史小説の新鋭。

    まだ大阪城に茶々がいて、家康が存命で、秀忠を将軍としたのちも、実際には政治に強く関与。

    江戸もまだまだ形成途中な時期。
    大都市になることは確実な江戸の安寧を図ろうと町奉行所を作る。信頼の厚い米津勘兵衛を任命。
    手探り状態で作る過程を物語にしている。

    これから楽しみなシリーズ。

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    2021年07月04日
  • 天狼 明智光秀(下) 信長の軍師外伝

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    乱世を薙ぎ倒す運命、太平の世を築く運命。「天下布武」目前になぜ、光秀は信長に弓を引いたのか?心の裡に狼の覚醒を感じた光秀の想いが此処に。

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    2020年01月20日
  • 信長の軍師 巻の四 大悟編

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    主人公の沢彦について自分が知っているのは、岐阜の命名と天下布武を信長に提唱した禅僧と言うことぐらいで、その他は殆ど知らない。数多い信長作品でも沢彦を中心に据えたものは殆ど無いと思うので、そう言う面からも、新たな視点で見る信長を描こうとした作者の意欲を自分勝手に想像する。
    物語の本筋ではない枝葉のところで、定説とは異なる内容をちりばめているところも、非常に興味深かった。

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    2020年01月15日
  • 天狼 明智光秀(上) 信長の軍師外伝

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    「信長の軍師」を描いた著者・岩室忍氏が描く明智光秀。毛利元就をして「才知明敏、稀に見る優れた男。しかし、その相貌には狼が眠っている」と言わしめた衝撃の生涯が此処に。その序章が始まる。

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    2020年01月14日
  • 家康の軍師(2) 朱雀の巻

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    長篠の戦いで武田勝頼の敗戦は信長の高天神城をわざと落城させた事前作戦で、勝頼の傲慢さから有頂天になり自分が強いと錯覚をうまく利用した戦いとなる。武田の騎馬戦と信長、家康の鉄砲隊と戦いで武田側は1万2千いた兵力の内1万数千を失い壊滅状態となる。また強引な新たな城作りで領民に重税を課したことで武田家の滅亡を招いた、とある。人間貪欲で独りよがりの傲慢さはどの時代でも結果は同じになるを証明したと言えよう。現代、ロシアvsウクライナの戦争でもプーチンの傲慢さと強気な性格はやがて敗退へ進む事になるが、果たして「核」はどうなるのか疑問だ。

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    2025年05月15日
  • 天祐は信長にあり(一) 覇王誕生

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    『桶狭間で死ぬ義元』を読んだので、今度は信長サイドから桶狭間を知ろうと思った。本作は信長出生以前から書き起こされ、吉法師と呼ばれた幼少期、そして元服して信長となり初陣を経験し、美濃の蝮の娘を娶るまでを一気に描く。戦国武将の名前をいちいち名字+仮名+諱で表記するのは著者のこだわりのようだが、敵味方のややこしい登場人物の関係性が余計にややこしくなる。それでも信長の大うつけ振りに隠された、大将の片鱗を見せる言動に惹かれて読んでしまう。

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    2025年04月22日