岩室忍のレビュー一覧

  • 天祐は信長にあり(八) 本能寺の変

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    朝廷は苛立っていた。とにかく朝廷の秩序内に信長に入っていて欲しい。太政大臣、関白、征夷大将軍の三職からどれでも好きなのになってくれと思っている。朝廷の秩序の中に入らないやつは許せない。もしかしたら南朝を称する人たちに挿げ替えられるのではとまでの被害者意識を持っている。

    しかし信長は征夷大将軍を断られ続けて10年。もう朝廷には何も期待していないし、どんなに力をつけて武力や権力を得ても朝廷に命じられないと権力者になれない制度そのものに疑問を持っている。というか、別にもう認めてもらわんでもええねん。無位無官でも天下人やったろうやんけ。

    というわけで、朝廷主導信長暗殺説をとっており、グランドフィナ

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    2026年01月21日
  • 擾乱、鎌倉の風(上) 黄昏の源氏

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    鎌倉の歴史絵巻。平治の乱の頼朝配流から、二代将軍頼家の十三人の合議衆まで。

    小説なのかなと思って購入したので、読みたいものではなかったにも関わらず、読み切らせるだけの力量がある作品だったけど、まあだいたい知られている史実の積み重ねなので、下巻はギブアップすることにする。

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    2026年01月10日
  • 天祐は信長にあり(五) 騎馬隊殲滅

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    浅井長政の元から救出したお市と信長の関係は、歴史上は兄妹と言われるが、著者は何歩も踏み込んで男女の仲として書き上げる。閑話休題。信長も一向一揆には手を焼き続ける。そんな中、信玄亡き後の勝頼が進軍。世に言う長篠の戦いで、信長の馬防柵+鉄砲多段撃ち戦術が発明、実行された。武田二十四将の騎馬隊が弾幕に突撃する様に、無能な上司に諦観した悲哀を感じる。安土城築城、石山本願寺攻撃のための鉄甲船建造と、次々に溢れ出る信長の想像力のすごさ。正親町天皇との駆け引きも見逃せない。鳥居強右衛門や山中鹿之助の逸話はばっさりカット

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    2025年12月07日
  • 天祐は信長にあり(四) 四面楚歌

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    六角承禎の差金で狙撃される場面から始まる本巻は、この時期の信長の状況を表す四面楚歌に相応しい。しかし、乱世を薙ぎ払うために生まれたのではないかと思わせる信長の強運を読者は再認識することになる。もし武田信玄が陣中死しなければ……信長が天下統一寸前までいくことはなかったのではないか? 上手の手から水が漏るの例えどおり、将軍・義昭を見逃したり、長島一向一揆討伐からの撤退戦での不首尾など、信長の戦術ミスがなければ、今頃は別の日本になっていたかも知れない。

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    2025年11月30日
  • 天祐は信長にあり(三) 天下布武

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    美濃を攻略し、最愛の帰蝶を稲葉山城へ帰還させることができた。その後、足利義昭を伴い上洛し、将軍宣下を受けさせた。しかし、信長自身は官位官職にまったく興味がない。坂本龍馬に似た孤高感がある。サブタイトルの天下布武が、まだ天下統一の道半ばにある時点で使われたことのリスクを考えたことはなかった。楽市楽座の構想、ルイス・フロイスとの出会いと、次々に歴史の場面が現れるのが楽しい。信長の危機となった金ヶ崎の退き口。浅井長政が父・久政を抑えられずに信長を裏切り、お市の機転による密使に託した小豆が見せ場だ!

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    2025年08月03日
  • 家康の軍師(3) 白虎の巻

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    本能寺の変の時、何故家康は謀反者明智光秀を攻めなかったのか、それはこの書によると織田家の内紛に巻き込まれることを恐れ熱田神宮で待機していた、また、柴田勝家との戦いになると予測していた、とある。まさか遠方の猿、豊臣秀吉が備中高松からの大返し、織田家の後継人になるとは予測しなかった、とある。現代でもよく言う「想定外」が意外な結果をもたらすことだ。
    奇抜な行動により周りの賛同を得る事は政治でも企業でもあり、時と流れを読む能力が問われる。

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    2025年06月07日
  • 天祐は信長にあり(二) 桶狭間の戦い

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    信長の父・信秀が亡くなった。著者はこの機を、信長が戦国の表舞台に引きずり出されたとする。鉄砲の準備や信長軍の員数が揃わない中でのこと。斎藤道三の後ろ盾があるとはいえ、尾張国内からも狙われる信長。まさに内憂外患。本書の山場はもちろん桶狭間である。軍師・太原雪斎亡き後の義元の進軍に対し、情報網を駆使して探索した義元の本陣へ、少数精鋭で突っ込む信長たちの描写がよかった。そして、義元を打ち取った場所を「田楽ヶ窪」としたのも良し! 綺羅星のごとく戦国の武将がでてくるのも楽しかった。

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    2025年05月10日
  • 家康の軍師(1) 青龍の巻

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    「家康の軍師(青龍の巻)」この第一巻は家康が生まれ桶狭間の戦いまでの小説。今川の人質にいた時の今川義元の軍師太原宗孚雪斎(たいげんそうふせつさい)の元信(家康)への教訓。「其方は死ぬまで忍辱の鎧を脱いではならぬ。どんな時でも我慢をすれば天下の方から近づいてくる」「急ぐな、急ぐとつまずいて転ぶ。転ぶと乱世では立ち上がれなくなる」「臆病は悪いことではない。その代わり知恵を得るため人の話をよく聞くことだ。そして少しばかり勇気を持て、蛮勇はいかんぞ」「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」「人を見誤るな」
    戦国の軍師とは己の立場を知り冷静に敵の動きに敏感に戦略戦術を組む、全ては「人」なのだという。現

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    2025年04月26日
  • 天祐は信長にあり(二) 桶狭間の戦い

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    世の中に織田信長を扱った小説はごまんとある。戦国武将で一番多いんじゃないか、と思う。みんな知っている武将だから、逆に難しい、と思う。でも、分かっていても面白い。やっぱり岩室さんは凄い。

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    2025年01月19日
  • 天祐は信長にあり(一) 覇王誕生

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    僕は、岩室忍さんの作品は好きだ。変な言い訳じみた記述が無くて、解りやすいからだ。この作品は「信長公記」に基づいて描かれている、とのことで、史実に近いとは思うけれど、「信長公記」さえも、徳川幕府の意図で家康の都合の良いように改ざんされている可能性があるから、どこまで真実か解らないけど、小説は面白いのが一番だから、今後の展開に期待している。

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    2024年10月21日
  • 剣神 心を斬る 神夢想流林崎甚助7

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    ネタバレ

    ついに最終巻。長かった重信の神夢想流伝播の旅も終わりを迎えることに。

    個人的なハイライトは、心を入れ替えた武蔵が魂魄となった重信と対話する場面と、そこから続くラストシーン。

    ずっと活人剣を標榜してきた重信ですが、最後の最後に荒くれ者だった武蔵の邪念を、副題の「心を斬る」が如く討ち払い、まっとうな剣士として生まれ変わらせた様は、まさに人を活かす剣そのものでした。

    これまでの長い旅の最終目的は、実は武蔵の改心だったのでは、などと考えてしまいます。

    また、重信はこれまで何人もの剣客にその技と理念を伝えてきましたが、武蔵ほど大きな変化があった人物はいなかったように思います。

    こうした要素が感

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    2024年04月28日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈十〉 幻月の鬼

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    一段と分厚いシリーズ大10弾。
    今回は、女歌舞伎の河原芝居を隠れ蓑にした盗賊一味。
    安価で、色も売る女歌舞伎。
    京から流れ流れて日本中を回る。

    女の絶対数が著しく足りない江戸では、金を持たない男たちに大人気!

    小屋とも呼べないような場所に裏口から出入りする不審者。
    目をつけた隠密同心、執念の捜査。

    友人の盗賊仲間から、北町奉行、勘兵衛の怖さを得々と知らされた小五郎。
    初めはバカにしていたが、慎重を重ね、まんまと大きな仕事をする。しかも十七人皆殺しという極悪非道!

    勘兵衛ら北町奉行所は、本拠地を突き止め、京都所司代の援助を求め一網打尽にしようと・・・・

    分厚さも関係なく読ませてしまう筆

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    2024年03月27日
  • 家康の黄金 信長の軍師外伝

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    世界遺産である石見銀山に行った。ちょっとした興味だったが、たまたまガイド付きツアーにお世話になる事となり、大久保間歩という坑道を知った。ツアーのガイドさんの話しがとても興味深く石見銀山奉行であった『大久保長安』について何か小説がないかとこの本を読む事にした訳だ。
    長安は、女好き、大酒飲み、豪放磊落でありながら、算術の天才と言われ、信玄に仕えていた。
    信玄亡き後その才能を家康の元、存分に発揮して全国の金山銀山を制した。
    大阪城攻めの軍資金を、ひいては江戸時代の礎を築く資金を作り出したのだ。
    しかし、出る杭は打たれる、謀略家の本多正信との確執でお家断絶の悲劇となるのだが、戦国の世に相応しく波瀾万丈

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    2023年09月25日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈八〉 風月の記

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    まるで鬼平犯科帳のような世界観。
    史実を丹念に掘り起こして作品に繋げているので、読み応え十分。

    まるで人員が足りていない江戸幕府発足当時の北町奉行所。
    岡っ引きの前身のような、手下を何人も持つ。

    今回は、手下が持つ茶屋にやってきた男や女から不審を感じて操作すると大泥棒で江戸で大きな仕事を準備していた。

    最後までドキドキしながら読むものを飽きさせない。
    涙するような人情も。

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    2023年01月25日
  • 剣神 炎を斬る 神夢想流林崎甚助2

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    この主人公強すぎない?それにも増して、女にモテすぎだよ!剣豪というのは女を寄せ付けないイメージがあったけど、全然ウェルカムだし、そんな都合の良いことがあっても良いのか?!

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    2022年10月08日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈七〉 城月の雁

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    初代北町奉行米津勘兵衛。
    奉行となってはや15年、初めて故郷の墓参を願った。

    途中、決して気取られないまま仕事をする大泥棒が最後の仕事を終えて引退。
    そのかしら、朝太郎が茶屋で勘兵衛に別れを告げにきた。

    勘兵衛は知りながら別れる。

    道中もあれやこれやと忙しい。

    大きな江戸をたった一つ北町奉行所だけで治安を守る男。
    米津勘兵衛の忙しい日常を描く。

    江戸初期の気風が実に快活で豪放。

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    2022年08月31日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈六〉 荒月の盃

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    江戸幕府初頭の江戸の北町奉行所を舞台に、
    江戸の治安を守る男たちの活躍が描かれるシリーズ。
    早6巻目。

    徳川幕府の体制も固まってなく、
    人がどんどん流入する江戸という大都市をどう守るか?
    家康に請われて、奉行となった男。
    米津勘兵衛のブレーンとの関わり方や、
    勘兵衛の太極を見つめた仕事ぶりが良い!

    今回は初めに10万両を盗んだ男が隠居するタイミングに関わる勘兵衛。

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    2022年06月26日
  • 擾乱、鎌倉の風(下) 反逆の北条

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    ネタバレ

    頼朝の死から二代将軍義家から権力を奪い実朝を傀儡に果ては源氏を滅亡させ、北条家が権力を掌握するまでが描かれている。義時も妻に暗殺され、13人の中で最後まで残ったのは大江広元というのは意外であった。

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    2022年06月07日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈五〉 臥月の竜

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    江戸幕府創世記の奉行所を中心に当時の江戸の気風を伝えるシリーズも、早5巻目。
    この頃にやっと目付けという武家を取り締まる機関を作るが、まだまだ人数が少なすぎて脆弱。

    奉行所の少ない同心の下に岡っ引きのような人材を配置しようと試みる。
    家康がまるで神のように扱われる伝説のような言い伝えはフィクションで、実は家康が江戸に入った当時応仁の乱以降、京都から移動した勢力が既に存在し、大きな城とは言わないまでも、関東の社会の一つとして存在していたことがわかる。

    亡くなってしまった作家、浅黄斑さんは史実を丹念に研究し小説の中に現代ではどうなっているのかまで記述し、実に興味深い作風であったが、このシリーズ

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    2022年02月25日
  • 初代北町奉行 米津勘兵衛〈四〉 雨月の怪

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    家康も70代になると、老人特有の強いこだわりと、懐疑的で独善的になってくる。
    そんな時、豊臣秀頼と実際に出会い、その大柄な躯体、人柄をみて、徳川を守るには殺すしかないと思い始める。
    それほど秀頼は好ましく人望も集めそうな良い人物であったのだった。母茶々に似て父親とは比べようもなく頑強な体。
    自分が死んだら徳川は彼によって滅ぼされると盲信したのだった。

    江戸は相変わらず、治安、行政、司法の全部を少ない人数の奉行所が実質担うという事態。

    今まであまり出ることのなかった家康の小心ぶりなど、もしや真実はこんなであったか、と思わせるような面白い江戸初期の時代小説!

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    2022年02月19日