岩室忍のレビュー一覧
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朝廷は苛立っていた。とにかく朝廷の秩序内に信長に入っていて欲しい。太政大臣、関白、征夷大将軍の三職からどれでも好きなのになってくれと思っている。朝廷の秩序の中に入らないやつは許せない。もしかしたら南朝を称する人たちに挿げ替えられるのではとまでの被害者意識を持っている。
しかし信長は征夷大将軍を断られ続けて10年。もう朝廷には何も期待していないし、どんなに力をつけて武力や権力を得ても朝廷に命じられないと権力者になれない制度そのものに疑問を持っている。というか、別にもう認めてもらわんでもええねん。無位無官でも天下人やったろうやんけ。
というわけで、朝廷主導信長暗殺説をとっており、グランドフィナーレな登場人物との邂逅以外はその工作である。
(一つ星減点は私が陰謀説が好きじゃないから。光秀一人で思いたって信長殺して何が悪いねん)
以下、この8冊の著者の問題提起。ネタバレ。8巻全部読まない人、ぜひみていただきたい。
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信長はファーストペンギンで、どんなに頭が良くても予測できないことは多々あって、成功と失敗の塊なのは仕方ないからこそ、その生涯は面白いのだけど、惜しいことがいっぱいある。
信長の失敗
その1
義昭追放時に殺すか、征夷大将軍を罷免させなかったことで、信長が(秀吉もですが)征夷大将軍につきたい時に征夷大将軍になれなかった。信長は少なくともこれのせいで朝廷と完全に拗れた。拗れなかったら歴史は暗殺どうのは別としても変わっていた。
その2
普段から、寡兵で身軽に行動していたこと。
信長の性格はあるだろうし、朽木谷越えなどはこのおかげで助かったともいえるけど、やりすぎ。
その3
信忠が本能寺の変の時に、逃げずに(というのは二条御所から逃げて生存している人が多数いるのだ。長益とか)、戦って死んでしまったこと。
信忠が生きていたら結果は絶対に違った。これ以降、学習した家康は何かが起こった時に必ず長子秀忠と別行動を取っている。 -
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「家康の軍師(青龍の巻)」この第一巻は家康が生まれ桶狭間の戦いまでの小説。今川の人質にいた時の今川義元の軍師太原宗孚雪斎(たいげんそうふせつさい)の元信(家康)への教訓。「其方は死ぬまで忍辱の鎧を脱いではならぬ。どんな時でも我慢をすれば天下の方から近づいてくる」「急ぐな、急ぐとつまずいて転ぶ。転ぶと乱世では立ち上がれなくなる」「臆病は悪いことではない。その代わり知恵を得るため人の話をよく聞くことだ。そして少しばかり勇気を持て、蛮勇はいかんぞ」「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」「人を見誤るな」
戦国の軍師とは己の立場を知り冷静に敵の動きに敏感に戦略戦術を組む、全ては「人」なのだという。現代も同じことが言えるが、さらに生成AIなどを利用したあらゆる可能性を弾き出した上での選択は「人」ということになるのか。 -
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ネタバレついに最終巻。長かった重信の神夢想流伝播の旅も終わりを迎えることに。
個人的なハイライトは、心を入れ替えた武蔵が魂魄となった重信と対話する場面と、そこから続くラストシーン。
ずっと活人剣を標榜してきた重信ですが、最後の最後に荒くれ者だった武蔵の邪念を、副題の「心を斬る」が如く討ち払い、まっとうな剣士として生まれ変わらせた様は、まさに人を活かす剣そのものでした。
これまでの長い旅の最終目的は、実は武蔵の改心だったのでは、などと考えてしまいます。
また、重信はこれまで何人もの剣客にその技と理念を伝えてきましたが、武蔵ほど大きな変化があった人物はいなかったように思います。
こうした要素が感動に繋がったと感じています。
2巻以降、重信の活躍以外のお話が多くなり、若干モチベーションが下がり気味だったのですが、本作には大変満足しました。林崎甚助の活躍を描いた小説は、数は多くないのですが他にもあるようなので、近々そちらも読んでみたいと思います。 -
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一段と分厚いシリーズ大10弾。
今回は、女歌舞伎の河原芝居を隠れ蓑にした盗賊一味。
安価で、色も売る女歌舞伎。
京から流れ流れて日本中を回る。
女の絶対数が著しく足りない江戸では、金を持たない男たちに大人気!
小屋とも呼べないような場所に裏口から出入りする不審者。
目をつけた隠密同心、執念の捜査。
友人の盗賊仲間から、北町奉行、勘兵衛の怖さを得々と知らされた小五郎。
初めはバカにしていたが、慎重を重ね、まんまと大きな仕事をする。しかも十七人皆殺しという極悪非道!
勘兵衛ら北町奉行所は、本拠地を突き止め、京都所司代の援助を求め一網打尽にしようと・・・・
分厚さも関係なく読ませてしまう筆力! -
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世界遺産である石見銀山に行った。ちょっとした興味だったが、たまたまガイド付きツアーにお世話になる事となり、大久保間歩という坑道を知った。ツアーのガイドさんの話しがとても興味深く石見銀山奉行であった『大久保長安』について何か小説がないかとこの本を読む事にした訳だ。
長安は、女好き、大酒飲み、豪放磊落でありながら、算術の天才と言われ、信玄に仕えていた。
信玄亡き後その才能を家康の元、存分に発揮して全国の金山銀山を制した。
大阪城攻めの軍資金を、ひいては江戸時代の礎を築く資金を作り出したのだ。
しかし、出る杭は打たれる、謀略家の本多正信との確執でお家断絶の悲劇となるのだが、戦国の世に相応しく波瀾万丈な人生なのだなぁ。