岩室忍のレビュー一覧

  • 信長の軍師 巻の一 立志編

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    尾張織田弾正忠家に生まれた麒麟児吉法師。その才能は一部の者からしか認められていなかったが、乱世を終わらせる英雄に育てるべく傅役の平手政秀は美濃の沢参を招く。会うや沢参もその才能を見抜き武術、学問を吉法師に施すことになる。戦国、安土桃山時代には多くの臨済宗の僧侶が軍師あるいは相談役として各国の大名に招かれているが、僧侶(軍師)の視点から描写された信長伝が面白い。

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    2019年11月02日
  • 剣神 鬼を斬る 神夢想流林崎甚助3

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    神夢想流林崎甚助シリーズ第3弾です。
    神夢想流居合を広める甚助が、若き伊達政宗と出会い、出羽の不穏な情勢に巻き込まれていく流れで、剣豪小説でありながら歴史大河としての重みも感じる一冊でした。
    剣に生きる男の静かな迫力と、伊達家・最上家・上杉家の軋みが絡む展開は読み応えがあります。
    派手な斬り合いだけでなく、乱世が終わりに向かう空気がじわじわ効いてくるのが良かったです。
    甚助という男の生き様と剣の重みがしっかり残る、熱い一冊でした。

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    2026年07月30日
  • 剣神 神を斬る 神夢想流林崎甚助1

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    神夢想流居合の開祖・林崎甚助の波乱に満ちた生涯を描いた歴史時代小説です。
    剣の道に身を捧げる覚悟や、仇討ちという重いテーマがしっかり描かれていて、読み応えがありました。
    塚原卜伝や富田勢源など、実在の剣豪たちとの交流があるのも魅力的でした。
    ただ、展開がやや都合よく進みすぎるところや、主人公の超人的な描写には少し冷める部分もありました。
    それでも、剣と信仰が交差する独特の世界観に引き込まれ、時代小説ファンには一読の価値がある作品です。

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    2026年07月06日
  • 天祐は信長にあり(八) 本能寺の変

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    ついにシリーズ完結
    先を読みたいけど、終わりたくない。そんな心境で読み終わりました。村井貞勝と信長、帰蝶、お仙、滝乃それぞれのキャラクターも良かった

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    2026年05月02日
  • 天祐は信長にあり(八) 本能寺の変

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    いよいよ最終巻は、菊を守るための公家たちの謀略と、甲州征伐後の信長・村井貞勝の油断が描かれる。信長に仕える前は反信長派である足利義昭の近習だった明智光秀。光秀の謀反の動機が信長への反感だけとするのは弱い。その裏に、魑魅魍魎が跋扈する朝廷の陰謀によって信長暗殺計画が実行に移されたとする説は、私にとって説得力あるものに思えた。明智軍が、信長や信忠の警護の家臣と干戈を交える時の、互いの困惑が描かれるが、光秀の軍団の運用方法に不手際があったことが「三日天下」の例えを生んだと感じた。

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    2026年03月02日
  • 天祐は信長にあり(七) 天下無双

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    正親町天皇と朝廷が不穏だ。無位無官であった平将門が引き合いに出されたのが印象的。信長が官位=朝廷を無視することに、不安と不満を募らせていく。武田家殲滅は、村井貞勝の朝廷工作によって甲州征伐となった。信長嫡男・信忠の活躍。松姫の逃避行と読ませどころが多い。戦の後、恩賞の祝いの席で、明智光秀がやらかしてしまう。果たして、このことだけが信長裏切りへの原因とは思えないが……いよいよ次は最終巻である。

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    2026年03月02日
  • 天祐は信長にあり(六) 威風堂々

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    安土城は完成したものの、天下布武は未だ道半ば。信長に謀反した荒木村重と、その後ろに控える毛利家に手こずっている。そして、正親町天皇を中心とした朝廷は、官位を受けようとしない信長に警戒感を募らせる。征狄大将軍の話に怒れる信長が、京の内裏東庭で馬揃えを開催。本巻副題のとおり、エルガーの「威風堂々」がバックに流れるような示威行動だった。これだけ圧倒的な武力を持つ信長でさえ、朝廷を滅してしまわなかったのは何故なのか? 天皇の権威という不可思議さを感じる。

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    2026年01月25日
  • 天祐は信長にあり(八) 本能寺の変

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    朝廷は苛立っていた。とにかく朝廷の秩序内に信長に入っていて欲しい。太政大臣、関白、征夷大将軍の三職からどれでも好きなのになってくれと思っている。朝廷の秩序の中に入らないやつは許せない。もしかしたら南朝を称する人たちに挿げ替えられるのではとまでの被害者意識を持っている。

    しかし信長は征夷大将軍を断られ続けて10年。もう朝廷には何も期待していないし、どんなに力をつけて武力や権力を得ても朝廷に命じられないと権力者になれない制度そのものに疑問を持っている。というか、別にもう認めてもらわんでもええねん。無位無官でも天下人やったろうやんけ。

    というわけで、朝廷主導信長暗殺説をとっており、グランドフィナ

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    2026年01月21日
  • 擾乱、鎌倉の風(上) 黄昏の源氏

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    鎌倉の歴史絵巻。平治の乱の頼朝配流から、二代将軍頼家の十三人の合議衆まで。

    小説なのかなと思って購入したので、読みたいものではなかったにも関わらず、読み切らせるだけの力量がある作品だったけど、まあだいたい知られている史実の積み重ねなので、下巻はギブアップすることにする。

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    2026年01月10日
  • 天祐は信長にあり(五) 騎馬隊殲滅

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    浅井長政の元から救出したお市と信長の関係は、歴史上は兄妹と言われるが、著者は何歩も踏み込んで男女の仲として書き上げる。閑話休題。信長も一向一揆には手を焼き続ける。そんな中、信玄亡き後の勝頼が進軍。世に言う長篠の戦いで、信長の馬防柵+鉄砲多段撃ち戦術が発明、実行された。武田二十四将の騎馬隊が弾幕に突撃する様に、無能な上司に諦観した悲哀を感じる。安土城築城、石山本願寺攻撃のための鉄甲船建造と、次々に溢れ出る信長の想像力のすごさ。正親町天皇との駆け引きも見逃せない。鳥居強右衛門や山中鹿之助の逸話はばっさりカット

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    2025年12月07日
  • 天祐は信長にあり(四) 四面楚歌

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    六角承禎の差金で狙撃される場面から始まる本巻は、この時期の信長の状況を表す四面楚歌に相応しい。しかし、乱世を薙ぎ払うために生まれたのではないかと思わせる信長の強運を読者は再認識することになる。もし武田信玄が陣中死しなければ……信長が天下統一寸前までいくことはなかったのではないか? 上手の手から水が漏るの例えどおり、将軍・義昭を見逃したり、長島一向一揆討伐からの撤退戦での不首尾など、信長の戦術ミスがなければ、今頃は別の日本になっていたかも知れない。

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    2025年11月30日
  • 天祐は信長にあり(三) 天下布武

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    美濃を攻略し、最愛の帰蝶を稲葉山城へ帰還させることができた。その後、足利義昭を伴い上洛し、将軍宣下を受けさせた。しかし、信長自身は官位官職にまったく興味がない。坂本龍馬に似た孤高感がある。サブタイトルの天下布武が、まだ天下統一の道半ばにある時点で使われたことのリスクを考えたことはなかった。楽市楽座の構想、ルイス・フロイスとの出会いと、次々に歴史の場面が現れるのが楽しい。信長の危機となった金ヶ崎の退き口。浅井長政が父・久政を抑えられずに信長を裏切り、お市の機転による密使に託した小豆が見せ場だ!

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    2025年08月03日
  • 家康の軍師(3) 白虎の巻

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    本能寺の変の時、何故家康は謀反者明智光秀を攻めなかったのか、それはこの書によると織田家の内紛に巻き込まれることを恐れ熱田神宮で待機していた、また、柴田勝家との戦いになると予測していた、とある。まさか遠方の猿、豊臣秀吉が備中高松からの大返し、織田家の後継人になるとは予測しなかった、とある。現代でもよく言う「想定外」が意外な結果をもたらすことだ。
    奇抜な行動により周りの賛同を得る事は政治でも企業でもあり、時と流れを読む能力が問われる。

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    2025年06月07日
  • 天祐は信長にあり(二) 桶狭間の戦い

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    信長の父・信秀が亡くなった。著者はこの機を、信長が戦国の表舞台に引きずり出されたとする。鉄砲の準備や信長軍の員数が揃わない中でのこと。斎藤道三の後ろ盾があるとはいえ、尾張国内からも狙われる信長。まさに内憂外患。本書の山場はもちろん桶狭間である。軍師・太原雪斎亡き後の義元の進軍に対し、情報網を駆使して探索した義元の本陣へ、少数精鋭で突っ込む信長たちの描写がよかった。そして、義元を打ち取った場所を「田楽ヶ窪」としたのも良し! 綺羅星のごとく戦国の武将がでてくるのも楽しかった。

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    2025年05月10日
  • 家康の軍師(1) 青龍の巻

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    「家康の軍師(青龍の巻)」この第一巻は家康が生まれ桶狭間の戦いまでの小説。今川の人質にいた時の今川義元の軍師太原宗孚雪斎(たいげんそうふせつさい)の元信(家康)への教訓。「其方は死ぬまで忍辱の鎧を脱いではならぬ。どんな時でも我慢をすれば天下の方から近づいてくる」「急ぐな、急ぐとつまずいて転ぶ。転ぶと乱世では立ち上がれなくなる」「臆病は悪いことではない。その代わり知恵を得るため人の話をよく聞くことだ。そして少しばかり勇気を持て、蛮勇はいかんぞ」「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」「人を見誤るな」
    戦国の軍師とは己の立場を知り冷静に敵の動きに敏感に戦略戦術を組む、全ては「人」なのだという。現

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    2025年04月26日
  • 天祐は信長にあり(二) 桶狭間の戦い

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    世の中に織田信長を扱った小説はごまんとある。戦国武将で一番多いんじゃないか、と思う。みんな知っている武将だから、逆に難しい、と思う。でも、分かっていても面白い。やっぱり岩室さんは凄い。

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    2025年01月19日
  • 天祐は信長にあり(一) 覇王誕生

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    僕は、岩室忍さんの作品は好きだ。変な言い訳じみた記述が無くて、解りやすいからだ。この作品は「信長公記」に基づいて描かれている、とのことで、史実に近いとは思うけれど、「信長公記」さえも、徳川幕府の意図で家康の都合の良いように改ざんされている可能性があるから、どこまで真実か解らないけど、小説は面白いのが一番だから、今後の展開に期待している。

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    2024年10月21日
  • 剣神 心を斬る 神夢想流林崎甚助7

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    ネタバレ

    ついに最終巻。長かった重信の神夢想流伝播の旅も終わりを迎えることに。

    個人的なハイライトは、心を入れ替えた武蔵が魂魄となった重信と対話する場面と、そこから続くラストシーン。

    ずっと活人剣を標榜してきた重信ですが、最後の最後に荒くれ者だった武蔵の邪念を、副題の「心を斬る」が如く討ち払い、まっとうな剣士として生まれ変わらせた様は、まさに人を活かす剣そのものでした。

    これまでの長い旅の最終目的は、実は武蔵の改心だったのでは、などと考えてしまいます。

    また、重信はこれまで何人もの剣客にその技と理念を伝えてきましたが、武蔵ほど大きな変化があった人物はいなかったように思います。

    こうした要素が感

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    2024年04月28日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈十〉 幻月の鬼

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    一段と分厚いシリーズ大10弾。
    今回は、女歌舞伎の河原芝居を隠れ蓑にした盗賊一味。
    安価で、色も売る女歌舞伎。
    京から流れ流れて日本中を回る。

    女の絶対数が著しく足りない江戸では、金を持たない男たちに大人気!

    小屋とも呼べないような場所に裏口から出入りする不審者。
    目をつけた隠密同心、執念の捜査。

    友人の盗賊仲間から、北町奉行、勘兵衛の怖さを得々と知らされた小五郎。
    初めはバカにしていたが、慎重を重ね、まんまと大きな仕事をする。しかも十七人皆殺しという極悪非道!

    勘兵衛ら北町奉行所は、本拠地を突き止め、京都所司代の援助を求め一網打尽にしようと・・・・

    分厚さも関係なく読ませてしまう筆

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    2024年03月27日
  • 家康の黄金 信長の軍師外伝

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    世界遺産である石見銀山に行った。ちょっとした興味だったが、たまたまガイド付きツアーにお世話になる事となり、大久保間歩という坑道を知った。ツアーのガイドさんの話しがとても興味深く石見銀山奉行であった『大久保長安』について何か小説がないかとこの本を読む事にした訳だ。
    長安は、女好き、大酒飲み、豪放磊落でありながら、算術の天才と言われ、信玄に仕えていた。
    信玄亡き後その才能を家康の元、存分に発揮して全国の金山銀山を制した。
    大阪城攻めの軍資金を、ひいては江戸時代の礎を築く資金を作り出したのだ。
    しかし、出る杭は打たれる、謀略家の本多正信との確執でお家断絶の悲劇となるのだが、戦国の世に相応しく波瀾万丈

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    2023年09月25日