糸柳寿昭のレビュー一覧
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家にまつわるホラーのアンソロジー。玉石混交という感じ。
【収録作品】
「氷室」宇佐美まこと
「倒福」大島てる
「旧居の記憶」福澤徹三
「やなぎっ記」糸柳寿昭
「たかむらの家」花房観音
「妹の部屋」神永学
「笛を吹く家」澤村伊智
「牢家」黒木あるじ
「トガハラミ」郷内心瞳
「終の棲家」芦花公園
「ろろるいの家」平山夢明
たとえば「倒福」「旧居の記憶」「やなぎっ記」の御三方は実話怪談や事故物件をメインにしているだけあって実録風というかとりとめがない。それもそれで好きだけどほかの短編小説の中では浮いてるように個人的には感じた。
この中で怖かったのはやはり「終の棲家」と「ろろるいの家」。芦花公園さんは「ほねがらみ」以来だけど、こちらも似た展開。いつのまにか読者を巻き込む手法はさすが。「ろろるい」も畳みかける怪異の描写が頭に浮かんでしまう。とにかく平山さんは容赦なくてそこがいい(笑)。
澤村さんのはほかで既読だったので割愛。 -
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福澤&怪談社シリーズ、第四巻。
相変わらず、訳がわからない・不気味な実話怪談が目白押し。ただ怪談の特定地域≒「忌み地」要素は薄めで、主だったものは千葉のおせんころがし周辺、巻頭巻末の青木ケ原樹海くらいになっている。
おせんころがし周辺は山やトンネルといった定番かつ不気味な話でなかなか。
単なる伝承だけでなく、実際の事件現場というのもリアルさをプラスして別な怖さが増してくる。
…しかし、読み終わるとこのカバーにとんでもない「詐欺」があることに気づく。これもおせんころがしの一件。
「怖いワードがたくさん!こりゃ凄そうだ!」と買った時は思ったんだけどねぇ…上間さん。
あとそれで思い出したのだが、北野誠の心霊番組でおせんころがしも出るのだが、供養塔上部、実はペットボトルを塗ったものということが判明。風雨での破損がひどく、何度も壊れるのでペットボトルで代用しているそうな…。
本書掲載の写真でもペットボトルの形が確認できると思う。
因習のような伝承、かつての事件、どーでもいい現代の諸事情。おせんころがしという忌み地には単なる怖い以外の諸々が転がっている。
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福澤&怪談社、三巻目。
まだコロナ禍のなか、取材はまだまだ本調子でないけれど、宮崎の怪しげな商店街周辺、お馴染みK市、埼玉N駅など、コンセプトの忌み地的な局所怪談はなかなかのインパクト。
特に今回はそういう取材先の人物、怪談のなかの登場人物も怪しげでインパクトのある人がちらほら。
こういう忌み地に住む人というのも怪談じみてくるのだろうか。
個人的にすさまじさを感じたのは一話目の「押し入れの腕」。怪談ではなくその背後にあった事件だが、ちょうど柳田国男の「山」に関する本を読んでいたためか、この話も何か「山に憑かれた」ものを感じた。柳田国男ならこの話も「山の人生」に組み込んでいそうだ。 -
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気鋭の若手からベテランまでが一堂に会した「最恐」の物件怪談アンソロジー。
家や土地をテーマにしたホラーアンソロジーです。
作家陣が豪華で、個人的には外れなしでした。どれを読んでもじっとりと湿度のある話が楽しめます。
珍しい方だと、事故物件検索サイト「大島てる」の管理人・大島てるさんのお話なんかも掲載されています。サイト自体は見たことがありますが、文章も書いているとは初めて知りました。
実際に届いたメールや、自身が本を出すための取材で回った際に見聞きしたものについて書いているお話や、伝染する呪いを扱ったような作品も多く、虚構と現実が曖昧になる感覚がしてそれもまた良かったです。現実に侵食してくるような話は不安になる感じが好き。
個人的に気に入った2作は、その土地に憑く”ナニカ”の不気味さが存分に楽しめる平山夢明さん『ろろるいの家』と、恐ろしくも耽美な化物の話、郷内心瞳さん『トガハラミ』。
でも、それ以外のどの話もそれぞれ味わいが違っていてどれも面白いですよ。 -
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ネタバレ怪談社の糸柳寿昭、上間月貴が取材で集めた怪談とその取材プロセス、現場状況を作家の福澤徹三が取りまとめた書き下ろし実話怪談集。今月刊行されたばかりの第4弾。
今回はコロナ禍による各種措置の緩和を受けて取材方法が以前の形に戻ったことで、前巻で目に付いた“実話怪談に練り上げられる前段階の話”よりも、実際の怪異の体験談(の聞き書き)が主となっており、その意味ではオーソドックスな実話怪談本に仕上がっている印象。また前巻のように、怪異よりも取材過程で遭遇した生身の人間の方がよほどおっかない、みたいな話もない。……が、病死や不審死(自殺他)などに日々直面している人達が、それらが起因(と思しき)怪異もすんなり受け入れているような話がいくつかあったりで、それはそれで怖い。
このシリーズを読んでいて思うのは、収録の半数ぐらいは取材先での初対面の人から聞き出した話で、よくまぁここまで集めたなぁ、と。当然空振りや、聞けたけれど本に載せるほどには使えないといった話も相当数あるはずだから、掲載されたよりもずっと多くの人々に取材を試みたのだろうし、その点でも、とにかく凄い。人見知りな自分にゃとても真似できぬ。
と同時に、多くの人がそういった怪異なり恐怖なり、不可解な体験をしてるということでもあるのだなと。
だから日々これだけ実話怪談本が出版されててもネタは尽きないのか! -
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物件、つまり家や土地にまつわる怪談集。
表紙に並んだ著者名を見てほしい。
どれもこれも怪談の名手じゃないか!
一作品既読があるだけで、他は全て初めて。
なんだよー全然怖くない、なんて思っていたが、やっぱり夕暮れ時から夜にかけて思い出したり読んだりするとぞわぞわする。
「牢家」は、座敷牢というキーワードに引っかかってしまうと、最後にひっくり返される。
そして、ホラーにはお決まりの(作中でも言及されているが)地元の老人が「はいっちゃいかん!止めろ!」という。
もう絶望しか無いフラグが立つ。
そしておそらくその通りになる。
が、みなまで言わず余韻を残すところは作者の技量。
大島てるの「旧居の記憶」は、ほんとうに大島てるにこんな手紙が届いたんじゃないか、と思わせる。
だが、職業作家と比べると、ちょっと怖さは弱め。
「ろろるいの家」はさすが平山夢明。
意味不明の言葉が不気味さを増長する。
そして意味を知った時、背筋が凍る。
これは今が冬だから、じゃないよな。 -
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一応、「家」にまつわる怪談、ということになるのかな。(読んでいる最中それが強く意識されるという感じでもないのだけど。)
全体的にはきちんとそれぞれ「作品」になっているので、素人っぽいノリで集めた聞き書き怪談、みたいな雰囲気ではなく、しっかり読み応えがあるものが多かった。
ただ、なんというか、「物件」と冠されたタイトルと内容とはちょっとズレがあるように思う。「怖い家」くらいの方が適当なんじゃないだろうか。あんまり、不動産としての物件にまつわる怪という方向性ではないので、いわゆる事故物件怪談みたいなのを期待していると「およ?」となるかも。
個人的に印象に残ったのは、福澤徹三『旧居の記憶』、黒木あるじ『牢家』、平山夢明『るるろいの家』あたりだろうか。
『旧居の記憶』は、大きな山場のある話というよりも、文章とその時代背景から浮かび上がる全体の雰囲気に独特のグロテスクさとノスタルジックな空気感があって、妙につらつらと惹き込まれるように読み進めてしまう。
『牢家』は、黒木さんらしいといえばそれまでなのだけど、地方に伝わる民間伝承や土俗的な風習を現実とからめてエンターテイメントに仕上げた感じ。
『ろろるいの家』は、純粋に怖い話。どこかで聞いたことのあるような設定が色んな角度から登場して、最初は「あれ?この設定、どこかで…」と思って怖いというよりは「きたきた!」と楽しみながら読んでいる感じなのだけど、トータルでいうと楽しいというよりジワジワと怖くなっていく。
秋の夜長に楽しませてもらった。 -
購入済み
じわじわと
相変わらずじわじわと怖い。作中にときどき不可解な現実(?に生きている人が登場するのが、意味分からないけど怖い。
取材して連鎖で移動していくところが臨場感あって好きです。
ただちょっとおおしまてる多用しすぎかなあ。