岩室忍のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
江戸幕府創世記の奉行所を中心に当時の江戸の気風を伝えるシリーズも、早5巻目。
この頃にやっと目付けという武家を取り締まる機関を作るが、まだまだ人数が少なすぎて脆弱。
奉行所の少ない同心の下に岡っ引きのような人材を配置しようと試みる。
家康がまるで神のように扱われる伝説のような言い伝えはフィクションで、実は家康が江戸に入った当時応仁の乱以降、京都から移動した勢力が既に存在し、大きな城とは言わないまでも、関東の社会の一つとして存在していたことがわかる。
亡くなってしまった作家、浅黄斑さんは史実を丹念に研究し小説の中に現代ではどうなっているのかまで記述し、実に興味深い作風であったが、このシリーズ -
Posted by ブクログ
家康も70代になると、老人特有の強いこだわりと、懐疑的で独善的になってくる。
そんな時、豊臣秀頼と実際に出会い、その大柄な躯体、人柄をみて、徳川を守るには殺すしかないと思い始める。
それほど秀頼は好ましく人望も集めそうな良い人物であったのだった。母茶々に似て父親とは比べようもなく頑強な体。
自分が死んだら徳川は彼によって滅ぼされると盲信したのだった。
江戸は相変わらず、治安、行政、司法の全部を少ない人数の奉行所が実質担うという事態。
今まであまり出ることのなかった家康の小心ぶりなど、もしや真実はこんなであったか、と思わせるような面白い江戸初期の時代小説! -
Posted by ブクログ
家康の存命の頃のお話。
年々巨大化する江戸という大都市。
市中も問題が多発している。
江戸支柱の安寧を任されたのが初代北町奉行、米津官兵衛である。
当時はたった15人で足軽上がりの道新たちが激務をこなしていた。
まだ火消し制度もなく、火付け盗賊改も存在しなかった頃。
やっと、味噌の他に醤油の素となる「たまり」が出回り始め、そばも、今のような蕎麦切りはなく蕎麦がきなどがあるだけだった。
そんな時代、人口とともに全国から男たちが江戸に集まり、食文化も誕生の時を迎えていた。
吉原の始まりもこのころ。
電光石火の米津官兵衛の働きぶりは、初期の奉行所というだけあって、まだまだ奉行以下の主従のまと -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作に続き、重信の神夢想流伝播の旅が続きます。
時代的には本能寺の変の前後で、世の趨勢が大きく動くタイミング。重信と関係の深い人たちもその流れに巻き込まれていきます。
その中で氏家左近の討死はショックでした。刑部太夫の道場における重信の兄弟子的存在で、1巻での稽古の場面などが思い出され、さすがに胸に応えるものがありました。
ただ、左近討死以降はトーンダウンしてしまった感が。時代背景に関する記述が多くなって、重信が登場する場面が若干減ってきたのと、剣術とはあまり関係のない阿国絡みのエピソードがやや多かったのがその要因でしょうか。
本シリーズに求めるのは、やはり剣豪・林崎甚助の活躍なので、