あらすじ
巌流小次郎を卑怯討ちしたことで仕官の道を絶たれた新免武蔵。父無二斎や、名人越後こと冨田重政からその処遇を託された甚助のもとに武蔵が現れたのは、徳川家康が没した元和二年夏のことであった……。神から授けられた剣技を磨き、世に広めてきた甚助の旅もついに終わる。居合の源流を描く歴史大河、全七巻堂々完結!文庫書き下ろし
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Posted by ブクログ
ついに最終巻。長かった重信の神夢想流伝播の旅も終わりを迎えることに。
個人的なハイライトは、心を入れ替えた武蔵が魂魄となった重信と対話する場面と、そこから続くラストシーン。
ずっと活人剣を標榜してきた重信ですが、最後の最後に荒くれ者だった武蔵の邪念を、副題の「心を斬る」が如く討ち払い、まっとうな剣士として生まれ変わらせた様は、まさに人を活かす剣そのものでした。
これまでの長い旅の最終目的は、実は武蔵の改心だったのでは、などと考えてしまいます。
また、重信はこれまで何人もの剣客にその技と理念を伝えてきましたが、武蔵ほど大きな変化があった人物はいなかったように思います。
こうした要素が感動に繋がったと感じています。
2巻以降、重信の活躍以外のお話が多くなり、若干モチベーションが下がり気味だったのですが、本作には大変満足しました。林崎甚助の活躍を描いた小説は、数は多くないのですが他にもあるようなので、近々そちらも読んでみたいと思います。